忍になりしイッセー   作:汰灘 勇一

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第三話「任務」

焔SIDE

 

「ああっ! くそっ! イライラする!」

 

 一閃というやつに負けて一週間ぐらい経つ、私は負けたことを引きずっていた。今まで負けたことのないのに……しかも男に負けた!

 

「では、一閃さんももやしが好きなんですか?」

 

「いや、好きとまではいかないけど、よく料理の材料で使うよ。もやしはおいしいからね」

 

「まあ、ではいったいどんな風に料理するのですか!?」

 

「ええと、もやし炒めが多いかな」

 

 その一閃は楽しそうに詠と話していた。……あいつなんであんなに楽しそうなんだよ。

 

 ……何だか、さっきと違った意味でイライラする。どうしたんだ私……!

 

 

「お呼びでしょうか、鈴音先生」

 

 時間は過ぎて、放課後。私は鈴音先生に呼ばれて職員室に行った。

 

「ああ、君と一閃にある仕事を頼みたい」

 

「一閃とですか?」

 

「そうだ。二人はそれなりに実力があるからな」

 

「……思うんですが、一閃だけでいいのではないでしょうか? 彼の実力は相当高いですから」

 

 私の言うとおり、一閃の実力は高い。私、詠に春花、日影の四人同時に戦っても勝てない。それに正直に言うと、私はこの仕事に乗り気じゃなかった。仕事というのは楽しそうでいいのだが、一閃と一緒というのがちょっとな……。

 

 

「そういうな。これは一閃の希望でもあるんだから」

 

「一閃の?」

 

 私は分からなかった。彼は何故そんなことを?

 

「すまないが、彼のわがままを聞いてやってくれ」

 

「はあっ」

 

 結局、私は仕事を受けてしまった。

 

 

 二日後、私と一閃は任務に就いた。仕事の内容は簡単だった。奪われた機密文書を取り返してほしい。何故、悪忍にそんな仕事が来たのか分からないが、まあいい。私はただ任務を遂行するだけだ。

 

 ちなみにその機密文書を奪ったやつは、貧しい人から金品などを奪ったりもするやつらしいが、関係ない。

 

 そいつがいる別荘まで二人で移動した。何度も一閃が話しかけてきたが無視した。

 

 

「ふん、この程度か」

 

 私は十数名の護衛を倒した。

 

 別荘の周りにはたくさんの護衛がいた。私と一閃は二手に分かれて別荘に侵入することになった。

 

「……あいつ、大丈夫か?」

 

 ふと、私はそう言葉を漏らしてしまった。……って何で私があいつの心配をしているんだ!

 

「まあ、いい。さっさと侵入して機密文書を……」

 

 別荘に侵入しようと、近づいた瞬間、

 

 ドン!

 

 そう音をたてて、別荘が爆発した。幸い、爆発には巻き込まれなかったが、地面が崩れた。がけの縁をつかもうとしたが、後一歩及ばず、私は落ちていった。

 

 ここまでなのか? 私は最強の忍に……。

 

「焔さん!」

 

 あきらめかけていたその時、どこからか一閃が現れて私の腕をつかんだ。

 

「いっ、一閃?」

 

「黙ってて! 今引き上げるから!」

 

 そして、難なく私を引き上げた一閃と私は地面に寝っ転がった。

 

「はあはあ、大丈夫か焔さん」

 

「……何故、私を助けた」

 

「えっ?」

 

 私は何故一閃が私を助けたのか分からなかった。私を助ける必要性があるのか?

 

「何でって当たり前じゃん。俺と焔さんは同じ蛇女の仲間だからね」

 

 な、仲間だと、こいつは私のことを仲間だと思っているのか?

 

「俺だけじゃないよ。春花さん、日影さんに詠も焔さんの仲間だよ」

 

 ……こいつはバカなのか? 甘すぎる。呆れるぐらいな。だけど、かなわないな。この時点で私の負けだ。

 

「そうだな……と、とりあえず機密文書を……」

 

「ああ、それなら俺が持っているよ」

 

「何?」

 

 一閃の手を見るとそこには確かに紙の束がいつの間に……。

 

「いやあ~、護衛を倒して侵入して機密文書を見つけたのはよかったんだけど、主に見つかってね。そいつが自爆スイッチを押しちゃってね。まあ、無事でよかったよ」

 

「お前のせいか……」

 

 私は怒る気にもなれなかった。

 

「さてと、そろそろ学校に戻ろうか焔さん」

 

「……焔」

 

「うん?」

 

「焔でいい。詠はさん付けで呼んでいないのだろ? なら、私も焔と呼べ、一閃」

 

 ……私は何でこんなことを言ってしまったのだろう。

 

 一閃は笑って一言、『分かった』と言った。

 

 立ち上がって帰ろうとしたが、足に痛みが走り動けなかった。

 

「あれ? 焔、もしかして動けない?」

 

「まあな」

 

「じゃあ……」

 

 そういうと、一閃は私に背を向けた。こ、これはまさかおんぶ?

 

「歩けないんだろ、少し歩いたら車に乗れるからそれまで我慢してくれ」

 

「わ、分かったよ」

 

 そういって、私は一閃の背にしがみついた。

 

「……やっぱり、焔は軽いな」

 

「バカ……」

 

 そういう一閃に私はすねて、彼の背に顔を埋めた。

 

 しばらく、私は車が止まっているところまでおんぶをされていた。そして蛇女に帰った。

 

 

 

 ……後々知ったことだが、一閃は別荘で見つけた宝を持ち主に返しに行ったり、お金は貧しい人に配ったりしたそうだ。




ええと、一閃に心を開いた(?)焔、これからどうなるのでしょう。次回は一年飛んであのゴスロリ少女が登場。あのシノビバーサスのキャラも少しだけ出ます。
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