「……」
─────学園都市第一位『
「『
─────学園都市第二位『
「テメェ……第二位か」
─────『学園都市』の『闇』に住む青年───
第三学区に存在する施設、個室サロン。
中身はカラオケボックスを豪華にしたようなところで、ある種の秘密基地を、お金で買えるというシステムである。「監視の目が完全に無い」のは幸か不幸か、性犯罪の温床になることもある、らしい。
(……『グループ』。学園都市の暗部組織。そんなものが秘密裏に出来てるのか。……しかも、第一位だと?そんなものと俺が比べられてるってのか。クソ)
時間がたって冷め、気の抜けた炭酸を少し飲みつつ、
(俺が独力で調べるにも限りがある。モノは作れても情報は作れねぇ。となると……)
彼は携帯端末を生成し、
一コール。応答なし。
二コール、繋がった。
『何のつもりだ』
狙い通り、『電話の男』が割り込んできた。
「(便利だな、アンチスキル)」
「『グループ』っつったな。そいつらは何モンなんだ。俺はどうすりゃいい」
『言っただろう。我々は用済みなのだ』
「ざけんなよ。その気になればてめぇらを潰せるってことを忘れたのか」
『……「グループ」を調べ上げて、どうするつもりだ?』
「決まってんだろ。潰しに行く。この俺がな」
『……本気で言っているのか?』
鼻で笑いながら、「電話の男」は返してきた。
「あん?」
『「
「だったらどうした。俺がその第一位に勝てないとでも?」
『むしろ勝てると思っているのか』
「……、」
『お前は奴の能力を知らない。
「ンだと……ッ」
『やめておけ、とだけ言っておこう。私が言えるのはそれだけだ』
「……チッ」
手に力を込める。端末が歪にひしゃげた。
冷めたヒョロいポテトを口に含んでから、彼はサロンを出た。
十月二日、夕暮れ時。第十八学区にて、
(第一位ともあろう奴が、元気にガッコーかよ)
そんな学園都市の
但し
距離は60m。銃殺するには少し遠いか。
(やるか、いや)
思考と同時、右から烈風が襲った。
「ッッ!」
咄嗟に全身に『
しかしその鉄壁の防御は、信じられないほどに簡単に崩れた。
(コレは…ッ)
ボゴォッッ、と。
やたらと高級そうなビルに、彼の体が突き刺さった。
ビルは横向きに巨大なクレーターを作り、その中心に彼の体を埋めた。
「ッッく、」
自然と息が漏れる。
「よぉ」
久々に味わった痛覚に歯噛みしながら、声がかかった方を見上げた。
俗に言う「イケメン」と呼ぶに値するような顔立ちに茶髪の男は、両手をポケットに突っ込みながら、ゆっくりとこちらに歩いてきていた。
「
「……あん?」
立ち上がりつつ、正面から見据えた。
「使える人材なら雇ってやろうとも思ったが、そうもいかなくなってな。テメェに
「ハッ。シャレッ気ねぇ第一位に惚れ込んだクチか?イイ趣味じゃねぇな」
「違ぇよ」
二度目の烈風が吹いた。
「面」として襲ってくるはずの風は、「点」として
「『
「はん?」
「テメェが第一位を狙ってるのは知ってる。テメェに奴は殺せねぇ、おとなしく寝てろ」
「チッ!」
そこでやっと、首筋のスイッチを押した。あらゆる物質をその配下に置いた彼は、殺傷能力を含めて無限の可能性を得る。
手始めにその右肩にロケットランチャーを構築し、射出した。
ゴォッ、と大きな音が炸裂。しかし奴は、信号機の上に座っていた。
(空間移動…?いや、)
そこで、彼は見た。“奴”の背から伸びる白い羽を。
「言ったろうが。テメェじゃ俺は殺せねぇ。
「テメェ…第二位か」
「随分いまさらだな。ってわけで死ね」
羽ばたいた第二位がゆっくりと向かってきた。ロケットランチャーを消去し、代わりに拳銃を構築する。
セーフティは作られていない。
パン、と乾いた音が鳴った。しかしそれだけ。
鉛弾は真っ白な翼に風穴を開けることは無く、
「学習能力ねえのか」
高速で迫った垣根に対応が遅れた。周囲30cmの距離に強大な『
「ごッ、」
その30cmの壁をぶち破り、打撃として転用された
肺の中の酸素が一気に吐きだされた。
「かはッ」
声にならない声と同時に酸素が無くなる。一瞬の朦朧とする思考の中でなんとか演算。肺の中に酸素を直接生成して、二撃目に備える。
構えた
「クソボケなてめえに説明してやる」
「……、」
「俺の
「そしてそいつにゃ、この世の物理法則なんて常識は通用しねぇ。テメェが
『この世に存在する』物質しか作れねぇ時点で勝率はゼロだ」
「チッ…!」
「(考えろ。今ある物理法則の中で、それでも突破できる方法を考えろ……!)」
二撃目。
『
ドガガッ、と先刻背中から打ちつけられた壁が抉られる。
「とりあえずよぉ」
「……、」
「
ゴパッッ!!、と正体不明の爆発があった。
本能的に限界まで作りだされた窒素で『
「ぐッッ!」
歯を食いしばる。すんでのところで転げずに踏ん張り、両腕に大口径のショットガンを生成する。
狙いは垣根帝督ではない。
バァン!、と音が響き渡って、垣根帝督の
続けざまに二射。同じく彼の後ろの左右の柱が抉られ、支えきれなくなった圧倒的な質量が簡単に降下する。
最後に威力のみを重視した手榴弾を投げつけて、『
巨大なビルの3階から上がズシリと降下し簡単に崩れだす。しかし、
ゴパッ、と何かが爆発した。
「(さっきの攻撃か。どうやって引き起してんのかは知らねぇが、同じような不可視の攻撃をいくつも持ってるはずだ)」
同時に、崩れるビルの外壁を突き破り、真っ白な翼を広げた垣根帝督が、空から降ってきた。
「チィッ!」
「(超能力…AIM拡散力場…そうか)」
真上から蹴りおろすように降下する垣根帝督を避け、大きく距離をとってから、更に演算する。
「(
直後、特殊な機械を積んだワンボックスカーが出現した。同時にキィィ、と甲高い音が鳴り響き、両者は顔を歪ませる。
「テメェ、ソイツは…」
翼が歪に
タァン、と乾いた音が木霊する。
「キャパシティ、ダウン……か」
ドサリと、胸に鮮血の模様を広げた垣根帝督は力なく倒れた。
「嘗めすぎてたな。第二位」
「どうやら、既存の技術でも喰えるようだぜ、
吐き捨てるように言ってから隣の騒がしい機械に繋がれたコードを引き抜いた。まだ少し痛い頭を抑えながら、「消去」の演算を行う。
チョーカーのスイッチを切り、倒れている垣根を見ながら、
「……チッ、対応策は見つかったが、諸刃の剣だぜ、ったく」
トドメは、刺さなかった。
というわけで、第二位を退けました。
第一位(♀)はヒロインです。そこは譲りません。
結構傍点を多用します。ヘタしたら原作よりも……。
正直なところ、幻想生成ほどのチートキャラは居ないんじゃないかと思っています。その応用性は、今後以降も本編にて描写していくつもりです。
さて、そろそろ原作で言う15巻の内容に入っていきます。