幻想殺しと電脳少女の学園都市生活   作:軍曹(K-6)

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学園都市 参 Science_Worship. Ⅲ

「なんか最近、結構街の外に出てるよなー。・・・・・・できればのんびり見物してみたいもんだけど」

 

上条は学園都市の『外』―――外壁沿いの道のコンビニに寄りながら呟いていた。外壁の高さは五メートル以上と高く、幅も三メートルと厚い。

 

(しかしまあ、大覇星祭の準備期間中は警備が甘くなるな)

 

上条はガラス壁越しに遠く離れた出入り口をチラリと振り返る。二三〇万もの人間が参加する大覇星祭はその準備のスケールも大きく、街の外からもたくさんの業者が出入りする。普段は警備の厳しい学園都市だが、()()()()()()()()()()()()()状況なのだ。上条は外出用の書類を持っているのだが、そのチェックもいつもよりぞんざいだったような気がする。

そんなこんなで、アイスを買って食べながら、上条は視線を落とす。

時計を見ると、午後六時過ぎ。約束の時間までまだ一時間近くある。

問題の『薄明座』の場所は、先程買い物がてら寄ったコンビニの地図を立ち読みしてきた所だった。

 

「私も食べたいですよーご主人」

「今俺は()()なんだ。黙っててくれエネ」

 

文句を言う少女を放って、上条は駐車場に止まる一台のバイクにまたがった。大型のバイク。詳しい車種は分からないがハーレーの仲間だろう。

アクセルを回し、駐車場を出る所で、上条はふと近くにあるバス停を見た。

停留所は小さく、ベンチが二つと雨除けの屋根がついているだけだった。ただし老朽化が進んでいるのか、プラスチック製の屋根は所々がバキバキと割れていた。

と、その停留所に誰かいる事に気づいた。

外国人らしい。上条と同じくらいの身長の少女だ。彼女は時刻表のついた停留所の看板を、超至近距離から食い入るように眺めている。そのままピタリと動きが止まっている所を見ると、読み方が分からないのかもしれない。

服装は何を考えているのか、この猛暑の中で真っ黒な修道服だった。当然、長袖長スカートである。よく見ると、服の肩口やスカートの膝上二〇センチの高さで横一線するように銀色のファスナーがついていて、袖やスカートは着脱式になっているらしいが、彼女は馬鹿みたいなフル装備だった。両手は白色の薄い手袋に覆われ、髪も見えなかった・インデックスがつけているようなフードの他に、頭全体を覆い隠すようなウィンプルが完全に髪を隠していたのだ。布一枚で簡単に髪を隠せるという事は、おそらくショートカットなのだろう。

上条は彼女の様子を横目で見ながら、

 

(む、シスターさんだ。・・・・・・まさかインデックスの知り合いのジェノサイド修道女とかじゃあるまいな)

 

世界中のシスターさんが猛抗議してきそうな偏見だが、上条はこの夏休みだけでもステイルだの土御門だのといった面々にとんでもない目に遭わされている。上条としては、ヘンテコな修道服を着た女の子には警戒せよという感じなのだが、

 

「あのー・・・・・・」

 

シスターさんの方から話しかけられた。とてつもなく丁寧な日本語で語り始める。

 

「恐れ入りますが学園都市に向かうためには、このバスに乗ればよいのでございましょうか?」

 

丁寧な上にヘンテコだった。

上条はバイクから半分降りて、改めてシスターさんの方を振り返った。顔以外の全部の肌を隠しているシスターさんだが、逆に盛り上がった胸やくびれた腰が浮いている(というか見ようによってはわざと強調させているようにも感じる)、奇妙な人だった。

 

「いや、学園都市行きのバスはねえよ」

「はい?」

「だから、学園都市は『外』との交通機関を切断しちまってんの。つまりバスも電車も通ってない。乗り入れ契約してるタクシーなら入れるけど、自家用車の方が安上がりだぞ」

「そうでございますか。それであなた様はバイクで学園都市から出てきたのでございますね」

「なんなら乗っけてってやろうか? すぐそこだし」

「いえ、それは悪いのですよ」

「いや、悪くねーし。すぐそこだし。って、シスターさんは学園都市に行きたいんだよな?」

「はい、はい」

「えっと、だったら街が発行してる許可証はちゃんと持ってんのか?」

「許可証、でございますか?」

 

案の定きょとんとした顔だった。学園都市のゲートを通るには、街が発行する許可証がいる。理由はわざわざ説明するまでもないだろう。

そう伝えると、シスターさんは困ったように頬に手を当てて、

 

「その許可証というのは、どこでもらえばよろしいのでございましょうか?」

「・・・・・・、悪い。一般の人はどんな努力をしても発行してもらえないぞ。街の生徒の肉親とか、商品・資材の搬入のための業者とかなら可能性はあるけど、それでも審査はあるし」

「はあ。それでは、もう諦めるしかないのでございますね」

「なぁ。お前はどうして学園都市に行きたいんだ?」

 

はあ、とシスターさんはちょっと首を傾げて、

 

「実は私、追われているのでございます」

 

と言った。

上条は、周りの温度が少し下がるのを感じた。

 

「追われ・・・・・・?」マタ?

「はい。ちょっとしたいざこざがありまして、ただいま絶賛逃亡中なのでございます。学園都市は教会諸勢力の手が及ばない所だとお聞きしているので、できればそこへ逃げ込みたかったのでございますが」

「ふむ。良かったな。声かけたのが俺で、何とか入れるかもしれねーぞ」

「それは、どういう」

「・・・・・・あ、よう。元気に逆さしてるか? おう上条さんです。あのさ、急遽だけどシスターさん一人学園都市に入れてもらえる? え? ダメ? ハァ・・・・・・」

「やはり?」

「とりあえずイギリス清教の知り合いの所に連れていくわ。後ろにまたがりな」

 

我ながら名案だと思った。

脅迫状には一人で来いって書かれてた気もするけど。

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