忍になりしイッセー   作:汰灘 勇一

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第二五話「一年生の恋バナ」

「わ、私は師匠が強くて何回か闘ってるうちになぜか……」

 

「なるほど、総司は強かったからか……千歳はどうだ?」

 

「私ですか? 私はですね……」

 

千歳SIDE

 

「では、一閃教官、指導のほうをお願いします」

 

「おう! どこからでもかかってこい!」

 

 今日、私は一閃教官に相手をしてもらう。……普通の方法では勝てそうにない。なら!

 

「はああっ!」

 

 私は邪弾を一閃教官に向けて放つが、すべて切り落とされる。

 

 私は近くの岩山に向けて邪弾を放ち、岩なだれを起こさせる。

 

「ふっ、こんなんじゃ俺に勝てねえぜ」

 

 そう、一閃教官なら避けられる。だけど、身動きが取れなかったら?

 

 私は素早く背後に回り、教官の動きを封じた。

 

「なっ!」

 

 これは私のみを犠牲にした捨て身の作戦だ。

 

「くっ! 秘伝忍法、青龍一閃!」

 

 すると、教官は秘伝忍法を発動させ、岩を砕いた。……残念ですね。

 

「おい、千歳、何であんな戦い方をした?」

 

「? あれが有効かなと思いまして……」

 

「有効かなじゃねえよ! 下手したらお前も死んでたんだぞ!」

 

 何故だか知らないけど一閃教官が怒っている。

 

「? 私が別に死んでも誰も悲しみませんよ」

 

「んなことねえよ!」

 

「っ!」

 

 すると一閃教官が叫んだ。

 

「お前が死んだら俺が悲しいんだよ。お前はおれの大事な仲間なんだ。だから、死なないでくれ……俺はお前の笑顔が見たいだ」

 

「一閃教官……」

 

 そう言って一閃教官は私を抱きしめてくれた。温かい……。

 

「わかりました。教官の仰せのままに……」

 

 私はこの日から誓った。この命、一閃教官のために使おう。そして、生きよう。教官を悲しませないために……。

 

 

 

「と、こんなことがありまして」

 

「……流石一閃だな」

 

「次は芦屋……は何となく予想できるわね」

 

「……友達になってあげるとか言われたのよね」

 

「……ほぼ、その通りじゃ」

 

 

芦屋SIDE

 

「うう、今日も友達が出来なかった……」

 

 入学してから一週間経つ。だけど、未だに友達が出来ない。

 

「どうしたらいいのじゃ……」

 

「うん? どうしたんだお前」

 

 すると、一人の男性が現れた。

 

「お主は……選抜メンバーをすべて手込めにして学園にハーレムを設立した一閃!」

 

「……何だよそれ」

 

 こいつは怪しい術で人を操ってるらしい。用心しないと……。

 

「その噂はデマだ。何か悩み事があるなら相談に乗るぜ」

 

 ……まあ、話すだけ話すか。

 

 私は友達が出来ないことを話した。一閃は何も言わずに聞いてくれた。

 

「そうか……なら、俺と友達にならないか?」

 

「な、なんじゃと?」

 

「俺はこの学園の生徒全員を大切な仲間だと思ってる。だから俺と友達にならないか?」

 

「わしでいいのか……」

 

「ああ!」

 

 一閃は笑顔で私に手を出してくる……こいつの笑顔はすごい純粋だ。

 

 私は、彼の手を握った。

 

 

 

「……ほとんど予想通りだったね」

 

「次は私ですね」

 

芭蕉SiDE

 

 ……私は悩んでいた。

 

「何のために力を付けるのでしょうか」

 

 私は毎日修行をしている。だけど、何のために力を付けているのか分からなくなった。

 

 今は心を落ち着かせるために書を描いている。

 

「よう、どうしたんだ芭蕉? 暗い顔をして」

 

「一閃教官」

 

 すると、一閃教官が部屋に入ってきた。……この人は人の悩みを解決するのが得意だ。相談してみましょう。

 

「実は……」

 

 私は悩みを話した。一閃教官は何も言わないで聞いてくれた。

 

「芭蕉、お前は守りたい大切な物ってきいて何が思いつく?」

 

「大切なものですか?」

 

 ……目を閉じて考えてみると、日影先輩、同じチームの仲間達の姿が浮かんでくる。

 

「……仲間です。私は仲間を守りたい」

 

「そうか。なら、守るために強くなれ。俺もそうだしな」

 

「ありがとうございます! ところで何か私に用があったのですか?」

 

 一閃教官が私の部屋に来るのは用事があるときだけ。何かあったのかな?

 

「ああ、これを渡したくてな」

 

 そう言って一閃教官は桜の髪飾りを渡してくれた。

 

「教官、これは?」

 

「ああ、任務中にこれを見つけてな。芭蕉に似合うと思って。ちょうど、お前も昇段試験に合格したからな。そのお祝いだ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 覚えていてくれたんだ……。

 

「どういたしまして。これからもがんばれよ。じゃあ、俺は帰るよ」

 

 そう言って私の頭を撫でて一閃教官は部屋を出て行った。

 

 

「こういうことがありました」

 

「……本当にやつは見境がないな」

 

「じゃあ、これで終わりね」

 

 

雲雀SIDE

 

 ひばりと春花さん、閃鬼隊、補欠メンバーのみんなで翌日の授業の確認のために鈴音先生の部屋に行った。そこで……。

 

『本気なのか一閃』

 

『ああ、俺は道元と戦う。みんなを救うために。この命を捨ててでも』

 

「「「「「っ!」」」」」

 

 ひばりたちは驚いた。命を捨てる?

 

『生徒の命を使いオロチを復活させる。確かに許せないことだ。だが、流石にお前だけでは無理ではないか?」

 

『無理でもやるしかない。俺のまいた種だ』

 

『死ぬぞ』

 

『俺は死んでもいい。みんなが生きていれば俺は……』

 

「「「「「一閃(さん)(教官)(様)(兄様)!」」」」

 

 雲雀たちは我慢できずに部屋に突入した。

 

「み、みんな!? いつの間に!」

 

「今の話、聞かせてもらいました!」

 

「そうか……なら、今の話は他言無用だ。俺は道元を討つ。みんなは何もするな」

 

「「「「「嫌だ!!」」」」」

 

「何?」

 

「教官、言いましたよね。命を捨てるなって」

 

「私は守りたいんです。教官を含めた仲間を」

 

「私たちも戦います!」

 

 息吹ちゃんの言葉に頷く私たち。

 

「みんな……だけど、そうしたら蛇女の裏切り者になるんだぞ?」

 

「そんなの関係ないです!」

 

「私たちは一閃様に助けられました。だから、今度は私たちが助ける番です」

 

「そうだ。師匠のいない蛇女にいる意味など無い」

 

「……みんな、ありがとう」

 

 これから、本当の戦いが始まる。

 




今回は残りの一年生の惚れ方でした。次回は一閃閃鬼隊VS半蔵学園です。

更新遅れてすいません。

動き出した一閃。これからどうなるのでしょうか? 蛇女編クライマックス間近!
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