幻想殺しと電脳少女の学園都市生活   作:軍曹(K-6)

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リメイク後の変更点。
貴音の口調。
地の文の追加と会話の変更。


絶対能力進化実験

とある日の夜。

唐突に上条の部屋のチャイムが鳴る。

 

「はいはーい。どちら様でせうか?」

「俺だァ」

「ドアの前で顔を突き合わせた状態での俺俺詐欺か? ・・・新手だな」

「なンだその。対応に困るぞみたいな反応は」

「・・・当麻? 誰か来たの?」

「んー。オレオレ詐欺に遭ってる」

「鈴科白夜ですゥ!」

「・・・おう。いらっしゃい。こんな時間にどうしたんだ?」

「いいから入れろ」

「いやいや、入れろったっていきなり過ぎだろ? それにその子は? どちら様」

「全部説明する、だから早く入れろォ」

「OK、分かった。入れよ。この子は・・・・・・ソファーに寝かせといて良いんだな?」

「アァ、頼む」

 

リビングの一角に集まる上条と白夜。貴音はお茶くみ、女の子はソファーに転がされて眠っている。

 

「なァ、とりあえず何があったんだ? 営利誘拐なら協力はしねェぞ?」

「・・・あ、白夜。コーヒーで良かったわよね?」

「冗談も休み休み言え。・・・悪ィないきなり押しかけてよ」

「ま、かまわねェよ。とにかく聞かせてくれ手伝える事なら手伝っから」

 

互いの拳をテーブルをはさみつき合わせる二人。丁度貴音がコーヒーと何かよく分からない赤黒い飲み物(上条専用)を持ってくる。

 

「・・・上条クン、アイツを見てどォ思った?」

「どうって・・・あの常盤台の超電磁砲(レールガン)にそっくりだろ」

「あれは妹達(シスターズ)っていってな、超電磁砲のDNAマップから造られたクローンだ」

「はぁ、クローン。クローンってアレだろ? 外の世界で最近、牛で造られたって奴だったよな。この街じゃ人間でするようになったか。流石実験都市・・・。って待てよオイ」

 

上条がテーブルを叩くが、白夜はコーヒーをすする。

 

「人間のクローンの製造は法律で禁止されてるぜ? それに人道的にも許される事じゃねェだろうし」

「上が黙認してンだよ。とある実験の為になァ」

「実験? そんなとち狂った実験、一体何の?」

「LEVEL6、絶対能力者を生み出す為の実験だ」

「LEVEL6・・・・・・そんな能力があるのか?」

「樹形図の設計者の演算の結果、ある能力者がLEVEL6へと進化する為にはあの妹達が必要なンだとォ」

「その能力者って・・・まさか、お前?」

「そのまさか。学園都市第一位の俺だってよ」

 

ケラケラと白夜は笑いながらコーヒーのカップを揺らす。

 

「だが、何だってその実験にクローンが必要なんだ?」

「それがよォ。ふざけた上に頭のネジが飛んでンだよコレが」

「この街の科学者の頭のネジが飛んでない事なんてあるのか?」

「ハッ、無いに違いねェ。それでだがな。俺がLEVEL6に進化するには超電磁砲御坂美琴を二百以上の戦闘シナリオで二百回殺害する必要があるンだとォ」

「ハァ? 御坂が二百人もいる訳ないだろ?」

「そうだよなァ。だが、研究員のクソ共は違う方向でこの問題をクリアしやがった」

「違う方向・・・・・・?」

「あっ、私の・・・」

 

上条は貴音が飲んで床に置いていたコーラを飲みながら首をかしげた。

 

「超電磁砲のクローンである妹達を使って、二万以上の戦闘シナリオで二万回殺害するっていう馬鹿げた方向でなァ」

「クローンって劣化タイプなんだな。異能力(LEVEL3)程度か?」

「相変わらず計算速いな。今その話してねェだろ。ま、理解が速くて助かるがな」

「ハハッ。どうも・・・。この事を御坂は知ってるのか? 知らないだろうな。うん。だが・・・、分からねェ。どうやって御坂のDNAマップを手に入れたんだ?」

「それについてだかここに来る前に少し調べてみたンだがな。オリジナルが元々は低能力者(LEVEL1)だった事は知ってるか?」

「ああ、努力をして上まで上り詰めたって奴だろ?」

「DNAマップを手に入れたのはその頃みてェだ」

「でも御坂がLEVEL1だったのはかなり小さかった頃だろ?」

「当時オリジナルはとある病院に呼ばれてた」

「病院に?」

「そこじゃァある病気の患者が何人かいたそうだ」

「その病気って?」

「筋ジストロフィー症候群、 簡単に言えば徐々に身体を動かす機能が低下して最終的には指一本動かせなくなるってやつだ」

「・・・ほどなる!」

「? その病気と御坂美琴とどんな関係があるの?」

 

貴音が思わず首をかしげると、白夜が少し笑って上条に、

 

「上条、 人がどうやって身体を動かすか解るか?」

「おう。分かるぜ?」

「答えてくれ」

「そりゃあ、 脳から動かせって信号を出してるからで・・・」

「・・・、 あ!」

「気づいたか? 脳からの指令は電気信号だ、 そしてオリジナルの能力は・・・・・・」

電撃使い(エレクトロマスター)・・・、 って事は御坂美琴の能力を使えばその患者を治せるって事?」

「可能性はある、 少なくとも0じゃねェ」

「じゃあ御坂美琴はその為にDNAマップを?」

「提供したんだろうな」

「でもなんでそれがクローンなんかに?」

「そう言いくるめられたンだろォな、 恐らく」

「言いくるめられた?」

「当時の記録はあまり残って無かった、 それに意図的に消された部分もありやがった」

「けど本当に御坂は騙されたのか? どこかの研究員がDNAマップを盗んだって事も」

「それもありえる、 だが恐らく医者と研究員はグルだ」

「わかるのか?」

「憶測にすぎねェがグルだと考えれば辻褄が合うンだよ」

「筋ジストロフィー症ってのは厄介な病気でな、 未だに明確な治療法が見つかってねェ」

「・・・・・・なるほどね」

「だから? 何なんの? 二人だけで納得しないで教えなさいよ!」

 

貴音がプンスカと怒ると、上条と白夜は微笑ましそうに笑って。

 

「解らねェか? もし治療目的に使われたンだとしたら今までに一人くらい回復したって話しがあってもおかしくねェはずだ。だが当時から今までそんな記録は一つとしてなかった、 つまり最初から治療目的じゃ無かったって事になる」

「じゃあ御坂美琴はこんな事になるなんて思ってなかったの・・・・・・?」

「当時のオリジナルはまだ10歳いくかどうかってぐらいのガキだしな、 大人の考えなんて読めねェ。目の前で苦しンでる患者を見せられたら助けてェって思うのが普通だ、 そこにつけ込まれたンだろォな」

「酷すぎる・・・」

 

貴音が奥歯を強くかみしめる。

 

 

「ああ、 確かになァ、 酷い以前に腐ってやがるンだ、 学園都市の裏側ってやつは」

「・・・・、 なあ白夜おかしくないか?」

「何がだ?」

「さっきも言ったけど御坂がDNAマップを提供したのはかなり前の事だよな?」

「ああ、そォだ」

「ならなんで今更クローンを創る必要があるんだ? DNAマップが手に入ったならすぐにでも実験は出来たはずだろ?」

 

上条がそう質問すると、白夜は少し驚いたように目を開いて、

 

「・・・お人好し馬鹿じゃなかったのか・・・!」

「何に驚いてんだよっ!」

「・・・当麻は元々頭だけはいいから・・・」

「どういう意味だっ!」

「それについては調べがついてるんだが・・・」

 

 

「・・・量産能力者計画?」

「・・・聞いた事はあるわ」

「・・・でもあれは中止になったはず・・・。今回の実験に有効活用できるからって再稼働されたのか?」

「そう言う事だ」

 

上条はひとしきり唸った後、

 

「・・・・・・、なあ白夜、聞きたい事がある」

「なンだ?」

「お前はこの実験、参加するつもりなのか?」

「・・・・・・、参加するって言ったら、お前はどうするンだ?」

 

上条は白夜のその質問に即答した。

 

「お前を、止める」

「ま、そうするだろォなァ。だがな、上条。お前の身体能力がどれだけ化け物じみてようとその右手が能力を無効化出来ようと、俺はお前を遠くからいたぶることだってできるンだぜェ?」

「それでも止めるさ。どれだけボロボロになろうとも、例え体中の血を抜かれても、お前がこの実験に加担する限り何度でも立ち上がってお前を止める」

「・・・・・・」

「もし、お前が二万人の命奪っても何も感じないで自分が進化する為に実験に参加するってんなら、俺は何度でも立ち上がってお前のその幻想をぶち殺す。お前じゃなく、幻想を」

(あぁ、お前はそう言うだろォな。だから俺は・・・・・・)

 

上条は真っ直ぐな目を白夜に向ける。それを見て貴音も感心していた。

 

「プッ、クハハハ!」

「あ? 何で笑うんだよ!?」

「俺はこんなゴミみてェな実験に参加する気なンざコレっぽっちもねェよ」

「本当に?」

「当たり前だ、そもそも参加するつもりなら妹達抱えてここまで来ると思うか?」

「ぐぅ・・・正論」

「心配すンな、俺はLEVEL6なンざ興味はねェ、今のままで満足してンだよ」

「そっか、良かった」

「なンだァ? 俺の幻想をぶち殺すって凄んでた癖によォ」

「知るか。オレの能力は寝てる間は使えねェんだよ。お前が本気になったら上条さんは一瞬で壁のシミです!」

「そいつはギネス級に愉快なオブジェだなァ。今度試すか」

「実験台にすんなよ!? それこそ試しに壁のシミにされるとか真っ平ごめんだね!」

「もう十分生きただろ」

「まだ十六年です! 上条さんはこれからもっと長生きするんです!」

「ンな事よりコーヒーおかわりィ」

「はいはい・・・・・・、俺も飲もっと」

 

台所へ向かう上条。

 

「ブラックなァ、砂糖なンざ入れやがったら壁のシミだかンなァ」

「了解、了解っと」(壁のシミ気に入ったのか?)「ん? ・・・・・・うわっ! もうパックがねェ! ・・・買い溜めはこの辺りに・・・おっあったあった」

「・・・」

『お前のその幻想をぶち殺す。お前じゃ無く、幻想を』

(・・・・・・、なぁ上条、知ってるか? 今の俺があるのはお前のおかげだって事・・・・・・もしお前と知り合わなけりゃ、俺はこの実験に嬉々として参加してた・・・・・・自分の能力で他人を傷付け無い為にはどうすればいいか悩んでた頃の俺なら、LEVEL6ってのは喉から手が出るほど欲しいもンだっただがお前はそンな俺を救いだしてくれた。誰にも相談なンざできねェ苦痛と不安、そんな泥沼にはまった俺をお前はその右手で引き上げてくれた。なぁ上条、気づいてるか?お前その優しさが、俺にとってどれだけ嬉しい事かを、化け物扱いしかされなかった俺に対等に話しかけて来たのはお前だけだったンだ。俺はお前のそンな生き方に憧れてンだ、お前みたいに生きて見たいお前みたいに誰かを救う事が出来るようになりたい。なぁ上条・・・、俺が今ここでこうして居られるのは、他でもねェお前のおかげなンだぜ?)

「コーヒーお待ち~」

「遅ェ、後コンマ3秒遅かったら壁シミコースだったなァ」

「上条さんは九死に一生を得たのか・・・?」

 

「美味ェ」

「インスタントだけどな」

 

がぶ飲みする白夜とすする上条。白夜が飲み終わり、上条に向き直る。

 

「ンじゃ、そろそろ俺がここに来た理由を話すか」

「? 妹達の事じゃないんですか?」

「それもあるんだけどなァ」

「・・・・・・? な、何か嫌な予感が・・・」

「上条、頼む」

「お、おい白夜! 頭上げろって!」

「・・・・・・」

「あー! わかった、わかりましたよ! 何でも言ってくれ!」

「・・・・・・、 本当か?」

「上条さんに二言はありません!」

「交渉成立だなァ」

「え?」

「お?」

「なァに簡単な事だァ」

「いや、だから」

「あそこで寝てる妹達、 お前のとこで匿え」

「はい!?」

「え?」

 

それだけ言って白夜は立ち上がる。

 

「それじゃァ俺はそろそろ帰ンぞ」

「ちょっと待て! さすがにそれはちょっと・・・!」

「何でも言ってくれって言っただろォ?」

「上条さんは健全な男子中学生なんですよ?」

「だから?」

「見た目中学生とは言え女の子と二人っきりで一つ屋根の下はさすがに」

「・・・当麻。今何気に私をハブったね?」

「あ、いや、悪い」

「・・・お前に二言はないんだろう?」

「・・・・・・だーっ。分かったよコンチクショウ!」

 

上条が頭を抱えながらもそう言ったのを確認して、

 

「すまン、だが俺は本気で妹達を助けてェと思ってンだ。こいつらは俺のせいでこンな実験に・・・・・・殺されるために生み出されちまった」

「責任ってやつ・・・・・・?」

「罪滅ぼしだ、俺がこんな能力に目覚めなきゃこいつらは実験に使われる事は無かった、だから」

「白夜」

「あ?」

「これはお前にも、御坂にも言えることだけどさ。御坂がDNAマップを提供しなかったらこの子達は生まれる機会さえ無かった。それに白夜、お前が居たから彼女達はこの世に生まれて来る事が出来たんだ、その事だけは・・・・・・、お前や御坂に誇って欲しい所だと、俺は思うぜ」

「・・・・・・、くせェ」

「?」

「前からくせェ奴だとは思ってたが、今回はとびきりくせェ」

「な?! 上条さんはちゃんとお風呂に入っているから臭い筈が・・・・・・」

「意味がちげェよ馬鹿」

「・・・・・・あーびっくりした」

 

胸をなでおろす上条を横目に白夜は玄関に向かう。

 

「それじゃ、また明日の朝来るからな、今後の話しもしてェし」

「いや、 明日って上条さんは普通に授業があるんですよ?」

「知るか、休め」

「無茶苦茶言うな!」

「一日くらい休ンだってどうってことねェだろ」

「普通はな!? しかし上条さんにとっては大問題なんだよ!」

「チッ、しかたねェ、なら今すぐ学校なンぞに行けねェようにボコボコにするか」

「何恐ろしい事企ててやがりますか!」

 

上条はバンッと壁を叩くと、

 

「それに百歩譲って休んだとしても後には鬼の様な課題が待ってるんだよ!」

「そンな物俺がコーヒー飲む前の暇つぶしに片付けてやる、だから休め」

「なあ、上条さんに選択の余地は・・・・・・」

「無ェ、あると思うか?」

「ですよね~」(不幸だ・・・・・・)

 

上条は一度ため息をつく、

 

「分かった、休むよ」

「じゃあ帰る」

「あ、ちょっと待っててくれ」

「?」

「ほいこれ」

「なンだ? カギ?」

「俺の部屋の合い鍵、明日もし俺が寝てたらそれ使ってくれ」

「ンじゃ今度こそ帰る」

「あ、白夜」

「今度は何だァ?」

「今更かもしれねェけどよ」

「さっさと言え」

「俺さ、お前が友達で良かったよ」

「・・・・・・、最後までくせェ野郎だな、お前はよ」

「上条さんはただ友情の確認をしただけなんですが」

「今度こそ帰る。じゃあな」

「おう」

 

 

―――帰り道。

 

「友達で良かった・・・か。逆だバカ・・・・・・」

(上条、俺はお前と友達になれて本当に良かった)

「らしくねェかァ? ・・・・・・いや別にかまわねェ・・・俺は俺だからな」

『お前は、お前だろ?他の誰でも無い、キャラに無い事やったって良いんだよ。自分なんだから』

(そう言ってたよなァ・・・・・・上条)

 

白夜は軽く笑う。

 

「さて、コーヒー買って帰るか」

 

 

 

―――上条家。

 

「さて、白夜も帰って後は寝るだけです」

「そうね」

「もちろんベットでは寝れません。というわけでお風呂場に行きます」

「・・・えー? 敷き布団引かないの?」

「うるさい」

 

 

 

 

 

 

 

―――次の日の朝

 

「9時かァ、ちっとばかし早かったかなァ。まァ合い鍵持ってるンだし寝てりゃ叩き起こす」

 

白夜は上条の部屋のドアノブを捻るが開く気配はない。

 

「・・・・・・、やっぱ閉まってやがるなァ。OK、愉快で素敵なモーニングコールをプレゼントしてやる!」

 

白夜が鍵を開けようとした時、部屋から渇いた音が鳴り響いた。

 

「!?」

「そんなもんどっから!」

「観念しなさいとミサカは」

(何騒いでやがンだァ?)

 

合鍵でドアを開け、室内に入る白夜。

 

「朝っぱらからなァにやってんですかァ?」

「白夜! おはよう! そして助けて!!」

「ァ?」

「変質者め! 覚悟しなさいと、ミサカは銃を構えます!」

「銃口向けないで!」

「上条、お前何したンだ?」

「何もしてねえよ! 上条さんはただ美咲を起こそうとしただけで」

「そんな嘘が通用すると思ったら大間違いです! と、ミサカは自分の貞操が奪われた可能性を懸念します!」

「上条、俺とお前の仲もこれまでかもな・・・」

「そんな汚い物を見る眼はやめて! 地味に傷つくから!」

「・・・・・・ところで、美咲って誰だ?」

「・・・あ? その子の名前だよ。いつまでも検体番号じゃダメな気がするからな! 昨日寝ながら考えた!」

「器用だな。オマエ」

「美咲・・・ミサカの名前・・・フヘヘヘ」

「おい、み・・・美咲」

「はいっ! と、ミサカは自分だけの名前を呼ばれたので大きく返事をしてみます」

「ふぅ~」

 

一息ついた上条に銃が乱射される。

 

「おぅわっ!? な、何すんだよ!」

「寄るな変質者。と、ミサカは自分の貞操を奪った可能性のある変質者に銃を発砲します」

「やめとけ。もし、コイツに一発でも銃弾が当たっていたらお前が本当に汚されるぞ」

「脅してまで変質者を庇うんですか? 一方通行の性格を疑います」

「こいつは馬鹿で、アホで、無能力者で、無駄に女にフラグ建てて、毎日ろくな目にあわないキングオブ不幸だが・・・・・・」

「・・・・・・」

 

庇われているはずの上条はその場で両手をついて項垂れていた。

 

「女の寝込み襲うような腐った野郎じゃねェ、それは俺が保証してやるだから銃下ろせ」

「・・・そこまで言われれば信じるしかありませんね」

「ふー・・・朝からモーニングコールじゃなくてモーニング鉛玉喰らうところだったし、親友からは悪口を言われるし・・・」

「どうせ起こそうとしたら足を滑らせて、ベットに手を着いた所でコイツが目を覚ましたってオチだろ?」

「オイ。いつから見てた」

「見てねェよ。長い付き合いだろォ? なんとなく分かる」

「ほほぅ。一方通行と、この上条(へんたい)はそこまで深い関係を・・・・・・」

「オイ、ビリビリ妹。親友までだからな。変な振り仮名(ルビ)をふるんじゃねェ」

「一々情報を捻じ曲げンじゃねェ」

「一応知ってるみたいだけど、俺は上条当麻。よろしく」

「榎本貴音よ」

「一方通行。でも良いが、鈴斜白夜だ」

「ミサカは検体番号00001号美咲です。と、ミサカは三つ指を立てて上条さんに挨拶をします」

「そりゃ、初夜で使う奴だろ? 普通に挨拶しろよ」

「初夜などと言うワードを出すとは中々のムッツリですね。と、ミサカは上条さんがムッツリである事を認識します」

「誰がムッツリだコラ」

 

上条が美咲の頭にチョップをする。

 

「グハッ! 何ですか今の痛みは? 三発位チョップされた様な気がしたんですが! と、ミサカは涙目で頭をさすります!」

「自業自得だ。バカタレ。さ、その顔じゃ白夜も朝飯食ってねェだろ? ちょっくら美味しい物作るから待っとけ」

「遠慮なく食わして貰うぜェ」

「食わして貰うぜぇ。と、ミサカは一方通行の真似をします」

「はいはい。大人しく待ってろ」

「手伝うわよ」

「お、じゃあ頼むわ」

 

台所に向う上条。以前説明したとおり、上条の料理の腕はプロ級である。

 

「ゲームでもするかァ・・・」

「あの、一方通行」

「ン?」

「一つ聞きたい事があります。と、ミサカは質問をします」

「ンだよ、言いたい事あンなら言え」

「なぜ、ミサカを殺さなかったのですか? と、ミサカは一方通行を問いただします」

「・・・」

「あなたは今回の実験が成功すればLEVEL6へと進化出来るのにも拘らずミサカを殺しませんでした、その理由がミサカには理解できません。と、ミサカは・・・」

「無敵なンだよなァ?LEVEL6って」

「はい。と、ミサカは質問の意図が分かりませんが、それが先程の質問の答えに繋がるのならイエスと返答します」

「例えどんなに力を手に入れたって、俺は無敵にはなれねェって分かってンだよなァ」

「・・・? それは一体どういう・・・」

「現状で満足してるしよォ。それに、俺は最強であって最強じゃねェンだよ。俺はそいつに幻想を殺されたンだ。この街の人外によってなァ」

「ですが、ミサカを初めとする妹達はLEVEL6進化実験の為に造られた言わばモルモットであり、貴方に殺される為に存在します。と、ミサカは自身の存在理由を説明します」

「・・・」

「つまりあなたが実験を拒否するとミサカの存在する理由が無くなってしまうのです。と、ミサカは・・・」

「・・・、あのよォ」

「はい。と、ミサカは続きを促します」

「俺はお前等を殺さねェが、実験はするぜ? あの研究員を出し抜く為になァ」

「しかし、殺される為に生み出されたミサカは・・・」

 

うつむいてしまう美咲。

 

「おい、それは・・・・・・「それは違うんじゃねェのか?」

「え・・・・・・?」

 

声の主はもちろん上条である。

 

「どんな生き物だって『死ぬために生まれてくる事』なんて絶対無い。例外はありえない」

「ですが、ミサカは」

「例えクソ共がどんな理由で作り出そうとも、人間として生まれて来た時点で自由に生きる権利があるンだからなァ」

「死にたいなら死ねばいいけど」

 

貴音の言葉に白夜が眉をひそめるが、

 

「私達の眼の届く距離。学園都市の中で勝手に死なせはしないわ」

「お前が何千何万と居ようが、生命として生まれてしまった以上。『生きる』しか選択肢がないんだ」

「実験動物なんてものは存在しない。生まれた時点でお前は人間だよ」

「上条。朝飯ィ」

「はいはい。もう出来ますよー」

「しかし・・・私は・・・」

「自由って言ってんだろォ!?」ズビシッ

「痛っ! と、ミサカは先程までとは全く違うチョップである事に少し安心します」

「悪かったなァ。アイツみてェに素早いチョップを撃つ事は俺には出来ねェンだァ」

「それで良いんです。と、ミサカはあの痛みを思い出し震えます」

「ヘイヘイ完成しましたよー」

「メニューはァ?」

「え? 普通にハムエッグだけど?」

「ハンバークとかも食べてみたいですね」

「いつも通りだなァ」

「悪いのか?」

「おおいに結構ォ!」

「それでは・・・」

「Stop the season in the sun!」

 

ハムエッグに箸を伸ばそうとした美咲の頭に、上条のチョップがめり込む。

 

「にぎゃぁぁ!!」

「儀式をせずに食おうとするからだァ」

「ぎ、儀式・・・ですか? と、ミサカはチョップでは有り得ない衝撃を喰らった頭を擦りながら聞き返します」

「手を合わせんだよ」

「オイ、上条。気になってたンだが、何でお前は人を止める時Tubeになるンだァ?」

「良いだろ? 別に」

「これで・・・どうするんですか? と、ミサカは」

「それでは皆さん手を合わせて・・・!」

「ミサカは既に準備完了です」

「ほい」

「はいな!」

「「「いただきます!!」」」

「い、いただきます!!」

 

 

―――食事後。

 

「そういえばさ」

「なンだ?」

「妹達の実験を続けるのはいいとして、俺達だけじゃ無理じゃね?」

「そこは我々妹達にお任せください。初めは難しいですが、実験が続けば続くほど人員は増えるので」

「なるほど。フルトン傭兵みたいにするわけねェ」

「フルトンて・・・」

「MGSですか」

 

 

これが、上条達の絶対能力進化実験の初めの第一歩だった。

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