ネコの手も狩りたい【完結】   作:puc119

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第62話~悪気はないんだ~

 

 

「よしっ、それじゃネコ、頑張って行くぞー!」

「……うニャー」

 

 場所は遺跡平原のベースキャンプ。そんな場所で今日も今日とてすごく元気な様子の妹さんが大きな声を出した。

 

「それでネコ。ライゼクスは何処にいるの?」

「エリア7ニャ」

 

 比較的、平らなエリアではあるけれど、あの段差が鬱陶しいエリア。落とされると登るのが面倒だし、俺は好きじゃありません。遺跡平原で戦いやすいのはエリア3くらいだ。

 

「了解! それじゃ改めて頑張って行くぞー!」

「うニャー」

 

 ……さて、そろそろ今がどんな状況なのか説明した方が良い頃だろう。

 正直、俺だってどうしてこうなっちゃったのかなぁ、なんて思ってはいるけれど、なってしまったものは仕方無いんだ。

 現在、このクエストへ来ているのは、俺と妹さんだけです。それで、メインターゲットはライゼクス。それは本来ならHR6となってから戦う相手。そんなクエストを受けているわけですよ。

 

 それじゃ、そんなことになってしまった過程やら経緯やらを説明させていただきますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

「おろ、クエストはなかったのかニャ?」

「んと、あるにはあるんだけど、今の私たちじゃ受けられないって言われたんだ」

 

 一日の休養を取らされた次の日、ゆっくり休むこともできたから改めて頑張っていこう、と気合を入れたものの、肝心のクエストがなかった。

 バルバレや大老殿と比べて、龍歴院はハンターの数も少ないけれど、届くクエストの依頼も少ないらしい。そんなこと、大老殿にいた頃じゃ考えられませんね。

 

「……HRが足りてないからってこと?」

 

 こてりと首を傾げながら白ネコがご主人へ尋ねた。

 

「うん、ライゼクスとガムート、あと、タマミツネのクエストはあるんだけど、私たちのHRじゃまだ受けちゃダメなんだって」

 

 むぅ、それは残念。そろそろ緊急クエストが届いても良い頃だとは思うけど、流石にまだ無理だったか。

 このメンバーなら四天王だって問題なく倒せるとは思うけど、ダメと言われてしまったら仕方が無いね。

 

「それじゃあ、今日はどうするのニャ?」

「うーん、どうしよっか。素材ツアーとかなら行けるし、行ってみようかなって思ってるけど」

 

 まぁ、それが無難ですね。それに今後、鉱石系は必要になる時が来るだろうから、火山の素材ツアーには行っておいた方が良いと思う。

 

 そして、そんなようなことを話している時だった。

 

 

「戻ってきたぞー!」

 

 

 そんなすごくすごく元気の良い声が龍歴院に響いた。

 何事かと思い、その声がした方を向くと、其処には3人のハンターの姿。はい、そうですね、相棒さんたちですね。因みに、大きな声を出したのは妹さんです。

 

 それでもって、何かを探しているかのように、キョロキョロと顔を動かす妹さん。

 

「あっ、いた!」

 

 そして見つかりました。捕まりました。

 本当は緊急撤退をしたかったけど、サポゲが溜まってなかったんです。

 

「ネコネコ! 久しぶり!」

「うニャ……ハンターさんたちはどうしたのニャ?」

 

 妹さんに両腕でがっちりと拘束されたまま聞いてみた。

 いや、ホント、妹さんはどうしてここまで俺に構うのだろうか。俺なんかを構ったって面白くはないだろうに……

 

「やほー、お久し、槌ちゃんにそのオトモちゃんたち。んと、今日はクエストを受けに来たんだ。なんかたくさん出たみたいだから」

 

 そう言って、相棒さんが俺の質問に答えてくれた。

 ん~……つまり、相棒たちがライゼクスとかのクエストを受けるってことなのかな。龍歴院ってそんなにハンターの数が少ないのだろうか。

 

「そんな理由もありますが、久しぶりに休日をもらえたので遊びに来たって理由の方が大きいです」

 

 そして、弓ちゃんが補足をしてくれた。

 ああ、なるほど。龍歴院だってそこまでハンターの数が足りていないわけじゃないか。まぁ、そりゃあそうですよね。

 

 しっかし、遊びに来たのにクエストを受けるとは……なんだろう、もうちょっと何かなかったのかなって俺は思います。

 

 それにしても……この流れはアレだ。妙な既視感を覚えるぞ。

 

「そんなわけだからネコ! 私と一緒にクエストに行くぞ」

 

 ほらみなさい、言わんこっちゃない。

 クエストへ行くのは別に良いんだけど、できればご主人を連れて行ってもらいたいです。せっかくの機会なんだし。

 それで、素材ツアーは俺と白ネコで行ってくれば良い。

 

「えっと、ネコちゃんには前みたいに手伝ってもらいたいんだけど、今回は槌ちゃんや白ネコちゃんにも手伝ってもらいたいんだ」

 

 ……うん? どういうことですか相棒さん。

 

「へっ!? わ、私もですか?」

「うん、そうだよ。今回は私たち3人が別々のクエストへ行くから、それについてきてもらえればなぁって思ってるんだ」

 

 なるほど、理解しました。

 まぁ、そっちの方が効率良いし、この3人ならそれができちゃうもんな。

 この段階で行くことのできないクエストへ連れて行ってくれるのは有り難い。有り難いけど……そうなりますと、誰が誰について行くのかってことになる。ただ、俺は嫌な予感しかしません。

 

「分かったニャ。それじゃあ、ボクは操虫棍のハンターさんについて行くニャ!」

 

 妹さんはもちろん、前回バレてしまった弓ちゃんも遠慮したい。そうなると、相棒と一緒に行くのが一番良い。先手必勝。俺は相棒さんを選びます。

 

「うん? ネコは私と一緒に行くんだよ?」

 

 ……ダメか。やはり妹さんからは逃げられないのか。

 

「えっと、それじゃあ、私は槌ちゃんと一緒に行くね。よろしく!」

「あっ、は、はい! よろしくお願いします!」

 

 そうなると、白ネコと弓ちゃんのペアか。

 

「よろしくお願いします。白ネコさん」

「……うん、よろしく」

 

 かなりあっさりと決まってしまった。そして、俺の意見は全く取り入れてもらえませんでした。いや、分かっていたけどさ……こういうことを決める時は昔からそうでしたし。

 

 ん~……俺と妹さんペアもちょっと危ないけど、相棒とご主人ペアは大丈夫だろうか? 相棒のことだし、上手くフォローしてくれるとは思うけど、ご主人って相棒の前だと固まるからなぁ。モンスターと戦えるのか心配だ。

 

「それで、どのペアがどのモンスターと戦うのニャ?」

 

 このメンバーなら乱入でもされない限り、どのペアがどのモンスターと戦っても問題なくクリアできるはず。例え、ご主人が戦力にならなくなったとしても、相棒ならソロでも大丈夫だろう。

 

「ん~別に誰がどのモンスターと戦ってもいいと思うけど……えと、じゃあ、私と槌ちゃんはタマミツネと戦ってくるね」

 

 タマちゃんかぁ。ご主人は初見なわけだけど……まぁ、うん、頑張れご主人。

 

「それじゃあ、私と白ネコさんはガムートと戦ってきます」

 

 了解。

 じゃあ、残ったライゼクスを俺と妹さんで行けば良いのか。何も起こらず平和なまま終われば良いけど……いや、平和なクエストってのもおかしいか。

 

「よし、じゃあそれで決まり! クエストへ行く準備はできてる?」

「うニャ。いつでも出発できるニャ」

 

 できれば出発したくないけど、そんなこと言ったら何を言われるのか分かったものじゃないから、それは言わないでおきます。

 

 ん~……俺から見てもなかなかにすごいメンバーが集まってると思ってしまいますね。大老殿のトップ3に、MH4の主人公もいるんだ。すごく豪華なメンバーじゃないか。そして、どうせだったら、あの頃のメンバー4人で行けたらなぁ、なんて思っていたりいなかったり……

 

 今回のペアで一番安定しているのは弓ちゃんと白ネコペアだろう。ご主人がいつも通りの動きができれば違うけど、なんかダメな気がするし。

 俺と妹さんペアは……ど、どうなるんでしょうね? 正直、不安しかありません。ホント、何も起こらないことをただひたすらに願っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 と、まぁ、そんなことがあったんです。

 本当にいきなりのことだったから、かなり慌ててしまったけれど、こういうのも悪くないかもしれない。やっぱり強いモンスターと戦うことができるってのは、嬉しいものなのだから。

 

 さてさて、今回の相手はあのライゼクス。妹さんだし、問題なく討伐することはできるだろう。あとは、俺がどのくらい戦力になれるかといったところ。

 

「ネコネコー」

「うニャ?」

 

 エリア7へ向かっていると妹さんが声をかけてきた。龍歴院からもうずっとお喋りを続けています。

 妹さんは良い子なんだけど、ホント俺との相性がなぁ……

 

「やっぱり私のオトモにはなれないの?」

「……ボクにはご主人さんがいるから無理ニャ」

 

 そして、もう何度交わしたかも分からない言葉。

 確かに妹さんと俺の相性は悪い。だからといって俺が妹さんを嫌っているわけではないし、別にオトモになったって良いとも思っている。

 でも、今の俺にはご主人がいるんだ。だから、君のオトモになることはできません。申し訳ないけど、それを分かってもらえれば嬉しいかな。それに、君には相棒や弓ちゃんのことを任せたいんです。俺と白ネコじゃあもう、あのふたりの隣に立って前みたいに一緒に戦うことはできない。だからその分、妹さんに頑張ってもらえればなぁと思っています。

 

「そっかぁ、どうしてもダメかぁ……」

 

 ごめんね。この小さな身体じゃできることが少ないんだ。

 でも、そんな小さな身体でできることは精一杯頑張ってみるから、できるだけやってみるから、今日はよろしくお願いします。

 

「うん……わかった! それじゃあ、ネコがクビになるまで私は待つことにするよ」

「うニャ! ……うニャ?」

 

 刺のようなものを感じるけど……多分、妹さんに悪気はないんだと思う。

 そういえば、相棒さんにも似たようなことを言われたなぁ……流石は姉妹ってだけある。

 

「早くクビになればいいね!」

 

 そう言った妹さんはすごく良い笑顔だった。

 

 

 

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