幻想殺しと電脳少女の学園都市生活   作:軍曹(K-6)

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アビニョンでの一幕

上条はきりもみ回転をして落ちていく貴音について近くの川にかかる橋の上に着地した。貴音も何とか(一度水面をなぞったが)橋の欄干に着地した。

 

「しかし大きな川だな。一〇〇メートルぐらいあるんじゃねーの?」

「・・・ですね」

 

貴音はまだ空の女王の状態が解けていないのだろう。彼女の姿は天使そのものだった。

上条の神々の義眼と似たような赤い眼が、彼を見つめていた。

 

「はふっ」

「おとっ」

 

急に力が抜けたのか、貴音は空の女王の状態から元に戻ると上条に体重を預ける形になった。

 

「大丈夫かー?」

 

そう問いかけながら上条は周りを見るが、人はいなかった。デモや暴動を恐れて外出を控えているのかもしれない。

と、その時。バゴン、ガゴン、といった、とにかく重たい感じの何かが外れる音がする。

 

「「・・・・・・へ?」」

 

上条と貴音が顔を合わせて見ると、彼らが今いる橋の片側が、すでに崩れていた所から更に崩れ始めていた。

 

「「おっ。おっ。(^ω^ ≡ ^ω^)おっおっおっおっおっ!!」」

「・・・って」

「そんなこと言ってる場合じゃないですよ・・・・・・」

「「逃げろぉぉおおおおおおおお!!」」

 

全速力で逃げ出した上条達は崩れ行く石橋を振り返っていた。

 

「アジャパー」

「これ、私達のせいですかね・・・・・・」

「さあ・・・。元々崩れてたし・・・。大丈夫なんじゃね」

「あれ? あれって・・・、天草式の五和、でしたっけ」

「ん? ああ」

「いっつわさーん」

「あ、え?」

「お久しぶりですね!」

「あ、はい。ご無沙汰しています」

 

現在は他の天草式メンバーと同様、ロンドンで生活しているはずだ。特別な何か用がなければフランスにいる訳がない。

 

「なぁ五和。もしかして、お前もC文書を?」

「へ?」

「ほら、あれですよ。世界中のデモ・抗議活動に関わっているっていうあの」

「どっ、どうしてそのことを知っているんですか!? た、確かに私達はC文書について調査を行っていますけど。私達天草式がようやく探り当てた糸口をそんな簡単に!? 流石は元女教皇様を拳一つで殴り倒した御方ですっ!!」

(・・・というか。原作の上条当麻はボロボロに負けただろ・・・。何で殴り倒した、なんて話になってんだ?)

 

何やら瞳をキラキラさせている五和だが、上条は我関せずと言った調子で思考を巡らせる。

 

「それより、あなたは日本の学校は大丈夫なんですか?」

「ん。大丈夫だと思う。今日中にコトを終わらせれば」

「五和さんは、何か聞いていませんでした?」

「私達は、その。イギリス清教からの要請を受けて、フランス国内の地脈や地形の魔術的価値などの調査を行っていたんですが」

 

上条と貴音は適当に聞き流しかけて。

 

「「私『達』?」」

「ええ。天草式十字凄教の戦闘メンバー五十二名。総員でフランス国内の主要都市を洗っています。私はこのアビニョンを担当しているんですけど」

「そっか。ここ、アビニョンっていうのか」

 

上条は何故か納得したように呟くと、答えを口にした。

 

「じゃあ教皇庁宮殿が怪しいな」

「ほえ? 何故ですか?」

「C文書はバチカンでしか使えない。なんて条件は、俺がここ、アビニョンに落とされた事で間違いなく覆される。だったら、教皇庁なんて名前がついてるそこが怪しいだろ」

「・・・・・・行ってみますか」

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ」

 

歩き出した上条達に五和が慌ててついてくる。

 

 

 

 

―――と、暴動が道を塞いでいた。

 

「・・・・・・なんか、怒ってません?」

「俺達が日本人だってバレてるんだろうな」

「敵だと認識してる訳ですか」

「だな」

「ご主人。何とかなりませんか?」

「お前が何とかしろよ」

 

こちらへ走ってくる連中を前にして上条達は解決人の押し付け合いをしていた。その横で五和はオロオロしていた。

 

「・・・・・・しょうがねぇ。二人同時にやるか」

「・・・・・・ですね」

 

上条はボンゴレギアを纏った両手を前方に構え、貴音はモード空の女王で黒塗りの弓を引いていた。

 

「・・・XX BURNER」

「・・・APOLLON(最終兵器)

「「・・・お互い最強の武器だな」ですね」

 

瞬間爆音と線香が通りを埋め尽くした。

家庭教師ヒットマンREBORN! 主人公の死ぬ気の炎 最強の攻撃、XX BURNER。

そらのおとしもの 最強のエンジェロイド。イカロスの国一つを吹き飛ばす、APOLLON。

二つの巨大すぎるオーバーキルすぎる攻撃が、町の一角の通りに放たれていた。

しかしそれは、誰も殺していなかった。

 

「あまり派手にやりすぎると、敵が危機感抱くぞ? エネ」

「はァ? ご主人の方が派手でしょうが」

 

土煙の中を堂々と突き進む上条たちは、ポケットに手を入れていたり、腰の後ろで絡めたりと、緊張感は既に無くなっていた。

その時、唐突に上条のポケットにあった携帯電話が着信音を鳴らした。

土御門からだった。

 

『カミやん、そっちは大丈夫か!?』

「おう。大丈夫だが? そっちは? 暴動に巻き込まれたりするのか?」

『今は教皇庁宮殿って建物に向かってる最中。このフランスでC文書を扱える場所っつったらあそこぐらいしかないだろうしにゃー』

「おっ♪ やっぱり。お前もそこに向かってるんだな」

『?』

「ってこたぁ。俺の予想もあながち間違ってなかったわけだ」

『そりゃそうかもだが・・・。カミやん、どうして教皇庁宮殿の事を知ってる? 確か説明する前に飛行機から飛び降りたはずなんだがにゃー』

「こっちは天草式の五和ってヤツと合流してだな。色々推理してたんだ。さっき暴動を一つ消したところだぜ」

『そうか。こっちも似たようなもんだにゃー。ま、()()()()()。アビニョンの細い道と人の波を使った暴動ってのは、相性が良すぎる。真っ向から突っ込むだけじゃ本命には近づけもしない』

「ありゃ。近づかないで解除する方法ってあるのか? 流石に、これ以上騒ぎを大きくするわけには・・・」

 

上条は周りに集まってきている連中を一瞥しながら言った。

 

『ある』

「あるのか」

『逆転の発想ってヤツだな。教皇庁宮殿へ行けないなら、教皇庁宮殿に行かずに問題を解決できる方法を使えばいい』

「えっと・・・・・・どういうことだ?」

 

殴りかかってきた人間の波の中にきれいに消えた上条と貴音は五和も連れて路地裏に身を隠す。

 

『その天草式のヤツから少しは話を聞かなかったか? ―――って事で問題です。アビニョンの教皇庁宮殿が重視されている理由は何でしょう?』

「そりゃー。バチカンにある施設を遠隔操作できるからだろ? だからC文書もここで扱う事ができるって。あ、そっか。その線を切ればいいのか」

『ご明察。そいつを切っちまえば連中はC文書を扱えなくなるはずだ』

「なるほど。それじゃあそいつをぶっ壊しちまえば早い訳だな」

『そうなるが。パイプを見つけるのも壊すのも時間がかかるぞ?』

「そんな馬鹿なぁ。見つけるのは貴音がいるし」

「はいな!」

「ぶっ壊すのは俺の右手がありゃ十分だろ」

『それなんだが・・・。カミやんの幻想殺しで、本当に地脈が消せるのかは分からないな』

「は? いやいや、地脈って魔術的なものなんだろ?」

『それなんだが』

 

土御門は遮るように言う。

 

『どうも、カミやんの右手は正体が掴み切れてないんだよな。魔術でも超能力でも何でも打ち消す・・・・・・とは言うが、例えば・・・・・・そうだな。人間の「生命力」だってオカルト的な力だが、カミやんは握手をしただけで人を殺せるって訳ではないだろう?』

「それは・・・・・・」

「・・・出来ますよ」

『「「え?」」』

「・・・やろうと思えばご主人は、相手に触れるだけで「生命力」をゼロにすることはでき・・・ます・・・」

「言いたくないなら言わなければいいんだぞ?」

『・・・というか。何でカミやんより貴音っちの方がカミやんの右手について詳しいんだぜい?』

「「それは・・・・・・」」

 

二人そろってその場にいない土御門と目を合わせないようにしてしまう。

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