ワールドトリガー ~ー三つの毒に侵された吸血鬼ー~ 作:lOOSPH
訪れる瞬間
だが人々は夜を恐れる
夜に潜む者たちによって
それは果たして・・・・・・・・
「ユウ、ボーダーにすかうとされたのか」
「うん、ボーダーの本部長さんにね・・
でも断った、ううん正確には保留かな
藍ちゃんと戦えるならそれもいいけれど
いかんせん僕が行動を起こせば起こすほど遊真のことがばれるかもだし
何より、今の僕の力が受け入れられるのかどうかも不安だからね・・」
ユウのとある伝手で手に入れている家にて、出かける準備をしている遊真とユウ
「ま、ユウがそう言うならそれでいいぞ、決めるのはユウ自身だからな」
「ありがと・・、ところでこれからどこに行くの?」
「学校、レプリカがなんかイレギュラー
「じゃあ僕も行こう、何か見つけられるかもしれないしね・・」
と二人は深夜、学校へと赴いたのであった・・・・・・・・
・・・・・・・・--------・・・・・・・・
二人が学校のあたりを探しているとレプリカから声が聞こえた
『ユーマ、ユウ
オサムから通信が入った
サイドエフェクトについて知りたいらしい』
「「サイドエフェクト?」」
すると、修へと通信がつながる
『サイドエフェクトとは
高いトリオン能力を持つ人間は
トリオンが脳や感覚器官に影響を及ぼして、稀に超感覚を発言する場合がある
それらの超感覚を総称してサイドエフェクトと言う、意味は副作用』
ー’副作用‘・・・
超能力みたいなもんなのか?-
『炎を出したり空を飛んだりといった超常的なものではない、あくまで人間の能力の延長線上のものだ』
「目を閉じてる間だけめちゃくちゃ耳がよくなるやつとかいたな、何百メートル先の会話とかも聞こえるんだと」
ーなるほど・・・
迅さんがやたら余裕な感じなのは
よっぽどすごい
「迅さん?
迅さんって誰?」
ーん?、ああ・・・
ボーダーの人だよ
その人からサイドエフェクトのことを聞いたから
どんなものなのかなと思って・・・-
「でもオサムが言うようなそんなすごい
まあ明日も会えるんだろ?、そん時訊いてみたらいいじゃん」
とゴトゴトとがれきを調べながら言う
するとその音が向こうにいる修にも聞こえたようである
ー空閑、ユウ、お前ら今どこにいる?-
「え?、今?
学校」
ー学校!?
こんな時間に!?-
「うん、レプリカがイレギュラー
ーいいのか、勝手に動いて?-
「まあなんか見つかったらオサムにも教えてやるよ、じゃまた明日」
と通信を切るのであった
「さあて・・
どこにいるのかな、子虫君は・・」
ユウはそう言って遊真とともに探索を続けていると
携帯の着信音が鳴り響く
「あっ、僕だ、えっと・・」
ユウの携帯にかかってきた、画面には彼の友人の名前があった
「もしもし?」
ーあ、ユウ?
ごめんねこんな夜遅くに・・-
かけてきたのはもちろん、木虎だ
「ううん、大丈夫だよ藍ちゃん、どうかしたの?」
ーうん、さっきの件だけど
実は城戸指令のほうもユウの話を詳しく聞きたいって言ってたの
あなたの都合のいい時でいいからいつかあって教えてほしいって-
「城戸指令?」
ーボーダーの最高責任者
つまりボーダーで一番偉い人よー
木虎が電話越しで説明する
「わかった、その時が来たら
そっちに顔を見せるってその人に伝えておいて」
ーうん・・、ねえユウ・・
忍田本部長があなたにボーダーの入隊を進めたわよね
私は正直に言って
あなたには入隊せずに今を平和に過ごしてほしいの・・
でも、私はユウのほうに判断を任せるわ
返事も保留にしてるってことは何か理由があるんでしょ?
私からは詳しくは聞かない、あなたが話したい時でいいから・・-
「ありがと、藍ちゃん・・」
ーい、いいのよ・・
それじゃおやすみー
「お休み・・」
と通話を切った
「木虎、なんだか最近ユウにご執心じゃないか?」
「そりゃ四年半も離れ離れだったしね・・
まあ、僕はうれしいよ
四年半も僕のこと考えてくれて・・」
「うれしそうだな」
「うん
さて・・、探索を続けますか」
と探索を再開するのであった・・・・・・・・
・・・・・・・・--------・・・・・・・・
翌日
「やっと捕まえれたね・・」
「ユウのおかげだな・・・」
警戒区域のある場所で、何かを見つけた二人
すると
「うん?」
ユウが何かを見つける
「どうしたユウ?」
「だれか来る・・
一人は修君みたいだけど・・、もう一人は・・」
とそこに訪れたのは
「空閑、ユウ・・・!?」
「おっ、やっぱり知り合い?」
「お、本当にオサムだった」
「修君?、その人は?」
修ともう一人、ボーダーのエンブレムのついた服を着ている青年がいた
「俺は迅悠一!、よろしく!」
「ふむ?、あんたが噂の迅さん」
と青年、迅悠一は自己紹介をする
「おおっ、お前か向こうから戻ってきたって
噂の子は君のことは忍田本部長から聞いてるよ
そんで、お前ちびっこいな!、何歳だ?」
「おれは空閑遊真
背は低いけど15歳だよ」
「空閑遊真・・・・、遊真ね」
すると迅はしばらく黙り込んでから口を開いた
「お前、向こうの世界から来たのか?」
その言葉を聞いて三人は反応
遊真は距離を取り、ユウは剣を抜こうとする
「いやいや待て待て
そういうあれじゃない
俺は向こうに何回か言ったことがあって
彼を捕まえるつもりはないから、剣から手を放してくれ」
そう言われて剣から手を放すユウ
「分かってくれたみたいだな
さっき俺の
「ほう・・・?」
「迅さんの
修が聞いてみる
「俺には未来が見えるんだ
目の前の人間の少し先の未来が」
「未来・・・!?」
「しいて言うなら未来視・・、そういうことですね?」
「その通り、昨日基地でメガネ君を見たとき
今日この場所で誰かと会っている映像が見えたんだ
その’誰か‘がイレギュラー
それが多分、
と遊真の頭をなでる迅であった
「じゃあ二人とも・・・
突き止めたのか!?、原因を!」
「ついさっきね
やっとこの子虫君を捕まえられたよ」
とユウは小型のトリオン兵を取り出した
「なんだこいつは・・・!?、トリオン兵・・・!?」
『詳しくは私が説明しよう』
とレプリカが出てくる
『初めましてジン、私はレプリカ、ユーマのお目付け役だ』
「おお、これはどうも初めまして」
挨拶を交わすレプリカと迅
『これは隠密偵察用の小型トリオン兵’ラッド‘
しかもこれは
昨日と一昨日の現場を調べたところ
バムスターの腹部に格納されていたらしい
ユウの探索のおかげでようやく一体掘り出せたので解析してみると
ラッドはバムスターから分離したのち地中に隠れ
周囲に人がいなくなってから移動をはじめ散らばっていき
人間の多い場所付近で
近くを通る人間から少しずつトリオンを集めることで
「藍ちゃんが言ってた
あの学校での前に起こった6件のイレギュラー
偶然非番のボーダー隊員が近くにいたから対処できたって言ってたでしょ
でもそれは偶然じゃない、むしろボーダー隊員がそこにいたからこそ
レプリカの説明にユウが付け加える
「じゃあつまりそのラッドを全部倒せば・・・」
「いや~、きついと思うぞ」
『ラッドは攻撃能力を持たない、いわゆる雑魚だが
その数は膨大だ、いま探知できるだけでも数千体が街に潜伏している』
「数千・・・!?」
「おそらく今やりだしても、何十日もかかると思う・・」
「そんな・・・」
しかし、そんな中でも
「いやー、大丈夫、間に合う間に合う」
と迅は言った
「めちゃくちゃ助かった
こっからはボーダーの仕事だな」
・・・・・・・・--------・・・・・・・・
こうしてボーダーは、迅の指揮のもと
C級隊員まで動員した小型トリオン兵の一斉駆除が行われたのであった
修と遊真やユウは最初三人で行動していたが
途中で嵐山隊と合流ししばらく行動を共にした
その道中でボーダーのほかの隊員とも交流を持ちつつ、駆除を手伝うユウ
昼夜を徹して行われた一斉駆除も見事に完了するのであった
「みんなよくやってくれた
お疲れさん!」
迅のこの一声で作戦完了の合図となった
「これでもうイレギュラー
「くあー、明日からまた平常運転だ」
「よかった・・・」
ホっと胸をなでおろす修
「しかしまさか間に合うとは、数の力は偉大だな」
「ボーダーの人たちはみんな優秀だよね」
「何言ってるんだよ
間に合ったのはお前ら二人とレプリカ先生のおかげだよ
お前らがボーダー隊員じゃないのが残念だ、表彰もののお手柄だぞ
あ、そういえばユウは忍田本部長からスカウト受けてたんだよな、どうする?」
「どうするって・・、うーんそうだね
じゃあこの手柄、修君につけといてくれる?」
「・・・え?」
突然振られてギョッとする修
「あー、それいいかもな、メガネ君の手柄にすれば
クビ取り消しとB級昇格は間違いないな」
「ま、待ってください
僕ほとんど何にもしてないですよ!?」
「でもメガネ君がいなかったら遊真たちに会えてないし、地味に重要人物なんじゃない?」
「そんな無理やりな・・・」
なおも受け止めきれない修
「いいじゃんオサム
俺とユウの手柄がなしになっちゃうじゃん」
「・・・・・・」
まだ迷いがあるように見える修
「B級に上がれば正隊員だ
基地の外で戦っても怒られないし
トリガーも戦闘用のが使える、俺の経験からいっても
パワーアップはできるときにしとかないと、いざって時に後悔するぞ」
「ですけど・・・」
「それに確かメガネ君は・・・・
助けたい子がいるから
ボーダーに入ったんじゃなかったっけ?」
「・・・!」
「・・ふむ?」
「そうなんだ・・」
それを聞いて顔を上げる修
・・・・・・・・--------・・・・・・・・
そことは別の場所で
一人の少女が歩いていた
アホ毛が立っている小柄な少女だ
そしてその少女を見つめる三つの影
その影のうち真ん中の一人は少女を見て
じゅるり、と舌なめずりをするのであった・・・・・・・・
少女は大切な友人と兄をなくしてしまう
少女の悲しみを理解した少年は
彼女を守るために手段を求めていく
だが
世界はそんな二人を導いてくれるほど
優しくはなかった・・・・・・・・