仮面ライダー???   作:高二病真っ盛り

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前回の仮面ライダー???は…

目がさめると四面楚歌同然の状況の一夏はファイズギアとオートバジンの力を借りて撃退する。
しかし、そんな彼の前に現れたのは飛行ユニットを背負った白い戦士と金色の剣を握る黒い剣士だった。

一方、光写真館ではショッカーについて話していた葛葉鉱汰に門矢士が新たなショッカーの存在を告げていた。


黄金の最強

スマートブレインアリーナ?

 

「はあぁぁあああ!」

「たあぁぁあああ!」

 

ファイズエッジと金色の剣が唾競り合う。

互いの得物からフォトンブラッドが迸りあたりを眩しく照らす。

 

「ぐぁ!」

 

弾かれるのはファイズ。

たたらを踏みながらも黒い剣士に防御の姿勢をとったのはWの時の教訓か。

 

(駄目だ。基本のスペックから次元が違う!)

 

仮面の中で性能の違いに悩むファイズ。

リミッター解除(アクセルフォーム)という切り札を既に使ってしまった以上彼に残された手札は多くない。

 

ピロロロロ!

 

アリーナの天井近くで白い戦士と空中戦を繰り広げるオートバジンの戦況も良いものではない。

ファイズ以上の格闘能力を保持しているバジンの拳は一発で白い戦士に有効打となるが、その一発が当たらない。

 

白い戦士は単純な空中での機動力がバジンよりも遥かに上回っており、高火力のガトリングも掠りもしない。

幸いなのはバジンの高い防御力によってバジンも有効打を貰っていないことだ。

 

(いつまでもつきあってられない、一気にケリをつける!)

 

【Exceed Charge】

 

バックステップで黒い剣士から距離をとり、バックルのファイズフォンのエンターキーを押す。

ガイダンス音が鳴り右腕へのフォトンストリームを濃縮されたフォトンブラッドが駆け巡る。

 

エネルギーが充填され赤熱したファイズエッジを地面に掠らせる様に振るう。

放たれた光は地面を伝わり黒い剣士に着弾、円柱状に展開し拘束する。

 

「ヤァァアアア!」

 

エッジを構え疾走、必殺の『スパークルカット』を繰り出そうとした時だった。

 

「フン!」

 

「なに!?」

 

黒い剣士は力づくで拘束を解除、攻撃態勢で無防備なファイズを剣で突く。

 

「ぐっ」

 

強烈なカウンターに倒れこむファイズ、黒い剣士はそこへ鋭く切り込む。

 

「終わりだ!」

 

ズガガガガ!

 

「!?」

 

地面を転がるファイズに黒い剣士が剣を振り下ろそうとした時、頭上からオートバジンが強襲する。

 

「今の内に……うわっ!?」

 

「you will die!」

 

バジンが剣士を相手取っている間に起き上がろうとしたファイズの足首を白い戦士が掴み飛翔する。

 

「っの…!」

 

【1 0 6 ……Burst Mode】

 

逆さまの形で今にも天井に叩きつけられそうなのを判断し、ファイズフォンをフォンブラスターへ変形させ白い戦士のフライトパックに撃つ。

 

「!?」

 

「らぁ!」

 

フライトパックを撃たれ飛行能力を失い、体制を崩した白い戦士をファイズは地面に向かって蹴る。

 

「これで…」

 

【Ready】

 

「〜〜!」

 

【Ready】

 

ファイズは左腰のカメラ型デバイス『ファイズショット』にミッションメモリーを挿入し手にはめ、同様の動作を白い戦士もビームトンファーで行う。

 

【【Exceed Charge】】

 

白い戦士はビームトンファーを、ファイズはファイズショットを構え同時にフォンのエンターキーを押す。

 

「とどめだあぁぁぁ!」

 

「haaaaaaaaa!」

 

緋と蒼の激突。

一見互角にも思えたそれは、一瞬の内に決着となる。

 

「shit……」

 

白い戦士にφの紋章が浮かぶ形でだ。

 

上から下へと重力に乗る形で拳を繰り出したファイズ。

下から上へと重力に逆らう形で武器を出した白い戦士。

どちらが勝つなど、実は最初からわかっていたことであった。

 

「っと……グエッ!?」

 

白い戦士の灰を被る形で着地するファイズ。

 

そんな彼に鉄塊が飛んでくる。

 

「痛たたた……いったいなんなんだ…」

 

頭を抱えながらファイズは鉄塊を見て–––––––––

 

「…よ……!?」

 

––––––絶句した。

 

ピロロ……ロロ…

 

「オートバジン⁉︎」

 

ガトリング内蔵のホイールが取り付けられた左腕がもげ、痛々しい程に傷ついた左足からは火花が散っている。

 

「おい。大丈夫か?おい!」

 

自分が地上を離れて1分も経っていない間にボロ雑巾の様にされていたオートバジンに必死でファイズは呼びかける。

 

【Exceed Charge】

 

呼びかけに夢中になっているファイズを一瞥し、黒い剣士は剣を構える。

 

「なっ⁉︎」

 

ファイズが電子音声に気づいた時はもう遅い。

黒い剣士は黄金の噴光を振り下ろした。

 

「ぐ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

 

–––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

宇宙エレベーター付近?

 

「うわぁぁあああ!!!……はぁーはぁーはぁー……」

 

悲鳴をあげながら一夏は飛び起きる。

過呼吸気味に息をしながら彼は理解した。

 

(殺される……死んだらまた殺される)

 

理解した瞬間、体が一気に震え上がる。

爆発で階段から落ち、無防備な内臓を蹴り潰され、圧倒的な熱量に焼き尽くされた。三度『死』を与えられた彼の心はすでにボロボロだった。

 

「……またか」

 

周りを見渡せば大勢の昆虫の様な怪物…『ワーム』がこちらを見つめていた。

 

(もう…死にたくない……死にたく、ない!)

 

「カブトゼクター!」

 

もう、ここがどこかなどどうでもいい。

目の前の脅威に対し、彼が真っ先に選んだ行動は『抵抗』だった。

 

「変身……!」

 

どこからともなく現れた赤いカブトムシ型の機械…『カブトゼクター』を掴み、腰の『ライダーベルト』にジョイントする。

 

【HENSIN】

 

ベルトから全身にかけて銀色の鎧が構築される。

ヒヒイロカネの装甲を纏い終わった時、『織斑一夏』は『カブト マスクドフォーム』に姿を変えた。

 

「キャストオフ!」

 

【CAST OFF】

 

変身すると同時にゼクターホーンを左から右へと倒す。

一瞬、重厚な装甲が浮き上がり、次の瞬間には散弾のように飛散する。

 

【CHANGE BEETLE】

 

顎を基点に『カブトホーン』が起立し顔面の定位置に収まる。

現れた緋の装甲は非常にスマートな印象を与えるが、決して弱々しさを感じさせないしまったフォルム。

『カブト ライダーフォーム』である。

 

「クロックアップ!」

 

【CLOCK UP】

 

カブトはベルトの右側面のボタンをプッシュ。

身体に流れるタキオン粒子を操作し高速の時間流に乗る。

 

「はぁ!てい!やあ!」

 

カブトは目に見えるスピードを超えていく動き(モーション)で辺りのワームが一ヶ所に向かうよう攻撃を加えていく。

 

【ONE TWO THREE】

 

ワーム共を一ヶ所に集めたカブトはベルト上部のフルスロットルを入力。

ゼクターに三つの明かりがともったのを確認し、ゼクターホーンを右から左に倒す。

 

「ライダーキック」

 

【RIDER KICK】

 

再びゼクターホーンを左から右に倒す。

ゼクター内部で波動化したタキオン粒子が一度カブトホーンに送られ、カブトの右脚に充填される。

密集し、もはや塊といっても差し支えのないワームに向かい回し蹴り。

 

【CLOCK OVER】

 

時間の流れが元に戻ると同時に数多のワームは一斉に爆散。

 

目の前に見える脅威は全て撃退したカブト、しかし彼は辺りを注意深く見渡す。

 

(まだ…くるはず……!)

 

『W』『ファイズ』の時のことを考えればこの程度で終わる筈など無い。

最低でも一人、自分を狙う強敵が現れる筈。彼は半ば確信しながら戦闘態勢を整え、感覚を研ぎ澄ます。

 

「薔薇の合言葉は”愛”……」

 

(来た…!)

 

後方より現れるのは右肩に特徴的な三本の角をつけた黄金の戦士。

そのセリフにあつらえるためか右手には青い薔薇が握られていた。

 

「クロックアップ!」

 

【CLOCK UP】

 

姿を見るやいなやカブトは右腰を叩く。

高速の時間流に再度乗り、黄金の戦士に近づいてゆく。

 

「愛と共に……」

 

【HIPER CLOCK UP】

 

【MAXIMUM RIDER POWER】

 

「……散りなさい」

 

「……え?」

 

しかし、黄金の戦士はいつの間にか自分の真正面でキックの体勢に移っている。

カブトが理解したのは自分が蹴られたその瞬間のみであった。

 

–––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

光写真館

 

「ノバ…ショッカー……?」

 

「ああ。既存のショッカーに疑問を持ち、反旗を翻した集団のようだ」

 

舞台は再び写真館に戻る。

 

鉱汰は既に始まりの男としての装束ではなく、人間時代の青いパーカーに変わっている。

 

「ああ。少し長くなるからコーヒーでも……悪い、お前は飲めなかったな」

 

キッチンに向かおうとした士は再度椅子に座る。

 

「気にすんなって、俺が選んだんだから……んで、反旗を翻したってことはいい奴らなのか?」

 

「いや…今までのショッカーの力づくの世界征服に反感を抱いて、経済の方から征服を目指す組織…らしい」

 

いつもは何に対しても「大体わかった」な士もこの件には釈然としない。

 

自身が大首領を務めた大ショッカーを始めとして、ショッカーの類が行うのは武力による侵略。

武力行使のために作戦を立てることはあれど力づくをやめた作戦など今まで聞いたことが無い。

 

何よりショッカーは『仮面ライダー1号』『仮面ライダーディケイド』『歴史改変マシーン』etcetc……これらを創り上げる高い技術力を保持しているのだ。

ショッカーから派生した以上多少なりともこの技術力があるであろうし、無理に世界の経済に合わせる必要など無いのだ。

 

「–––まさか、『財団X』か!?」

 

鉱汰が推測を述べる。

 

経済支配と聞いて士も真っ先に思い浮かべたのは財団Xだ。

かつて、自身と何度か共闘したWを苦しめた謎の組織。

世界征服を狙わず『ガイアメモリ』『メダルシステム』『コズミックエナジー』『ロックシード』『コア・ドライビア』を始めとした超技術に資金援助を行いその技術を得ているということしかわからず、その目的の一切が不明だ。

 

鉱汰は巻き込まれなかったが『ムネモシュネ』の一件を見れば財団Xも世界征服を可能にする力があるのは明らかであるし、少なくとも仮面ライダーに友好的な組織では無い。

 

「いや、それは無い」

 

しかし、士は鉱汰の言葉をバッサリ切り捨てる。

 

「そもそも財団Xは既に経済を掌握するだけの力を持っている。ショッカーの裏切り者と手を組むというリスクに見合うメリットが無い」

 

「……だよなぁ。ユグドラシルにまで経済援助していたらしいしな」

 

「だな……」

 

そう。だとしてもノバショッカーの背後に財団Xはありえない。士の言葉通り、財団に対してのメリットが余りにも少ないのだ。

むしろ、掌握によって経済が停滞した場合、痛い目を見るのは財団も同じなのだ。

 

「だーっ!クッソわかんねぇよ!ショッカーとかノバショッカーとか!」

 

「落ち着け」

 

苛々を口にする鉱汰とそれをたしなめる士。

そんな彼らに来客が訪れる。

 

「やあ。暇そうだね士」

 

「……海東」

 

海東大樹。門矢士がカメラマンとして世界の風景を『撮る』旅人(通りすがり)というのなら、彼はその苗字が示す通り世界の風景を『盗る』怪盗(トレジャーハンター)

最も、怪盗は自称であり盗み方は強盗や火事場泥棒と大差は無いが。

 

「何の用だ?悪いがお前の相手をするほど暇じゃないぞ」

 

「つれないね。今日ばかりは味方としてきたつもりなのに」

 

「……何?」

 

似合わぬことをしれっと言いのける海東に士は眉を寄せる。

 

そんな士を見て海東は不敵に笑った。




次回、仮面ライダー???は…

「お宝の名前は『ノバエネルギー』…」

「なめてんじゃねぇぞ!こっちにはISがあんだぞ!ああ!!」

「『フォーゼ』タイマンを張らしてもらいます」

「オルァァァ!!!」
「セイヤーッ!!!」

–––一・斉・掃・射と赤のコンボと決着

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