幻想殺しと電脳少女の学園都市生活   作:軍曹(K-6)

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行間 一 引っ越しの準備中の一幕

「服も数着あるし、食料に関しては買えばいいし・・・・・・」

 

上条は窓のないビルを出て第七学区内をフラフラと歩いていた。

駅前の辺りで、常盤台中学の制服を着た御坂美琴の背中を発見した。

しかもジュースの自販機にハイキックをぶち当てては、『ここの自販機は駄目なのか。あれー・・・・・・?』などと首を傾げている。

その様子を見た上条は、そのまま気配を、存在感をゼロに近づけて、早足でその場を離れる事にした。

 

「・・・・・・君子危うきに近寄らず。また触らぬ神に祟りなしとも言う」

「何がよ?」

「お前がだよ」

 

上条は心底嫌そうな顔を隠そうともせずにキョトンとした顔の御坂を見る。

 

「何よその顔」

「お前に会ったからこんな顔になってんの」

「だから何がよ?」

「これ以上のトラブルは本当に許してください。面倒事は勘弁です」

「だから何だっつってんのよッ!?」

 

美琴はマッハで逃げようとする上条の首根っこを掴んで、その耳元で噛み付くように叫ぶ。

 

「っつーか事あるごとに会話を切り上げようとすんじゃないわよ! この前送ったメールの返信も放ったらかしだし、あれどうなってんのよちょっとアンタのケータイ見せてみなさいよ!!」

「メール・・・・・・? そんなのあったっけ?」

「あったわよ!!」

 

上条はちょっと考え、自分の携帯電話を取り出し、美琴に見せるようにメールボックスを開いて、それから小首を傾げると、

 

「・・・・・・ねーじゃん」

「あったっつってんでしょ!! ぎえ、受信ボックスに何もない!? もしかして私のアドレスをスパム扱いしてんじゃないでしょうね!!」

(・・・そもそも届くわけないだろうが。よく見てみろ。登録してる人間全員“仕事”の人間だ。それは“仕事用”の携帯電話だからな)

 

上条は一息ため息をつくと、美琴から携帯電話を取り上げて

 

「ほら、もう終わりだ。そんなに人の携帯電話を見るんじゃねぇ。個人情報とか、見られたらマズイものとかあるんだよ」

 

上条は心の中で『バラバラ死体の画像が送られてきていたりな』と付け加える。

ちょうどその時、飛行船の側面の大画面で『見えない戦争』の爪痕が報道されていた。

 

「・・・・・・どうなってんのよ。九月三十日に何が起きたかなんて知らないけど、別にこんなの望んでなかったじゃない。あの一件が引き金になったなんて言われても、当の学園都市は全然静かなモンじゃない。何でこいつら、勝手に殴り合って、勝手に傷つけ合ってんのよ。黒幕は顔も出さないくせに、こいつらだけが苦しめられるなんておかしいじゃない」

「・・・・・・、ほんと。常盤台なんて顔だけでバカだな」

「は?」

「いいか。どうもお前は、『この一連の騒動には背後に誰かがいて、そのたった一つの原因を取り除けばすべて元通り』なんてくっだらねぇことを望んでるんだろうけど。もう黒幕なんていないんだよ。確かに全ての元凶となった九月三十日の事件を起こした犯人ならいるだろうけどよ。その時点で、綺麗に止める事ができていればその方法で何とかなっているだろうけどな。ただただもう『遅い』んだよ。もう火は付いてしまってる。山火事はこれだけ大規模に広がってしまっている。この騒動を止めたいんだったら」

 

上条はそこで言葉を区切って、

 

「ニュースを報道するもの、騒動に一度でも加わったものを全て消すしかないんだよ。大げさでも何でもない。これ以上騒ぎを広げたくないなら。火の回った山を、山ごと消し飛ばすしかないんだよ。悪役はたった一人? そう思うんならお前は何も知らない表の住人だ。人間の裏を一度でも見た人間はそんなことは言えない」

 

 

―――子供が考えたところで、答えは出ないんだよ。

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