緋の運命裂くは仮想の剣   作:トロンザム

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お待たせしました第9話!


9 黒の剣士

sideキンジ

 

バーでの戦いのすぐ後―

 

俺たちは何とかアリアの個室まで戻ることができた

 

―大きな犠牲を、はらって

 

「しっかりしろキリト‼︎」

 

クソッ、もう、心臓が―

 

「早く何とかしなさいよバカ‼︎」

 

「分かってる‼︎ラッツォいくぞ‼︎」

 

アドレナリンとモルヒネの凝縮剤、言うなれば復活薬を打ち込む、けど―

 

「う、うそ…」

 

―キリトの心臓は、全く、動かなかった

 

 

 

「ははっ、やっぱり死んじゃったか〜。理子としてはもうちょっと期待してたんだけどな〜」

 

「理子、テメェ…」

 

アリアは、…放心していた

 

「やった、これで、今日、理子は『理子』になれる。オルメスを倒して、SAOのブラッキーも倒せた。これで、私は…」

 

「ちょっと待て理子、何でお前がSAOを―『キリト』を知っている?」

 

「それはねえーッ‼︎ うそ、何で…」

 

言いかけたところで理子はいきなり目を見開いて、俺の背後を警戒し始めた。

 

それで気がついたが、なぜか、後ろから薄紫色の光が―

 

 

 

あらゆるモノを切らんとするような光があった

 

 

 

sideキリト

 

―オレは、一体…?

 

ふと目を開ければ、そこは見慣れた場所のダイシーカフェだった

 

(夢、だったのか?)

 

「あ、やっと起きた」

 

「あ、明日菜?」

 

目の前には、根暗な相棒ではなく、明日菜がいた

 

(そうか、夢だったのか)

 

「まだ寝ぼけてるの?」

 

「あぁ、ゴメンゴメン、だいぶ変な夢を見ててさ」

 

「へぇ、どんな夢?覚えてないっていうのはナシだよ」

 

「遠山の金さんとか、シャーロックホームズの子孫と共闘する夢」

 

「何というか、また変わった夢だね」

 

「それで遠山の金さんの方は変わった体質持ちのヤツで、ホームズの方なんてちっちゃなピンクツインテだったんだ」

 

気がつけばオレは、あの世界でのことを一通り話していた

 

「ふうん、また壮大な話だね」

 

「あぁ、オレもそう思う― どうした、そんなに驚いた顔して?」

 

「あ、あの人たち、さっき和人君の話に出てきた人と、似てるような気がして…」

 

「え…?」

 

後ろを見れば、キンジとアリア、それに理子までいて、ガラスごしに何かを叫んでいた

 

「「―」」

 

「夢じゃなかったのか…? そこにいてどうしたんだよ、入ってこいよ」

 

「「「ー‼︎」」」

 

「?」

 

叫び続けている内容を読唇してみると

 

「『しぬな、もどってこい』?」

 

その顔は、だんだんと悲壮なものになっていった。アリアに限れば、もう半分くらい泣き始めていた

 

「死ぬも何も、オレはここにいるのに」

 

「…和人君、行ってあげたら?」

 

「へ‥?」

 

「だってさっきの話だと、和人君、撃たれたんでしょ?私はものすごく心配してると思うな」

 

「明日菜…ゴメン、すぐ戻ってくるから!」

 

「行ってらっしゃい、キリト君」

 

なぜかあった武偵高の黒いブレザーを羽織り、オレは―

 

 

 

戻っていった、あの世界に

 

 

 

 

 

「よぉ、さっきぶりだな、キンジ、アリア、理子」

 

「キリト⁉︎お前、そのカッコ…?」

 

自分の体を見れば、これまでの武偵高の制服ではなく、SAOの時の、ヒースクリフと戦ったときの格好だった

 

「お前、それ、まさか…」

 

アリアと理子はそろって「私の目の前で何が起こっているの?」的な顔をしていた

 

「改めて自己紹介しておいた方がいいか?

 

 

 ―キリト、ソロ。ビーターだ」

 

 

 

そして

 

形成は、完全に、逆転した

 

アリアが撃ち、オレはいつの間にか手元に戻っていた黒い方の剣を振るい、キンジは飛行機が揺れてアリアと一緒にぶっ倒れたタイミングでヒスり、バタフライナイフで弾丸を切るという離れ技を決めたところで、ついにワルサーの弾丸がきれ、ナイフも折れ、左右のツインテールも切り落とされた

 

「うっ―」

 

「「「ここまでだ―」」」

 

「峰・理子・リュパン4世!―」

 

「―殺人未遂の現行犯で―」

 

「―逮捕するわ‼︎あきらめなさい、『武偵殺し』‼︎」

 

「…3人ともすごい。理子、ここまで追い詰められたの始めて。特にキリト君、よく生き返ってこれたね」

 

「?そっちが、理子たちが呼んだんじゃないか?」

 

「あはは、じゃあ理子の自滅か」

 

―まずい

 

理子の髪が、また、動いて―

 

「バイバイキーン」

 

グラッ

 

(うっ―)

 

今までで一番大きく揺れた

 

理子は―キンジが追っていったか

 

「あんた、一体…」

 

「悪いアリア、その話は今度、今、結構つらい」

 

頭が、喉が、体が痛む

 

「ち、ちょっと⁉︎」

 

「ゴメン、もう限かi―」

 

ここでオレの意識は、完全に落ちた

 

 

 

翌日

 

sideキンジ

 

「お疲れ様としか言いようがないな」

 

「うるせぇ、1人のうのうと寝やがって……どれだけ心配したと思ってるんだ」ボソッ

 

「?」

 

「なんでもねぇ‼︎」

 

あの後、いろいろあったがなんとか飛行機を空き地島に不時着させている間もさせた後も、キリトは眠り続けたのである

 

その間の話をしてやった感想がそれならキレてもいいだろう

 

…さすがに病院で検査が終わるまでずっと貧乏ゆすりがすごかったアリアの話は多分しなくていいだろう。本人いわくももまんも喉を通らなかったらしいしな

 

ちなみに今俺たちは部屋に戻ってきている(後なぜかアリアもいる)

 

 

 

結果としてキリトに別状はなく、気がついたら服と顔と髪は(俺にとって)見慣れたモノに戻っていた

 

…本人はかなり残念そうだったが

 

 

 

それと簡単にだが、アリアにもキリトの話をする事になった。かなり驚いた顔をしていたが「それがカズトの―キリトの秘密だったのね」と言ったと思ったらキリトを質問責めにしていた。大方詳しい話でも聞いているのだろう。事実今目の前で若干困った顔をしながらアインクラッドでの冒険の話をしていた

 

経験したキリトたちには悪いが、ただ聞く分にはスケールのデカい、涙なしでは聞くことの出来ない部分もあるすごい物語だからな、実は横から俺も聞いてたりする。

 

 

 

そして、実は、アリアは、

 

今日、ロンドンへ帰る

 

なんでもイギリス武偵局からヘリが来るんだと

 

 

 

―俺は、武偵を辞めるんだ。だから、今回のことは、忘れて―

「キンジ」

 

見れば、支度を始めてしまったアリアと、こっちを見ているキリトがいた

 

「…明るく見送ってやろう」

 

「…そうだな」

 

 

 

軽く雑談しつつ玄関まで行く

 

「…その、今回はありがと」

 

「気にすんな。確か後理子を除いて4人いるんだろ―がんばれよ」

 

「次…があったら、またゲーセンでも行こう」

 

「あはは―じゃあね」

 

 

 

パタン

 

 

 

扉が閉められた

 

(…?)

 

でも歩いていく足音が聞こえない

 

何事かとのぞき穴から見れば―

 

『「ひっく、…ひっく…うぅ……えぐっ』

 

「「……」」

 

アリアが、泣いていた

 

『やだよ…イヤだよキンジ、カズト…いないよ、あんたたちみたいなやつ…もう絶対…見つかりっこないよ…』

 

 

 

そのまま、しばらくすると、足音が聞こえ、去って行った

 

 

 

「キンジ―」

 

「なんだよキリト。俺は、―俺は武偵を辞めるんだ。止めるな」

 

「―これはオレの経験上での話だけどな―」

 

やめてくれ、俺は、俺は―

 

「―後悔や反省はいつでも出来る。それこそ死ぬまでな。だから今、迷いの無い方を選べ。諦めるのは、それこそ自分という存在が完全に消えた時だ」

 

 

 

あぁ―

 

分かってるよクソ!

 

 

 

そして俺は、机の中にしまってあった転校届けの書類を、破り捨てた

 

 

 

「さて、行くか!」

 

「―あぁ!」

 

 

 

 

 

女子寮 屋上

 

ヘリポートに着いた時には、もう10メートルほど飛び始めていた

 

「アリア!アリア!―」

 

叫ぶ

 

どうしようもなく叫ぶ

 

これまでの人生で、一番叫ぶ

 

「アリア‼︎―」

 

「―来るのが遅い!バカキンジ、バカリト‼︎」

 

「「なっ…」」

 

いきなりヘリからリペリングで降りてくる

 

『アリア!何をやっているんだ!』

 

「べーだ」

 

キレて何か叫んでいる武偵局の連中相手にアカンベーて…

 

「降りて来ちまったけどどうする?」

 

「相手は部外者だ。怪我させるのはまずい。だから剣をしまえキリト」

 

「じゃあどうすんだ?」

 

「アリア、あいつらワイヤーは?」

 

「予備を持ってるようには見えなかったわ」

 

「それじゃ―逃げるぞ!」

 

ガンガンッ

 

買い直したベレッタで屋上のドアを軽く壊しておく

 

これでここからは出られないだろう

 

「言ってることとやってること矛盾してるぞキンジ‼︎」

 

何を思いついたか分かったらしく、楽しそうな顔してキリトがツッコミを入れた

 

「そりゃ、こうすんだよ!」

 

アリアを抱えて、女子寮の屋上から飛び降りる

 

 

 

なぁ―

 

空から女の子が降ってくると、

 

ある日突然、仮想世界の剣士が現れると思うか?―

 

 

 

ドシャッ

 

 

 

下にあった温室に墜落しながらそんなことを思った

 

 

 

その夜

 

部屋に戻ってきたアリアとキリトがじゃれあっているのを傍目に見つつ、ふとケータイを見ると―

 

メール:49件 留守電:18件

 

…しかも全部白雪からだ

 

「―、―、―」

 

「ん、どうしたキンジ?」

 

どうにか逃げたらしいキリトがケータイを覗くと、一瞬で顔の色が失せた

 

「ま、まずい、逃げるぞアリア!」

 

「はぁ?なんでよ!」

 

「い、いいから早く―ヒッ!」

 

そういえばキリトにとって白雪はトラウマの対象だったなと思い出しつつ、

 

 

 

ドドドド―シャキンッとどう考えてもおかしい音が響いた。そして、

 

「やっぱりいた!神崎‼︎H‼︎アリア‼︎」

 

「お、落ち着け白雪!」

 

「キンちゃんは悪くない!キンちゃんは騙されたに決まってる!」

 

「」ガクガクブルブル

 

「一旦刀を下せ!」

 

キリトの呼吸がヤバいことに⁉︎

 

「この泥棒ネコども!き、キン、キンちゃんをたぶらかして汚した罪、死んで償え‼︎」

 

「俺はどっこも汚れてねえ!てかどもってなんだどもって!」

 

「キンちゃんどいて!じゃないとそいつら殺せない!」

 

「なんなのよ、コイツ!」

 

「戦わなければ、生き残れない…!」

 

アリアは臨戦態勢だしキリトも何かを悟ったような顔をしていた。こうなったら俺に出来ることはただ1つ

 

「ほどほどにしろよ。後、壊したトコは自分で直せ」

 

三十六計逃げるが勝ちだ

 

現実逃避のためベランダにある防弾物置(中はカラ)に逃げ込み、

 

ババババババッ←ガバメントの銃声

 

ジャキジャキキッ←色金殺女の斬撃音

 

パパパパパパッ←57銃声

 

ズッドドドドドドドッ←M60(⁉︎)銃声

 

ギギギンッ←直剣の斬撃音

 

ギャリリンッ←剣同士で斬り合う音

 

ピンッ…‥ズドンッ←手榴弾の爆破音

 

 

 

といった具合の音をケータイで映画を見つつ聞き流す。…部屋としての原型とどめてるといいなぁ……

 

 

 

結果として部屋はありました

 

音が止んだので見て最初に思ったことだった

 

…全員ボロボロだったが

 

「キ、キンちゃんさま、なんでこんなヘンなのと…」

 

「ヘンで悪かったわね…」

 

「」

 

疲れきってマトモに動く体力すらないらしい。キリトはまず生きてるか?

 

 

 

「うふ、うふふ、フフフフ…」

 

「おい、白雪大丈夫か?」

 

いきなり笑い出した。怖!

          

「こうなったらアレをバラしマス…あは、あはは、ははハハハは!」

 

といって出て行った

 

「キンジ、あれなんなのよ」

 

「…俺が今、一番聞きたい」

 

 

 

前日

 

side??

 

とても―

 

とてもリアルな夢だった

 

彼が行方不明になって一ヶ月

 

夢とはいえ始めて手がかりを掴んだ気がした

 

(武偵―まさか、ね)

 

一応菊岡さんにも連絡しておこうとケータイの画面を見た彼女は、愕然とした。そこには―

 

彼女の大切な友人の1人が、行方不明になったと言う知らせがあった




「キリト、ソロ。―ビーターだ」
・・・キメ台詞、かっこいい(おい)
次回は番外編です
それじゃ!
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