幻想殺しと電脳少女の学園都市生活   作:軍曹(K-6)

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戦闘世界のディティクティブ

翌日。

爽快感溢れる夏の早朝。目の下にドス黒いくまを作ってキーボードを叩く上条を見つめて貴音はうっすらと目を覚ました。

 

「おはようございまふご主人。あー! 夜通しパソコンですかー!? ダメですよそんなの。身体に悪いんですから!」

 

確かにパソコンのディスプレイが放つブルーライトは目に悪い。夜更かしをすれば体内の器官の調子を狂わせる。

とにもかくにもくまが()()()()()()()なので上条自身はいたって健康体だ。

休息がてら貴音の膝枕で昼寝しようとする上条。

 

だが。

何も難敵は御使堕しに限ったものではない。

 

「おにーちゃんおにーさんおにーさまあんちゃんあにじゃあにきあにぎみあにうえあいうえお! 夜明けの目覚ましフライングボディアタック!! グフッ!」

 

突然襲来した(心底楽しそうな)美琴の全体重を乗せた重力落下を少女の胸の中心を蹴りあげ防いだ上条はもう一度寝ようとする。(美琴は腹の上)

 

「何アンタは一番そーゆーのに引っ掛からない人にやろうとしてるんですか・・・」

「奇抜なプロレス技による目覚まし機能は妹として標準装備なのであります隊長!」

「いい加減にしないとご主人になわとびで縛られて体育倉庫に置き去りにされますよ」

 

と、そこに騒ぎを聞きつけたインデックス役(あおがみピアス)がドカドカ部屋へやってきて、

 

「あーっ! とうまがいかにも楽しそうな朝の演出を! 私も私もとうまにやるやる!」

「ちょ、な―――待ちなさいこの巨漢! あんたのボディプレスは洒落では済みません!」

「何で! 何でたかねは私の事だけ仲間外れにするの!? 私だってやりたいそれやりたいって言うか絶対やるって今決めた!」

 

跳んで、寝転がる上条にボディプレスをくらわそうとした居候シスターだったが、上条の危機感知センサーの迅速な行動(脇腹回し蹴り)によってベッドへ飛ばされた。

 

「あいたぁ! とーま!!」

「わりぃ。しつこくやってくるから強気で行こうと思ったらお前だったわ。ゴメン」

「流石ですご主人・・・。綺麗な身のこなし!」

「・・・・・・さて? 朝っぱらから人にボディプレスとかいう奇怪な技をかけようとした償いを受ける準備はオーケー? さあ、現実(リアル)筋肉バスター見せてやるよ!!」

 

そんなこんなで『二日目』もドタバタでスタート。

 

 

 

お昼前。上条達の客室に神裂土御門ミーシャの三人が集う。

 

「・・・で? どうだったよ」

「まず間違いないぜい・・・と言いたいところだが、残念。見れてないんだぜい」

「は? なんで」

「アレを見てみろ」

 

土御門が指したテレビを見る上条。そこには火野神作が立て篭もったという民家の上空写真が報道されていた―――。

 

「―――って家じゃねェかッ!!」

「そーゆー事だぜい。街中で見つかったあいつが忍び込み、ただいま包囲網が敷かれてるんだにゃー。迂闊に手出しができない状況ですたい」

「まったく・・・やっこさん。ホント面倒なことしてくれましたね・・・。こっちは適当な事できないってのに・・・」

「エネっちの言うとおり。こっちは一刻一秒を争う可能性があるんだ。カミやん。ここから二〇分はかかるぜよ? 早急な判断が必要だぜい」

「お前らはピョンピョン跳べるか?」

 

貴音と一緒に首をかしげる上条に土御門は頭に疑問符を浮かべて。

 

「ピョンピョン?」

「神裂はできるだろ。確か聖人なんだろ?」

「ピョンピョンってまさか」

「御名答でしょうね。屋根の上を伝って最短距離を行きます」

 

 

 

「にゃー。あいつらバケもんだぜい!」

 

土御門が神裂に抱えられながら言った言葉である。ミーシャは神裂の後を走るようにして着いてきている。

 

「ええ。あの身体能力は長年の積み重ねのようですね」

 

土御門を小脇に抱えた神裂は最小限の蹴りで跳躍するように屋根から屋根へ渡っている。それでも上条と貴音には追い付けていなかった。

上条と貴音はまるでそこは舗装された競技場の上ですと言わんばかりのトップスピードで屋根の上を疾走している。時たま在る三、四階建の建物は跳躍をしノンブレーキで越えて行く。

とっさの事なのに数歩で歩数を合わせて最適な手順で最短距離を抜ける。並の人間ができる芸当ではなかった。

 

暫く、圧倒的に車より速いスピードで包囲網の外ギリギリまで到着した上条と貴音は路地裏に降りた。

遅れて他の三人も到着する。

 

「しかし、半径六〇〇メートルの大包囲網とは、また大袈裟ですね。警官隊で維持できないような規模なら、半径をもっと縮めれば良いのに。何故そんな無理を通すのでしょう?」

 

対して上条の答えは明白だった。あまりにも冷静にあたりまえのことのように言った。

 

「発砲許可が下りてんだろ。民間人に流れ弾が当たらないように気を配ってんだよ」

「もっとも情報規制もされてます。まあ脳漿炸裂の映像なんか撮られたら政治家さんは困っちゃいますからねー」

「・・・・・・あんたら本当に何者ぜよ」

 

さて、と上条は言った。

 

「家まで行きますか」

「おい。カミやんどこへ行く気だ。そっちは大通り・・・」

「どこって、家だよ」

「包囲網だぞ!? どうやって行く気だ!」

「普通に行けばいいだろ」

 

上条は本当に軽く言ってのけた。警察の包囲網のテープに普通に歩いて行く上条と貴音。邪魔なテープをスルリとくぐったのに誰も気づかない。それどころか上条と貴音はグングン包囲網の中を歩いて行く。まるで、そこにあるのが当たり前の空気のように。

 

「・・・カミやん・・・。お前は何者ぜよ」

「グズグズしている暇はありません。行きますよ土御門」

 

そう言って土御門達は民家の間のコンクリート塀の上を走りだした。

 

土御門は民家から民家へ移動しながらさも当然のように、いや、誰にも見つからずに()()()()()()()()()()()()見せながら包囲網の中を進むあの二人の事を考えていた。

 

(カミやん・・・。高校に入ってからの付き合いだが・・・お前は一体何者ぜよ・・・・・・!)




土御門さん。いくら考えても答えは同じですよ。
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