仮面ライダー???   作:高二病真っ盛り

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Wのベルト/その『E』NDは最低で

ドイツ 廃ビル5階

 

「ハア…ハア…」

 

「待ちやがれクソガキ!」

 

「クッ!」

 

廃ビルの中で12、13程の少年が走る。逃げる。

背後に迫るは女性しか操縦出来ない世界最強の兵器「IS」。

彼は織斑一夏、今現在IS操縦者の中で最強を決める大会「モンド・グロッソ」の優勝候補”織斑千冬”の弟である。

 

(クソッタレ!こっちが脅迫に手間取ったすきに逃げ出すだと!)

 

彼が逃げている理由は至極単純な物だ。

このISを装備した女が思考したとうり織斑千冬の決勝戦辞退の脅迫材料にされそうなところを間一髪逃げ出している、それだけだ。

 

(……駄目だ。追いつかれる!)

 

しかし、それも長くは続かない。

先程あった様にISは世界最強の兵器、人の、子供の足で到底逃げ切れるものでは無い。

 

むしろ、彼はよく逃げている方だ。

建物内というISには動きづらいフィールド、瓦礫や砂埃という障害物、子供という体格の小ささを活かした回避。

自らが使える手札を出し惜しみする事なく十全に使って彼はこの瞬間まで逃げている。

 

「クソが……なめてんじゃねぇぞクソガキ!!」

 

「!?」

 

ドゴォォン

 

「ガアッ!」

 

爆発、その衝撃に堪らず一夏は階段から足を滑らし転げ落ちる。

 

「グゥ……()……」

 

「ち…やっちまった。まぁいい、これでもう逃げられねぇだろ」

 

階段から落ちた際に頭でも打ったのか一夏は微動だにしない。

しかし、コヒューコヒューと呼吸音が聞こえることから女は問題無いと判断した。

 

(捕まったら……どうなる……?)

 

最早指一本すら動かせぬ状況で一夏は思考する。

脅迫、殺害、拷問、洗脳、臓器売買、湧くイメージに希望の欠片も無い。

 

(死にたく……無い…)

 

徐々に黒に侵される視界に幻覚の様に浮かぶのは唯一の肉親である姉の姿。

 

(千冬…姉…)

 

彼女の元に帰らねば、その思い虚しく彼の意識は闇に沈む。

 

–––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

風都タワー?

 

「……?」

 

目を開け、むくりと一夏が起き上がる。

そこは必死の逃亡劇を繰り広げた廃ビルでもなく、見慣れた商店街でもない。

 

「……風車?」

 

上を見上げれば、曇天の中で巨大な風車がグルグル回っている。

名も場所も風景も知らぬ一夏は周りを見渡し––––––––––

 

「来たか。バカな奴だ」

 

「え?」

 

戦慄した。

 

声のした方を向けば五人の人影。

しかし、この五人から発せられる雰囲気は一般人と言っても差し支えの無い一夏を震え上がらせるには十分だった。

 

【ETERNAL!】

【LUNA!】

【TRIGGER!】

【HEAT!】

【METAL!】

 

五人の人影は五体の異形に姿を変える。

横倒しのEの意匠を頭上にあしらわれられた真っ白なリーダー格の男が一夏に向かい宣言する。

 

「NEVERの恐ろしさを思い知らせてやろう……さあ、地獄を楽しみな」

 

「〜〜ッ!」

 

恐怖に慄き後ずさりをするが、生憎と逃げ場はない。

そんな時、一夏は自分の左手に赤い物が握られている事に気付いた。

 

(これは……?)

 

見た事が無い筈なのに見覚えのあるそれを見つめハッと気づく。

目の前の集団のリーダーと思われる男。

彼が腰につけているものとそっくりだと。

 

(もしかして…)

 

まさかと思いながらも”それ”を腰に当てる。

カシャリという音と共にベルトが装着され、いつの間にか右手に握っていた黒いUSBメモリのような物のボタンを押す。

 

【JOKER!】

 

(ジョーカー……”ジョーカーメモリ”!)

 

メモリから発せられた音声…ガイアウィスパーを聞いた瞬間一夏の脳内に情報が浮かぶ。

 

自分が腰に当てたのは『ダブルドライバー』自分の手にあるのは切り札の記憶を宿した『ガイアメモリ』目の前の集団の内リーダー格の男以外は『ドーパント』……自分がなにを持ち、相手が何なのか一夏は漠然と理解した。

 

(……って事は)

 

ダブルドライバーの右側の差込口に風の記憶を宿した緑色のメモリ…”サイクロンメモリ”が転送される。

事情も原理も状況も、なに一つとしてわからない。ただ一つ本能的にわかる事は、戦わなければ死ぬという事。

 

(死んでたまるか。絶対に!)

 

「変身!」

 

【CYCLONE!JOKER!】

 

二つのメモリを押し込みダブルドライバーを文字通り『W』の形に展開、風と切り札の力が解放され一夏の周りにエネルギーが舞う。

そのエネルギーを纏った時、『織斑一夏』は消え、『W サイクロンジョーカー』が姿を現した。

 

「ハッ……やれぇ!」

 

リーダー格の男が指示を出した瞬間、Wは四体のドーパントに囲まれる。

 

「らぁぁぁぁ!」

 

「ぐっ……」

 

鋼の様な硬い体を持つ灰色のドーパントがWに接近戦を仕掛け、右手が強力な銃となっている青色のドーパント、不思議な挙動をする腕を持つ黄色のドーパント、高温の炎熱を操る赤色のドーパントの三体が援護をするという厳しい状況に追い込まれてしまう。

 

(なら……)

 

多少の被弾を許しつつ、Wは一気に灰色のドーパントから距離をとる。

その直後、自らの直感に身を任せしゃがみ、ジャンプ。

 

「あら?」

 

「!?」

 

どうやら直感は正しかった様で、顔を狙った黄色の鞭のような一撃はしゃがんだ頭上を見事にスカり、青色の足元を狙った時間差の射撃はカスる事もなく地面に当たる。

 

「らぁぁぁぁ!」

 

しかし、そんな事はお見通しだとばかりに灰色は跳躍する。

それに対しWは慌てることなく右腰を叩く。

 

【JOKER!MAXIMUM DRIVE!】

 

「なっ!?」

 

身動きの取れない空中を狙った灰色はWから響くガイアウィスパーに驚愕する。

 

Wは窮鼠、猫を噛むが如くしゃがんだ際に引っこ抜いたジョーカーメモリを、右腰のマキシマムスロットに叩き込んでいたのだ。

 

「しま…うおっ!?」

 

Wを中心に竜巻の如き突風が吹き始める。

自身もまた、空中に行った事を逆手に取られ吹き荒れる風に身体を取られる灰色のドーパント。

カナヅチの様に空中をもがく彼に向かいWは必殺技を放つ。

 

「ジョーカーエクストリーム!」

 

緑と黒を分ける中央の銀のラインに沿ってWが割れ、風を纏った二段蹴りが炸裂する。

強力な二撃を碌な防御も出来ずに受けた灰色のドーパントはガイアメモリを残し爆散した。

 

「っし……これだ」

 

【METAL!】

 

【CYCLONE!METAL!】

 

必殺技の勢いで援護射撃に徹していた赤色のドーパントに接近したWは、空になっていた左の差込口に闘士の記憶を宿した灰色のメモリ…”メタルメモリ”を差し込む。

Wの左半身が黒から銀に変わり、背中にハンマー型ロッド『メタルシャフト』が出現した。

『W サイクロンメタル』である。

 

「ヤァァアアア!」

 

ビュオン

 

「!?」

 

【METAL!MAXIMUM DRIVE!】

 

リーチを活かしたWの刺突に赤色は硬直してしまう。

チャンスと言わんばかりにWはメタルメモリをメタルシャフトのマキシマムスロットに差し込む。

 

「くっ」

 

苦し紛れに炎弾が撃たれるが、Wに届く前に巻き上がる風に吹き消される。

 

「メタルツイスター!」

 

解放された風を纏い、メタルシャフトから放たれる烈風と衝打の連撃、当たりどころが良かった故か赤色はメモリを残して爆散した。

 

「っし…次は……」

 

「ほう、中々やるようだな」

 

ギィン!

 

「クッ!」

 

今迄傍観の立場を貫いて来たリーダー格の、Wとよく似たベルトをつけた男が細身のナイフで切りかかる。

メタルシャフトで防ぐWの声は苦しそうだ。

 

「これで終わりか?」

 

「まだ…だ……!」

 

リーチの短いナイフよりも長いロッドの方が有利なのは当然だが、密着した戦いとなるとその有利不利は逆転する。

そう、まさに今の様に。

 

「ターッ!」

 

ギャイン!

 

「ほう…!」

 

小回りの効きにくいメタルシャフトで相手どれる程甘い相手ではないと判断し、鍔迫り合いを弾く形でメタルシャフトを放棄、新たに赤と青、二つのメモリを取り出す。

 

【HEAT!】

 

【TRIGGER!】

 

【HEAT!TRIGGER!】

 

熱き記憶を宿した”ヒートメモリ”と銃撃手の記憶を宿した”トリガーメモリ”を差し込み、ドライバーを展開。

緑の右半身が赤色に変わり、銀の左半身が青色に変わる。

右手には青色の特殊銃『トリガーマグナム』が出現した。

 

「これで…!」

 

『W ヒートトリガー』に姿を変え、バックステップで距離をとりながら狙撃をしようと思ったその時だった。

 

「ゲームセット…」

 

ドキュゥン!

 

「なっ!?」

 

「んもう!無視なんて酷いじゃない!」

 

「グゥッ⁉︎←ここ」

 

狙いを定めたWに放たれた強力無比な青色のドーパントの一撃。その衝撃に思わずたたらを踏んだWは黄色のドーパントの腕に拘束される。

 

(しまった……!)

 

連続でドーパントを倒し、リーダー格の男の参戦によって疎かになっていた二体への注意。

リーダー格の男を巻き込まぬ為に今迄なにも無かったのだと理解した時はもう手遅れだった。

 

「終わりだ!」

 

【ETERNAL!MAXIMUM DRIVE!】

 

「なっ!?……ぐあぁぁ!!!!」

 

リーダー格の男が先程の自分と同じ様にナイフのマキシマムスロットに白いメモリを差し込んだ瞬間、変身が解除され『W』から『織斑一夏』へと戻される。

最早ただの人間の彼にリーダー格の男の青い炎を纏った蹴りを防ぐ術は無かった。

 

「……千冬…姉…」

 

崩れ落ちる一夏、彼の意識は再び闇に沈む。




次回、仮面ライダー???

【Start Up】

「ショッカーの奴ら、『IS〜インフィニット・ストラトス』の世界に逃げやがった。」

「人間の味方をするのなら、誰であろうと俺は倒す!例え君が…オルフェノクであっても!!」

失われた楽園(パラダイス・ロスト)
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