幻想殺しと電脳少女の学園都市生活 作:軍曹(K-6)
短編集
上条当麻の憂鬱
「あーウザい」
上条当麻の学校での一言である。
それを聞いた土御門元春と青髪ピアスがニヤニヤとして、
「何や、カミやん。どうしたん?」
「相談なら乗ってやるぜい?」
「あー? ここのところ誰かにつけられてるんだよ。まるでストーカーみたいに」
「んなら撃退すれば良いんちゃうん? カミやん強いんやし」
「いや、それがシルエット的に女の子の感じがしてよー」
「誰だか特定はできてるのかにゃー?」
「全く、しそうな奴は考えられるが、アイツには電話番号とメアドを教えてるからしつこい位連絡してくるだけで済みそうなんだが・・・・・・」
「それはそれで憂鬱になるやろ、カミやん・・・・・・」
「安易に拳を振るえないってのがな・・・・・・。なにも俺は誰だって殴るサイコパスじゃねーし」
「犯罪係数オーバー三〇〇。セーフティを解除します。ってね」
「貴音」
「貴音っちも見たのか? PSYCH○‐PASS」
「普通にハマりますよね。あれ」
意気揚々と土御門と話し始め、貴音の影響力だろう。上条の机の辺りに人だかりができ始める。
「うっとおしい」
「いや、マジで憂鬱やな、カミやん」
「ああ」
息を吐きつつ肯定する上条。何とかしないとな。
上条当麻の溜息
今日も・・・・・・か・・・・・・。
学校からの帰り道。上条は思わず頭を抱えた。理由は上条の後方一〇メートルほどのところ、ビルの角に張り付くようにしてこちらを見ている影がある。
(暗殺者か何かか? いや、でも気配を全然消せていないし・・・・・・。だが、こっちが振り向こうとすると一瞬で身を隠す身のこなし・・・・・・ただのストーカーじゃないってのが、おかげで撒くために必死だよ、インデックスの事もあるし容易に学生寮の部屋を知られる訳にはいかねーからな・・・・・・せめて誰か分かれば)
上条は呆れてものも言えない。というか自分をストーカーするとは飛んだモノ好きだな。と彼は思ったりもするが、そんな事を言うと貴音がものすごく怒るので口にはしないでおく。
(本当に誰だよ・・・・・・。普通に生活させろよ。あーそう考えると腹が立ってきた。次のビル角に仕掛けてやる)
上条はそう言うとビルの角に数秒で何かを取りつけて、すぐにそのまま歩き出す。
狙い通り、と言ったところだろう。上条が
「かかったな。さあ、誰なんだ?」
結構格好つけて路地を覗く上条だが、誰もいない。
「あれ?」(予想と違う・・・・・・)
「あっぶねーですの。こそこそ調べても撒かれるんでしたら、最初から普通に聞けばよかったですわね。そもそも今は一人のようですし・・・・・・ぐふふ」
「あ、なるほどね」
上条はその声の主を見て納得した、先程土御門達に話した犯人像。あながち推理は間違っていなかったのだった。
「当麻お兄様、ごきげんよう。できれば寮室を教えていただきたいですの」
「黒子・・・・・・」
自他共に認める変態テレポーター。白井黒子がそこにいた。
「その派手な紫パンツはいかがと思うぞ?」
「色っぽいですの?」
「いや、どちらかというと俺は綿のパンツの方が好きだな」
「なっ。なんだってー!」
「・・・・・・そこまで驚く事かよ。流石にキャラ物は苦手だけどな。シルクのあの感触が苦手なんだよ」
「・・・・・・これからは綿のパンツにしますの」
「なにゆえ?」
「お兄様は気にする必要ありませんの」
「あ、そう。ってお前、怪我してんじゃねーの!? まさか、俺の爆弾で」
「あ、これは気にしないでくださいまし、わたくしが悪いので」
「いや、病院までは連れてってやるよ」
「いいですの!」
黒子は上条自身を突っ張るように言うと、目にハートマークを宿し、勢いよく振り向いた。
「それで、お兄様とお姉様の愛の巣はどこですの!? 今すぐ私もそこに行って・・・・・・」
「住所ならここだ。いつでも来いとはいわねーが、シスターさんが同居している事だけは伝えとくぞ」
「分かりましたの」
(あれ、案外普通だ・・・・・・。それにしても、普通に愛らしいツインテールだな・・・・・・)
「あ、あの。お兄様? どうしましたの?」
「ん? 何でもねーよ」
「あ、でも。ツインテールを」
「あ、悪い悪い。クセでな」
「乙女の大切な髪を・・・・・・! と言いたいところですが、お兄様ですし、許しますの」
「ありがとな、それじゃあな。黒子」
「ええ。また今度。ですの!」
黒子と別れた上条は、自分の寮に向かって歩き出した。
上条当麻の消失
「ご主人。大丈夫ですか?」
壁にめり込んだ上条に声をかける貴音。今、上条達は実験場を借りて、X BURNERの練習をしていた。
『おい。上条、お茶が入った。休憩にしねーか』
「あー。今行くよ」
「しかし、あの技はなんだ? 超能力とはまた違うようだし」
「あれはX BURNERですよ。死ぬ気の炎っていう高エネルギーを前方に撃ち出すモノで」
「はー」
「ほー。なあ上条。それってまだバランスが取れてないんだろ?」
「ん? ああ。柔の炎と剛の炎のバランスが悪いんだよ」
「それはどっちも剛炎じゃダメなのか?」
「両方に攻撃してどうすんですか」
「それもそうか・・・・・・」
何かを考えるように黙り込んでしまう数多。上条は呆れ気味にため息をつく。
「それは炎圧を揃えるだけで良いのかの?」
「ん? まあそうなるな」
「最高炎圧はどのくらいか?」
「最高炎圧? 測った事ないな」
「よっしゃ。測定するから思いっ切り撃ってみろ」
「あ、ああ」
「その前にご主人」
「あ、悪い悪い」
上条は、周囲に良く分からない機類がついた部屋の中心にいた。
『よーし。上条、やってみろ』
「・・・・・・了解」
返事をした彼は、右手を後ろに、左手を前に構える。
『四発ぐらいを目安に。炎圧を最高まで上げてくれ』
「分かった」
最初の一発目。前方の壁破壊。後方の壁に激突。二発目。後方には飛ばなかったが、壁を破壊(二度目)。
三発目。全力撃ち、手元が狂い地面へ。その勢いで壁を貫通。空中に浮いた状態となった。
(あーあー。何だってこんな事に、ま、足場がないと撃てないしな。X BURNERは)
「撃てばいいじゃないですか。あるのは柔と剛の炎だけ、地も宙も変わりませんよ?」
「・・・・・・だな。X BURNER エアー!!」
空中で逆さまの状態だった上条は、そのまま隣の部屋の計測機に剛炎を直撃させた。
が、その反動で。今まで以上に強く壁にめり込んでいた。
「あー。ご主人の馬鹿野郎」
「いやいや、今のは貴音ちゃんが悪いと思うぜ?」
「ですかね」
「当麻お兄ちゃんが大変な事に」
「大丈夫だから落ち着きなさい円周」
―――暫くして、
「止めろ! いくらお前が吸血鬼でも容赦しねーぞ!」
慌てて飛び起きる上条。その体からは汗が噴き出ている。
「大丈夫ですかー? ご主人?」
「ハァッ、ハァッ。スカーレット妹に無理やり犯される夢を見た・・・・・・」
「逆レですか。まあ悪魔の妹ですからねー」
「おい。できたぞ、上条当麻」
「なにがっすか」
「おお! できましたか!」
そういって貴音がトレイを持ってくる。それに乗っていたのは、ヘッドフォンと何かのケースだった。
「何これ
「じゃあ使い方を説明するから。分かったら実験室で試してみてくれ」
・・・・・・実験室
上条は死ぬ気の炎を頭部と両手に灯す。
「コンタクトとヘッドフォンは?」
「着けてますよ。バッチリ」
「見てろ。貴音、お前が見たがっていた完璧なX BURNERを見せてやる」
上条はそのまま炎を噴射し、宙に浮く。そして、受けた説明を思い出す。
『(説明するぞ上条。まずコンタクトはヘッドフォンと音声で連動させてある。コンタクトの情報は耳からも入るはずだ)』
『(耳からも・・・・・・?)』
『(次にディスプレイの見方だが、上のスロットルバーが
(・・・・・・よし。正常に作動してる)
『(そして、X BURNERだが、「オペレーションX」のかけ声で自動的にコンタクトが発射誘導プログラムを開始する。画面がX BURNER用に切り替わり、両手の位置で動くターゲットが出現し、上下のスロットルバーから中心に向けて出力のバランスラインが伸びる。安定したX BURNERを撃つには、ターゲットを中心に合わせて左右の出力を全く同じにすること。つまり両メーターから伸びるラインを一直線にすることだ)』
「それじゃあ私は行ってきます」
「行ってこい」
「オペレーションX」
『了解しましたご主人! X BURNER発射シークエンスを開始します!』
「いきなり空中でか」
『ライトバーナー柔の炎。十五万
「的は・・・・・・あれにするか」
『ターゲットロック。ライトバーナー炎圧再上昇。十八万・・・十九万・・・二十万FV!!』
上条はゆっくり左手を水平に肘が伸びるようにして構える。
『レフトバーナー炎圧上昇・・・十九万・・・二十万FV!! ゲージシンメトリー!! 発射スタンバイ!!』
「おっしゃ! X BURNER!!!」
放たれた炎の柱は、実験場の壁を突き破り、消滅させた。
「強い・・・・・・。やはり、彼は強すぎるようだな」
「当麻お兄ちゃんはやっぱりすごい」
榎本貴音の陰謀
貴音はビルの上で唸っていた。
「あの
彼女は口の端を吊り上げて不敵に笑うと、スゥと消えた。
常盤台中学女子寮・・・・・・
「お姉様~!」
「寄るなッッ!!」
寮内での能力の行使は厳禁。なので、室内に原始的な張り手の音が鳴る。
「い、痛いですの・・・・・・」
「自業自得よバカたれ」
その時、常盤台のインターフォンが鳴る。
「? 珍しいわね。
「ですわね」
『あ、どうも~。白井さんいらっしゃいますか?』
「ど、どちら様ですの?」
『勝手に・・・・・・お邪魔させてもらいますね』
声は突然後ろに移動した。美琴と黒子が慌てて振り向くが、一瞬で美琴は気絶させられ、黒子は目の前が真っ暗になった。
―――――――暫くして、
「はっ! これはどういう事ですの!」
「あらあら。起きて一番のセリフがそれ? もっと言う事あるんじゃないの? ねェ、空間移動の風紀委員サン」
「あなた、誰ですの。お姉様は!?」
「隣の部屋。耐電・耐衝撃壁に囲まれてる。そう簡単に脱出は出来ない」
「なら・・・・・・ッ!?」(飛べない!?)
「残念ながらこの部屋に流れてるこの音楽があなたの集中力を削ってる。
「くっ・・・・・・。何が望みですの」
「
「・・・イヤ、ですの」
「あらそう」
ドス!! と鈍い音がして、黒子の片足に黒子の鉄針が貫いていた。
「逆らうごとにダーツするわよ」
「絶対にお兄様の事は諦めませんの!!」
「残念ね」
さらにもう一つ。二の腕に刺さる。
「うーん。次はどこに当たるかな?」
「絶対に嫌ですのッ!!」
「ガキかっての」
先ほどとは別の、もう片方の足に刺さる。
「あっぐぅ・・・」
「いい加減諦めたらー? 幻想殺しに付きまとわれるとこちらが迷惑する」
「絶対に・・・・・・イーッですの!」
「そう、残念ね」
「―――こっちも、残念だぜ」
「!?」
「まさか!」
「二掌魂威・・・・・・双槍!!」
ズドン!! と、響く鈍い音。魂にまで響いていそうなその一撃を喰らった相手はふわりと消える。
「よっ。黒子」
「当麻お兄様!」
「ったく、御坂と全く反応が違うな。何故こうも違うのか」
「悪かったわね・・・・・・。アンタの顔見たら電撃放たないと気が済まないのよ」
「助けに行かない方が良かったかなぁ」
「私にあそこで過ごせと!?」
「ほんじゃな~御坂・黒子」
「ちょっ待ちなさいよッ!」
「それではまたですの。当麻お兄様」
上条は二人に背を向けて歩きだす。美琴がその背中を追いかけるが、路地裏を曲がった所で見失う。戻ってきた美琴は黒子を病院に連れていった。
「さて? 何であんな事したんだ?」
「だって、ご主人の事チョロチョロつけ回してて、ご主人が迷惑していたので。お仕置きを・・・・・・」
「まあ忠告自体は正しいと思うが、もうすんなよ」
「分かりました!」
一応つながってます。