紫SIDE
……今日、私は一閃君をデートに誘った。
あの事故から私はずっと引き籠っていた。姉さんは引き籠っている私を無理やり外に連れ出そうとした。私は外に出たくなかった。姉さんのことは好きだけど、そういうところは嫌いだった。でも、一閃君は違った。一閃君は『無理に出てこなくていいよ。紫が出たいと思ったときに出てくればいいよ』と言ってくれた。一閃君は仕事に行った時のお土産や差し入れを部屋のドアの前に置いておいてくれる。
面白い話や蛇女で何があったとか電話で話してくれる。
「紫!」
待ち合わせの場所で待つこと数分。一閃君がやってきた。
「悪い、待ったか?」
「う、ううん……私も今来たところだから……それに、時間も遅いし……」
そう、今は夕方の五時。私は引きこもってから生活のリズムが昼と夜、逆になった。そのせいで今日のデートもこんな時間に……。
「ごめんね……仕事で疲れてるのに誘って……」
「気にすんなよ。俺は紫が外に出てきてくれたことがうれしいし、紫の顔が見れたんだから俺はそれだけで十分だ」
「一閃君……」
「ええと、紫は映画を見たいんだよな?」
「うん……」
私はある恋愛映画を見たかった。これを一閃君と見れたら楽しそうだなと思ったから……だけど、まだ時間がある。
「紫、まだ時間があるからゲームセンターにでもいくか?」
「うん……」
私は一閃君とゲームセンターに行くことにした。……こっそり、一閃君と手をつないだ。一閃君は少し、驚いていたけど、気にせずそのまま歩いた。
一閃SIDE
俺は今、ゲームセンターにいる。来る途中、紫が手を握ってきた。驚いたけど、俺はされるがままに手をつないだ。それでゲームセンターにつき、二人でゲームをやったり、プリクラを取ったりして時間はあっという間に過ぎた。……そろそろ映画館に行くか。
「紫そろそろ行こうぜ……ってあれ?」
紫に移動することを伝えようとしたら、紫の姿が見えない。探してみると、あるクレーンゲームに張り付いていた。
「紫?」
クレーンゲームを見てみる。そこには猫のぬいぐるみがあった。……あれが欲しいのか?
「紫、あれが欲しいのか?」
「うん……」
「なら、俺がとってやるよ」
「えっ?」
そういって、俺はお金を入れてクレーンを動かす。クレーンは猫をつかんだが、クレーンから落ちてしまった。まあ、いい位置に落ちたからいいか。二回目、お金を入れて今度はぬいぐるみを落とさず取ることができた。
「ほら、紫」
「あ、ありがとう……」
「どういたしまして」
これ、大切にするね……」
そう言って猫のぬいぐるみをなでる紫……和むな。
「これから、よろしくね、ねねたん」
……ねねたん? 猫の名前か?
「紫、そろそろ映画館に行こうぜ」
「う、うん……」
紫は忍法でねねたんを小さくしてしまって、俺たちはゲームセンターを後にした。……映画館で寝ないといいな。
紫SIDE
「…………」
映画館に入って早々、困ったことが起きた。一閃君が寝てしまい、私に寄りかかってきた。
……この状態はうれしいけど、少し困る……。だけど、仕方ないんだよね。一閃君は仕事で疲れてるんだし……。
結局、一閃君は映画が終わるまで起きなかった。……全然映画の内容は頭に入らなかった。
一閃SIDE
「悪い、紫、寝ちまって……」
「う、ううん! 気にしてないから」
結局、俺はすぐに寝てしまい目を覚ますと映画は終わっていた。……なぜか紫の顔が赤くなっていた。
「紫、もう遅いからどこかよって何か食べていくか?」
「う、ううん……私は一閃君の手料理が食べたい」
「そうか……じゃあ、蛇女に帰って何か作るか」
う~ん、何を作ろうかな。そう考えながら蛇女に帰ろうとしたところ、紫に服の裾をつかまれた。
「紫? どうしたんだ?」
「一閃君、何か悩んでいない?」
「いや、別に……」
「ダウト……会ったときからつらそうな顔をしてた。何かあったんでしょ?」
……相変わらず紫は鋭いな。
俺は簡単に半蔵学院との戦いのことを話した。そこで俺は飛鳥達を……仲間を傷つけてしまったことを話した。
「……最低だよな俺は。友達を傷つけちまったんだから……」
「一閃君」
「うん?」
すると、紫は俺のことを抱きしめてきた。
「紫?」
「一閃君は理由なく友達とは戦わないでしょ? 何か理由があったんでしょ? 私は一閃君のことを信じてるから」
「紫……ありがとうな」
俺は紫の一言で救われた。そう思った。
それからしばらくして俺たちは離れて、蛇女に帰って行った。帰り道はあんなことがあったせいか、会話がなかった。蛇女の校門あたりにつくと……。
「紫! こんな時間にどこにいってたんだ!」
鬼のような表情の紫の姉さんの忌夢さんが突っ立っていた。
「……別にお姉ちゃんには関係ない」
「関係ないとはなんだ。部屋に行ってみたらいなくて驚いたんだぞ」
「……勝手に部屋に入るなんて最低」
そういうと、紫は一人すたすたと寮に帰って行った。
「……すまない一閃。妹のわがままに付き合ってもらって」
「いえ俺も紫に助けられたんで……それより、怪我の具合はどうですか?」
忌夢さんと雅緋さんはこの前の仕事で大けがを負って入院していた。忌夢さんは今は歩けるようになってる。だけど、雅緋さんはまだ入院してる。しかも、意識はあるが、記憶を失っている。そんな雅緋さんを忌夢さんが蛇女を休学して面倒を見ている。
「ああ、もうボクは大丈夫だよ。ボクより雅緋のほうが心配だよ……」
「そうですか……」
「っとこれがだめなのかな」
忌夢さんは少しつらそうだった。どうしたんだ?
「いっつも雅緋のことばかり、あいつのことをかまってやれなかった。だから嫌われたのかな……」
……確かにそれもあるかもな。紫は雅緋さんに嫉妬していた。もっとお姉さん構ってほしい。そう思ってる。だけど、肝心な時に素直になれない。そういう子だ。
「大丈夫ですよ。紫は忌夢さんの気持ちをちゃんと理解してますよ。ただ、素直になれないだけだと思います。だから、そんなに暗くならないでください。紫も、俺も忌夢さんの笑顔が見たいですから」
「っ!」
すると、忌夢さんは顔を真っ赤にした。ん? どうしたんだ?
「お、お前はそうやって紫や雅緋を落したんだろ? だけど、ボクはそんなんじゃ落ちないよ! ぼ、ボクは雅緋のだから!」
「は、はあ……」
……落したってどういう意味だ?
「まあ、いい。ボクはそろそろ帰るよ」
「あ、はい」
そう言って、俺に背を向ける忌夢さん。だけど、何か思い出したのか、振り返った。どうしたんだ?
「その……たまには雅緋の見舞いに行ってやってくれ。お前が見舞いに来ると、あいつも喜ぶ」
「はい、今度行きます」
「そうか……」
また、忌夢さんは俺に背を向けた。今度は振り返らず、寮に帰って行った。……さて、夕飯でも作って紫の部屋に届けるか。
後日、紫と出かけたことがばれ、焔たちに殺されかけた。
今回は紫とのデートでした。紫に救われた一閃。彼はこれからどうするのでしょうか。
次回はついに一閃があのキャラのフラグを立てます!
ちょっとしたアンケート。みなさんは月閃と新蛇女の戦いはD×Dの内容に入る前と入った後、どちらのときにみたいですか?