「とうちゃーくって危なッ!?」
視界が晴れた瞬間に目の前を通り過ぎていった刃を紙一重で避ける。宙で変な体勢を取ってしまったがために尻餅まで着いてしまった。
シリウスが独断で村へ向かったと聞いたわたしはすぐさま転移のスクロールを使って村に一番近いマーカーへ跳んだ。どうやらローグプリニーの中に優秀な働き者がいたようで村の近くにマーカーが存在していた。
簡易マーカーを使ったタュピラからの転移は微調整をしないとズレが生じてしまうんだけど、いくらなんでもこれはひどい。
剣が振るわれた先に偶々転移するとかどんな確率?
まぁ、いいけどね。あれくらいの剣筋なら避ければ当たらないし。
自分から狙いが外れたことすら気付かずに逃げていく村人を背に、騎士へと視線を向ける。
「なんだお前は!?」
「こんにちは死ねっ!」
とりあえず礼儀正しく挨拶を済ませたのでさっくりぶち殺す。そういえば異世界っぽいのに言葉が通じるんだね。不思議で便利。
同化して擬態させていたピンク色の肉々しくも荒々しい大口の
肉塊にしか見えない剣は、騎士の剣をなんの抵抗も無く噛み砕き、その身体を肥大化した口で飲み込む。ちょっと対象が大きかったからか、食べる際にバキゴリグシャというグロテスクな音と微かな断末魔が剣の口から漏れる。
うわぁ……グロい。
でも、これくらいしないと罰にはならないだろう。強姦輪姦陵辱は重罪ですの。
「弱くてよかったぁ……」
シリウスの方でもさっくりと事を済ませられたみたい。
これでもし剣の捕食が通用しなかったら危なかった。見た感じ動きは遅かったので逃げるだけならどうにかなりそうだったけど。
「なんかわたしでも余裕っぽいから先に救済しちゃおうかな?」
全ての騎士が今の奴と同程度、もしくは少し強いくらいなら剣を振り回すだけで片が付く。
直接攻撃を受けたわけじゃないからそこだけは不安だけど。速度がないのだから威力も低いだろう。たぶん。……きっと、大丈夫だろう。
<生命感知/ディテクト・ライフ>で確認すると村人たちは村の中心に集められてるみたい。さっき逃げていった村人もそちらへ向かっている。
わたしの安全のために確かめたいことがあるので一番近かった騎士を食べさせずに撲殺する。鋼鉄よりも頑強な肉塊のお味はいかが? 絶命するほど美味しかったんですかそれは結構。
「<上位武具鑑定/グレーター・ウェポン・アナライズ>……ふむん?」
やはり騎士共の装備に大した魔法は掛けられていない。
これじゃあ
「チュートリアルか店売りの剣じゃないんだからもうちょっとまともなのは持ってないのかな?」
ブンブンと軽く振るう。空気を切り裂くところとか明らかに素人が奏でる音じゃないんだけど? これが生産職とはいえレベルカンストした者の力か。戦士職が振ったら斬撃が飛んでその勢いだけで剣が壊れそう。
とりあえず詳しく調べるためにも剣は一本だけ持っておいて、あとは事態が一段落して本隊を呼んでから回収させよう。
ヴォァアアアァオオオオオオオオォォォォォォ――――――!!
「なんの声……って、あ? うん? あぁモモさんが? うん、あー、そう」
随分と遅れて知らされたシリウスからの情報を取り込む。
モモさんもこっちに来ていたのか。嬉しくも喜ばしいことだと思う。こんな状況でこう言うのも不謹慎かもしれないけど、本心なのだから言っておこう。実に良い、と。
ユグドラシル終了前の醜態? 知らない子ですね……あれはわたしじゃないし。
「かっこいいとこ見せましょ?」
シリウスばかり良い人アピールするとかなにそれずるいわたしもやる!
っていうかシリウスはモモさんに出会った瞬間に最優先で私に報せるべきだよね?
まったくもうなにやってんだか。
意気揚々と村の中心に行ってみると、丁度モモさんに創造された
ぽーんぽーんとまるで蹴鞠のように面白可笑しいくらいに吹っ飛んでいく騎士。
私の背丈ほどもある巨大なフランベルジュに真っ二つにされる騎士。
……うっ、ちょっと気分悪くなってきた。
死体を見るのは問題無いんだけどそれが動いているのを見ると精神と論理的に「どうなのかな」って思っちゃう。いや生を冒涜しまくってるキマイラを造るタュピラの支配者が何を言うのかと思いはするけれども。あれはわたしの発案じゃないし?
ここでわたしが下手に乱入すると生かしておく騎士が無くなりそうだったので
モモさんの創造物だから騎士以外に手は出さないだろう。ちゃんと命令は守れるみたいだし。
……ん?
なぜかこちらを見つめる
じーっとわたしのことを見て。
わたしの手元へと視線が移る。
……んん?
オォォォォアアアアアアアアアアァァァ――――――!!
「なんでぇええええええええええええええええええええ!?」
戦意を喪失した騎士を無視してわたしの方へと駆けて来る
友好的な接触は望めそうも無いね。明らかに殺す気で来てる。
ここで
でも、この
よし。ここで互いの戦力差を考えてみよう。
素早さはわたしの方が上。
物理的な防御力は
奴さん魔法は使ってこないはずなので問題にならない。でも他のアンデッドと違って燃やしても大してダメージにならないから厄介かも。足止めがどこまで通用するかわからないし。
銃を使えば攻撃しつつ距離を稼ぐこともできるんだけど……この文明模様だとオーパーツ扱いになりそうだからできれば表に出したくない。
ん? 攻撃する必要性あったっけ?
まぁ、防戦一方っていうのが嫌なだけなんだけど。
捕食剣も使えないとなれば……あと他になに持ってきてたっけ?
騎士が使っていた剣はあるけどそれでフランベルジュと打ち合ったら確実に折れるよねぇ……それを回避する技量もないし。そもそもあんな剣じゃ鎧に弾かれる。
とりあえず。
時間さえ稼げばモモさんが来て収めてくれるだろう。
だからそれまで逃げるんだよぉぉぉ!!
加速装置ィ!!
Q:わたし?
A:わたし。
捕食剣”■■■■■■■”:真名解放『イーター』
別称『劣化永続
思い浮かんだのは良いけど後々碌なことにならないであろう没ネタ。
っ「きんいろのぞう」
ネム「ブルーブルーブルーブルー。世界は青くみんなハッピーハッピー」
エンリ「ネムが不良になっちゃった! 髪も服も肌も瞳もみんな青!?」
ンフィー「ネムちゃんソッチの道はダメだ帰ってきて!」
ネム「不信人者! 天国にいくな!」
TAKE2
エンリ「ようこそカルネ村へ。ようこカそルネ村へようカルこそね村へよカうこそルネ村へようこそカルネ村へ」
ネム「『はい』が『いいえ』で『いいえ』が『はい』なんだよ。カルネ村ではそれが常識」
ンフィー「エンリィィィ!? ネムちゃんんん!?」
(私には見える……君が画面を見ているのが)
ハムスケ「齧ってあげるでござる。某は齧るのが大好きなんでござる。そなた達は齧られるのが大好きなんでござろう?」
「この墓、なんの墓かわかりますか? 答えはですね……あなたの墓。私の墓。墓の墓。墓、墓、墓」