sideキリト
ヒースクリフ。
本名 茅場晶彦。
『ソードアート・オンライン』プログラマーであり、それが意味する所は―
―― 一切のソードスキルが効かない。
ALOのオリジナルもあるが、基本はSAOのモーションから来ている以上、効かないと考えてもいいだろう。
そんな相手に有効打を叩き込む方法は1つ。
(『インヴィジビレ』―!)
後ろに回り込みながら、盾で防げないように見えない銃撃を放つ。これしかない!
パァンッ
「むう…」
盾に防がれずに届いた!
このまま行けば―
「…」
ん――ヒースクリフが、剣を収めて、盾の内側の『何か』を握って、石突きをこっちに向け―ッッ!?
盾の内側から覗くのは――
『6つ』の銃口。
(み、ミニガンM134―!!)
『ミニガン』なんて可愛らしい名前こそついているが、本来ヘリや銃座に取り付けて撃つような、ガトリングガン。
あんな運用方、ありかよッ!
銃弾が飛び出してくる。
『ビリヤード』―数も単発の火力も文字通りケタ違いだ。
回避―遅すぎる。間に合わない。
剣での防御―ッ!?!?
ギャリャンッ―
お、れた、のか―?
たった1発で―・?
間髪入れず、弾丸の嵐が―
「グ…あ…」
防弾服の無い所への直撃は何とか避けたが…全身へのダメージが…
「ふむ、そろそろか」
「…?」
何が、そろそろ何だ?
「『緋弾』の継承だよ」
「継承、だと…?」
「『緋弾』―緋々色金と呼ばれる、質量にもよるが、持つものにチート同然のステルスを与える金属だ。峰君の『カドラ』は見たかね?あれは別種の色金によるものだ」
「…」
理子の双剣双銃か。
でも、アリアはステルスを使えるなんて言ってなかった。
「キリト君の疑問に答えると、色金を使いこなすには、3つの条件があるらしい。1つは、人格。情熱的でプライドが高く、子供っぽい性格であること。2つ目は、―これは個人や色金の種類によって変わるらしいが、アリア君の場合、女性として心理的に成長する必要があるらしい」
「?」
「簡単に言えば、恋心を持てばいいということだ」
あー…あの朴念仁はともかく本人のアリアも気づいてないけど、見てるこっちがハラハラするくらいだからな。
「―3つ目。最低でも3年間、常に持ち続けておく必要があるらしい」
「…じゃあわざわざ金属片渡す為だけにこんな大掛かりなことしたのか?」
「大掛かりなこととは?」
「とぼけんなよ。『武力の急騰』、パワー・インフレだろ」
「…参考までになぜ気が付いたか教えてもらえるかな?」
「タイミングが良すぎる。『武偵殺し』、『魔剣』、『無限罪』ー襲撃の時期や順番をコントロールしてたんじゃ無いのか。それに、アリアがイー・ウー『そのもの』を年単位で追い続けてたのに、キンジやオレと会ってから『短期間』に、『冤罪を被せてきた相手』にだけぶち当たるっていうのもおかしな話だ。それでここに来てご先祖サマからバグった金属の継承?―出てくる答えは1つだ」
「―なるほど」
「それにしても3年か…アリアが受け取る根拠でもあったのか?」
「何かを勘違いしているようだから訂正しておくが―
緋弾を継承するのは『3年前』のアリア君だ。『今』の彼女ではない」
「は…?」
「緋弾には、物や人を過去に送る力があるらしい。その能力を使って―」
突然―
壁や天井の一部が『消えた』。
吹き飛んだでも穴が空いたでもなく、消滅した。
「…どうやらあちらも多少手こずっているようだね。今が『緋天・緋陽門』。当たった対象を過去に送り返す術らしい」
つまり…
「つまり、3年前のアリアに撃ち込もうってハラか」
「よく分かったね。こちらに来て推理力も上がったかい?」
適当だったんだが…
「なら、なおさら負ける訳にはいかないな」
ゆっくりと、立ち上がる。
「…二刀流ならまだしも、片手剣ソードスキルだけで神聖剣とガトリングをどうにか出来るのかい」
「―答え言ってんじゃねえか」
「?―ッまさか!?」
「―ソードスキルに銃を使ってはいけないと誰が決めた!!!」
ガンエッジでのスターバースト・ストリーム。
半分銃撃に変わる関係で、軌道が変わるから、ヤツにとっては初見のスキル。
それをヒースクリフは―
「フンッ!!」
ギャグァアッッッ!!――
「防ぎきった…」
「これで終わりだ、キリト君」
ヒースクリフの剣が、紅く光って―
「「まだ―」」
偶然、同時刻―
「「まだだ―」」
シャーロックにナイフでの『桜花』を防がれたキンジも、同じことを実行しようとしていた。
「「まだ終わってないッッ!!」」
((前に間近で見て、やり方まで聞いた『あの技』なら―))
銃を捨て、剣一本だけ構えて最大速で駆ける。
ナイフを強引にもぎ取り、両手にナイフと剣ーさっきまでシャーロックが使ってたスクラマ・サクスを構える。
「―この桜吹雪―散らせるものなら―」
「―この流れ星―堕とせるものなら―」
爪先で、膝で、腰と背で、肩と肘で、手首で生み出すスピードを被せる。足りない部分はヴォーバル・ストライクで出し、合計時速1236㎞の、超音速の一撃―
上下に大きく構えると、淡く、青く光る刃での16連撃―
「―散らしてみやがれッッ!
『桜花』ッッ!!!」
「―堕としてみやがれッッ!
『スターバースト・ストリーム』ッッ!!!」
―パァァァァァァアンッッ!!
「なっ―」
盾を、貫通した。
「――これで、神聖剣もガトリングも潰したぜ」
「…素晴らしい。期待以上だ」
盾を捨て、剣だけを持ったヒースクリフは、転移結晶を取り出し―
「…止めないのかね?」
「止めようがないし、アリア達も心配だからな」
「…そうか。またどこかで会おう」
パリン―
「―にしても剣ボロボロになっちまったな。衝撃波ヤバいだろこれ」
ギリギリだった。
1本は折れ、今桜花を放った方も今にもポッキリいきそうで、57も弾切れだ。
「…今PoHかシャーロックとぶつかったらアウトだな。早いとこキンジとアリア連れて脱出をー」
ゴッッッ――
「うわっ!!?」
爆風!?一体どこか、ら―
(長距離、大陸間ミサイル―!)
地球を半周出来るようなICBMが、8本も翔んでる。
しかもその内の1本に―
「キンジ、アリア!!?派手過ぎんだろ!?―あ、落ちた」
―ん?
sideキンジ
―すごい。
緋弾の能力が、ではなくアリアの機転と度胸、勝負強さがだ。
完全に翼と化したアリアのツインテールがもうひと羽ばたきすると、落下スピードは、飛び込みくらいになった。
眼下では、ザザ達を撃退させたらしい理子たちが救命ボートから呆気に取られたような顔をしていた。
「キンジ君、アリア、空の旅はどうだった?」
すぐ隣には、羽を広げて、滑空ではなく飛んでいるアスナがいた。
「ア、アスナっ!助けて、あたし泳げないのよ!」
「分かったわ。―っと」
「?どうした?」
ちょっとフラフラしてるな。
―ちなみに、アスナはアリアの体を抱えこんで支えている。
「ちょっと重くてね…」
「降りようか?今の速度なら大丈夫だしな」
「その心配はないと思うよ」
アスナの台詞と同時に防弾服の襟を誰かに掴まれて、急に飛行が安定する。
「普通に間に合ったみたいだな」
「…そう思うなら掴む場所を考えてくれ。喉が締まったぞ、キリト」
後ろを見れば、顔つきや体格、髪型は変わってこそいるが、ハッキリと普段の女顔と一度だけ見れたリアルの顔の面影がある影妖精がいた。
―これから先。
俺たちは、新たな強敵や仲間と出会い―
さらに苛烈な戦いへと飛び込んでいくことになる。
―ここまでが『緋弾のアリア』の、ほんのプロローグである。
そして―
『決着』へのカウントダウンは、もう始まっていた―
「あ、そーいやキンジ、『桜花』。あれスピード調整しないとマジで腕使い物にならなくなるぞ」
「だからなんでヒスって無いのに出来るんだよ!!」
う「イー・ウー編やっと終わったー!」
カ「あんたずいぶんと大胆なことしたね。主人公の代名詞ともいえる必殺技を取り替えるなんて」
う「ポケモンで言えばパルキアが時の咆哮ぶっぱなすようなもんだからな。ちなみにこのアイデアは投稿を始める時点で決まってた」
カ「マジか。あ、ところでうp主、私しばらくココに顔出さないから」
う「ファ!?何で?」
カ「ちょっち用ができた。代わりは次回以降ココに来るように声かけといたから。ま、うp主のほうでも増やしといてかまわないから」
う「さりげなくコメ稼ぎしようとするな、そういうのはこっちの仕事だ」
カ「でも原作5巻終了のタイミングでコメ返しするんでしょ?多いほうがいいでしょ」
う「否定はせん」
う「というわけで区切りをむかえた『緋の運命裂くは仮想の剣』」
カ「しばらく続くリロード編はもちろん、それ以降の話も、まあ長い目で見てやってください。それではこれからもー」
う・カ「ゆっくりしていってね!」
う「やっと言えたー!」
カ「東方要素ゼロなのにこんなこと言っていいの?」
う「………あとからぶっこむ、じゃダメかな?」
カ「運営に削除されたら嗤ってあげる」
う「ヒデェ」