とある科学の幻想生成《ジェネレータ》   作:レイヴン

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「『グループ』だァ?なンの話をしてやがる」

       ─────学園都市第一位『一方通行(アクセラレータ)』を保有する『超能力者(レベル5)』───一方通行(アクセラレータ)

「お前がたった一つでも俺の能力について知らないなら、お前の負けだ」

       ─────『学園都市』の『闇』に住む青年───幻想生成(ジェネレータ)



第三話 第一位

「クソ、あんの、やろ…」

 

 周囲は真っ暗。垣根帝督は、第十八学区の道の上で目が覚めた。

 

 幸い、不安定ながらも『未元物質(ダークマター)』によって心臓へは至らず、出血も止まっているようだった。

 

 垣根は堅いコンクリートの上で軽く四肢を動かし、

 

「チッ……」

 

(動けそう、だな。……とにかく『スクール』のアジトに戻るか。あの幻想生成(ジェネレータ)って奴も、一方通行(アクセラレータ)をやるにはまだ情報も時間も必要なはずだ。すぐに襲いやしねぇ)

 

(──その間に、こっちが先手を打つ)

 

 

 

 

 

 

 

 路地裏に作った巨大な壁。の中には、最低限の「居住するスペース」が設けられた空間がある。幻想生成(ジェネレータ)が持つ数多くの隠れ家のうちの一つである。彼は衣食住をその体一つで満たすことができるので、基本的に固定された居住空間は必要ない。

 

 道端をコンクリートに擬態した鉄分子の塊で塞いで、その空間に居住空間を敷いたのである。

 

 その中で、フカフカそうなベッドの上に寝転がりながら、幻想生成(ジェネレータ)は端末を弄っていた。

 

 情報を集めてみると、学園都市の暗部組織は、「グループ」のほかにも幾つかあるようだった。どれも機密レベルが高く、調べるには約一週間を要した。今日は10月8日。

 

 「グループ」は、一方通行(アクセラレータ)以外に三人、合計四人の組織のようで、特筆すべきは座標移動(ムーブポイント)か。演算こそ複雑なものの、空間移動(テレポーター)よりも高度な移動が可能であるという。

 

「まぁ、体内に異物を突っ込まれようが、なんとかなるっちゃなるが」

 

 独り言を零しながら、外の物音に気付く。

 

「…ん?」

 

「この壁だな」

 

「……、」

 

 直後、ドゴォッ!!という音が鳴り響き、鉄分子のみの簡素な壁が破壊された。

 

「見つけたぞ……!」

 

「……誰だ?テメェ」

 

 一瞬の沈黙。男は激昂した。

 

「テメェに右肩ぶち抜かれたんだよ、落とし前付けさせてもらうぞコラ!」

 

 言いつつ、金属バットを振り上げながらずかずかと入り込んでくる男。

 

「死ねやオラァ!」

 

 幻想生成(ジェネレータ)は即座に『窒素装甲(オフェンスアーマー)』を展開。振り下ろされたバットを片手で簡単に押しとどめて見せた。

 

 想像以上の衝撃によって制止させられた金属バットは簡単にひしゃげ、男の手が一瞬ガクンッ、と震える。

 

「なッ、」

 

「うるせぇな。そこまでぶち抜かれてェなら、何度だってやってやるよ」

 

 スイッチに手を伸ばしてから、45口径の拳銃を構築。その眉間に撃ち込んだ。

 

 

 

 

 室内のすべてのものを撤去し、男を置き去りに、不機嫌な顔をした幻想生成《ジェネレータ》が表へ出ていた。

 

 ここは第七学区。朝ということもあり、通学中の学生が多くみられる。

 

 無論、幻想生成《ジェネレータ》自身も学生だが、暗部で働いているということもあり、学校にはかれこれ数行っていない身だ。

 そこで見たものは。

 

「アイツ……」

 

 長点上機の制服を着込み。

 

 白髪のそこそこ長身で。

 

 赤い目をした()の肩に。

 

 手を置いた。

 

「、」

 

 女が振り返る。

 

()()()()()()()()

 

「……あン?」

 

 比較的中性的な女が、こちらを睨んだ。

 

「なンの用だ」

 

「……」

 

 なんと言うべきか、一瞬とまどった。それが仇となって、

 

 ()()は一瞬で肩の手を払うと、流れるような動作でバックステップした。杖を使っているのに、よくやるものだ。

 

「ッ」

 

 遅れた。

 

「なンの用だっつってンだ!」

 

「……『グループ』を、いや、まずはテメェを潰しに来た」

 

「『グループ』だァ?なンの話をしてやがる」

 

「はん?」

 

「(……暗部に居ることの誤魔化しか? ──いや)」

 

 

 思考がまとまる前に、第三者の介入があった。

 

 ゴォゥ、と烈風が吹いた。

 

 スイッチには間に合わない。

 

 幻想生成(ジェネレータ)は、『窒素装甲(オフェンスアーマー)』だけを展開し、おとなしく吹き飛ばされることにした。

 

「(『未元物質《ダークマター》』?いや、)」

 

 烈風がコンクリートを抉りながら迫り、彼の身体を数メートル吹き飛ばす。

 

 受け身をとりつつ最低限の衝撃を流して、首筋のスイッチを押し、振り向く。

 

 そこに立っていたのは、

 

 白髪で、

 

 目が赤くて、

 

 杖をついて、

 

 首にチョーカーを付けた、

 

 ()()()()()()だった。

 

「ンだァ、テメェ…」

 

 女の一方通行(アクセラレータ)が、それを睨みつける。

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

 男はそれを無視しつつ、明確な敵意を持って、こちらに声をかけてきた。

 

「チィッ」

 

 幻想生成は女のほうの一方通行(アクセラレータ)の腕をつかみ、後ろに押し飛ばした。敵意むき出しの男は今にも迫ってくる。

 

「テメェは逃げてろ。何だかしらねぇ内に勘違いしてたみてぇだ」

 

「待てよ、アイツは何なンだ」

 

「知るかよ。テメェのほうが詳しいんじゃねぇのか」

 

「あたしは知らねェぞ。どォいう……ッ」

 

 距離3m。

 

 離れない女の一方通行(アクセラレータ)を突き飛ばし、右手に『グローブ』を作る。銀色の無機質な、金属製手袋のようなグローブ。

 

 その右手で、男のほうの一方通行(アクセラレータ)の手を()()()()()

 

「あン?」

 

 怪訝な顔をする一方通行(アクセラレータ)幻想生成(ジェネレータ)は女を巻き込まないよう逆の方向に飛んでから、言った。

 

「“一方通行(アクセラレータ)”は2度、外界からの攻撃を受けてる」

 

 どっちの一方通行(アクセラレータ)かは関係無かった。

 

 肉を殴る音が炸裂した。

 

 反射を突き破り、グローブが彼の横顔を殴り抜いたのだ。

 

「がァッ!?」

 

 のけ反りをキャンセル。一方通行(アクセラレータ)はベクトル操作を利用して大きく跳躍し後退する。

 

 幻想生成(ジェネレータ)は右手の調子を確かめるように開閉を繰り返しながら、

 

「ひとつは木原(きはら)数多(あまた)。『反射』の防護膜に触れる直前に拳を引くことで、引いていくベクトルを内側に引き寄せさせ、その拳を届かせる」

 

「ック、ソ野郎ォ!」

 

「だが、俺にゃそんな格闘技は真似できねぇ。だからもう一つ」

 

 二度目の攻撃。首を絞めるように両手を突き出して迫ってくる一方通行(アクセラレータ)をあしらってから、

 

()()()()

 

 つぶやくと同時に、もう一度その顔を殴り飛ばした。

 

 視界の端にある女のほうの一方通行(アクセラレータ)が、目を細めた。

 

 倒れた一方通行(アクセラレータ)を見下ろしながら、

 

「AIMジャマーって知ってるか?“AIM拡散力場を乱反射させ自分で自分の能力に干渉させる事により、能力使用を妨害する装置”なんだが、例えば効果範囲を極限まで小さくしつつ、その使用を一瞬だけにすりゃぁどうなると思う?」

 

「……、」

 

 一方通行(アクセラレータ)は上体を起こし、幻想生成(ジェネレータ)を睨む。

 

 彼は嘲笑うような笑みを浮かべつつ続けた。

 

「人工的な幻想殺し(イマジンブレイカー)の完成ってわけだ。能力者に触れれば、それは一瞬で砕けたように見える。高度な演算になるが、不可能じゃぁねぇ。電力も素体も、俺自身が作れるって寸法だ」

 

「ハッ。そんな右手一本で俺を潰せるってンですかァ? ……嘗ァめてンじゃねェぞ!」

 

 足下のベクトルを操作。バキィン!!と加速度的に衝撃が広がった。道路上のアスファルトに亀裂が走り、放射状に「地割れ」を起こしていく。

 

 そんな一瞬の出来事に、幻想生成(ジェネレータ)は対応した。

 

 石、コンクリート、アスファルトを生成。それを亀裂に流し込むことで、元通りの「道」が完成する。

 

「あン……?」

 

 幻想生成(ジェネレータ)は言う。

 

「副次的な効果で、俺を止められると思うなよ」

 

 彼は自信に満ちた声で続ける。

 

「お前がたった一つでも俺の能力について知らないなら、お前の負けだ」

 

「ハッ」

 

 しかしその宣言は、簡単に吐き捨てられた。

 

「何がおかしい」

 

「たったそれだけで、本気で俺を潰せるって思ってンのか……」

 

 一方通行(アクセラレータ)は首をコキリと鳴らしながら、

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……、」

 

 彼は続けずに、足下のベクトルを操作して幻想生成(ジェネレータ)に迫った。

 

「ッ」

 

 拳が届く距離。

 

 幻想生成(ジェネレータ)はグローブで何とかしようと思ったが、一方通行(アクセラレータ)のほうが早かった。

 

 彼の反応速度を超える速さで背後にまわり、2倍の威力でその背中に蹴りを入れる。

 

「がッ!?」

 

 逆に「く」の字に折れ曲がった彼の身体は腹から反対側のビルに突き刺さった。

 

 バゴォ!と瓦礫が吹き飛んだ。

 

「お、オイ!」

 

 女の一方通行(アクセラレータ)が、ようやく止めに入った。首筋のチョーカーには赤いランプが点灯していた。

 

「邪魔すンなよ。()()()()()()()()()()

 

「ッ!!」

 

 刹那、二人の間で何かが爆発した。

 

 男の一方通行(アクセラレータ)は言った。

 

「ベクトルを互いに反射したらどォなるか、解るか?」

 

「……、」

 

「簡単だ。反射は原理的に消え去って、互いの拳が互いに届く」

 

 つまり、と男の一方通行(アクセラレータ)は前置きして、

 

「男と女。腕力は多寡が知れてる。テメェじゃ俺には勝てねェ」

 

「待てよ、テメェは何モンだ。あたしのなンだ」

 

「クローンだよ。解ンねェ奴だな」

 

 至極当然というように、男の一方通行(アクセラレータ)は答えた。

 

「テメェは10000人の妹達(シスターズ)を殺した。アイツ等だってクローンだろォが。だったら、第三位は作れて、第一位は作れねェなンてことはねェだろ」

 

「それでイイのか、テメェは……」

 

「百まで言わせンなよ、()()()()()

 

「ッ……!」

 

 一方通行(アクセラレータ)は、トドメの一撃を吐いた。

 

「テメェを殺して、俺がそこに入る。ンな訳で死ねよ、()()()()




というわけで、3話目となります。
この辺からオリジナル要素のオンパレードです。なんとか収集をつけるようにしていきますので、どうかよろしくお願いします。

次回からは原作15巻の内容になります。
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