忍になりしイッセー   作:汰灘 勇一

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第三十二話「焔とデート」

イッセーSiDE

 

「その問題はこうして……」

 

 俺は今、雲雀と風魔に勉強を教えている。この二人は勉強は苦手でいつもテストの後補習を受けているので、俺が勉強を教えることになったのだ。

 

「成る程。流石師匠! 分かりやすいです!」

 

「そうか?」

 

 俺は普通に教えてるだけなんだけどな。

 

「あのイッセーさん、今度雲雀がテストで百点とったら買い物に付き合ってくれますか?」

 

「ああ、べつに良いけど、取れたらな」

 

 買い物ぐらいなら付き合ってあげるけど、雲雀が百点を取れるとは思えないんだけどな。

 

「やったー!」

 

「雲雀ちゃんだけずるい! 師匠、私も!」

 

「風魔、お前はまず補修から脱却しろ」

 

 羨ましそうにするが、風魔より雲雀の方が成績が上だ。

 

 百点を取ることは無理な気がする。

 

「酷いです師匠!」

 

「一閃、ちょっといいか?」

 

 風魔が抗議してきたとき、焔が俺達の元にやってくる。

 

「ああ、別に良いぜ」

 

 俺は、二人を休め、焔の後を着いていく。焔は俺を人気のないところに連れて行く。もしかして、俺を殺す気か?

 

「一閃、日曜はあいてるか?」

 

「ああ、空いてるけど、どうしたんだ?」

 

「そうか……なら、一緒にその……ここに行かないか?」

 

 そう言って、焔はあるチケットを出す。これは……遊園地のチケット?

 

「遊園地か……いいな。行こうぜ」

 

「っ! そうか!」

 

 俺と焔は何時にどこで待ち合わせるか決め、今日は解散することにした。

 

 

焔SIDE

 

 日曜日。私は一閃とのデートのため服を選び、少し化粧をした。

 

「ふふふ~ん」

 

「……どうしたの焔ちゃん、そんなにご機嫌で」

 

 すると、いつの間にか飛鳥が私の側に現れる。飛鳥だけではなく、他の半蔵学院のメンバー、元蛇女子メンバーもいる。

 

「珍しいわね。焔ちゃんが化粧するなんて」

 

「そ、それは……」

 

「……兄様もいないということは」

 

「「「「「二人はデートに行くの?」」」」」

 

 バレた。

 

 私は速攻で逃げ出した。

 

「「「「「「っ! 待て~!!」」」」」

 

 私とみんなの命がけの追いかけっこが始まった。

 

イッセーSiDE

 

 俺は待ち合わせの時間より早く来たのだが、時間になっても焔はまだ来ない。どうしたんだ? あの焔が遅れることはそうそうない。何かあったのか?

 

「ま、またせたな一閃!」

 

 すると、慌てた様子の焔がやってくる。焔が着ている服は真っ白なワンピースだった。焔がこんな服着るのは珍しいな。

 

 俺はじろじろと焔を見てしまう。

 

「そ、そんなに似合わないか?」

 

「いや、すげえ、似合っていて驚いたよ。綺麗だぜ焔」

 

 俺が褒めると、焔は嬉しそうに「そうか」と言うと、恥ずかしそうに俺の腕に抱きつく。

 

 俺と焔は腕を組み合い、遊園地に行く。

 

 

「焔、まずはどれに乗る?」

 

「そうだな……あれはどうだ?」

 

 焔はコーヒーカップを指さす。まあ、無難かな?

 

 俺と焔はコーヒーカップに乗る。カップを回すのは焔にまかせた。……この時、俺は焔に何で任せたんだと思う。

 

 最初はゆっくりと回っていたんだけど、段々早くなっていく。

 

「さて、本気を出すぞ!!」

 

「ぎゃあああっ!」

 

 焔は全力全開で普通では考えられない速さでカップを回す。

 

 俺は目を回し、吐き気が……。

 

 数分後、カップが止まり、何とか俺は生還した。

 

 次に、俺と焔は次にジェットコースターに乗ったのだが、焔の顔が真っ青だ。

 

「焔、もしかして恐いのか?」

 

「ば、バカ! 最強の忍になる私が……!」

 

 そう言った瞬間、ジェットコースターが一気に降下する。

 

「いやああああああああああああっ!!?」

 

 その瞬間、焔の悲鳴が鳴り響く。

 

 

 

 そして、しばらくいろんな乗り物に乗った俺達は昼飯を取ることにした。

 

「焔、どこかで飯食べるか? 奢るぜ」

 

「……一閃、弁当を作ってきたのだが、食べてくれないか?」

 

 おずおずと弁当箱を空けて差し出す焔。弁当の中には唐揚げやエビフライなど、色々なおかずが入っている。

 

「おお、美味そうだな。いただきます」

 

(私を食べても良いんだぞ)……」

 

「うん? 何か言ったか?」

 

 焔は小声で何か言ったけど全然聞こえない。何て言ったんだ?

 

「な、何も言ってないぞ!」

 

「そうか……」

 

 俺は視線を弁当に戻し、弁当を食べ続ける。

 

「一閃」

 

「うん?」

 

「あーん」

 

 焔は唐揚げを箸で掴み、俺に食べさせようとする。俺はされるがまま、食べる。

 

「どうだ?」

 

「うん、うまい。焔は良いお嫁さんになるな」

 

「お、お嫁さん!?」

 

 焔は更に顔を真っ赤にする。どうしたんだ?

 

「「「すげえ甘い……」」」

 

 何故か、俺と焔のやり取りを見て周りの人達が砂糖を吐いてる。どうしたんだ?

 

 弁当を食べ終え、俺達は園内を歩き回っていた。

 

「そこのお嬢さんと少年、写真を一枚撮らせて貰って良いですか?」

 

 すると、どこからか俺と同い年ぐらいの少年がカメラを持って俺と焔の前に現れる。

 

 まあ、写真を撮るぐらい良いかな。

 

「ええ、どうぞ」

 

「では、はいチーズ!」

 

 少年はそう言って写真を撮る。少年のカメラはチェキカメラで、写真はすぐに出てきた。

 

「ええと、この写真はいりますか?」

 

「いえ、そちらが持っていてください」

 

 俺と焔は写真を貰うことを辞退し、先へ進む。

 

 

 

「やっぱり、だめか」

 

 少年が取った写真はピンぼけしていた。

 

「自分の世界じゃないと門矢 士のようになるな。まあ、俺は俺の世界がある分良いか。だけど、ウルスラグナの言っていた通り面白そうな世界だ」

 

 少年は楽しそうに笑っていた。彼は何者なのか。

 

 

 

「焔、あれはどうだ?」

 

 俺はそう言ってお化け屋敷を指さす。

 

「そ、それは……」

 

 焔は顔を青くする。もしかしてお化けが苦手なのか?

 

「焔、お前、お化けも苦手なのか?」

 

「そ、そんなことはない! お化けなんか恐くないぞ! 行ってやる! あっ……」

 

「決まりだな。行こうぜ」

 

 からかう俺に焔は勢いで言ってしまい、俺はにやけて焔を連れて行く。

 

 この時、何で俺は焔をお化け屋敷に連れて行ったんだろうと後々、後悔することになる。

 

「いやああああああっ!」

 

「ぎゃあああああっ!?」

 

 お化け屋敷に焔と俺の悲鳴が鳴り響く。焔の悲鳴はお化けを見た悲鳴。俺の悲鳴は焔に腕を折られた悲鳴。

 

 正直言うと、このお化け屋敷のお化けより今の焔のほうが百倍恐い! お化け役の人も恐がって近づかない。

 

「お、落ち着け! あれは作りも……」

 

 俺はそう言いかけるが、焔は俺の首に腕をかけ絞める。

 

「焔、落ち着……」

 

 俺は首を絞められて気絶した。

 

 

 

 

 気が付くと、俺は外にいた。

 

 確か、俺は焔に首を絞められて気絶して……。

 

「大丈夫か一閃?」

 

「焔……」

 

 俺のことを心配そうにのぞき込む焔。

 

「ああ、大丈夫だ。ごめん、心配かけて」

 

「そうか……」

 

 焔は安心したのか、笑顔になる。何か、頭に柔らかい感触が……。ふと、視線を下に逸らすと焔の足が見える。も、もしかして……。

 

「ど、どうだ? 私の膝枕、気持ちいいか?」

 

 膝枕、だと?

 

「そ、その気持ち良いです……」

 

「そ、そうか……」

 

 俺と焔はしばらくの間、このままの状態で過ごす。

 

 そして、辺りが暗くなってきたので、最後に観覧車に乗ることにした。

 

「夜景が、綺麗だな」

 

「……」

 

 焔は観覧車に乗ってからずっと黙っている。もうすぐ頂上だけど、大丈夫か?

 

「一閃」

 

 頂上に差し掛かったとき、焔は俺のことを呼ぶ。

 

「何だ焔?」

 

「わ、私はお前に伝えたいことがある」

 

 焔は顔を赤くして、俺に言う。伝えたいこと? 何だろう?

 

「一閃、私はお前のことがす……」

 

 焔が何かを伝えようとしたとき、観覧車が故障したのか、緊急停止した。そのせいで、俺と焔は席から滑り落ちてしまう。

 

「きゃっ!?」

 

「うおっ!?」

 

 俺は戸惑いながら、地面に手をつく。唇は何かとぶつかり、柔らかいものの感触が、何故か地面は柔らかく、モニュンという感触と、「ああん」という声が……。

 

 目を開けてみると、目の前には顔を真っ赤にしている焔が……もしかして、俺、焔の胸を揉みながらキスしちゃった?

 

「ご、ごめん!」

 

 俺は慌てて離れる。焔は自分の胸を庇うようにして俺を睨み、そして恥ずかしそうな顔になる。

 

「……とれ」

 

「はい?」

 

「責任を取れと言ったんだ! は、初めてのキスがあんな状態だなんて!!」

 

 せ、責任? ですか? どうすればいいのでしょうか?

 

「も、もう一度キスをしろ!」

 

 もう一度キスをしろ?

 

「拒否権は?」

 

「ない」

 

「ですよねー」

 

 俺は覚悟を決め、焔の肩を抱きしめて焔にキスをしようとしたが……。

 

 

『ご乗車の皆様、ご迷惑をおかけしてすいません。観覧車の緊急修理が終わりました。今から動きます』

 

「「……」」

 

 放送が流れたと同時に俺と焔は離れる。中途半端に終わった俺達は観覧車を下りるまで視線を合わせる事が出来なかった。

 

 観覧車を降りた俺と焔は半蔵学院へと帰る。

 

 そしたら急に焔が俺の服の裾を掴む。

 

「焔?」

 

「一閃、さっきの続きをしてくれ」

 

 ……忘れていなかったのか。

 

「俺なんかで良いのか?」

 

「ああ、一閃が良いんだ」

 

 俺が良いか。そこまで言われたら、俺も覚悟を決めないとな。

 

 目を閉じ、俺を待つ焔。俺は、顔を焔に近づけ……キスをした。

 

「一閃……」

 

 キスをされた焔は嬉しそうにする。

 

 ふう、これでいいんだよな……っ!

 

「イッセー君、これはどういうことかな?」

 

「説明をお願いします」

 

「ふふふ、どういうことかな焔ちゃん」

 

「……少し、頭を冷やそうかにゃ~」

 

 殺気を感じて振り返ると、黒いオーラを纏った飛鳥達がいた。

 

「や、やべえ! 焔、逃げるぞ!!」

 

「お、おう!」

 

 俺と焔は逃げ出した。こいつらに捕まったら殺される!!

 

「「「「「まて~!!」」」」」

 

 こうして、俺と焔と飛鳥達との命がけの追いかけっこが始まった。俺達、生きてられるかな




やっと更新できました。今回は焔と一閃のデートでしたが、追いかけられるようになった二人がどうなったかは読者のみなさんの想像にお任せします。

ちなみに、今回、自分の別作品のキャラが何げにゲスト出演しています。誰だか、分かりますか?

次回は一閃が雪泉と出会います。一閃は雪泉とどう出会い、どうフラグを立てるのかお楽しみにしててください。
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