コードギアス憑伝~敗北のルルーシュ~   作:壟断

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 ルルーシュ歴01

 

 始まりは唐突だった。

 額の部分に強い衝撃が奔ったと思ったら頭部を覆っていたと思われるマスクが真っ二つに開かれた。

 一体何が起こったのだろうか?

 自分でも気づかないうちに被っていたダサい仮面が昔話で描かれる桃のように綺麗に割れてしまうという状況に立たされる意味が分からない。

 三徹くらいした後に前後不覚になったところで仮面を被って遊んでいたところに突如現れたジャイアントな人に脳天唐竹割りを喰らわされたのかもしれない。

 いや、それはないな。

 いくらなんでもすでに故人であるあの偉人が俺の部屋に遊びに来ているはずがない。

 まだ田舎のオカンに強襲されたとか、大人指定の映像作品を大音量で垂れ流していたところを隣人(三十路OLさん)に通報されて大家か警察が押しかけてきて頭部を殴られたとした方が現実的だろう。

 どちらにしても俺が立ったまま寝ているという状況があった後に予想される状況だ。

 しかし、それらのあり得ないけどあり得るかもしれない状況は、正解ではない。

 

「なんでっ、どうして!」

 

 どこかで聞いたことがあったような少女風の声音を合図に改めて現在の世界を確認する。

 

「信じたくは……なかったよ」

 

 俺の目の前に立って銃を突きつける少年が一人。

 厨二的な全身タイツ風パイロットスーツ?を着用する姿から察するにレイヤーの方だろうと思う。

 そのあっさりしたしょうゆ顔から察するに純日本人だと思われる。

 くせっ毛のある茶髪寄りな黒髪は、かつらではなく自前のモノに見える。

 年齢の頃は、10代後半か?

 悲痛な表情から憤怒を込めた視線を俺に向けているのは何故だ?

 

「ル、ルルーシュが……?」

 

 おっと、重要なワードが出ちゃいましたよ?

 視界の端にペタン座りをしてながら驚愕に身を震わせる赤毛の少女の口から出た『るるーしゅが』という単語から周囲の状況がある程度予想できたが、結論はまだ出さないでおこう。

 どちらかというとアングロサクソン系の血筋が強く出ていると感じるくっきりした顔立ちに白い肌。

 目の醒めるような赤い跳ねっ毛に若さに反する我が侭ボディは、現実感に乏しい。 

 

「……」

 

 ひたすら三点リーダを続けるしかない状況でも脳天に染み渡るヒリヒリが現実であることを教えてくれる。

 額から流れる朱い液体は、その痛みが負傷によるものだと伝える。

 

 諦めよう、そして、受け入れよう。

 

 今、目の前にある現実は、すべて虚構の世界を証明している。

 

「そうか……俺は――」

 

 黒の騎士団を率い、神聖ブリタニア帝国に挑み、そして、たった一人の大切な者のために世界を手にしようとした魔神。

 

「ゼロ、か」

 

 認めてしまえば理解は早い。

 俺の目の前に立って銃を突きつけている少年は、幼馴染の美少年を狙っている『ウホッ』な感じの妄想を――正しさの隷属者にして物理的・生物的な限界を変態的に突破している超人、ブリタニアの白い死神こと変態KNFランスロットさんのデヴァイサーである枢木スザク君ですね、分かります。

 そして、奥の方で可愛くペタン座りして絶望している赤毛の少女は、病弱お嬢様ブラコンおっぱいツンデレ筋肉着ぐるみなどの身体的な属性と体を張ったネタに定評のある黒の騎士団最強戦力のブリタニアぶちまけレンジKNFこと紅蓮さんに跨る紅月カレンちゃんですね、知ってます。

 そんな二人と対峙する俺の正体は、

 

「貴方は私たち日本人を利用していたの? 私のことも……?」 

 

 絶望の表情と嗚咽混じりの問いを投げるカレンの姿が教えてくれる。

 今の自分の身体を見下ろせば、そこにはぴっちりした黒い服装にオサレなマントを纏ったスタイリッシュな矮躯があった。

 ルルーシュ・ランペルージ――とある映像作品の主人公。

 それが今の俺だった。

 

 何の前触れもなかったのは確かだ。

 気づけばこの状況に居た。

 唐突にもほどがある二次元憑依体験だが……悪くはない。

 夢にしては知覚できるすべての要素がリアル過ぎる。

 現実にしては認識できるすべての要素が荒唐無稽に過ぎる。

 夢現の狭間にいるような感覚だ。

 

「はやく、君を逮捕しておくべきだったよ」

(はやく、君を○○○にしておくべきだったよ)

 

 枢木スザクから発せられる言葉が自動的にルルーシュの貞操を狙っているという台詞に変換して聞こえてしまう。

 どうやら俺の思考自体は平常運転のようだ。

 

「君を信じたかった……でも、君は嘘を付いたね。僕と、ユフィに……、ナナリーに」

 

 断罪するように言う枢木スザク。

 数多の二次創作により哀れな妄想の権化と化したスザクを知る者としては、現状をシリアスに感じ切れていない。

 今すぐにでも撃ち殺されてしまうかもしれないのに現実と信じきれない状況は、俺から恐怖を奪っている。

 それに結果としてスザクがルルーシュを殺さないと知っていることも大きい。

 妄想大好きな俺の思考に平常運転を許している限り、厨二的なシチュエーションは羞恥を捨てれば単なる遊び場でしかなくなる。

 

「君は最後の最後に世界を裏切り、世界に裏切られた」

 

 怒りのあまりに銃を構える腕が震えてているスザク君。

 銃の引き金にはしっかりと指が掛かっているので震え過ぎると暴発して俺を殺しちゃうよ?

 

「君の願いは叶えてはいけない!」

 

 状況からしてブラックリベリオンの終盤で拉致されたナナリーを救出しに来たところでスザク君に追いつかれたところだな。

 スザク君の激昂から考えるに俺が知る歴史を過たずに辿った状況なのだろう。

 ならば今の状況でスザク君の怒りを鎮めることはできない。

 少なくともルルーシュというキャラクターにこの状態のスザク君を止める手立てはない。

 精神的にも物理的にも貞操的にも……やはり、シリアスな思考にできないな。

 

 怒り心頭なスザク君は既に銃を構えている。

 変態的な超人スキルを持つスザク君が相手だとこちらがKNFに乗っていても勝ち目なんかない。

 だというのにこちらの手にあるのは、使い方もよくわからない拳銃が一丁に自爆装置の流体サクラダイト製爆弾。

 この状況をクリアするための条件はなんだ?

 スザク君に捕まったところでシャルルんに記憶操作された段階で俺の存在がどうなるかわからない。

 ただ消えるだけなら良い。

 こんな夢幻の状態に未練はない。

 遊べるだけ遊べればそれで良いんだ。

 しかし、もし、万が一、

 

「このまま生きていけるなら……?」

 

 いろいろとガン詰な状態だが、ここを突破した場合に齎される特典――絶対遵守の力。

 ルルーシュの状況的に四面楚歌は間違いないが、それでも夢現の中だと仮定すればこれ以上にない遊び場だ。

 自分の生も死も現実味がない状況だというのなら非現実を楽しむべきだ。

 

 眠っている間に自覚する『醒めてほしくない夢』。

 それは、醒めてほしくないと思えば思うほど目覚めは、現実は近づく。

 ゆえに現実を遠ざけ、夢幻を歩む。

 現実に勝る地獄は無限、夢幻に勝る楽園は有限。

 

 ならばこそ、万を捨て、一を得る生き方をしてみても良いはずさ。

 

 

 それにはまず、第一の関門――怒りに狂う騎士を宥めよ、だ。

 

「なあ、スザク」

 

「……何だ」

 

 銃口を俺に向けたままのスザク君は、一応俺の問いかけに応える。

 

「ユーフェミアが死んだのは俺のせいか?」

 

「……ッ! 今さらそんなことを!!」

 

 やば、メッチャ怒ってる。

 今のスザク君にユーフィミアのネタは危ないか。

 だが、現状を打破するには憤怒(バーサク)スザク君を潰さなければ先に進めない。

 

「すべてはブリタニア皇帝とその共犯者V.V.に仕組まれたことなんだ。俺がゼロになったことも、ユーフェミアがあんなことになってしまったのも!」

 

「……どういうことだ」

 

 ヨシヨシ、真面目なスザク君は俺の言い訳も一応聞いてくれそうだ。

 

「この絶対尊守の力、ギアスを俺に与えたのは、V.V.と名乗った子供だった」

 

「なっ、それは本当なのか!」

 

 俺の言い訳に食いつくスザク君の驚きも当然だろう。

 スザク君にゼロの正体とギアスの存在を教えた胡散臭い存在だからな。

 

「ああ、本当だ。シンジュクでお前と再会したあの後、カプセル内から出てきたあの時の女と一緒に逃げる途中でV.V.に接触した」

 

「……」

 

 良し。まだ制限時間は残されてる。

 スザク君は考えることを知っている少年だが、正しい判断に固執し過ぎてぶち壊すタイプだったからな。

 

「そこで俺は、V.V.に契約という名の脅迫を受けた」

 

「脅迫……?」

 

 スザク君がV.V.と接触した場所は、皇族専用の旗艦の中だった。

 考えが浅いところで右往左往するスザク君ならV.V.が帝国内でもそれなりの権力を持つ、もしくは権力を持つ者と関わりがある程度の予想はできるはずだ。

 

「V.V.は、現ブリタニア皇帝の使いを名乗り、俺に選択を持ち掛けてきた――生か、死かのな」

 

「そこで君は……生きるために」

 

「そうだ。俺はあんなところで死ぬわけにはいかなかった! ナナリーを悲しませないために!」

 

 できるだけルルーシュを装い、ナナリーの事は殊更感情を込めて言った。

 自分で言うのも惚れ惚れするぐらい迫真の演技だと思ったね。

 まあ、姿形や声も同じなんだからよっぽどの奇行じゃなければそれらしくなるんだろうけど。

 そんな俺を見るスザク君の体から徐々に怒りが落ち着いてくるのが感じられる。

 怒り事態は消えてはいないが、真実を見極めようとする姿勢を見せ始めている。

 このまま次の関門もクリアできるか?

 

「それでギアスを得たのか?」

 

「ああ、そうだ。俺は、生かされる代わりにブリタニアの敵となることを強要された」

 

 一瞬目を見開いたスザク君はすぐに視線を細めて俺を睨みつける。

 

「何故、君にそんなことを……?」

 

 そうだ。そこに疑問を持つだろう。

 

「スザクも知っての通り、俺には始めからブリタニアに対する恨みがあった。それは俺の父であるブリタニア皇帝も知っていたはずだ。何しろ、自分が廃嫡に追い込み、切り捨てた存在なのだからな」

 

 俺の言葉にスザク君は何か思い当たるところがあったようだ。

 それもそうだ。

 ブリタニア皇帝は大々的に皇族同士の闘争を公認している。

 

「ブリタニア皇帝が言う進化のための争い。皇位継承権を持つ者たちの中でもやらされていたこと。つまり俺は、ブリタニアの進化のための噛ませ犬にされたのさ」

 

 できるだけ自嘲気味に言う俺にスザク君の表情が困惑に歪む。

 

「アイツはこの為、我が母マリアンヌを死に追いやり、その際にナナリーを傷つけ、ナナリーの目と足を奪い、俺に反逆の意志を植えつけた!」

 

 俺の叫びにスザク君が向ける銃口が揺れる。

 どうやら俺の叫びはスザク君の精神に確かに食い込んでいるようだ。

 

「それなら……何故君は皇帝の思い通りに動くことを選んだ! ブリタニア皇帝を憎む君が何故!?」

 

 スザク君は怒りと同情が混在した表情になる。

 俺が次に何を言おうとしているのか察しがついたんだろうな。

 いいぞ。これでこの関門もクリアできる。

 

「ナナリーの為だ!」

 

 万感の思いを込める俺の言葉にスザク君はやっと銃口を俺から外す。

 俺の言葉で、ルルーシュの置かれた状況を予想したスザク君に、ルルーシュを絶対の悪と断罪することはできなくなっているはずだ。

 ここで、次の関門だな。

 

「……行政特区日本。ユーフィミアの願ったモノ」

 

「ッ!」

 

 ルルーシュの口から出してはいけない名前。

 ようやく銃口を下げたスザク君がまた俺に照準を合わせる。

 ここで焦らない、焦る必要もない。

 

「俺とユフィはあの時、和解していたんだ」

 

「んなッ!?」

 

 今度こそ憤怒が蘇ったスザク君は、その引き金をひく指に力を入れようとする。

 

「それなら何故あんなギアスを掛けた! なぜ、ユフィを殺したんだ!」

 

「コイツがすべてが狂わせたんだ!」

 

 今にも引き金を引きそうになるスザク君に俺は左目を広げて見せる。

 

「見えるだろう? この模様がギアスの力の証! 俺はユフィに命令はしていない! この力が暴走してユフィにあんなことをさせたんだ!!」

 

 本来であれば、ルルーシュの知る事実とスザク君の知った事実はかみ合うところとかみ合わないところがある。

 そして、それらを整合しないままに対立する道を彼らは選んだ。

 ルルーシュの決意もスザク君の決意もどちらも相応に強かったから仕方がない。

 二人とも周囲の人間に影響を及ぼすけど、同じ道を別方向に流れているだけだった。

 言ってみれば、車道の右車線と左車線みたいな関係。

 まあ、これは俺の安い脳みそでの切り分けだから本質的には違うんだろうがな。

 

「でも……それならユフィを殺す必要はなかっただろ!」

 

「お前は、ユフィにあのまま日本人を殺させたかったのか?」

 

「そんなことない! あの後、ユフィは正気に戻ったんだ! だから、拘束するだけでも良かったはずだ!」

 

 そりゃあそうだ。

 俺があの時のルルーシュだったらグロースターを壊してユフィが外に出てきた時点で捕虜にして、ブリタニア軍にイレブンの虐殺をやめさせただろう。

 その後は、『日本人、皆殺し』の命令が消えるまで拘束していればよい。

 仮にギアスの効果が消えなくてもスザク君に引き渡せば、最悪、ユーフィミアがイレブンを殺さないようにスザク君は付きっ切りでユーフェミアを軟禁することになったはずだ。

 そうすればスザク君が戦場に出てくる機会も減っていたかもしれない。

 もっとも現状は、過ぎたことはどうにもならんということだけどな。

 

「違う! このギアスがユフィに強制したのは、『日本人を“皆殺し”にしろ』だ。たとえ、一時的にギアスの力を抑えられたとしても、ユフィは日本人を見るたびに殺さなければならないという衝動に駆られる。そんな状態を死ぬまで続けさせるわけにはいかない!」

 

「そうなった原因は、君がギアスを暴走させたからだ!」

 

 ん~最後の関門は難易度高いぜ。

 

「その暴走が仕組まれたことだったんだ! 俺にギアスを与えたV.V.は、あの時、あの瞬間にこのギアスを暴走させたんだ!」

 

「そんな戯言を信じろと? 暴走させられたとしてもその力は君のモノのはずだろう!」

 

 無茶を言う。

 あの時のルルーシュにギアスの暴走状態をどうにかする術はなかった。

 事前に暴走することを教えられていれば、前もってギアスを抑える例のコンタクトレンズを常用していたはずだ。

 それを知らせなかったのは、C.C.の怠慢だろう。

 マオのことから学べなかったのはC.C.もルルーシュも同じだけど。

 

「そうさ! この力は確かに俺の力だ。だから俺は――その責任を取った」

 

「そ、んな……」

 

「スザク。お前はかつて戦争を止めるために枢木ゲンブを殺した。その贖罪として、ブリタニアに支配されてエリア11となった日本という国に真の平和を築こうと、平和を守ろうとしていた」

 

 スザク君の表情がどんどん悲愴なものになっていく。

 いくらキュウシュウ戦線の時にユーフィミアに癒されたとしても父親のことはスザク君にとって消せない業だろう。

 

「それは……ッ」

 

「俺は、ギアスの力に、ブリタニア皇帝の思惑に踊らされた。だが、犯してしまった過ちに対する責任は俺にある。だから、俺自らの手でユフィを殺した」

 

 俺の言葉にスザク君の動揺が大きくなる。

 震える銃口はもはや訓練された軍人とは思えない。

 あらゆる想いに雁字搦めにされたルルーシュやスザク君にとって、言葉はどんな凶器より深くその心を引き裂く。

 スザク君は、父を殺してしまったことに対する贖罪として争いのない世界をブリタニアの中から築こうとした。

 ルルーシュは、多くを奪われたからたった一人残された大切な人のために優しい世界を築こうとした。

 そして俺は、ルルーシュがユーフェミアを殺した理由を自分の犯した過ちから逃げずに向き合い、責任を取ると言った。

 

「お前はユフィのために、これまでの自分を殺してまでも憎しみに身を任せた。ユフィはお前にとってそれほど大きな存在だった」

 

 もはや後戻りはできない。

 

「だが、俺にとってもナナリーにとってもユーフェミアは大切な人だった」

 

「……今更何を」

 

 ここでスザク君が引き金を引けば俺の死ぬ。

 

「俺は自分の過ちに責任を持った。そして、選んだんだ」

 

「やめろ……」

 

 たった数分の憑依。

 たった数分の虚言。

 たった数分の命懸。

 たった数分の悪意。

 

「スザクが枢木ゲンブを殺して俺やナナリーを選んだように」

 

「止めろと言っている!」

 

 たった数分の………………。

 

「俺はユーフェミアを殺し、ナナリーが暮らせる世界を選んだ」

 

「あ、あああ、あああああああああああ!!!!」

 

 これが正しいことなのかは俺が判断することじゃない。

 俺の言葉はすべて空っぽの戯言。

 だが、スザク君にとっては違う。

 最も親しかった友人で、最も大切な者となったユフィを奪った敵で、最も憎む男になった――ルルーシュの言葉。

 

 もっとはやくにお互いの考えをぶつけていれば。

 もっとはやくにお互いの正体を知って入れば。

 

「ほんの少しだけ、救いがあったかもな」

 

 様々な想いがスザク君の魂を蝕んでいる。

 まだ完全に壊れたわけではない。

 一時の揺らぎ。

 

 

「――それでも」

 

 

 スザク君が回復する前にやるべきことが残されている。

 俺は銃口をスザク君に向けた。

 

 

「“俺”には関係ない」

 

 

 銃口から発射された弾丸は頭蓋を撃ち抜き、真っ赤な華を裂かせた。

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、私たちは本当にただの駒だったっていうの!」

 

 一人忘れていた。

 

「貴方にとって、私たちは……私は!」

 

 弾丸が撃ち抜いたのはスザク君ではなく、俺の頭蓋。

 横から弾を撃ち込まれ、脳漿を遺跡の壁に飛び散らせ、命を制御する場所の死によって体は重力に抗えず倒れ伏した。

 注意一秒、怪我一生。

 スザク君を攻略したからといって安心してしまっていた。

 ゼロに心酔していたカレンちゃんの前で、彼女たちのことを一言も語らないで終わらせようとしたのが不味かった。

 

 けどま、痛みのある死じゃなくて良かった。

 ルルーシュ(俺)の生命力が失われることを感知した流体サクラダイトがその猛威を振るうためのカウントダウンに入った。

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