幻想殺しと電脳少女の学園都市生活   作:軍曹(K-6)

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学園都市に入学した初日のお話。


リメイク後の変更点。
アレイスターのプランの存在。
貴音の口調。


統括理事長との出会い

上条当麻と榎本貴音は東京西部に存在する学園都市に数ある小学校の一つ、彼等が入学予定の学校の入学式に出席するために、神奈川にある彼等の親元を離れ二人だけ訪れていた。

両親が着いてきていないのは、学園都市の警備がそれだけ厳重であることを示すと同時、未成年が対象の“学生の街”であることがよくわかる。

本来であれば、親元を離れることなく地元の学校に通うこともできたのだが、上条が呼び込む不幸によってあらゆる人から呼ばれるようになった、疫病神という名が再び呼ばれることのないように、科学が発展しオカルトが信じられるケースが少ない学園都市に親によって送られたのだ。

 

「・・・ここが、俺が暮らす街・・・か」

「みたいね」

 

首が痛くなるほど見上げなければいけないその壁を越えた先で、上条はそんな感嘆の声を漏らした。

外とは二、三〇年科学技術が進歩しているとよく言われるその街は、上条が予想していた鉄道パイプラインや建築格納機能は実装されていないようだ。それでもセキュリティ面で言えば恐ろしいほど厳重な管理体制が引かれているのは簡単に見て取れる。

上条当麻は小学一年生、榎本貴音は小学二年生だが、二人は同じ小学校に入学・転学することになっていた。それぞれ別学年別クラスで挨拶を終えた後、入学式に出席する。そして、そのあと上条は一年生全員、貴音と二年生数人そろって校内の施設へ連れられた。

 

「・・・何ここ」

「ここは超能力開発施設。簡単に言えばすごい力を発現させる機械よ」

「へぇ~」

 

上条はもちろん。貴音も同様に半日で得られた成果は無能力者(レベルゼロ)判定だった。もし上条達の持つ能力が完全に解析できていたとしたら、超能力者以上の存在に判別されるのは確定事項だろう。

だが、学園都市の能力開発はあくまで一人につき一つまで。異質すぎる能力は確認されず、能力も発現しなかった故、上条と貴音は無能力者というランク付けをされた。

 

「はぁー・・・。無能力者かぁ・・・」

「仕方ないわよ。ここの能力じゃあないんだから」

「諦めるしかねーのかな。最強の能力者・・・」

「最強の無能力者ってのもカッコイイと思うわよ」

「マジで!?」

 

上条は貴音のそんな言葉に、子供っぽく笑いながら未来への展望を想像し、目を輝かせていたが。ふと視界の端にキャソックを着た神父のような風貌の男達が、辺りをキョロキョロすると言う挙動不審な態度をとりながら路地裏に入っていくのを横目で見かけた。

 

「なぁ、貴音ちゃん」

「んー?」

「あれ、怪しくネ?」

「あー。サイエンスにカトリックはないわー」

「変装という概念がないのだろうか」

「ないんでしょ。聖職者様にはね。どうする? 首を突っ込むの?」

「そうだな。行ってみようか」

 

戦闘準備を済ませて、上条達は男達に気付かれないように路地裏に入っていった。

 

 

 

 

―――学園都市、路地裏。

 

「・・・ハァッ。・・・ハァッ」

「・・・こっちだ! こっちの方へ逃げたぞ!」

「くそっ、あの野郎どこへ行きやがった」

(・・・しくじった。まさか“ヤツら”が待ち伏せしているとは・・・! まさか統括理事会の連中に内通者が・・・!?)

 

大人か子供か、女か男かすら分からない。“人間”は逃げていた。肩と脇腹に傷を負い、もう体力も残りわずか。そんな状況でも、その“人間”は逃げ続けていた。

相手は学園都市の近くで“人間”を待ち伏せしていた。超能力とはまた別の能力『魔術』を使う魔術師だ。キャソックに身を包んだカトリックの神父達だ。

 

(・・・・・・! 行き止まり!?)

 

逃げ続けた“人間”が逃げ込んだのは路地裏の突き当たりだった。少しばかりのスペース。入口は交差点のようになっているが、三方向全てから敵がやってくる。もう逃げ道はない。

 

「・・・くっ!」

「・・・・・・はっ。追いつめたぞエドワード=アレクサンダー!」

「最高にして最低の魔術師であるお前もこうなっちゃおしまいだな!」

 

もう窓のないビルへ戻る気力もない。この体は壊れてしまうのだろうか。アレクサンダーは柄にもなくそんな事を考える。

 

 

 

 

だが。

 

 

突如、アレクサンダーから見て左側の魔術師の頭が文字通り吹っ飛んだ。まるで頭に小型の爆弾でも埋め込んでいたかのように。

 

 

 

 

 

上条当麻は路地裏で魔術師達の様子を、遠くのビル影に隠れて眺めていた。

 

「どうやら、誰かを追い詰めているようね」

「エドワード=アレクサンダー・・・・・・?」

「またの名をアレイスター=クロウリー」

「恩を売っておいて悪い相手じゃあねーな」

 

そう言って彼は影から取り出したリボルバーの装飾銃に弾頭が赤く塗られた特殊弾を装填する。

 

「恩を売る・・・?」

「コネってのは持っててなんぼってね」

「俗世を追われたエドワード=アレクサンダーがそんな物を持っているとは思えないけど・・・・・・」

「でもなんかスゲー魔法、一つぐらいは教えてもらえるかもしれないだろ♪」

「楽しんでるでしょ」

「あ、分かる?」

 

貴音は上条のそんな様子に思わず首を横に振るが、彼はそんな事気にした様子もなく自分達から一番近い魔術師に照準を合わせ、何の躊躇いもなく引き金を引いた。

撃ち出された弾丸は、魔術師の頭部に着弾すると同時に小規模の爆裂を起こし、首無しの死体を作り上げた。

 

炸裂弾(バーストブレッド)っ」

R-18G(グロテスク)な光景ね・・・」

「・・・・・・なっ! ○○○!!」

「・・・誰だ!」

「何しやんがんだてめェ!」

「ゴミ掃除だよ。吹きだまりに相応しくしてやるよ。大人しくしてろよ、ゴミ共」

 

アレクサンダーの位置からは姿は確認できないが、少年のような高い声とそれに似合わぬ鋭い殺気が伝わってくる。もし彼が擬音を聞きとる事ができたらゴゴゴゴゴゴなんて音が聞こえていただろう。

 

「このガキがッ!」

 

激昂した魔術師の一人が、己の手の平に巨大な炎球を生み出す。思わずアレクサンダーも息を飲んだ。不本意だが自分は戦えない。乱入してきた少年に勝ち目はないだろう。

が、アレクサンダーの予想を大きく外れ、少年の声は『へぇ』と言っただけで自分が凶器を向けられているのも分かっているはずなのに、容赦なく銃を乱射した。

その銃弾は魔術師達の心臓・脳を正確に打ち抜き、炎球もかき消してようやく止んだ。

少年は人を殺したのを全く気にも留めていないのか、物言わぬ骸となった魔術師の成れの果てを蹴り飛ばしながらアレクサンダーの視界に入ってきた。

 

「エドワード=アレクサンダーを狙ってるっていうからどんなヤツらかと思ってみれば・・・、期待を大きく下回ってくれやがって」

「目先の利益に飛びついて、組織にも秘密にしたまま自分達のグループだけで来たのよ。きっと」

「・・・・・・君達は、一体・・・」

「んー? 通りすがりの小学生さ」

「うわっ・・・。酷い怪我」

「貴音ちゃん。治療、できるか?」

「一般的な術式で良いんだったらね」

「術式・・・? 君達は魔術師か!?」

 

貴音は地面にポケットから取り出したお札を張り、龍脈を通して力を引き出して術式を完成させる。その術式の効果は凄まじくアレクサンダーの傷はみるみるうちに回復した。

 

「何よ魔術師って・・・、あんなヤツらと一緒にしないでくれる? あんな薄汚い・・・汚泥みたいな・・・こう形容しがたいゴミと」

「貴音ちゃんは陰陽師とか、巫女さんとか・・・何か色々混じった娘だよ。あと貴音ちゃん魔術師の第一印象をあいつらで決めるのはダメだと思うぜ?」

「それもそうね。今度から気を付けることにするわ」

「・・・ありがとう、助かったよ。・・・君達は一体」

「誰でも良いだろ?」

「いや、良くない。助けてもらった相手の名前も知らないというのはいささか頂けない。私はアレイスター=クロウリー。ここで会ったのも何かの縁だろう」

「縁・・・ねぇ。名乗られたら名乗り返さなくちゃな。俺は上条当麻。こう見えて小学一年生だ」

「小学二年生榎本貴音」

 

そこまで自己紹介を終えたとき、上条は唐突に眉をひそめて振り向きざまに銃を一発。

その銃弾は路地裏に現れた新手を一撃で仕留めた。上条の射撃能力に舌を巻きつつも、魔術師のしつこさに言葉を漏らす。

 

「・・・まだいたのか・・・」

「どこにいやがったんだ?」

「おそらく別の路地口を見張ってたのね。様子を見に来たのかしら」

「何にせよ黒光りする昆虫みたいに湧いて出てこられたら困るな」

 

上条がそんなことを言いながら入り口を見ていると、おそらくかくれた状態で発動させたのだろう。

紫電がビル影で生まれた。

 

「当麻。電撃!」

「超能力か?」

(路地裏ごと焼き尽くすつもりかっ!)「マズイ、逃げ―――」

 

アレイスターがそう言うが、時すでに遅くビルの影から大量の電撃が上条達のいる路地裏の壁や地面に撒き散らされながらほとばしった。

が、上条は慌てることなく冷静に、ただその右手を水平に上げ四方八方へ飛び散る電撃を避雷針のようにかき集め右掌で受け止めた。

上条の右手がに触れた電撃は元から無かったように跡形もなく消し飛ばされた。

 

「・・・なっ」

「一体どれだけいるんだよ・・・」

「マジでゴキブリみたいにわんさかと・・・。でも流石当麻の幻想殺し(イマジンブレイカー)。ワケの分からないモノ相手でも余裕ね」

(イマジン・・・ブレイカー・・・? 彼がか!)

 

上条は電撃を放った者含め、アレイスターを追って学園都市に侵入した魔術師を皆殺しにして息をついた。

 

「・・・・・・とりあえず。お礼がしたい。私の部屋へ案内しよう」

「いや、そんなのいい・・・」

 

アレイスターの誘いを断ろうとした上条が言い終わるより前に、彼らの周りの景色が変わってしまった。

そこは辺り一面の暗闇、ところどころ光っている所もあるが、床天井壁全てにおいて機械やコード類が露出している。そんな不安定に見える空間で足場がしっかりしているのは機材の上にガラスでも敷いてあるのだろう。

 

「・・・・・・ここ・・・は・・・?」

「改めて自己紹介しよう。私はアレイスター=クロウリー。学園都市(このまち)の統括理事長をしている」

「・・・は? ・・・え?」

「何かの・・・冗談よね・・・?」

「冗談ではない。助けてもらった事に礼を言うよ。上条当麻君。榎本貴音君」

「・・・・・・はっ。で? 俺達をここに連れて来たのはそれなりの理由があるんだろう?」

「君達に頼むのはお門違いかもしれないが、私は先程の連中も含めた“魔術師”にそれなりの怨みがあってね」

「復讐を手伝えって?」

「元々君はもう少し成長してからプランの要に入ってくるはずだった。だが、どうやら君はすでに成長しているようだ」

「だから、手伝えと?」

「ああ。どうだろうか?」

 

上条はアレイスターを値踏みするように見つめて、

 

「・・・・・・嫌だと言ったら?」

「力ずくで、行かせてもらうぞ?」

「勝てるとでも?」

「・・・ははっ。そんなつもりはない。だが、一つ提案だ。聞かせてもらった君達の()()の為に強力な()()は欲しくないかい?」

「・・・・・・あんたがなってくれんの? 俺のコネに」

「・・・条件付きだ。幻想殺し」

「何だ」

 

緊張した空気がビル内に漂う。

 

「君が私の甥になる事だ」

「・・・はい?」

 

暫く考えた後、上条は渋々頷いた。甥になるという事がどういう事かも理解していなかったし、何より統括理事長や統括理事会に顔パスができるというのは何よりもおいしい事でもあった。

 

「よろしく。上条当麻」

「ああ、アレイスター=クロウリー」

「二人とも仲良いわね」

 

それから上条が、ここに予想以上に入り浸る事になり第二の我が家とも言えるようになるのはもうちょっと先の話である。

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