ワールドトリガー ~ー三つの毒に侵された吸血鬼ー~   作:lOOSPH

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虎は烏によって教えを受け

その教えをもって
さらなる技を授かった

同時に己自身も
得ることができたのであった

やがて烏は飛び立ち、虎はさらに己を高めた・・・・・・・・


・・さあ、行こう

警戒区域内を流れる川

 

その上に立つ建物が見えてきた

 

「さあついた、ここが我らが玉狛支部だ」

 

「川の上に建物が・・」

 

「ここは元々川の何かを調査する施設で使わなくなったのを買い取って基地を立てたの

 

 私がお世話になった先輩もここに所属しているわ」

 

「つまり藍ちゃんのお師匠様もこの支部の出身なんだ・・」

 

「まあその人は元々本部の所属だったけどね・・」

 

ユウは木虎の話を聞いていた

 

「隊員は出払ってるみたいだけど何人かは基地にいるかな?」

 

と迅が扉を開くそこにいたのは

 

カピバラに乗ったお子様であった

 

これには妙に緊張していた修もあっけにとられてしまう

 

「おっ陽太郎、今だれかいる?」

 

と迅が尋ねるが、陽太郎は修たちを見て言った

 

「・・・・しんいりか・・・・・」

 

それに対してお子様、陽太郎にチョップを食らわせる迅

 

「おぶっ」

 

「’新入りか‘じゃなくって」

 

すると

 

「迅さんお帰り~」

 

上の方から声が聞こえるそこにいたのは眼鏡をかけた女子校生がいたのであった

 

「あれっ木虎ちゃん?、え?、何?、もしかしてお客さん!?やばい!お菓子ないかも!待って待って!ちょっと待って!」

 

とドタバタする少女

 

「宇佐美栞、うちのオペレーターだ」

 

「眼鏡女子・・?」

 

「何言ってるのよユウ」

 

ユウのつぶやきに木虎はあきれて突っ込むのであった

 

「どら焼きしかなかったけど・・・、でもこのどら焼きいい奴だから食べて食べて」

 

「これはこれは立派なものを・・・」

 

「い、いただきます・・・」

 

と眼鏡女子高生、宇佐美栞にどら焼きを進められ遊真と修はお礼を言う

 

そこに伸びてくる一つの手、陽太郎が遊真のどら焼きをとらんとしていた

 

「あっ陽太郎!、アンタはもう自分の食べたじゃん!」

 

「あまいなしおりちゃん、ひとつでまんぞくするおれではない」

 

だが

 

「おぶっ」

 

遊真のチョップを食らう陽太郎であった

 

「悪いなちび助、俺はこのどら焼きというやつに興味がある」

 

「・・・・ぶぐぐ・・・・・おれのどらやき・・・・・」

 

君のじゃないだろうと心の中で突っ込むユウ、と

 

「よかったら・・私のあげるよ」

 

「・・・・!」

 

千佳が自分のどら焼きを陽太郎に進めた

 

「・・・・かわいいねきみ、けっこんしてあげてもいいよ」

 

「えっ!?、結婚・・!?」

 

突然ぶっ飛んだ話になったなとまたも内心突っ込むユウ

 

「おれとけっこんすれば、らいじん丸のおなかさわりほうだいだよ、けっこうきもちいい、こう、ゴロンってやって・・・・」

 

とカピバラ、雷神丸をひっくり返そうとするが、倒れない

 

「ゴロン・・・・」

 

やっぱり倒れない、どうやら舐められているようだ

 

「・・・・けっこんしたらさわりほうだいだよ」

 

とややべそをかいて、いう陽太郎であった

 

そして遊真が指で押すと、なんと雷神丸が倒れた、それを見てややショックを受ける陽太郎であった

 

「すごいな遊真、僕もやってみようかな~?」

 

と雷神丸に近づくと雷神丸はユウを見るとなぜかおびえた様子を見せて、逃げるように離れて行ってしまうのであった

 

「・・・・・・」

 

「ユウってひょっとして、動物に嫌われるタイプ?」

 

木虎がつぶやいた後、ユウは涙を流してシオシオとなるのであった

 

「ここはなんだか本部とは雰囲気が違いますね・・・」

 

「そう?、まあウチはスタッフ全員で10人しかいないちっちゃい基地だからねー、でもはっきり言って強いよ」

 

栞ははっきりと断言する

 

「ウチの防衛隊員は迅さん以外に3人しかいないけど、みんなA級レベルのデキる人だよ、玉狛支部は少数精鋭の実力派集団なのだ」

 

それを聞いて、修は息をのんだ

 

「君もうちはいる?、眼鏡人口増やそうぜ」

 

と眼鏡をクイっとあげて言う、すると

 

「あの・・、さっきあの迅さん・・が言ってたんですけど、宇佐美さんも向こうの世界に行ったことあるんですか?」

 

千佳が質問する

 

「うんあるよ、1回だけだけどね」

 

「じゃあ・・その向こうの世界に行く人間ってどういう風に決めているんですか?」

 

千佳の言葉に修は反応する

 

「それはねーA級隊員の中から選抜試験で選ぶんだよね、大体は部隊(チーム)単位で選ばれるからアタシもくっついて行けたんだけど」

 

「A級隊員・・・・・・ってやっぱりすごいんですよね・・」

 

「400人のC級、100人のB級のさらに上だからね、そりゃツワモノぞろいだよ」

 

修は察する、もしかしたら千佳は向こうの世界に行きたがっているのではないのかと、とそこに

 

「よう、親御さんに連絡して今日は玉狛に泊まっていけ、ここなら本部の人たちも追ってこないし空き部屋もたくさんあるから、宇佐美、面倒見てやってくれ」

 

「了解」

 

「遊真に眼鏡君、ウチの支部長(ボス)が会いたいって」

 

と二人に声をかけるのであった・・・・・・・・

 

・・・・・・・・--------・・・・・・・・

 

その後部屋から出てきた遊真

 

林藤支部長からボーダー入隊を進められたが遊真は断ったらしい

 

「そう、彼は断ったのね・・」

 

「でもどうして断ったんだろう・・・空閑にとってもいい話だと思ったのにな・・・」

 

用意された部屋で二人で聞いている修と木虎

 

一方屋上では

 

「悪いね迅さん、せっかく誘ってくれたのに」

 

「別にいいさ、決めるのは本人だ、お前が後悔しないようにやればいい」

 

ユウ、遊真と迅が三人で話をしている

 

「ユウは?」

 

「僕は受けようと思う、でも玉狛には入らない、そう決めた」

 

そのセリフにそうか、と迅は答えた

 

「・・そうだ、できれば聞かせてくれよ、今までのお前と親父さんの話、それからユウとの出会いの話」

 

「俺はいいけど、ユウは・・・」

 

「いいよ、遊真に任せる」

 

「そっか・・・」

 

ユウの了解を得て遊真うなづく

 

そして

 

『・・・・オサム、それからキトラには話しておこうと思う、ユーマがこっちの世界に来た理由を、ユウとの出会いと彼の身に起きた出来事を』

 

とレプリカと遊真から語られる遊真とユウの過去について

 

「空閑がこっちの世界に来た理由・・・!?、親父さんの知り合いに会うためじゃないのか?」

 

『・・・・今から四年ほど前、ユーマとその父、有吾は、近界民(ネイバー)の戦争に参加していた

 

 その国の防衛団長と有吾は旧知の仲であり、かつて世話になった縁と恩から有吾たちは防衛に力を貸していた』

 

「その国、カルワリアは籠城戦を得意としていたけど決して強い国ではなかった、だからトリガー使いは歓迎された、俺は親父にそこそこ鍛えられていたから戦闘でもまあまあ役に立ってたし本人前なりにうまくやっていたよ」

 

『すべてはうまくいっていた、有吾が死んだあの日までは

 

 敵の国スピンテールが雇った(ブラック)トリガー使いの襲撃を受け、遊真の人生はそこで終わった・・・・いや、終わるはずだった

 

 有吾はユーマを助けるために(ブラック)トリガーを作り、死にゆくユーマの肉体をトリガーの内部に封印し、それに代わる新しい体をトリオンで作ってユーマの命をつなぎとめた

 

 そしてすべての力を使い切った有吾は塵となって崩れて死んだ

 

 だが彼らには知る由もなかった、ユーマが(ブラック)トリガーとともに’嘘を見抜く‘という有吾のサイドエフェクトを受け継いだことを』

 

「嘘を見抜く・・・、それがあいつのサイドエフェクト」

 

『キトラもオサムも心当たりがあるのではないか?』

 

「じゃあ・・、あれはあてずっぽうじゃなくって、彼には本当にわかっていたってこと?」

 

同時に二人は思う、それはすごい力だが同時につらい力であると

 

『それからユーマは父親の代わりに戦い続けた、その日々がユーマを強くした

 

 そんなある日、攻めてきたスピンテールの部隊とそれを迎え討ちに行ったカルワリアの部隊双方が姿を消したという情報を受け、ユーマは向かった、そこにいたのは・・・・』

 

「・・おびただしい数のトリオン兵の残骸と敵味方双方の大量の死体、そこにいた人物は敵の兵士のトリオンを吸っていた・・・」

 

「『それがユウだった』」

 

その言葉に木虎は食い入る

ここからが自分が聞きたかったことなのだと

 

『ユウから聞いた話だ、ユウは今から四年半前、自分をさらった国で母親とともに兵隊として使われていた、そのある日その国にある者たちが攻めてきた、向こうの世界の闇に潜む種族、Terの部隊に』

 

「Ter・・」

 

『戦いの中で、周りの兵士はTerの強大な力の前に次々と倒されて行きユウの母親も第七位貴族、フェルドという男の手によって殺されてしまった』

 

「えっ・・」

 

「そんな・・・」

 

その話を聞いて、木虎と修は驚愕する

 

『ユウは怒りにわれを忘れ一人フェルドに向かっていったがとてもかなわず返り討ちに会い、そこでユウは致命傷を負ってしまったのだ』

 

「ええっ・・」

 

致命傷、それを聞いて木虎はつらそうな表情を見せる

 

『ユウはそこで死ぬはずだった、だがそんな彼に手をさし伸ばす一人の人物がいた、第三位貴族、クリス、女王という通称を持つ高位の貴族だった・・・・』

 

「貴族?」

 

『貴族は実質Terたちを束ねているいわば始祖のような存在で貴族は人間に自らのトリオンを与えることで後天的にTerを生み出す権限を持っていた、女王にトリオンを与えられてユウはよみがえった、Terになって』

 

レプリカの話を聞いて修と木虎が、遊真から話を聞いて迅は驚き、ユウは目をそらす

 

『その後ユウはおよそ三年間、女王のもとで様々な国を責めていき多くの戦果を残していった、だがユウは決して元の世界に帰ることをあきらめていたわけではない、だからこそ彼は一日かけて女王のもとを、Terを抜けた』

 

「そのあとユウは俺と出会った、俺の名前を聞いてもしかしたら元の世界に帰れるかもしれないと確信して、だから約束した、俺たちの戦争が終わったら一緒に向こうの世界に行こうって」

 

『ユウが加わっておよそ半年後、スピンテールは進攻を断念、のちの講和によって戦争は終結した、カルワリアの勝利だがユーマに達成感はなかった、だがユウをもとの世界に届けるという目的と向こうの世界にいる有吾の知り合いを訪ねるために、いくつかの国を渡り歩いてこちらの世界にやってきた』

 

話を聞いていた二人

 

「ユウやあの白い彼にそんなことが・・」

 

「レプリカ、空閑の体はトリオンでできているって言ったよな・・・ひょっとしてあいつの体が歳の割に小柄なのは・・・」

 

『トリオンの肉体に成長する機能はない、ユーマの体は11歳の時から変化していない』

 

「成長しない・・・ってことは、つまり不老不死・・・!?」

 

『いや、有吾のすべての力をもってしてもそれは不可能だ、指輪の中に封印されたユーマの本当の体は今もゆっくりと死へ向かっている、ユーマの肉体が完全に死んだとき、トリオンの身体も消滅するだろう、ユウも自分の力を与えたがどうにもならなかった』

 

「それでボーダーに・・・」

 

『私の目的はそうだ、しかしユーマの目的は違う』

 

修の質問にレプリカは答える

 

『ユーマは、有吾がすべてを注ぎ込んだ(ブラック)トリガーから父親をよみがえらせることができないかと考えていた、しかし先ほどの最上宗一の件でボーダーでもそれは無理だということが分かってしまった、ユーマにはもう、生きる意味での目的はない』

 

「・・・・・・」

 

そしてレプリカは修に頼みごとをする

 

『オサム、願わくばユーマに’生きる目的‘を与えてやってほしい、ユーマにはそれが必要だ』

 

一方

 

「遊真はこれからどうするつもりだ?」

 

「そうだな、こっちだと近界民(ネイバー)は肩身が狭いし・・・親父の故郷だけど俺がいるところじゃない、ユウも無事に届けられたし俺は向こうの世界に帰るよ・・・」

 

と遊真は言った

 

「俺がこっちの世界にいる理由はもうなくなった、これ以上いてもごたごたするだけだからな・・・けど、この何日かは面白かったな、久々に楽しかった」

 

「遊真・・」

 

ユウが寂しそうな表情で遊真を見る

 

「・・これからもきっと楽しいことはあるさ、お前の人生には」

 

迅は意味深につぶやく

 

遊真とユウはそれを聞いて迅を見つめていた

 

その後修は遊真の生きる目的を考え

木虎は先ほどの話を聞いて、何もできなかった自分を大きく攻めていたのであった・・・・・・・・

 

 




賽は今投げられた

それが果たして空にどのような運命を与えるのか

すべては雲に託された・・・・・・・・
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