死の超越者と大いなる種族   作:河灯 泉

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私のネタは一発屋ばかり。


崇め称えそして捧げよ

 空中城砦タュピラ。

 偉大なる9名の創造主と66名の忠実な下僕、数百にも及ぶその他諸々大勢のメンバーたちが築き上げたギルドの総本山である。

 

 そのタュピラの第5島ブラックシティ奥深くにある会議室に、慌しく集まる者たちがいた。

 それらの姿にはそれぞれの創造主たちの想いが込められている。正しくは趣味とか性癖とか憧れとか情熱とか、色々あるが。まぁいい。愛情と言っても差し支えないほどの大きな想いだ。

 彼の者たちの創造者たちは一人を残して皆消え、彼らはその最後の主の命によってここへ馳せ参じた次第である。

 

 円卓。

 誰が名付けたのか、定かではない。

 会議室の中心には巨大な卓袱台があり、それを取り囲むようにしてそれぞれ違う趣向を凝らした9個の椅子がある。8個の椅子には『永久欠番』と書かれた紙が張られた人形が置いてあり、一つだけ空いている席が哀愁を漂わせている。

 そしてそこを囲むようにして、守護者・階層責任者たちは集まり並んでいく。

 

「グギャア」

「グルェェェ」

『……』

「キシャァ」

『ブォンッ』

 

 まず最初に目を引くのは階層門番の5体。

 青い翼竜、チョウチンアンコウのような紫色の丸い魚、オレンジ色の巨大なロボ、蜘蛛の身体に蟷螂の鎌を足したような生物、凶悪な兵器を満載したバイク。

 ちなみにチョウチンアンコウは歩けないのでロボに担がれている。

 どれも図体が大きく、見事なまでのボス感を醸し出している。

 青い翼竜だけは少し元気がなく、覇気も控えめであったがそれは別に問題ではないので放置。

 

 

「それにしても何事ッスかねー。タュピラで浮遊感を味わったのは初めてッスよ」

「だからー、それを今から聴くんじゃん? アンタ馬鹿なの? 投げられたいの?」

「冗談でも投げようとするのはやめてほしいッス!」

 

 次に並ぶのは全階層労働者代表と、その上司。

 ペンギンによく似た、死んだ魚のような目をしたきぐるみっぽい者。

 露出度が高めな服を着て、手には禍々しい槍を持つ赤い髪の少女。

 どちらも背中にはコウモリの羽を生やしている。悪魔である。

 

 

「ムオーン」

「……」

「……」

 

 壁際で佇む影が三つ。大量にいる中からとりあえず適当に引き抜いてきた労働力の一体と、警備者とその部下。

 ねずみ色で硬質の粘土っぽい材質のゴーレム。

 SF風な仮面を被り、機械的な腕と翼を持つ少年。

 素顔の窺えない構造をした黒い豚の仮面を被った者。

 

 

「もうかりまっか?」

「ボチボチでんなぁ」

「笑いが止まりませんわぁ」

 

 翼と角が生えた鳥人。

 紺色の服を着た、筋肉激盛りスキンヘッドの人間。

 腹部にジグザク模様がある二足歩行のカメレオン。

 

 

「……」

 

 そして最後に、全階層全守護者を統括する、影に切り絵で描いたピエロのような者。

 

 他にも色々な者達がいるが、主な責任者はこれだけだ。

 趣味に塗れて作っただけなので戦力としては上の下程度でしかない。レベルは高くても戦闘員の数がものを言う戦場では小さな一勢力に過ぎないのだ。単騎で数十人を殲滅し得るプレイヤーなんかもいたが、それは例外。

 タュピラにはそこまで強力な()()()いない。

 それでも、ここに集まっている面子だけでも弱小ギルドなんかから見れば強大な戦力となりうるのだが。

 

 

 

 ガヤガヤと話をしている(普通に喋れる者が半数しかいないため実のある会話はなかった)ところへ、最後の出席者が現れた。

 ギルド『エゴロジー』に所属する最後の創造主(プレイヤー)

 そして、CβT(クローズド・ベータ・テスト)の期間から数えて最も長くユグドラシルをプレイしていたと言われている最古の廃人ギルドマスター。

 

 それまで騒がしくしていた者たちは一斉に口を閉じ、身動き一つしないように気を張った。

 跪くことはしない。敬意を払っていればそれで良いとされているから。

 いわば彼らは社員のようなものだ。この例えは多くのユグドラシルプレイヤーに嫌われたが、社畜と例えていないあたり十分に配慮したと思われる。

 

「あぁ、皆集まってくれてどうもありがとう。楽にして良し」

 

 彼女がそう言うと、皆途端に姿勢を崩す。

 崩すといっても、その場で座ったり気を付けの姿勢から休めの体勢になる程度だ。素直に寝転がったペンギンは上司の少女の槍によって串刺しにされ磔の刑に処されている。

 

「諸君らももう気付いているだろうが、タュピラに……いや我々に、深刻で重大な問題が発生した」

 

 ごくり、と。誰かが喉を鳴らす。

 少女は堂々とした態度で自分の椅子に座り、くるくると回りながら話を続ける。

 少女の腰掛ける椅子は不気味なほどに白い陶器によって構成されており、その全てが腕の形をしている。足も肘置きも背もたれも、その全てを無数の腕が絡み付くことによって形作っている。一言で言ってしまうと、かなり悪趣味な椅子だった。

 

「現在タュピラはどことも知らぬ場所に浮かんでいる。ユグドラシルのどこでもない、未知の場所にだ。今のところ気圧や温度といった環境の変化や第三者の存在は確認されていないが、誰か何か変わったと言える事があれば報告してほしい」

 

 ……。

 無言。

 主が言ったこと以外で異常がない以上、喋ることなど何も無い。

 今はまだ質問をする時間ではないのだ。

 

「……そうか。先程から手当たり次第に<伝言/メッセージ>を発信しているが、今のところどこからも誰からも返事がない。最悪の事態を想定して我々は未知の土地に孤立したと考えよう」

 

 室内が僅かにどよめく。

 流石に見ず知らずの場所に放り出されて何も感じないという訳にはいくまい。

 まぁ、それは感情のある者だけの話になるが。

 ここにいる半分以上は特になんとも思っていない。良くも悪くも刹那的で動物的で機械的な連中ばかりなのだ。人間じみた感傷に浸れる存在は数少ない。

 

「防衛戦力は第二種警戒態勢のまま待機だ。これから魔法やスキル、アイテムなどの環境の変化も試していくことになるから忙しくなるぞ」

 

 階層守護者であるドラゴが本来であれば出られないはずの竜の巣ギリギリまで飛んでいったことは不問にしておく。あれがあったから素早くNPCを動かすことができたのだし、なによりシリウスによってすでに折檻済みらしい。

 

「細かい話は後で個別に行う。なにか意見がある者は?」

 

 ……。

 またしても無言。

 この場で発言するべきことなどなにもない。

 後回しにしても構わないのならそうするべきだ。時は待ってはくれないのだから。

 

「まずはプリニー工場に行くからそのつもりで」

「はっ!」「はいッス!」

 

「では。解散」

 

 

 

 彼女がそう言うと、全ての者が同時に一礼をする。礼をできないものは身体を傾けたり光らせたりして演出する。

 そして、早足で各々の持ち場に戻っていく。

 

 ほんの数秒で全員が部屋から出て行き、誰もいなくなる。

 

 

 

 ごろんごろん。

 

 残っているのは、なぜか床に転がりまわる少女だけだった。

 




ネタまとめ。

天空の砦
紹介するまでも無く天空の城である。

6島と守護者
懐かしき64の爆ボン。レインボーパレスとかまず行くこと自体が無理ゲ。

悪魔とペンギン
ディスガイア。設定は割と適当。


MOTHERシリーズは一生の思い出。3はトラウマ多いけど。

鳥人・スキンヘッド・カメレオン
ダンジョンゲーの店番達。生産・商業ギルドアピールのためだけにいたのでこれから出番があるかは不明。
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