忍になりしイッセー   作:汰灘 勇一

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第九話「悲しい過去」

一閃SIDE

 

『聞いてよ一閃! 春花様のせいで大変な目にあったんだよ! 私の名前で変なこと掲示板にを書き込んだんだよ!』

 

「それは大変だったね」

 

 春花さんならやりかねないな。

 

 俺は任務を終えて、今、浅草にいる。……そういえば、斑鳩さん、顔を真っ赤にしてたけど、何で?

 

「じゃあ、お土産を買って帰るよ」

 

 携帯電話を切った。さてと、土産を買いに行くか……。

 

「何がいいかな……がふっ!」

 

 突っ立ていると、何かが俺にぶつかって吹っ飛んだ。な、何が起きたんだ?

 

「いてて……すまない……って。お前はイッセー?」

 

「あれ、君は……柳生ちゃん?」

 

 俺とぶつかったのは飛鳥と同じ学校に通っている柳生ちゃんだった。

 

 

柳生SIDE

 

 時間は少し前にさかのぼる……。

 

「本当に申し訳ありませんでした。私と義兄のせいでみなさんにご迷惑をかけて」

 

 どうやら、昨日の騒ぎは斑鳩とその兄のせいだったらしい。

 

「いいって、斑鳩。そんなこと気にするな」

 

「そうだよ~」

 

 兄妹か私にも……っ!

 

 私は数ヶ月前の記憶が蘇った。あの日、オレは……。

 

「そういえば、斑鳩さん、あのとき顔が真っ赤でしたけど、どうしたんですか?」

 

「え、ええと、その時とてもすてきな方にあったんです」

 

 斑鳩は顔を真っ赤にしていたが、そんなことはどうでもいい。

 

「へえ~、斑鳩さんも好きな人がいるんですね」

 

「……どういう意味ですか、飛鳥さん」

 

 オレは妹を……失ったんだ。

 

 気がついたら私は部屋を飛び出していた。

 

「あっ! 柳生ちゃん!」

 

「おい、どうしたんだよ!」

 

「と、とにかく追いかけましょう!」

 

 

 半蔵学院を飛び出した私はどこだか分らない道を走っていた。そして……誰かとぶつかった。

 

 

イッセー(一閃)SIDE

 

「どうしたんだそんなに慌てて」

 

「ちょっとな……」

 

 柳生ちゃんは気まずそうに顔をそらした。……何かあったのか?

 

「……ええと、話を聞くけど」

 

「…………」

 

 とりあえず、身近にあったフェンスに座って、自販機でジュースを買って渡した。

 

 話を聞いてみると、斑鳩さんから兄の話を聞いて、自分の妹が事故で亡くなったことを思い出してしまったそうだ。

 

「……オレは何も出来なかった。い、妹が車にひかれて大けがを負ったのに、オレは泣き叫ぶことしかできなかったんだ!」

 

 柳生ちゃんは泣いていた。……似ているな俺と、俺も母さんが死んだとき、泣くことしかできなかった。

 

「オレは、オレは一人でいた方がいいんだ! オレがいたらみんなも……っ!」

 

 気づいたら、俺は柳生ちゃんのことを抱きしめていた。

 

「な、何をするんだ貴様!」

 

「……君は一人では耐えられないだろ。それに君は一人ではない」

 

 ……この子も斑鳩さんのように寂しがり屋なところがあるんだろうな。

 

「き、貴様に何が分かる! 貴様にオレの気持ちが……」

 

「確かに分からないな。俺は妹はいない。だけど、君みたいに俺は大切な人を失ったんだよ」

 

「えっ!?」

 

 柳生ちゃんは驚いていた。そうだよな。

 

「俺もその人が殺されたとき、俺は泣き叫ぶことしかできなかったんだ」

 

「そうだったのか……すまない」

 

「いや、気にするな。それに俺には大切な仲間がいるからな」

 

「そうか……」

 

 すると、柳生ちゃんは少し微笑んだように思えた。

 

「まあ、俺には妹はいないけど妹みたいなやつがいる。柳生ちゃんだっているだろ?」

 

「オレにも?」

 

「ああ、雲雀ちゃんは同い年の妹みたいだし、それに飛鳥達みたいな頼れるお姉ちゃんがいるじゃん」

 

「あっ……」

 

 そう考えなかったのか、柳生ちゃんは驚いていた。

 

「……まあ、飛鳥は頼りないがな」

 

「ははっ、ちがいない」

 

 俺は笑ってしまった。確かに飛鳥より柳生ちゃんの方がしっかりしてるな。

 

 

柳生SIDE

 

 ……本当にすごいな。イッセーは。あいつと話していたらオレの悩みが消えていった。……飛鳥はイッセーのそんなところが好きなのか?

 

「さてと、そろそろ帰らないと行けないんじゃないのか? 暗くなってきたし、飛鳥達が心配してるぞ」

 

 そう言って、イッセーはオレの頭を撫でてきた。顔が少しだけ赤くなってしまった。

 

「こ、子供扱いするな! それにみんなこれくらいじゃ心配しないだろ」

 

「そんなことないぜ。ほら」

 

 イッセーが指を指すとそこには飛鳥達がいた。

 

「ふう、やっと見つけたぜ柳生」

 

「心配したんだよ、柳生ちゃん」

 

「って、何でイッセー君がいるの!?」

 

 ……本当にあいつの言ったとおりだな。

 

「よう、飛鳥。また会ったな」

 

 その後、オレは飛鳥達にもみくちゃにされた。イッセーはそんなオレ達をみて微笑んでいた。

 

 うっ……イッセーを見ていると胸が痛い……。お、オレはイッセーのことが好きなのか? 

 

 ……なら、飛鳥が一番のライバルだな。

 

「柳生ちゃん、どうしたの? 顔が赤いよ」

 

「な、何でもない!」

 

 雲雀に指摘されて私は慌ててごまかした。危ない危ない。

 

「ね、ねえ、イッセー君」

 

「何だ飛鳥」

 

 すると、飛鳥がイッセーに顔を赤くして話しかけていた。

 

「え、ええと、電話で話そうと思っていたんだけど……今週の日曜、暇?」

 

「ああ、暇だけど」

 

「そ、そう……なら一緒に買い物に行かない?」

 

 デートに誘っていた。

 

 

飛鳥SIDE

 

「いや~まさかあんなところでデートに誘うとはな」

 

「か、かつ姉、恥ずかしいから言わないで……」

 

 あれから私たちはみんなで半蔵学院に戻った。イッセー君は『いいよ』と言って帰って行った。うう、まだ顔が赤い。

 

「……よかったな飛鳥。イッセーとデートできて」

 

 ……何故か、柳生ちゃんが不機嫌だ。ま、まさか柳生ちゃんもイッセー君のことが?

 

「それで、どうするんだ飛鳥。その時、告白するのか?」

 

「告白って……まだそんなことはできないよ」

 

「甘いぞ飛鳥!」

 

 なぜかかつ姉に一括された。

 

「さっさと手を付けておかないと、誰かに取られちまうぞ。何かしら印象に残ることをしないとだめだろ」

 

「印象に残ること?」

 

「ああ、ちょっと耳を貸せ」

 

 すると、かつ姉がささやいてきた。なっ!

 

「む、無理だよそんなこと!」

 

「だめだ! これくらいやんないと、いつか忘れられてしまうぞ!」

 

「わ、分かったよ。あ、飛鳥、愛のために舞い忍びます!」

 

 あと、数日で日曜日。大丈夫かな?

 




はい、今回は柳生ちゃんのフラグを立てました。あと残りは葛城に雲雀。イッセー(一閃)はどうするんでしょうか。

次回は蛇女子メンバーの反応とデート回です!
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