幻想殺しと電脳少女の学園都市生活   作:軍曹(K-6)

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『王室』『騎士』『清教』派編
何気ないやり取りの違和 Irregular_Spark.


イギリス方面で不穏な会話が交わされている事など露知らず、吸血鬼兼人間の高校生、上条当麻は本日最後の授業を終え、HRが始まるまでの短い休み時間を満喫していた。

学園都市では十一月に控えている超巨大文化祭『一端覧祭』の準備をそろそろ始めるぞーという気配がさざ波のように近づいてきている。

色々あって中間テストが中止になり、心に余裕がある所も拍車をかけているのだろう。

教室全体のテンションがなんとなく上がっている。そんな中、上条当麻は、

 

(分体として入院させておいた俺の分身が、御坂と接触してたとはなー。ま、俺が駆けつけたって言う証拠を作るためこっちに向かわせて回収したけど・・・)

 

上条は分体から受け取った記憶を思い出していた。

 

―――第二十二学区第七階層でのこと。

 

「とっ、とにかく、行くわよ、病院に! アンタ口で言っても聞かないんだから、ちゃんと病院に戻るまで見逃したりはしないわよ!!」

「・・・そう、か。知っちまったのか、お前。でも、違うんだ。俺、記憶がないから詳しい事は分からないんだけどさ。以前の自分なんてものは思い出せねーけど。どんな気持ちで最期の時を迎えたのか、もうイメージもできないけど。だけど、ボロボロになるとか、記憶がなくなるまで戦うとか。自分一人が傷つき続ける理由はどこにもないとかさ」

 

「多分、そんな事を言うために、記憶がなくなるまで体を張ったんじゃないと思うんだよ」

 

「昔の事なんか思い出せやしないけど、だけど、思い出せなくても、その欠けた部分のおかげで俺はここにいる。もう覚えてすらいない頃の俺が、今の俺を動かしてる。残っているんだよ、『(ここ)』じゃなくて『(ここ)』に。だから俺は、“上条当麻”を思い出せなくても、俺を思い出せなくても、俺がやろうとしていた事、俺がやるべき事ならきちんと分かってる」

 

上条の体の傷がどんどん治っていく。そして病院の服が彼の普段着に再構成されていく。

 

「御坂。お前は首を突っ込むな。人任せて良い事じゃない。強制されてるわけでもねーけど。でも、だからこそ俺がやらなきゃなんねーんだ。例え、死ぬ気になってでも」

 

 

(―――う~んマンダム。ありゃ絶対フラグ立ったね。鈍感系主人公? 何それオイシイの?)

「にゃーっ。カミやん。そろそろハッキリさせておこうぜーい!」

 

真剣(?)に悩んでいる上条の元に土御門がピョーンと飛んでくる。

 

「・・・ハッキリさせるって? 何をだよ」

「それはもちろん決まってるんだにゃー! カミやんと貴音っちが同棲してるのかどうかだぜい!」

「「・・・は?」」

 

トイレから帰ってきた貴音と、上条が声をそろえて驚いた。

 

「この前ウチの舞夏がカミやんの家に突撃するその一歩手前で、カミやんの部屋から貴音っちの声がしたんだけどにゃー?」

「たまたま来てただけだよ」

「ふーんそうか。それならカミやん。こっちも最終兵器を使わざる終えないぜい」

「最終兵器・・・だとっ!?」

「い、一体何を持ってると言うんですか!」

「防犯のためといって俺んちのドアの前に仕掛けたカメラ。あれは()()()()カミやん家のドアの前も撮しちゃってたんだぜい」

「・・・あのカメラかっ!」

「そこに撮された、数週間に及ぶ帰宅・出発の瞬間を、見せてやっても良いんだぜい?」

「・・・何故、そこまでして俺達を・・・・・・」

「・・・なーに、我々はただ真実が知りたいだけです」

「上条!!」「榎本さん!!」

「お前が!!」「あなたが!!」

「「榎本さん(上条くん)と、一緒に住んでるんじゃないかってことをね!!」」

「・・・」(どうするよ)

「・・・」(言った方がスッキリするってこの事ですかね)

(・・・でもよ。こういう場合否定したら追求されて)

(肯定したら怒られる。ってパターンですよね・・・)

((・・・えーっと、どうする?))

「・・・あー」

「えー」

「「どうなんだ!?」なの!?」

「「Exactly」」

 

 

 

 

 

 

それとなく体中に埃や擦り傷を作った上条当麻と榎本貴音が街中を歩いていた。

 

「ご主人・・・。私疲れました・・・」

「ああ。だがな貴音。俺の予想だと、今日は英国(イギリス)に行くことになりそうだぞ」

「えぇ!?」

「なるほど、ユーロトンネルの事件で禁書目録の呼び出しか」

「ああ。そんな所だろ」

「・・・・・・英国か。久しぶりだ」

「・・・アーカード・・・。先に言っとくが、国教騎士団があるとは限らないからな?」

「ふっ。楽しみはいくつ持っていてもいいものさ」

「あらそう」

 

そこで上条は振り返って、

 

「こそこそ後をつけてる土御門さんに案内してもらいましょうかね。イギリスへの行き方を」

「・・・土御門さん?」

「ほう。あの時のグラサンか」

「に、にゃー。お三方、そんな怖い顔で睨まれたら土御門さんのお口も閉じちゃうぜい?」

「なら無理やり・・・って言いたいところだが、推測するに俺が学生寮から引っ越しちまったから住所を調べて何かしらの仕掛けをするつもりだったな?」

「うっ」

「そんなことしなくても素直に行くんですけどねー」

「うぐぐ・・・。それじゃあ説明するぜい」

「ここでか」

 

上条の問いに土御門は『ここでだにゃー』といって話を始めた。

 

「それじゃあ簡潔に。イギリスに行ってくれ」

「でもどうやって」

「飛行機はこっちで用意しておいたから。第二十三学区に着いたら、国際空港の第三受付にあるクロークサービスで三二九三番のロッカーの荷物を受け取れにゃー。パスポートとか必要なものは全部そこに入ってるから。学園都市のIDがそのままクロークの番号札代わりになってるから、受付に上条当麻って名乗れば荷物は出てくるぜい」

「ん、了解。よし貴音、インデックス呼んでこい。レディリーは呼ぶなよ。あいつはいろいろと面倒だ」

「はーい」

 

 

「・・・ちなみに。飛行機は超音速旅客機だぜい」

「・・・・・・私もお留守番していいですか?」

 

インデックスを連れてきた貴音に止めが刺された。逃げようと後ろを向いた貴音を上条が捕まえる。

 

「離して、くださいっ!」

「ほら、行くんだよ」

「い・や・で・す!」

「じゃあ寝てろ」

 

上条はそう言うと、貴音の目を見つめる。すると貴音が気を失った。

 

「・・・ほう。吸血姫相手に魔眼を使えるのか」

「常識だ」

 

言いながら上条は影から棺桶を引きずり出すと中に貴音を詰める。

 

「どうせ貸し切りだろ? だったらこれぐらい乗せられるだろ?」

「あ、ああ」

「んじゃあ行くぞ、インデックス」

「う、うん。分かったんだよ」

 

 

 

 

 

 

英国。ロンドンへと着いた超音速旅客機の機内で上条とインデックスは目を回していた。

 

「・・・絶対こんな時間で着くのはおかしいんだよ・・・」

「最大時速七〇〇〇キロオーバー。相変わらずのオーバーテクノロジーだよな・・・。というか、インデックスは何でそんなにフラフラしてんだ?」

「とうまが途中でちょーおんそくひこーきのドアを開けたからなんだよ! どうしてそんなことしたのかな!?」

「虫の知らせって奴だ」

 

上条は超音速旅客機の貨物室から棺を取り出すとその場で開ける。

 

「ぐふっ・・・・・・。つ、辛かったです」

「はいおはよう貴音。さて、どこに集合するのかね」

「さあ?」

 

実は搭乗口近くで五和が待っていたりするのだが、彼らは荷物として乗せた貴音を受け取るために別の出口を通って空港を出たので、まったく行き先がわからないでいた。

 

「・・・さてさて、どうしたものか・・・・・・」




いよいよ十七巻。イギリスカーテナ編ですよぅ。
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