焔SIDE
「ああっ! くそっ! イライラする!」
一閃というやつに負けて一週間ぐらい経つ、私は負けたことを引きずっていた。今まで負けたことのないのに……しかも男に負けた!
「では、一閃さんももやしが好きなんですか?」
「いや、好きとまではいかないけど、よく料理の材料で使うよ。もやしはおいしいからね」
「まあ、ではいったいどんな風に料理するのですか!?」
「ええと、もやし炒めが多いかな」
その一閃は楽しそうに詠と話していた。……あいつなんであんなに楽しそうなんだよ。
……何だか、さっきと違った意味でイライラする。どうしたんだ私……!
「お呼びでしょうか、鈴音先生」
時間は過ぎて、放課後。私は鈴音先生に呼ばれて職員室に行った。
「ああ、君と一閃にある仕事を頼みたい」
「一閃とですか?」
「そうだ。二人はそれなりに実力があるからな」
「……思うんですが、一閃だけでいいのではないでしょうか? 彼の実力は相当高いですから」
私の言うとおり、一閃の実力は高い。私、詠に春花、日影の四人同時に戦っても勝てない。それに正直に言うと、私はこの仕事に乗り気じゃなかった。仕事というのは楽しそうでいいのだが、一閃と一緒というのがちょっとな……。
「そういうな。これは一閃の希望でもあるんだから」
「一閃の?」
私は分からなかった。彼は何故そんなことを?
「すまないが、彼のわがままを聞いてやってくれ」
「はあっ」
結局、私は仕事を受けてしまった。
二日後、私と一閃は任務に就いた。仕事の内容は簡単だった。奪われた機密文書を取り返してほしい。何故、悪忍にそんな仕事が来たのか分からないが、まあいい。私はただ任務を遂行するだけだ。
ちなみにその機密文書を奪ったやつは、貧しい人から金品などを奪ったりもするやつらしいが、関係ない。
そいつがいる別荘まで二人で移動した。何度も一閃が話しかけてきたが無視した。
「ふん、この程度か」
私は十数名の護衛を倒した。
別荘の周りにはたくさんの護衛がいた。私と一閃は二手に分かれて別荘に侵入することになった。
「……あいつ、大丈夫か?」
ふと、私はそう言葉を漏らしてしまった。……って何で私があいつの心配をしているんだ!
「まあ、いい。さっさと侵入して機密文書を……」
別荘に侵入しようと、近づいた瞬間、
ドン!
そう音をたてて、別荘が爆発した。幸い、爆発には巻き込まれなかったが、地面が崩れた。がけの縁をつかもうとしたが、後一歩及ばず、私は落ちていった。
ここまでなのか? 私は最強の忍に……。
「焔さん!」
あきらめかけていたその時、どこからか一閃が現れて私の腕をつかんだ。
「いっ、一閃?」
「黙ってて! 今引き上げるから!」
そして、難なく私を引き上げた一閃と私は地面に寝っ転がった。
「はあはあ、大丈夫か焔さん」
「……何故、私を助けた」
「えっ?」
私は何故一閃が私を助けたのか分からなかった。私を助ける必要性があるのか?
「何でって当たり前じゃん。俺と焔さんは同じ蛇女の仲間だからね」
な、仲間だと、こいつは私のことを仲間だと思っているのか?
「俺だけじゃないよ。春花さん、日影さんに詠も焔さんの仲間だよ」
……こいつはバカなのか? 甘すぎる。呆れるぐらいな。だけど、かなわないな。この時点で私の負けだ。
「そうだな……と、とりあえず機密文書を……」
「ああ、それなら俺が持っているよ」
「何?」
一閃の手を見るとそこには確かに紙の束がいつの間に……。
「いやあ~、護衛を倒して侵入して機密文書を見つけたのはよかったんだけど、主に見つかってね。そいつが自爆スイッチを押しちゃってね。まあ、無事でよかったよ」
「お前のせいか……」
私は怒る気にもなれなかった。
「さてと、そろそろ学校に戻ろうか焔さん」
「……焔」
「うん?」
「焔でいい。詠はさん付けで呼んでいないのだろ? なら、私も焔と呼べ、一閃」
……私は何でこんなことを言ってしまったのだろう。
一閃は笑って一言、『分かった』と言った。
立ち上がって帰ろうとしたが、足に痛みが走り動けなかった。
「あれ? 焔、もしかして動けない?」
「まあな」
「じゃあ……」
そういうと、一閃は私に背を向けた。こ、これはまさかおんぶ?
「歩けないんだろ、少し歩いたら車に乗れるからそれまで我慢してくれ」
「わ、分かったよ」
そういって、私は一閃の背にしがみついた。
「……やっぱり、焔は軽いな」
「バカ……」
そういう一閃に私はすねて、彼の背に顔を埋めた。
しばらく、私は車が止まっているところまでおんぶをされていた。そして蛇女に帰った。
……後々知ったことだが、一閃は別荘で見つけた宝を持ち主に返しに行ったり、お金は貧しい人に配ったりしたそうだ。
ええと、一閃に心を開いた(?)焔、これからどうなるのでしょう。次回は一年飛んであのゴスロリ少女が登場。あのシノビバーサスのキャラも少しだけ出ます。