幻想殺しと電脳少女の学園都市生活 作:軍曹(K-6)
裏
「貴様・・・統括理事会の狗が!」
「飼われてなどいないさ。俺を飼い慣らせるのは俺だけだ」
そう言った彼の首元では金の鐘がついたチョーカーが高い音を奏で揺れていた。
「全く、いくら掃除してもゴミは出る物だな」
「流石。人を人とも見ないその生き方には惚れ惚れするわ。結局リーダーの魅力はそこよね。まぁあくまで裏の顔なわけだけど」
彼の後に続くベレー帽を被った少女はそう言った。
「なぁ、フレンダ」
「何?」
「帰るのだるい。寮の部屋アポートできない?」
「無茶言うなー!! 無茶すぎるってわけよ! そんな事出来たらそれこそ」
「超能力者だわな」
「どうせリーダーのことだから真に受けんなよとか言うんでしょ?」
「ご名答。さ、表に車が来てるだろうからそれで帰ろうぜ」
「・・・? 車が来てる?」
研究所からでて上条達は道に出る。
「・・・まだ来てないのか?」
「?」
と、曲がり角を思い切りドリフトして出てきたスポーツカーがあった。
「うぇ!?」
「おー。あれだあれ」
止まった車には誰も乗っていなかった。が、少女の声だけが響く。
『はいはいお待たせしましたご主人! 間に合いました!?』
「数十秒ほど遅刻だな」
『あっちゃーやっぱりですかぁ!」
「り、リーダー?」
「さ、送ってくぜフレンダ」
夜の街へ消えていった。スポーツカーだった。
ちなみに。上条達が乗ったスポーツカーはフェアレディZツインターボをモデルにした改造車。時速四〇〇キロを叩き出す怪物である。コンピュータ制御で操縦ができるようになっており、エネがそのコンピュータの役目を果たすことで、普通のコンピュータでは不可能な複雑なコントロールさえ可能にする。タイヤは最新の超伝導リニアを使用しており、まあ要するに電気で動くエコカーである。
表
とあるコンビニ。
「か、金を出せ!」
「ヒィッ」
「このバッグに金を詰めろ!」
「はいはい。金じゃなくて首を出して、身ぐるみ詰めて投降しようね」
一瞬にして強盗の男の体が縦回転し、床に叩き付けられた。あまりの痛みに目を瞑ってしまった彼の体を、ゴムの銃弾が叩いた。
「能力者の強盗ってのは武器を持ってなくて楽だな。逮捕が」
「あ、あの・・・お客様?」
「安心してください。風紀委員です」
「・・・良かった・・・」
「ナイスだ少年!」
「はは・・・・・・では」
男の手に手錠をかけて少年はコンビニを後にする。始末書を書きたくないため彼は逃亡した。
「逃げるが勝ちとはこの事よっ!」
「逃がすと思うの?」
「ゲッ。警備員・・・」
「はぁ・・・。全く、毎度毎度良くもまぁ規則を破って校外の事件に首を突っ込んでくれるじゃん」
「黄泉川・・・勘弁してくんねーかなぁ?」
「お前みたいなのは一度甘やかすと駄目だって事は教師人生で学んでるじゃん。ほら、さっさと支部に戻って始末書を書くじゃん」
「くっ!」
「なにをしても無駄じゃん」
「それはどうかな!」
えいっ。という軽いかけ声とともに、黄泉川の胸が上条当麻によって鷲掴みにされる。
「ほぅ。なかなか良い物をお持ちで・・・」
「なっ!」
「じゃねぇ~!」
その行為によって手が離されたため、自由になった上条は一瞬で遠くまで走って行った。
「逃げ足だけはピカイチじゃん」
「でも、ああいう人間が風紀委員だと対能力者の事件の時、役に立ちますよね」
「それで死にでもしたらこっちの責任じゃん。あいつもこの街に住む学生はみんなあたしらの教え子。死なせるわけにはいかないじゃん」
「そういうものですかねぇ」
一方上条はさらに事件に首を突っ込んでいた。
「ねぇねぇお兄さん達ィ。そんな事して楽しいかいっ!」
喝上げらしき行為を行っている不良生徒の股間を蹴り上げる。
「ガッ!」
「テメッ」
「風紀委員でーす。お掃除に参りましたー」
そう言ってにこやかに、彼は装飾銃を乱射した。
「ガハッ・・・テメェが・・・あの・・・」
「あの、何?」
「無能力者の風紀委員・・・」
「なーんだ意外と有名なのね、俺」
上条は気絶した生徒をもう一度踏みつけて、踵を返して歩き出す。
「あーあ。どこもかしこも変わらねぇなぁ。現実はままならねー、まるで週刊連載だぜ」
大げさに両手を広げて彼はそう言った。この世界を恨めしく、羨ましく見つめて。
表と裏
「・・・これが金だ。例のブツを頼む」
「慌てるなよ。これだ」
「ワントゥスリーってか? ベストホームかっての」
「「!?」」
「やぁ怪しげな取り引きを行うお二人さん。風紀委員だぜ」
楽しそうに上条はハーディスを構え、撃鉄を親指で倒す。
「その銃は・・・!」
「黒皇龍!」
「ん。なーんだ。裏の俺を知ってる人間か。じゃあ遠慮は要らねーか。俺の目の前で何やってんだ? お前等は」
「あ、アンタには関係ない!」
「関係大ありだ。例えソレが個人的なスキャンダルだったとしても、数百万単位の金を動かせる代物ってわけだ。見過ごすわけには行かねーな。な、アンタだったらどう思うよ。もう一人のお仲間さん」
「くっ。気付いていたのか」
「俺に気付かれずに近寄りたかったら、宙を無音で来ることだ。それでも空気の流れで分かる可能性もあるけどな」
「くっ。これだけは!」
「何なのか言って見ろ。中身によっちゃ見逃してやれるかも知んねーぞ」
「データだよ」
「あっ、ちょ!」
「コイツの研究所がやらかした重大な失敗の」
「なにをした?」
「人身売買とかじゃない。電子機器の方だ」
「・・・?」
「新製品の開発データをコイツがおじゃんにした瞬間が入ってるんだよ」
「・・・・・・しょうもなっ」
「しかもこのスーツケースは上げ底で、入っているのは十数万程度だ」
「・・・・・・・・・あほくさ」
上条は神々の義眼で嘘をついてないことを見破ってその場を去って行った。
「子どもらしからぬ事を言わせてもらうが、ちゃんと責任はとった方が良いと俺は思うぞ-」
「・・・・・・うるさい」
「説教なんてのは大体そういう物だ」
ケラケラと笑って上条は大通りへと消えていった。
短編集のようになっていますが、別に意図してなったわけではないです。