ネコの手も狩りたい【完結】   作:puc119

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第7話~再会~

 

 

「んしょと。運転お疲れ様。ありがとね」

 

 飛行船で此処まで運んでくれたネコちゃんにお礼の言葉をひとつ。そんな言葉を落とすと、ネコちゃんがペコリとお辞儀をしてくれた。

 今までの移動はほとんど全部が馬車での移動だったから、飛行船での移動には慣れていなかったけど、これもまたいいものだね。ただ、できれば弓ちゃんも一緒に来て欲しかったんだけどなぁ。

 まぁ、あの子はユクモ村でやらなきゃいけないことがあるみたいだし、仕方無いんだけどさ。

 

「おや、アンタが大老殿から派遣されたハンターかい? 噂には聞いていたけど、本当に若いんだねぇ。あたしは此処、龍歴院でギルドマネージャーをやっている者だよ」

 

 えと、この後はどうすればいいのかな? なんて思っていると年配の女性から声をかけられた。ああ、貴方がギルドマネージャーでしたか。何と言うか、ちょっと怖そうですね。

 てか、此処まで私たちの噂は届いているんだ……やりにくいなぁ。

 

「あっ、はい。そのはずです」

「なんとも頼りなさそうだけど……まぁ、いいさ。実力は確かなものだろうし」

 

 そうでもないんですなぁ。確かに私たちのパーティーは強かったと思うし、多くの古龍だって倒してきた。でも、それはあの()()()()がいてくれたからであって、私はそんな噂されるほど上手くない。

 まぁ、そんなことを言うと、謙虚だね。とか言われてまた持ち上げられるから言わないけどさ。

 

「えと、それで私は何をすれば? 凶暴なモンスターが現れたと聞いていますが」

 

 私が此処、龍歴院へ来た理由はソレ。なんでも最近になって凶暴なモンスターが現れたから、どうにかしてくれと、私へお願いが来た。大老殿の方は私が抜けても十分回せるくらいのハンターがいるから、じゃあと思ってソレを引き受けることに。正直、自信はない。活動するギルドが違うからってことで、武器や防具もいつもと違うのだし……大丈夫かなぁ。

 

「古代林にね、ディノバルドって言うモンスターが現れたんだよ。ディノバルドがいたんじゃあ、研究員達の研究だって進まない。だからアンタにはソイツの狩猟を頼みたいんだ」

 

 ディノバルド……一応、噂くらいなら聞いているけど、確かすごく強いモンスターだったよね。それを私ひとりでかぁ。やっぱり無理言ってでも弓ちゃんを連れてきた方が良かったかも……

 

「はい、わかりました。できるだけ頑張ってみます」

 

 心配だらけではあるけれど、頼まれたのだから頑張らないと。今はあの二人がいないのだから。

 

「さて、あたしからは以上だよ。残りはクエストカウンターにいる嬢ちゃんから聞いておくれ。アンタの活躍期待しているからね」

 

 ……はい、頑張ります。

 

 

 

 

 ギルドマネージャーから言われたようにクエストカウンターへ。たまには遊んで来いってことで、一週間くらいの時間をもらっているけど、困っている人もいるからクエストは早めにやっておきたい。それが終わったら私も弓ちゃんのいるユクモ村へ行こうかな。温泉が有名だって聞いているし。

 

「あの、大老殿から来たんだけど、クエストを受注してもいいかな?」

 

 クエストカウンターには、同じ服装の女性が二人と大きな本を背負ったネコちゃんがいた。

 この場所も集会所だと思うけど、大老殿やバルバレと比べてハンターの数はかなり少ない。私がいた場所はいつもうるさいくらいだったから、何とも新鮮な感じ。

 

「あっ、はい。お話は聞いています。お待ちしておりました」

 

 茶色がかった髪の女性はそう言った。

 

「え? え? も、もしかして、貴女が噂のハンターさんですか!?」

 

 一方、金色の髪をした女性はそう言い、いきなり手を握られた。

 はい、多分その噂のハンターです。ただ、私はそんなすごいハンターじゃないんだけどなぁ……

 

「こら、やめなさい。ハンターさんも困っているじゃない」

「あっ、すみません。つい……」

 

 大丈夫です。これくらいは気にしないし、もう慣れているから。本当はもう少し静かに暮らしたいところなんだけどさ。

 

「ううん、気にしてないから大丈夫だよ。えと、それでクエストは……」

「はい、ハンターさんにはディノバルドの狩猟をお願いします。非常に凶悪なモンスターですが、ハンターさんならきっと大丈夫だと信じています」

 

 むぅ、なんともやりにくい……ホント、どうしてこんなに有名になっちゃったんだろうね? 2年前は大型モンスターなんてひとりじゃどう仕様も無いようなハンターだったのに。

 噂ばかりが一人歩きして、私はどんどんと置いていかれる。あの二人はまた消えちゃったし、ホント上手くいかないことばかりです。

 

「うん、わかった。それじゃあ、そのクエストをお願い」

「はい、それではお気を付けて」

 

 こりゃあ、本当に失敗できませんなぁ。初見モンスターだって言うのに、大変なことになっている。ホント、有名になったって良いことが何もない。

 

「……あれ? そ、そのクエストってもしかして古代林?」

 

 少しばかり慌てた様子の金色髪の女性。どうかしたのかな。

 

「ええ、そうだけど……何か問題があるの?」

「え、えと……さっき、古代林にネコちゃんが一匹で出発したばかりなんだけど……」

 

 ん~……どう言うことだろう。ネコちゃんって、アイルーのことだよね。この地方ではネコちゃんだけでクエストへ行くのかな?

 

「えっ? 嘘。それはマズイわよ。だって今の古代林にはディノバルドが……それにそのネコってあのハンターさんのネコよね? 今から引き返すこともできないし……」

 

 どうにもマズイようだけど、私にはよくわかりません。

 多分、ネコちゃんがクエストへ行ったのは良いけど、其処にはディノバルドがいて、そのネコちゃんの実力じゃ危ないってことかな。ギルドも大変だなぁ。

 

「よくわかんないけど……直ぐに私が行くよ? 其処でそのネコちゃんとも合流すれば大丈夫じゃない?」

 

 どの道、ディノバルドを倒さないといけないのには変わらない。ネコちゃんを探すのには苦労しそうだけど、まぁ、探せばきっと見つかる。

 

「ホント!? それじゃあ、お願いします! ネコちゃんは深層シメジを取っているはずだから、9、10、11とか奥のエリアにいると思うわ! 多分、ディノバルドのことが怖くて震えていると思うの。どうか助けてあげて」

 

 そうだよねぇ。ネコちゃんたちにとって大型モンスターなんてすごく怖いだろうし。うん、了解。きっと助けてみる。

 さてさて、ゆっくりしている時間もなくなっちゃったし、急いで向かうとしよう。それじゃ、ひと狩り行くとしようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現在、私が装備しているのはジンオウガ防具に、エイムofトリック2とどちらも下位の装備。今まで装備していたのはG級の装備だったからそれと比べると、やっぱり心もとない。まぁ、ギルドが違うのだし、それも仕方無いのかな。

 

 龍歴院を出発して、目的地である古代林には直ぐに到着。緊急事態でもあるから、かなり急いでくれたみたい。ネコちゃんが無事でいてくれれば良いけど。

 支給品ボックスから地図を取り出して、エリアを確認。あの金色髪の女性曰く、ネコちゃんはエリア9、10、11にいるんだっけかな。むぅ、ベースキャンプから結構遠い。古代林に来るのはこれが初めてだし、大変そうだ。

 

 とりあえず、ネコちゃんと合流しよう。それで、ネコちゃんを安全なベースキャンプまで送って、ディノバルドはその後かな。はぁ……クエストの終了時間までに倒せるかなぁ。

 

 そんな文句を言っている時間も惜しいから直ぐに出発。奥のエリアを目指す途中で、ディノバルドを見つけたらペイントをしておこう。初めてのマップで初めて戦う相手。できることは全部やっておきたい。

 

「よしっ! 行きます!」

 

 いつも通り、大きな声を出して気合を入れる。それはあの彼がいつもやっていた行動。そのはずなのに、今では私にすっかりと染み付いてしまった。

 

 ……またいつか、会える日が来るといいんだけどなぁ。

 

 

 ベースキャンプを抜けた先のエリア1には、確かリモセトスとか言う名前の大きな草食竜の姿があったり、今までのマップとは雰囲気が全然違うこともあって、少しばかりテンションが上がった。本当ならもっとゆっくりしていたいけれど、今ばかりは急ぐ必要がある。

 

 そして、エリア2へ到着。そのエリア2で直ぐにディノバルドだと思われるモンスターを見つけた。

 ただ、アレです。ちょっとディノバルドの様子がおかしいんです。

 

 普通のモンスターは、ハンターに気づかない限り暴れたりすることがほとんどない。たまに小型種を襲っていたりすることもあるけれど、それでもそれほど暴れ回らない。

 そうだと言うのに、ディノバルドはすごかった。口から炎を出すわ、長い尻尾を振り回すわと大暴れ。なるほど、確かにこれは凶悪なモンスターだ。

 

 なんて、随分と的外れなことを考えていたけれど、そのディノバルドが暴れている原因は直ぐにわかった。

 

 ――多分、ディノバルドのことが怖くて震えていると思うの。

 

 あの女性はそう言っていた。そう言っていたはず。

 そうだと言うのに、その小さな身体を使ってネコちゃんが全力でディノバルドと戦っていた。

 

 ……いや、なんかもう、すごい光景です。

 

 私はオトモを連れて行かないからよくわからないけど、ネコちゃんってあんなに戦えたんだね。ネコちゃんって直ぐにやられちゃうイメージだったんです。私もオトモをつけようかなぁ。

 

 これなら助ける必要はないのかな。なんて思ったけれど、それでも此処まで来たのだし私も手伝うことに。とりあえず虫を飛ばしてエキスを取ろう。

 そう思ったとき、ディノバルドはエリア6の方へ移動していった。

 

「むぅ、流石に脚は引きずらないか。体力はあとどれくらいなのやら……」

 

 そして、そんなネコちゃんの声。その声は思っていた以上に余裕を感じられた。

 なんだこれは。聞いていたのと違うぞ。

 

「え、えと。ネコちゃん? ちょっといいかな?」

 

 とりあえず、ネコちゃんに挨拶。う~ん、最初はベースキャンプへ送ろうと思っていたけど、この様子なら一緒に戦った方がいいかも。

 

「うわぁっ!? あ……あれ? なんで他のハンターが……って、は? えっ?」

 

 急に私が声をかけたせいか、ネコちゃんは酷く驚き固まってしまった。

 ごめんね。そりゃあ、いるはずのないハンターがいて、声をかけられたら驚いちゃうよね。

 

「えと、私はディノバルドが現れたってことで派遣されたハンターで、君を助けに来たわけなんだけど……どうしよっか? 多分、ベースキャンプにいてくれてもいいと思うけど、一緒に戦う?」

「あっ……え、えと、そうだな……ニャ。うん、俺……じゃなくて、ボ、ボクも一緒に戦うニャ」

 

 未だ混乱状態のネコちゃん。見ていてなんだか微笑ましい。

 ただ、ひとりで戦わないといけないと思っていたのに、これは嬉しい誤算。バルバレのギルドマスターにも言われたけれど、私にはソロよりもパーティーの方が合っている。

 

「よしっ、それじゃ、サクッと倒そう!」

「う、うニャ!」

 

 う~ん、どうにもネコちゃんの調子が悪そうだ。もしかして、私のことを知っていたりするのかな? そうだとしても気にするようなことじゃないんだけどなぁ……

 ただ、何と言うかこのネコちゃんなら大丈夫なのかなって思う。それがどうしてなのかはわからないけど、きっと間違いではない。

 

 短い間だけどよろしくね。

 

 

 






相棒さんとご主人さんを書き分けられない気がしてきました

と、言うことで第7話でした
久しぶりの相棒さん登場
色々と勘違いしていてなんだか面白いです

次話は久しぶりの共闘となりそうです
では、次話でお会いしましょう

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