幻想殺しと電脳少女の学園都市生活   作:軍曹(K-6)

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ローマ正教 弐 The_Roman_Catholic_Church. Ⅱ

指示出しがようやく終わったのか、アニェーゼが短いスカートを揺らして上条達の元へと歩いてきた。パカパカと、異様に高い厚底サンダルが馬の蹄のような足音を鳴らす。

上条はインデックスより年下のこの少女に内心でちょっとたじろいだ。どうも魔術側の人間には年功序列は通じないらしいのはイギリス清教やロシア成教の不思議シスター達を見ていれば何となく分かる(まぁ、ミーシャは外・見・だ・け・だったが)。その上、相手は先程まで直接で何十人、通信では何百人もの人間に何やら外国語で格好良さそうに指示を飛ばしていた人物だ(もっとも上条はその内容をほぼ完璧に理解していた為、現在情報を何となく掴んでいるのだが)。

 

「あ、え、っと。こ、これから状況の説明を始めちまいたいんですのでだけどそちらの準備は整っていますですでござりますか?」

「・・・・・・、」

 

強烈な日本語だった。

何だよそれは、と上条は思う。

いくら個性といってもそれはないだろう。

何やらカチコチに固まったローマ正教のシスターはフラフラとおぼつかない姿勢で、顔を真っ赤にしている。なるほど、外国人に対するファーストトークの緊張は万国共通だったのか、と上条が妙に納得して心の中でちょっと頷いたりしていると、続けてアニェーゼは、

 

「ど、どうも本場の日本人の方に自分の拙い日本語を話すのは、き、緊張してしまって。あ、他の言語は使えますか。アバル語とかペルペル語とか、お互いの文化圏とは離れているトコが好ましんですけど」

「한국어라면, 갈 수 있을 것인가?(韓国語なら話せるが、いけるか?)那个吗,中文。(あと、中国語も)Deutsch, ist auch, aber wie steht's damit ziemlich gut?(ドイツ語もまあまあできるけどどうだ?)」

「ちょっ、とうま。コロコロ言語を変えないでほしいかも!」

「Oh, a fact is even if I say, index. (んな事言ったってよ、インデックス)أو اللغة التي يتم إرسالها للمنافس (相手にどの言語が通じるかなんて)Разве я не знаю его?(俺には分からないんだぜ?)」

「うーにゃー! とーまー!」

「我々! よれよれ! 世界はダーク! 

(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!

(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!

(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!

Let's\(・ω・)/にゃー!」

 

ノリノリで歌いだした貴音を腹パンで黙らせ、上条はにっこりと笑顔で続きを促す。

 

「では改めて、こっから今の状況と、今後の我々の行動についてお話しするとしまひゃあ!?」

 

言葉が終わる前に、ふらつく足もお構いなしで無理に背を伸ばし続けたアニェーゼは後ろへバランスを大きく崩した。『わっ、わっ!』と宙を泳ぐ彼女の手が、ワラをも掴む理論で上条の手をがっしりとキャッチする。

 

「おっ!」

 

手を掴まれた上条は足を素早くずらすと、腕に力を入れ倒れるのを阻止する。そのまま勢いよく掴まれた手を引くと、起き上がりこぼし見たいにアニェーゼの体が元通りになる。

 

「大丈夫か?」

「ええ、大丈夫です。すみません、どうも緊張すると体のバランスがおかしくなっちまうようで」

 

少しずつ落ち着いてきたのか、アニェーゼの体はコチコチに固まっているが、口ぶりからは緊張の色が削げていく。

 

「ええ、では今から『法の書』、オルソラ=アクィナス、及び天草式の動向と、我々の今後の行動について説明しちまいたいと思います」

「お願いしますデス!」

「現状、『オルソラ=アクィナス』は確実に天草式の手にあります。『法の書』の方も十中八九間違いないでしょう。今回の件に出張ってる天草式の数は、推定でおよそ五〇人弱。下水道を利用して移動してるみたいなんですが、今は地上へ上がっちまってる可能性もあるんすよ」

「つまり、何も分かんないって事かな?」

 

アニェーゼに寄りかかられたインデックスが、少し苦そうに言う。

 

「はい。我々はそこに残存してる魔力の痕跡から天草式の動向を追ってますが、これが上手くいきやしません。流石は隠密性特化型宗教派・天草式十字清教ってトコですかね」

「隠密型?」

「コソコソするのが得意って訳か」

「並行して別働隊に辺りへ包囲網を敷かせてますが、こっちの方が早くヒットしそうです」

「・・・・・・なぁ、一ついいか」

「なんです?」

「天草式十字清教ってもしかして、元は隠れキリシタンとかそういうの?」

「そうだけど、それがどうかしたの? とうま」

「いや、だったらその包囲網も意味無いかも知れないなって」

「?」

「大日本沿海與地全図。―――伊能忠敬ですね」

 

貴音のその言葉にインデックスとステイルが何かを思い出す。

 

「で? その渦に向かうんですか? ご主人」

「そうしようかと思うんだけど・・・・・・、なあ。包囲網ってどのくらいの広さなんだ?」

「ここを中心として半径一〇キロってトコです」

「だとしたら・・・あそこか」

 

 

・・・と、その前に。上条が辿り着いた推理の結果を、全員に話しておく必要がある。

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