幻想殺しと電脳少女の学園都市生活 作:軍曹(K-6)
「・・・・・・アンタ。そんな性格だっけ?」
「あん? 前方のヴェント・・・お前、生きてたんだな」
「不本意ながら、なるべくアンタとは会いたくなかったんだけど・・・。どうしたの、あんな簡単に、しかもカギを渡しちゃうなんて」
「何だろうな。俺の、記憶に内部分から“こうしろ”“こうしろ”って声が聞こえてくる気がしてな。さて、そろそろ鬼ごっこの再会と行こうか!」
「一つだけ聞かせて欲しい」
「・・・んだよ」
「アンタは、何がしたいの」
「
「それって
「インデックスぅ? 残念だけど違うさ。それと、悲しいけどこれ、戦争なのよね」
「・・・何当たり前の事言ってるの」
「じゃあ最後にフラグ立てていくわ。俺、この戦争が終わったら結婚するんだ!」
「「「「ちょ、それ死亡フラグ!!」」」」
そう言い残し、上条は雪原を駆け出した。
▽
「さっきも言ったけどさ。暇が売れたら大分儲けが出ると思わねぇ?」
「・・・まず暇を買い取ってくれる人がどこに居るのかな。それと、戦時中にそんな事を口に出来るって、やっぱりとうまはおかしいよ」
「そうかー?」
上条は泉こなたと雪原を歩いて居た。移動中の話し相手に上条が選んだのだった。エネをとある用事で連れて歩けない状態の上条は先程より、命のストックから『誰か』を引き出して話し相手にしている。
そんな彼の目の前を、岩が高速スライドしていった。
寒さを感じる事のない命の影のこなたが、セーラー服のスカートを押さえている。
「な、何?」
「お客様だぜ」
そう言って上条が見る方向には、黒い何かがうごめいていた。
「なんでそんな事になってんだよ・・・・・・白夜」
咆哮とともにさらに広がった翼は、壮絶な武器となって上条の頭上へと振り下ろされる。
轟音が炸裂した。
「うるせー」
左手で耳を塞ぎながら上条は言う。その右手で漆黒の翼を吹き散らして。
白夜が笑ったのが上条も遠目で分かった。
そして、横薙ぎの一撃が振るわれる。
(っ。消せるか!?)
速攻でその一撃に右手を合わせた上条だったが、バランスが悪かったのか少し横へ揺らぐ。
「次は恐らく・・・圧倒的物量と威力で潰しに来る・・・!」
上条がそう覚悟した瞬間。その通り、絨毯爆撃のように黒い翼が降ってきた。
(ヤバっ! 右手一本でどうにか出来るか!? やるっきゃねぇ!)
上条が右手一本でそれに対処する中、対処しきれなかった一撃が上条の左斜め上から襲いかかってきた。
「ゲッ・・・マズゥ・・・・・・」
その瞬間。上条の左腕が、
ドゴッ! と、黒い翼から上条の体を守るように左腕が翼を受け止め、吹き飛ばした。
そう。
文字通り吹き飛ばしたのだった。得体の知れない力のようなモノが吹き出し、黒い翼を消した。
(なん・・・だ・・・・・・。今の・・・・・・、右手・・・じゃないのに・・・・・・? まぁ、良いか)
上条は二本の足で踏ん張って、
「ははははは!! ぎゃはははははははははははははははははははははははっっっ!!」
笑う白夜の翼に、莫大な力が集まっていく。
「カカ♪ クフハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハっ!!」
上条はつられて笑いながら全力で跳ねる。地面を蹴らずに、最初の跳躍だけで白夜へ突っ込んでいく。
もう小手調べではない。
本当の激突が始まった。
白夜が取った行動はシンプルだった。
背中から生えた漆黒の翼を、二本とも上から下へ振り下ろす。
それで、上条の視界は土砂で覆われた。
(なーるほど。俺を土砂で潰そうってか)
上条が取った行動もシンプルだった。
正面突破。振ってくる岩を体に受けながら、その吸血鬼としての驚異的な再生能力で突き抜ける。
「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!!!」」
二つの叫びが重なった。
上条の拳は白夜には届かない。
だが、その眼前の空気を叩き潰し、爆発的な衝撃波を生み出した。
その威力に白夜の体は吹き飛ばされ、振るわれた黒い翼の軌道が変わり上条も吹き飛ばされた。互いが雪の上から素早く起き上がり、それぞれが距離を詰めるために拳を握って最短距離で突撃していく。
「何でだよ!! 何で誰もあのガキを助けてくれねェンだよ!! お前はヒーローだろォが! あの『実験』を『事件』を拳一つで止められたほどのヒーローなンだろォが!! だったら助けろよ!! 他の誰にもできねェ事ができンなら、そいつをちっとはあのガキに向けてやれってンだよォ!!」
(・・・は? 急にどうした。打ち止めになんかあったのか?)
「俺みてェなクソッたれな悪党が今まで立ち上がっていた方がおかしかったンだよ!! どォ考えたって場違いだろォがよ!! ヒーローなンかなれるわけがねェだろ!! 何をどォしたって、俺は血みどろの解決方法しか選べねェンだよ!! 何で俺がこんな事をしなくちゃならなかったンだ!! お前みてェなヒーローが駆けつけてくれたら、最初っからこンな間違いなンか起こらなかったンだ!! あのガキだって、あンなに苦しむ事はなかったンだよォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
「・・・・・・そんな事ォォ。知ィるかァァァアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
上条の咆哮は白夜の意見を完全にぶった切った。
「ヒーローなんか必要ねぇだろ」
吐き捨てるようにその言葉は紡がれた。
「俺みたいなただの化け物が、そんな大層な人間に見えるのか? 善人? 悪人? ふざけるんじゃねえ。んな位置に立ってなきゃ、誰も助けちゃいけねぇのか!! 目の前で泣いてほしくない人が泣いてるんだ! 助けてくれって一言を言う事も出来ずに、唇を噛んで耐えている人がいるんだ。それだけで十分だろ? 立ち上がって良いだろ! 特別なポジションも理由もいらねえ。それだけあれば、もう盾になるように立ち塞がったって構わえだろうがよ!! お前が何を守りたくて、どんな風に傷ついてきたのかなんて詳しい事は知らない。だが、打ち止めを守りたかったんなら胸を張って守れよ!! 今この時、守りたいって思える事を誇りに思えよ。お前の人生だろ? お前が決めろよ! 自分の手で守りたいんならそうすれば良いし、見捨てたいんなら全部持ち去ってやる。だがな、おまえ自身は何をどうしたいんだよ!! 本当にそれで良いのかよ!! 大して知りもしない人間を勝手に持ち上げて、そいつに自分の一番大切なものを預けて、それで全部満足できんのかよ!!」
白夜の攻撃が上条に直撃する。が、先程と同様、右手だけでなく、左手が攻撃を防いでいた。
「お前が選べよ・・・・・・。このままお前の手で守り続けるのか、
上条の拳が、白夜の顔面を捉えた。
その時白夜は見たのだった。上条の左手首。星のようなモノが輝いていたのを。
「・・・・・・さて。じゃあやりますか」
上条はフラフラとした足取りで打ち止めに近づきその側にしゃがみ込む。
「こういう事は貴音の方が得意だろ・・・・・・なのに」
【「私はご主人からやり方を教わっていたので、ご主人の方が上手いはずですよ!」】
「あんな事言うんだろうか・・・」
上条はとりあえず風邪を引いたようになっている打ち止めのおでこに右手を当てる。
それだけで、表面的に現われていた
(えーっと。禁書目録の知識と照らし合わせて・・・・・・、あーもうこの力アレイスターとかエイワスとか関与してるだろ! じゃあ、えーっと・・・エイムの超能力・科学知識も借りて・・・それで・・・・・・)
エネが魔術の解析をする方法が上条と同じなら、上条の能力を使って同じ事をしているはずだ。つまり、彼が記憶を失う前はどれだけ万能だったのか、と言う話になってくるのだが。
(・・・・・・あー。これはインデックスに任せてみるか。科学の方は経験で何とかなったが、魔術は無理だ! こんな精密に生命活動を維持させたまま魔術を消すとか不可能だろっ!)
【「大丈夫。私達は信じてるから」】
【「絶対帰ってくるんだぜ。バカ当麻」】
【「安心しなさい○○○。当麻は誰よりここを愛しているから」】
【「行ってらっしゃい。当麻、お姉ちゃん」】
「・・・・・・ッ?!」
上条は突然脳裏によぎった見た事ない映像に、思わず右手を離しかけた。
(・・・な、んだ・・・? 今の・・・神社? 魔女? コスプレ? これが・・・エネが言っていた俺の故郷・・・? 俺の目的・・・・・・?)
上条はとりあえず気持ちを落ち着かせると、紙に『Index-Librorum-ProhiBitorum』と書いて立ち上がる。
「責任転嫁・・・になっちまうな。この、白夜の願いを叶えるためには、インデックスを無事に救わなくちゃならなくなったわけだ・・・。あー面倒くさい」
上条さんが記憶を取り戻しつつあります。
そう簡単に思い出せる訳ないですけどね!(ゲス顔)