忍になりしイッセー   作:汰灘 勇一

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第十三話「恋するセクハラ女子」

一閃SIDE

 

「はあ……俺はどうしたらいいんだ」

 

 

 俺は浅草の川を眺めていた。そして、考え事をしていた。

 

 話は昨日にさかのぼる。

 

「君に、半蔵学院を強襲して欲しい」

 

 俺はまさかの提案に驚いた。俺に飛鳥達と戦えっていうのか!

 

「……すいません。俺、出来ません」

 

 ……俺は飛鳥と戦いたくない。飛鳥を傷つけたくない。殺したくないんだ!

 

「……そうか、なら仕方ない。お前が行かないなら焔達だけで行くことになるな」

 

「えっ?」

 

「君には選抜メンバーの見張りと何かあったときの殿を頼もうと思っていたのだが……」

 

 ……何が言いたいんだ。

 

「もしかしたら焔達が何かの拍子で飛鳥という子を殺してしまうかもしれんがな」

 

「なっ!?」

 

 道元様の言葉に俺は動きが止まってしまった。

 

「……俺を脅す気ですか?」

 

「脅すとは物騒だね。私はただお願いしただけだよ」

 

「……分かりました。やります」

 

 

 

 俺は受けるしかなかった。だけど、俺は飛鳥を……半蔵学院のみんなと戦いたくないだけど……。

 

「よう、イッセー。お前、こんなところで何してるんだ?」

 

「うん? かつ姉?」

 

 すると、かつ姉……葛城さんに声をかけられた。

 

 

葛城SIDE

 

 ……あたいは浅草の町を散歩していた。あたいたちは昨日まで忍島で修行をしていた。その時、あたいは蛇女子学園の日影って言う悪忍と戦って負けた……。完敗だった。あたいは……誰よりも強くならないといけないのに……あたいって無力だよな。

 

 すると、あたいは川を眺めているイッセーを発見した。何やっているんだあいつ……。

 

「よう、イッセー。お前、こんなところで何してるんだ?」

 

「うん? かつ姉?」

 

 とりあえず、声をかけるとイッセーが振り返った。イッセーは少し疲れているような顔をしていた。

 

「何やってたんだよこんな所で」

 

「ええと……ちょっとした気分転換です」

 

「そうか……なあ、そのジュース、もらっていいか?」

 

 あたいはイッセーの手にあった二つのジュースに目を付けた。

 

「ええ、どうぞ」

 

 あたいは一本もらってふたを開けて飲み始めた。そこで、あることを思い出した。

 

「そういえばイッセー」

 

「何ですか、かつ姉」

 

「お前、飛鳥と結婚するんだろ?」

 

「ぶふうっ!」

 

 あたいの一言にイッセーはジュースを吹き出していた。どうしたんだ。

 

「な、何を言ってるんですか!」

 

「え、だってキスしただろ、この前のデートの時」

 

「見てたんですか……」

 

 あれ? 気づかなかったのか。まあ、イッセーは一般人だから仕方ないか。

 

「まあな、それでどうなんだ?」

 

「……俺はまだ中学生ですよ。結婚なんて早いですよ」

 

「そっか」

 

 まあ、それはそうだよな。あたいも気が早かったかな。

 

「それに……俺じゃあ飛鳥と釣り合いませんよ。飛鳥には俺なんかよりふさわしい相手がいますよ」

 

「お前……」

 

 イッセーは悲しそうな顔をしている何でだ?

 

「そういえば、イッセーお前、家族は?」

 

 あたいは少し、暗くなった空気を変えようと話題を変えた。イッセーの家族の話を聞いたことが無かったから気になった。

 

「あれ? 知らないんですか?」

 

「うん? 何がだ?」

 

 イッセーは意外そうな顔をしていた。

 

「俺が転校した理由、飛鳥から聞かなかったんですか?」

 

「ああ、そう言えば話さなかったなあいつ……何でだ?」

 

「……母親が死んだからです」

 

「なっ……」

 

 あたいはその真実に驚いた。な、何で……。

 

「父親は俺が小さい頃に死んで、母親と二人暮らしで母親も五年前、俺が家に帰ってきたときに誰かに殺されていました」

 

「そ、そうなのか……悪いな。知らなかったとはいえ、そんなことを聞いて」

 

「いえ、気にしないでください。それより、かつ姉はご家族は?」

 

「っ……」

 

 あたいの家族は……。

 

「あたいはいるんだけど……行方不明なんだ」

 

「行方不明? どういうことですか?」

 

「……イッセーは抜け忍って知ってるか?」

 

「ええ、半蔵様に昔聞きました」

 

 そうか。なら話が早い。

 

「あたいの両親は善忍だったんだだけど、仕事で失敗して抜け忍になったんだ。そして、あたいをおいてどこかに行っちまったんだ……」

 

「そうなんですか……」

 

「だから、あたいは強くならないといけないんだ。強くなって有名な忍になったら、お母さんやお父さんが目の前に現れるんじゃないかなって……」

 

 そう、それがあたいの目標だった。だけど……。

 

「どうしたんですか、かつ姉」

 

「いや……この前、すっごい強いやつと戦ったんだ。だけど、手も足も出ないで負けたんだ……。誰よりも強くないといけないのに……」

 

 本当にだめだよな。情けないよな……悔しいよ。

 

 悔しくて俯いていると、イッセーに抱きしめられた。

 

「っ! イッセー!?」

 

「……それなら、強くなればいいじゃないですか」

 

「えっ?」

 

 あたいはイッセーの言葉に驚いた。何でそんなことを?

 

「負けて悔しいなら強くなればいいんですよ。死なない限り、戦えますから」

 

 ……確かにそうだな。

 

「それに、別に有名にならなくても、あきらめなければお父さんやお母さんに会えますよ。俺みたいに死に別れたわけじゃないんですから」

 

「……そう、そうだよな!」

 

「あと、かつ姉にはそんな暗い表情は似合いませんよ。かつ姉みたいな可愛い人には笑顔が似合いますよ」

 

「なっ!? 可愛い!?」

 

 あ、あたいが可愛い? 喧嘩早いあたいが可愛いだって? 男に今までそんなこと言われたことなかったぜ。

 

「か、可愛い? あたいがか?」

 

「ええ、もちろんです。それが?」

 

「……初めてだったんだよ。異性に可愛いって言われたのが……」

 

「そうなんですか。でも、かつ姉は可愛いですよ」

 

「そうか……」

 

 ……こいつは本当に恥ずかしいことを堂々と言うよな。みんな、こいつのそんなところが好きになったのか?

 

「……ありがとうな。お前のおかげで元気が出たよ」

 

「どういたしまして。それでは俺は失礼します」

 

 そういってイッセーは帰って行った。あたいはしばらくの間、イッセーがいたほうを見ていた……。

 

 胸が痛くなり、自分の胸を押さえて自分の気持ちに気がついた。

 

「アタイ……、あいつに恋しちまったんだな」

 

 アタイは自分の頬を叩いて気合いを入れなおして、半蔵学院に戻った。

 

斑鳩SIDE

 

「……それで、相談とは何ですか?」

 

 学院の一室でお茶を飲んでいると、葛城さんがきて相談したいことがあると言ってきました。葛城さんが私に相談とは……明日は雨ですね。

 

「実はよ……アタイ、好きなやつができたんだ」

 

「そうなんですか……その殿方は誰なんですか?」

 

 葛城さんが好きになった人……興味がありますね。

 

「それが……イッセーなんだ」

 

「はい?」

 

 今、葛城さんはイッセーと言いましたか?

 

「アタイ、イッセーのことが好きになっちまったんだ。だけど、飛鳥や柳生だって好きだろうし……アタイ、どうしたらいいんだ? あきらめたらいいのか?」

 

 ……そうだったんですか。それにしても、イッセーさんは罪な人ですね。こんなにも愛されるなんて……。

 

「別に、好きでもいいんじゃないんですか?」

 

「えっ?」

 

「人を好きになるという気持ちは人それぞれ平等です。何人もライバルがいるからと言ってあきらめることはありません。私にライバルが現れたら絶対にあきらめません」

 

「……そうだよな。よしっ! アタイもがんばるか!」

 

 葛城さんは気の迷いが晴れたそうです。……これでよかったのでしょうか?

 

 ……一閃さん、あなたは今、どこにいるのですか? 会いたいです……。

 

 私は葛城さんの話を聞いて、彼を、一閃のことを思い出して彼に会いたくなった。

 

「ありがとうな斑鳩! お礼におっぱいを揉んでやるよ」

 

「か、葛城さん! やめてください!!」

 

 油断していると葛城さんに胸を揉まれそうになった。……誰か、早く葛城さんと恋人になってあげてください……。

 

 

 

 

 




今回は葛城さんのフラグを立てました。カサブタさんの案を使わせていただきました。

次回は半蔵学院VS蛇女子学園!を予定していましたが、感想で蛇女子学園の詠と日影、春花はどうやってフラグがたったのかという意見があったので、次回は詠さんのフラグがどうやって立ったのか書きます。

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