魔理沙とパチュリーの話を聞きながら図書館を出た凛達はやっとレミリアの部屋に着いた。
「それにしても相変わらずこの館は広いよな…」
羨ましいぜ……と少しため息混じりに呟きながら凛は扉の前まで行き、レミリアに声をかける。
「おーい、レミリア〜入るぞー?」
そう言うと凛はレミリアの返事を待たずに扉を開けた。
「中からの返事を待たずに開けるなんてマナーが悪いわね?」
「どうせ俺がここに来るのわかってたんだろ?ならいいじゃねぇか」
「まぁ、一理あるわね。特別に今回は不問にしといてあげるわ」
「話についていけないわね…」
「それには同意なんだぜ」
どうやらこの場で凛とレミリアの会話を理解できるのは本人達だけだったようだ。もちろんルーミアとフランも分からず、頭に?を浮かべている。
「なら、俺がここに来て言いたいこともわかってるってことだよな?」
「えぇ。それがあなたの運命だったのだからね」
やっぱりか……と凛は内心思いながらも平然を装い問い続ける。
「それで?レミリアの見解としてはどうなんだ?」
「……、いいわよ。ただし、条件を付けさせてもらうわ」
「条件?まぁいいけど」
「フランを悲しませたりさせないで、絶対に」
レミリアの突きつけた条件を聞いた凛達は一瞬目を丸くした、がその後に凛はクスクスと笑い始める。
「…ははっ、あははっ!なんだ、そんなことか、最初からそのつもりだから安心してもいいぜ!」
「それはよかったわ。もし悲しませたりしたら私はあなたを許さないわよ?」
そう念押しするレミリアの瞳がレミリアの意思の強さを物語っていた。その意思はもちろん凛にも届いた。凛はレミリアの瞳をじっと見つめると、
「よかったな。フラン。こんないい姉そうそういないぜ?」
そう言った凛はどこか嬉しそうだとルーミア達は思った。
「それで、条件ってのはそれだけか?」
凛は更に聞くと、レミリアは少し躊躇う素振りを見せたが、
「……そ、その、何かあったら私達を頼りなさい!命令よ!」
クスッと凛は笑いながら、
「あぁ、遠慮なく頼らせてもらうことにする」
それからしばらくして凛達は紅魔館を出る事になる。
紅魔館を出る際に、
「今回は借りれなかったから次こそ借りるんだぜ」
「お断りよ。というか今まで盗った本返しなさいよ」
と、騒いでる2人を見て
「なんだかんだ言ってあの2人も仲いいんだなぁ」
倫理がぼそっと呟くとそれを聞いたルーミアが、嬉しそうに話す。
「そーだね。でも私達も仲良くなったんだよー!ね!フランちゃん!」
「うん!仲良くなったんだよ!」
どうやら凛の知らない間に2人の距離は縮まっていたようである。魔理沙とパチュリー、ルーミアとフラン、なんだかんだで仲いいなぁと改めて認識させられる凛であった。
「あ、パチュリー!!…行ってきます!!他のみんなにも伝えてね!」
「えぇ、わかったわ。凛との旅楽しんできなさい!」
◎◎◎◎◎◎◎
「なぁフラン」
「なにー?お兄ちゃん?」
「さっきからずっと気になってたんだけど、その“お兄ちゃん”ってなに…?」
紅魔館を出る時からずっとフランは凛のことを『お兄ちゃん』と呼んでいた。凛はフランにそのように呼ばせたわけではなかったのですごく考えていた。
「あ、呼び方?フランにとってお兄ちゃんはお兄ちゃんだから!」
うん、まったくもって理由になってないね。これ、どうしようか…
と自分自身に問うけれどもお兄ちゃんと呼ばれる理由が見当たらなかった。凛が必死に頭を回転させていると、隣で魔理沙が
「凛の趣味はこの際置いておいて、凛、お前って博麗神社には行ったのか?」
「なに魔理沙は勝手に思い込んでいらっしゃるのかな?俺にそんな趣味はないんだけど!?あー、あとその博麗神社?には行ってない…と思う」
「なら人里に行く前に寄っていかないか?一応霊夢と関わりは持った方いいぞ?」
「そうなのか、てか誰?その霊夢って人は」
「霊夢は巫女なのだー!」
「ついでに言うととっても強いのだー!」
ルーミアとフランが同じ口調で教えてくれる。
「巫女さん…か、あんまりいい予感はしないけどまぁいくか」
凛はあまり乗り気ではなかったが博麗神社に行くことにした。
一応凛も光焔の翼を出して飛ぶことができるので4人で博麗神社まで飛行することにした。その際魔理沙が
「そういえばフランって吸血鬼なんだろ?日光って大丈夫なのか?」
もっともな質問である。吸血鬼と言えば陽の光が弱点であるメジャーな妖怪の1種である。もちろん、吸血鬼の弱点を凛が知らない訳もなく
「あぁ、そのことなら大丈夫だぞ」
「??どうしてなんだぜ?」
「俺の能力で“フランは吸血鬼の弱点である陽の光を克服した”ことにあわせたからな」
「なんだよそれ、チートじゃないか?」
魔理沙は凛のやったことの大きさに対して驚いた。
種としての弱点を克服したことにするなんてこの世の摂理そのものを上書きしているようなものだ…そう魔理沙は感じ取った。
「チート能力だったらこっちだって便利なんだけどなぁ…っと、博麗神社ってここか?」
神社を見つけとりあえずそこに降りた凛は魔理沙に聞いた。
魔理沙は元気よく、そうだぜ!ここが博麗神社なんだぜ!と言うと先に行ってしまった。
「ほんと、魔理沙って活発だなぁ…よし、ルーミア、フラン、俺達も行くぞ」
「「はーい!!」」
◎◎◎◎◎◎◎
「おーい、霊夢ー!」
「あら、魔理沙そんなに急いでどうしたの?…ってあぁ、なるほどね」
霊夢は魔理沙の後を追いかけてきた凛たちを見て納得したようだった。
「あなたが紫の言っていた外来人ね?」
「紫…あぁ、あの神出鬼没そうなやつか」
凛は紫の名前を聞くと少し表情を曇らせる。もちろん、その様子を霊夢が見逃すはずもなく、
「紫になにかされたのかしら?」
「いや、なんでもない。気にしないでくれ」
「ならいいのだけれど…」
「なんだか辛気臭苦なっちゃってるけど、話戻すんだぜ!」
魔理沙は微妙な空気に耐えきれずに元に戻そうとしていた。
それを見ていた凛が、不意に口を開いた。
「あぁ、そうだな。このままだと魔理沙が可哀想だしな」
「えぇ、それもそうね」
と霊夢も賛同し、フランとルーミアも楽しげに「うんうん!」と頷く。
少し経ってから霊夢が、あ、そういえば…と話を切り出す。
「なんでフランが外に出てるのかしら?」
「あぁ、そのことか、ま、向こうでもいろいろあったんだよ」
「凛ってば説明放棄したね…」
霊夢は凛の雑すぎる説明に頭を抱え、ルーミアはやや呆れ気味になっていた。魔理沙はこの一連の流れを見てにやにやしているし、フランは相変わらずどこか嬉しげである。
「はぁ、それで?魔理沙は博麗神社に残るのか?俺そろそろ人里に行きたいんだけど」
「んー、私は後から霊夢と行くんだぜ!」
「え!ちょっと!魔理沙、あんた何言って…まぁ、いいか。どうせ、ここにいても参拝客なんて来ないし」
それは巫女としてどうなのだろう…と凛、ルーミア、フランは思ったが誰も口に出さなかったのはまた別の話…
つ、次こそは人里に!!