17 潜入
sideキンジ
6月13日。俺とキリトが紅鳴館に潜入する日が来たわけなんだが…
その真ん前で、
「い、いい2人とも!絶対ミスんじゃないわよ!」
「アリアー?怖がっちゃダメだよー?」
「」
どこぞの生物災害ゲームに出てきそうな薄暗い洋館にビビるアリア、それをからかう理子、意気消沈してるキリト。
…いきなり先が思いやられる
その先は、(一応)想定通りハウスキーパーである小夜鳴と理子が話し、普通に雇ってくれるとのことなので、今割り当てられた自室で着替えたんだが…
悲しいまでに似合うな、この燕尾服。
テキトーそうな執事になった俺が靴まで履き替えて(洋風の建物だから土足OKとのこと)、いつまでたっても出てこないキリトの部屋をノックする。
「おい、まだか?」
…返事がないな。
「入るz」
ゴスッ!
─う、あれ?
気が付いたら自室に逆戻りしていた。
確か…キリトの部屋に入ろうとした開けた瞬間、顔面に拳が─
「目、さましたか?」
横を見れば─
詳しくは分からないが、100万はしそうなメイド服を着た茶髪の少女がいた。
「…いきなり顔面パンチはどうかと思うぞ、リト」
「その名前で呼ぶんじゃねぇ!」
武偵高の生徒のままだと警戒されるかもしれないとのことで、俺は髪型を変え、靴も底が分厚いのを履いて身長をごまかしている。キリトは前に部屋でみた茶髪の三つ編みだ。
「とりあえず仕事しろ。台所とかの掃除全部押し付けやがって」
「お前が気絶させたのが悪い」
それから数日後、深夜
部屋でゴロゴロしていたら、
ピリリ ピリリ
「もしもし?」
『キンジ、アプリで遊ぶぞ』
「もうそんな時間か」
アプリで遊ぶ。
あらかじめ決めておいた暗号で、理子たちとの連絡することだ。
…連絡といってもケータイの多数者間通話を使っただけだがな。
「アリア、理子、キリト、聞こえてるか?」
『大丈夫そうだ。そっちは?』
『聞こえてるわ。あたしの声はどう?』
『うっうー!トリプルオッケー!そんじゃキリトから報告ヨロ!』
『ターゲットは、やっぱり地下金庫にあるみたいだな。金庫に出入りするタイミングでチラッと見たけど…青い小さな十字架か?棚の上にあった』
『そう、それだよ!』
「だが、地下には小夜鳴がいるから侵入しにくいぞ。どうする」
『だからこその2人チームにバックアップなんだよ。具体的なステップはっと、誰だお前!』
『ー!!』
プツッ
「理子、どうした!」
『盗聴されてた!逆探知してみる!』
『『「ハァァ!?」』』
全然気付かなかったぞ。
『チッ、ダメだったよ〜』
『よく気が付いたわね』
『…ちょっと前からもしかしてっていう感覚はあったからね〜』
「?どういうことだ」
『武偵高の方でも変な3人組が理子たちの言動を探ってるって、通信科と情報科から連絡があってね、なんか教務科のほうのパソコンもハックかけられたどころか強襲科何人かが戦って撃退されたんだって』
『命知らずな…』
『ちょっと待ってそれってこの間あたしにケンカ売ってきた女のこと!?』
「戦ったのか!?」
『…1人しかいなかったし、逃げられたけどね』
『どんな奴だったんだ?』
『キリトより少し背が低い、マグナム使いだった。すぐに煙幕で逃げられちゃったけど…』
『う〜ん、理子の方でも背丈と使ってる銃の口径くらいしか分からなかったね。1人はアリアよりもちっちゃくて武装は不明、あと2人は同じくらいの背丈で32口径拳銃弾と44マグナムだね。話を聞くと32口径の方はフルオート撃ってくるみたいだけど』
「…注意しておいた方がいいな」
『それじゃその話は置いといて、改めて説明するよー。まず…』
理子の『大泥棒大作戦』の説明が進んでいく。
他愛もない世間話じゃなくて、窃盗の計画を立ててるあたり、トンチキな学校に通う俺の哀れなところだな。
─それにしても、盗聴者か。
鬼、光、幽霊─
殺人鬼、閃光、朝露の幽霊─
考えすぎか。
小夜鳴ともお互い特に話すこと無く最終日。
交互にやった料理担当─今日は俺─が最後に作った昼食を出しつつ、目の前にいるメイドに目配せして、出来るだけ目立たないようにさせる。
今目の前にいるのは─かなり分厚い厚底の靴を履き、茶髪のロングのズラをかぶったアリアだ。
理子の作戦とは、この時間、キリトとアリアをすり替え、その間に盗ませるといったものだった。
昼食後、『作戦成功!』と伝えられ、午後5時、小夜鳴と簡単な挨拶だけ済ませて着替えたらすぐに紅鳴館から撤収する。
で…
ランドマークタワー屋上で集合とのことなので、今タクシーを使って向かっている。
これで一件落着、だといいな。
せっかくGGOキリトなんだからということでメイドキリコの登場です。
我が人生に一片の悔いなし!グハァッ!(ソードスキルで後ろから切られたようです。)