幻想殺しと電脳少女の学園都市生活 作:軍曹(K-6)
北イタリア、特にヴェネト州の玄関口といえばマルコポーロ国際空港が有名だ。
アドリア海に浮かび『水の都』と呼ばれるヴェネツィアからは対岸に当たるイタリア本土沿岸にある空港で、用途も観光客の郵送が大半だ。ここからバスや鉄道を使って唯一の陸路である全長四キロ前後のリベルタ橋を通り本島に入るか、後は対岸からボートを使った海路で入るかで観光客の流れが大きく分けられる。
「んーっ! 着きましたなぁ! イタリアッ!」
「ほんと何年ぶりでしょうね~」
上条と貴音は思いっ切り伸びをして体から力を抜く。空港から出たばかり、というにはどうにも荷物が少ない状態だが。
「うっひゃ~いるいる。空港での外来人を待ったストリートチルドレンが」
「とうま。テンション上がってるところ悪いんだけど。確かにイタリアは物騒だけど、あまり詮索しないほうがいいかも」
「マジか!」
そのあと、上条たちがガイドに置いて行かれるという事態が発生したのだが、無事バスにも乗れたのだから良しとしよう。
今はホテルに向かう道すがらの細い通りだ。
上条はあー、あー。こんな感じかーとか思いながら歩いていたが、貴音にツイツイと袖の裾を引っ張られた。
「なんだ?」
「インデックスがいないんですけど・・・・・・」
「・・・ん? へ? ( ゚Д゚)ハァ!?」
上条は二、三度辺りを見渡した後。
「インデックス!! どこ行きやがった!! どうすんだぁぁぁぁぁぁ!?」
「え、えとどうしましょう!?」
一応上条たちの頭の中にホテルへの地図は入っている。だが、インデックスにその地図を見せたことはあっても、彼女は禁書目録なのだ。こんなところで離れた時点で危うい。
「テメッ・・・自分がどんだけ大切な存在か自覚し忘れてんだろッッ!!」
叫びに周りを歩く人が振り返ったが、上条にはそれを確認するだけの余裕もない。すると、貴音の胸におでこを押し付けるように崩れている彼の元へ、地元のおばさんが近づいてきた。
彼女は力仕事でもしているような、どこか豪快さを感じさせる笑みを浮かべつつ、
「Ci sono delle preocupazioni?」
「へ?」
何か悩み事でも? と言われているだけなのだが、貴音は突然のことに対応できていない。貴音は外国語の読み書き、話すができても聞き取るのが苦手なのだ。
「・・・・・・Bene . Non ho visto la parte posteriore di una ragazza di questo molto indossava un abito bianco?(・・・・・・えっと。白い修道服を着たこのくらいの背の女の子見ませんでした?)」
「・・・Hmm . Abito bianco o .... Mi dispiace , non ho visto (うーん。白い修道服か・・・。ごめんね、私は見てないや)」
「Capisco. Grazie(そうですか。ありがとうございます)」
「ご、ご主人? ?」
「・・・・・・ああ。お前聞き取り苦手だったな。インデックスの特徴を聞いて、知らないって言われたところだよ」
「ほほう」
「うーん。八方塞がりか・・・・・・」
「あら、困っていらっしゃるのですか?」
「「?」」
二人して首を傾げた。まさかここにきて日本語を耳にするとは思いもしなかったからだ。
「オルソラ! どうしてここに?」
上条は思わず、首をかしげて問いただしてしまった。
「かく言うあなた様は何故こんな所に? 確か、日本にある学園都市にお住まいでございましたよね?」
「旅行でな。そっちは?」
「実はつい先日までこちらに居を構えていたのでございますよ」
「ふーん。戻って来てるってことは、今日は引っ越しか何かか?」
「ええ。今日は家財道具をロンドンに送るために戻ってきたのでございます」
「ほう」
上条がふと隣に目を移すと、救世主が現れたといわんばかりに、知り合いに会えて涙を流しかけている貴音の姿があった。
とにもかくにも、無事にオルソラの口からインデックスがどこにいるのかの情報を聞き出した上条達は件のオルソラ邸に向かうことにした。
上条「勉強しようぜ?」
貴音「嫌ですよ。リスニングの速度はどこもかしこも早いんですもん」
上条「はいはい言い訳は良いから」