一閃(イッセー?)SIDE
「ただいま~」
黒歌達が来てから数ヶ月後、俺は仕事に行き、早めに仕事を終えて帰ってきた。
黒歌達の才能はすごい。一ヶ月で秘伝忍法をマスターした。……俺よりすごいんじゃないのかな?
「「「「おかえり~」」」」
「おう」
修行が終わり暇だったのか、焔に詠、未来、春花さんと日影さん。白音と黒歌に皐月、水無月が待っていた。
「一閃様、どうぞ」
「ありがとう、皐月」
俺は皐月からお茶を受け取って飲んで、畳に座った。すると、白音が駆け寄ってきて、俺の膝の上に座った。本人曰く、自分の定位置らしい。
「あ~! また白音に先超された!」
「……一閃兄様の膝の上は誰にも譲りません」
未来とどうやら争っているらしいが……何か本当の猫っぽいな。ちなみに、白音と未来は仲がいい。
「く~、こうなったら、一閃! あとで抱っこして!」
「「「「ぶふっ!!」」」」
「ああ、別にかまわないけど」
軽く答えるが、みんなそれぞれ飲み物を吹き出していた。まあ、未来は軽いし。
「う、羨ましいですわ!」
「……やせた方がいいかしら」
……みんな、未来をうらやましがっているが、充分軽いと思うんだけどな。
「一閃」
「どうした、焔」
「昨日、飛鳥と接触した」
「!」
俺は焔の言葉に驚いた。そうか……半蔵学院と接触を始めたのか。
「それで、どうだった?」
俺はあくまで冷静に、イッセーとしてではなく、悪忍の一閃として聞いた。
「どうもこうも、伝説の忍の孫というのは名ばかり。たいした実力ではなかった」
「そうか……」
焔の話を聞いていると、飛鳥に会いたくなった。……明日は休日だし、行くか。
「……会いたいのか?」
「ま、まあな。敵として実力を見ておきたいから」
「「「「「「ふ~ん……」」」」」」
……何故かみんなが睨んできた。な、何故?
飛鳥SiDE
今日は土曜日、午前中で授業が終わり、忍学科のみんなと町に出かけている。
「は~」
私は今日何度目か分からないため息をついた。
「飛鳥さん、どうしたんですか。ため息なんてついて」
「斑鳩さん、大丈夫です。問題ありませんよ」
「問題なくないだろ、授業中に寝言を言ってたろ。『イッセーくん……イッセー君!』って叫んでたよな」
「かつ姉……」
斑鳩さんに指摘され、さらにかつ姉にまで指摘された。私、そんなこと言ってたんだ……。
「ねえ、飛鳥ちゃん。イッセー君って誰?」
「オレも気になる。誰なんだ?」
すると、後輩の後輩の雲雀ちゃんと柳生ちゃんに聞かれた。参ったな……
「ええと、イッセー君っていうのは私の幼なじみで、その……私が小学三年生の時に転校しちゃったんです」
「へえ~」
「私とイッセーくんは家が隣どうして、よく遊んで……イッセー君はじっちゃんに憧れて善忍になろうとしてたんです」
「そうなんですか? では、その人は善忍の家系なのですか?」
斑鳩さんがそう聞いてきたけど、私は表情を暗くした。
「いえ……ただの民間人の家系です」
「そうですか、では善忍には……」
「はい、なれませんでした」
イッセー君は善忍になれなかった。だけど……。
「だけど、イッセー君は約束してくれたんです。絶対に戻ってくるって。私と一緒に忍になるって」
そう、イッセー君は約束してくれたんだ。だから、私はがんばってこれた。
「でも、飛鳥さん。その人は忍になれないんじゃ……」
「……いいんです。彼に会えれば私は……」
「成る程ね……。飛鳥がこの前、他校の生徒に告白されて断ったのはそいつがいるからか」
……そう、私は数日前、野球部の鈴木って人から告白された。だけど、好きな人がいるからといって断った。
「はい……でも、会えなくてもいいんです。これがある限り、いつか会えますから」
私はそういって首にかけているメッキの剥がれかけたペンダントを見せた。
「それ、この前、なくして大慌てで探してたやつだよな?」
「はい……これ、イッセー君がくれたんです。これがあるとイッセー君とつながってるように思えるんです」
「そうなんですか。そんなに飛鳥さんはイッセーさんというひとが好きなんですね」
「い、斑鳩さん! 別に私は……」
斑鳩さんに指摘されて、私は顔を赤くしてしまった。
「恥ずかしがるなよ。人を好きになるって悪いことじゃないぜ」
「か、かつ姉……あっ!」
かつ姉にまで言われてさらに顔を赤くそてしまった。ちょうどその時、ある人物が私の前を横切った。う、嘘!
私は驚き、その人を追いかけた。
「ちょっ、飛鳥!?」
「どうしたんですか!」
「とにかく、追いかけよう! 行くぞ、雲雀!」
「うん!」
私はある男性を追いかけていた。その人はとても懐かしく……ずっと会いたかった人だった。
「待って、イッセー君!」
「うん?」
私がその名を叫ぶと、彼は振り返ってくれた。そこにいた彼は……。
「あ、飛鳥?」
「イッセー君……」
やっぱり、イッセー君だった。背が伸びていたし、体つきが変わっていたけど、イッセー君に間違いなかった。
「久しぶり、飛鳥。元気にしてたか?」
彼は五年前と変わらない笑顔を見せてくれた。
「イッセー君!」
「うおっ!」
私は彼の胸に飛び込んだ。
「どうしたんだよ飛鳥」
「……会いたかった。会いたかったよイッセー君!」
やっと、やっと会えたんだ。イッセー君に……。
「……ごめんな。飛鳥、会いに行ってやれなくて」
「ううん。いいの、こうしてイッセー君と会えたから……」
私は思いっきりイッセー君のことを抱きしめた。イッセー君も私のことを抱きしめてくれた。
「飛鳥! どうしたんだ……」
「葛城さん、どうしたんです。立ち止まって……」
「こ、これは……」
「あ、飛鳥ちゃん。これは……」
すると、私を心配してくれたみんなが駆けつけてきてくれた。みんなは抱き合っている私たちを見て固まっている。え、ええと……。
「み、みんな。この人は……」
「ええと、忍び学科のみなさんですよね?」
「なっ!? 何であたい達のことを!」
かつ姉たちは驚き、攻撃態勢に移った。
「み、みんな、落ち着いて、彼はさっき話していた幼なじみで……」
「兵藤一誠です。イッセーって呼んでください。飛鳥とは幼なじみで、半蔵様から半蔵学院のことは聞いていたのでもしかしてと思いまして」
「そうなんですか。それはすいませんでした……」
「いえ、気にしないでください」
……何とか誤解は解けたね。
「ねえ、イッセー君これから、時間ある? 色々話したいことあるんだけど……」
「俺はいいけど、そのいいのか? どこかに出かけるように見えたけど」
そう言って、イッセー君は斑鳩さん達の方を見てきた。
「私たちは問題ありません」
「おう、あたい達も色々聞きたいしな」
「構わない」
「雲雀も~」
「決まりだね!」
「それじゃあ……」
ぐ~。
移動しようとしたら……イッセー君のお腹が鳴り出した。
「……すまない。朝から何も食べていないんだ」
「じゃあ、どこかでご飯食べながら話そう!」
そう言って私はイッセー君の腕に抱きついた。
「あ、飛鳥!?」
「だ、だめ?」
「いや、だめじゃないけど……」
「じゃあ、行こう!」
私はイッセー君と肩を並べて歩き出した。
「……なあ」
「何ですか、葛城さん」
「うれしそうだな飛鳥」
「そうですね。あんな飛鳥さん始めて見ますね」
「何者なんだ、あいつ」
「さあ?」
今回は飛鳥達、半蔵メンバーが登場しました。予想より長くなりそうなので、次回に続きます。
あと、企画話ですが、戦いが終わった後に性格豹変関係の話を書く予定です。今の一閃の性格が豹変したらどうなるのか。