赤龍帝と龍騎士   作:ヌルゲーマー

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エタってましたね。

色々と忙しく全然更新できませんでした。
少しですが、どうぞ。


第3話

「ほら、走れ! デイウォーカーなら、日中でも問題無く走れるはずだ!」

 

「こりゃ、世間さまには見せられんなぁ…」

 

 ザンがため息交じりに口から出てきたのは、デュランダルを振り回すゼノヴィアに追いかけまわされるギャスパーを見ながら言った言葉だった。

 

「ありゃ、吸血鬼狩りだろ?」

 

「うーん、『健全な精神は、健全な肉体から』って言っていたのは、一理あるからなぁ」

 

「悪魔や吸血鬼が、『健全な精神』ってどうよ?」

 

「そんな事言っていないで、助けてください~」

 

 涙目で訴える美少女風少年であったが、ザンはにこやかにサムズアップした。

 

「もう一周、行ってこーい」

 

「そんなぁ~!?」

 

「ギャーくん、ニンニク食べればスタミナバッチリ」

 

「いやぁぁぁん! 小猫ちゃんまで~!?」

 

 ゼノヴィアに追われ走り去ったギャスパーを見送ったイッセーたち。リアスに教育を頼まれていたので、とりあえず体力強化に乗り出していた。

 

「『停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)』か。その力だけでも反則じゃないのか? それに禁手になったら、どうなるんだろう?」

 

「『赤龍帝の小手』も、十分反則級だろう? 放っておいたら、力が倍々になっていくなんてな」

 

「存在自身が禁手みたいなザンに言われたくないぜ」

 

 イッセーの言葉に肩を竦めるザンであった。それに声をかける男が一人。

 

「おーおー、やっているな。お、金髪美少女! や~、ザンさん。残念ですなぁ、また女の子が増えちゃって」

 

 軍手をしシャベルを持った匙がやってきたかと思うと、ニヤニヤ笑みを浮かべザンに嫌味を言っていた。残念ながら、匙は嫌味になっていないことを知らない。ザンとイッセーは顔を見合わせ、ザンが頷くとイッセーが匙へ振り返る。

 

「残念。あれは女装野郎です」

 

「は? え? なんだそりゃ、詐欺じゃねぇかよ!? 大体女装って、誰かに見てもらうもんだろう? それで引きこもりって」

 

 がっくり肩を落とす匙に笑いかけるイッセー。だが、その傍らのザンは異なる雰囲気を醸し出していた。その双眸はその奥を睨みつけていた。

 

「…おいおい、そんなに睨みつけなくてもいいんじゃないか? 別にお前たちをどうこうしようと思ってはいねぇよ」

 

 浴衣を着た男が現れると空気が一変する。ゼノヴィアなどは怪訝な表情を浮かべていたが、イッセーの言葉で戦闘態勢を取った。

 

「…アザゼル!」

 

「下級悪魔くんたちでは、俺には勝てないってなんとなくわかるだろう? そこのおっかねー目をしているヤツ以外はな。正真正銘、ただの散歩のついでだ。…そこで隠れているヴァンパイア、『停止世界の邪眼』の持ち主なんだろう?」

 

 アザゼルが指さす先の木に隠れていたギャスパーはビクリと震えたが、アザゼルは構わず続ける。

 

「神器の補助具で足りない要素を補えばいいと思うが…。そういや、悪魔は神器の研究が進んでいなかったな」

 

 ギャスパーの両目を興味深そうに見つめるアザゼル。当のギャスパーは、堕天使の総督に見つめられている時点でブルブルと震えていた。助けを求める様にギャスパーは視線をザンに向けるが、ザンは何を思ったのか笑みを浮かべて頷いていた。

 

「それ、『黒い龍脈』か? 練習をするなら、それを使ってみろ。このヴァンパイアに接続して、神器の余計なパワーを吸い取りつつ発動すれば、暴走も少なく済むだろうさ」

 

「へぇ、『黒い龍脈』って、神器の力も吸い取れるのか。すごいな、匙」

 

「いや、俺も知らなかったんだけど…」

 

 ザンと匙の会話を聞いて、アザゼルは肩を落とした。呆れているといってよい表情だ。アザゼルは、最近の神器保有者が自らの力を顧みようとしないことを嘆いていた。例えば、『黒い龍脈』は五大龍王『黒邪の龍王(プリズン・ドラゴン)』ヴリトラの力を宿しており、どんなものにも接続し、その力を散らすことができる。成長すればラインも増え、吸い取る力も増えると言う。

 

「なるほど、神器の研究ではアザゼルの言い分が正しそうだ。ギャスパーの練習に取り込んでもいいだろう。やって損は無さそうだしな」

 

「認めてもらえたのは嬉しいねぇ。嬉しさついでにもう一つ。神器上達で一番手っ取り早いのは、赤龍帝を宿す者の血を飲むことだ。ヴァンパイアには血を飲ませておけば力がつくさ。そうだ、お前の力を研究したいんだが…」

 

「お帰りはそちらだぜ?」

 

 そっけないザンの対応に苦笑したアザゼルであったが、手をひらひら振るとそのまま去っていった。

 

 

-○●○-

 

 

 明かりがつくと、そこにはがらんどうな光景が広がっていた。桐生家地下二階には、四十平米ほどの広さの空間があった。重い鉄扉が閉まると、ただただ空間が広がるだけだ。

 

「ザンさま、ここは?」

 

「訓練場にしようと思っている。お前も知っての通り、この世界の建物で俺の『龍の氣』を展開すると、下手をすれば崩壊してしまう。そこで、素材に『龍の氣』を少しずつ送り込み、強化していったんだよ。地下でもあるし元より防音設計だから、俺の修行にはいいだろう?」

 

 小さい龍が感心したように頷いていた。

 

「なるほど、『龍氣硬化』の応用ですか。これならば、ザンさまの力を超えることがなければ崩壊もしないでしょう」

 

「ああ。何の因果か、イッセーは強敵を呼び込むようだ。今後、どんな力を持った奴らが現れるかもしれない。単純にパワーだけなら簡単なんだが、相手の虚を突く特殊能力みたいなものは厄介だからな」

 

「この世界で言うと、木場さんのような『テクニックタイプ』ですね」

 

「そうだ。イッセーみたいなのは、木場に翻弄されてしまう。それを超えるパワーで突き進む奴もいるだろうがね。さらに怖いのは…」

 

「『龍の氣』を無効化するもの、ですか。そのような者がこの世界に…」

 

 コウは戯言と思ったか真剣にとらえてはいなかった。だが、ザンの意見は違うようだ。

 

「何に対しても、イレギュラーってものはあるさ。ひょっとすると、この世界には『神器(セイクリッド・ギア)』を無効化する奴なんてのもいるかもしれない。備えあれば患いなし、って事だ」

 

「それでも、『あの技』だけはお止めください。貴方が何故此処にいるのか、お忘れないように」

 

 ザンは苦笑しながらコウの頭をなでた。

 

「心配してくれるのはありがたいが、言っても仕方がないだろう? もし、アレをしなくては助からないなら、再び放つさ。例え、それがイッセーたちと今生の別れになっても、な」

 

「ザンさま…」

 

「暗い話はおしまいだ。さて、今日も遅い。一つ、久しぶりの技をやってから上がろうか」

 

 目をつぶり足を肩幅に広げ自然体に立つザン。ザンの周りに金色に輝く一つの球体が現れる。その球体は二つ、三つと徐々に増えていき、最後には部屋一面を覆いつくさんばかりとなった。

 

「氣弾『龍指』。しかし、これほどの数を展開できたのは、歴代の『龍騎士』を見てもいないでしょうね。それに、これが限界というわけでもないのでしょう?」

 

「まあ、な。コイツはコントロールできないと意味がない代物だしな」

 

 『龍指』を消すと鉄扉を開け階段を上がっていくザン。コウはの背中を寂しそうに見つめていた。

 

 

-○●○-

 

 

「へぇ、木場がねぇ」

 

「そうなんだよ。アイツ、結構ムッツリだぞ」

 

 次の休日、イッセーはザンと共に石段を登っていた。朱乃に呼び出されていたのだ。呼び出されたのは神社。そう、悪魔にとっては敵地の一つだ。

 

「そういえば、お前は大丈夫なのか? 神社に入った途端に聖なる力で燃え尽きるとか、無いのか?」

 

「怖いこと言うなよ!? ダメージは受けるかもしれないけど…」

 

「大丈夫ですわ」

 

 二人が顔を挙げると、巫女姿の朱乃が笑みを浮かべて立っていた。

 

「ごめんなさいね、イッセーくん、ザンくん。急に呼び出してしまって」

 

「あ、いえ。俺は仕事もなかったしヒマだったんで」

 

「俺もですよ。宿題は終わらしたし、別に問題ありませんよ」

 

「え!? 宿題なんかあったっけ?」

 

 ザンがため息交じりに何か言おうとしたが、口を閉じると目線をイッセーから石段の上、鳥居の方に向けた。イッセーたちもつられて視線を向ける。そこには金色の羽を羽ばたかせ地上に降り立つ青年が一人。頭上には金色の輪が浮いている。

 

「彼が赤龍帝ですか? それにこちらの彼が龍騎士の…」

 

「桐生斬だ。ひょっとして天使長か?」

 

「初めまして、私はミカエル。龍騎士、桐生斬くん。そして赤龍帝、兵藤一誠くん。ああ、懐かしいオーラを感じます。確かにドライグですね」

 

「男でよかった…」

 

「?」

 

 ミカエルは笑みを浮かべたまま首を傾げたが、ザンは苦笑して肩を竦めただけだった。

 

 神社の本殿にミカエルに朱乃、イッセーにザンがたどり着くと、ミカエルがイッセーやザンに振り返ると口を開く。

 

「実は、あなたたちのどちらかにこれを授けようと思いましてね」

 

 ミカエルが指さす先には剣が一振り浮いていた。聖なるオーラがその剣を包み込んでいる。イッセーはそのオーラを感じ、汗が頬を伝う。

 

「名のある聖剣と見受けられるが?」

 

「これはゲオルギウス…聖ジョージと言えば伝わりやすいでしょうか。彼が持っていた龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)の聖剣『アスカロン』です」

 

 ザンは右手親指でイッセーを指しながら口を開いた。

 

「なるほど。なら、このイッセーにやってください。今は俺よりイッセーが力を持つべきなんだ。白龍皇の相手をやらなきゃならんし、今後もそういった輩も増えるだろう。それに俺の考えが正しいなら、すでに天使は悪魔側から何かしら貰っているはずだ。いや、堕天使ともやり取りをしているはずだ。三すくみが会合やろうって言うんだ、そのくらいしているだろう? ただ、その枠に俺は入れないで欲しいな。俺はぁ、悪魔じゃ無いぜ?」

 

「フフ。なるほど、どうやら噂通りの方のようですね。いいでしょう。特殊儀礼を施していますので、悪魔の彼でもドラゴンの力があれば扱えるはずです」

 

 遠目からザンはイッセーがアスカロンを手に取る光景を見ていた。どうやら、『赤龍帝の小手』に同化させようとしているようである。赤い閃光が走ったかと思うと、左手の甲の部分から剣先が見える。無事、成功したようだ。その光景を見届けると、ミカエルは光と共に帰っていった。

 

「用事も済んだようだし、帰りますね、姫島先輩」

 

「待って!」

 

 呼び止められると思っていなかったザンは、外へと向けられた足を思わず止め、そして振り返った。朱乃は真剣な表情をしている。その口から、まるで絞り出すように言葉を発した。

 

「…だ、堕天使は嫌いですか?」

 

「いや、別に? イッセーを殺したアイツらを憎んだこともあるが、『堕天使』という大きな枠では別ですよ。もし気に入らない人間がいたら、『人間全体』を嫌わなくてはいけなくなっちゃいますよ。俺が憎むとしたら、『仲間を傷つける者』だ。あ。あと、不用意に触れられると気絶しちゃうので、女性全般苦手かな? ははは。じゃあ、失礼します」

 

 今度は振り返らず手をひらひらと振りながらザンは去っていった。そのやり取りを見ていたイッセーは、姿勢を正すと朱乃へ向き直った。 

 

「あ、朱乃さん。俺、聞きたいことがあるんですけど…」

 

「…そうですね、その前にお茶でもいかがですか? 境内に私の部屋がありますので、そこでお聞きします」

 

 二人は境内にある朱乃の家へ歩き始めていた。

 帰宅途中で会ったリアスに、ザンはイッセーを置いて帰ってきたことを話した。リアスは何か慌てた様子で神社へ向かっていった。肩を竦めると、苦笑しながらザンは帰途についた。

 

 

-○●○-

 

 

 三すくみの勢力が会談に臨む当日。会場は駒王学園職員会議室。リアスを先頭に、オカルト研究部のメンバーは部室から会場へ移動しようとしていた。

 

『ぶ、部長! みなさぁぁん!』

 

 部室にあるダンボールから声が聞こえてくる。声の主はダンボールに入った引きこもりのハーフヴァンパイアだ。

 

「ギャスパー、今日の会談は大事なものだから、神器を使いこなせていないあなたは参加できないのよ」

 

「しょうがない。俺がギャスパーを見ているから、部長たちは行ってきてくれ」

 

『ザンせぇんぱぁぁいーー!』

 

 うれしそうな声がダンボールから発せられるが、リアスは首を横に振った。

 

「駄目よ、ザン。あなたは会談においてキーマンの一人なのだから、不参加は認められないわ。ひょっとすると、悪魔側があなたを会談に参加するのを妨害したと取られるかもしれない。あなたに参加してもらわないと困るのよ」

 

「ちっ」

 

 舌打ちをするザンを見て、イッセーには得心がいった。ギャスパーを心配しているのも事実だろうが、会談に参加したいのがホンネなのだろう、と。イッセーは苦笑しながらダンボールに話しかけた。

 

「ギャスパー、おとなしくしていろよ? 俺の携帯ゲームしていてもいいし、そこにあるお菓子を食っていてもいい」

 

「は、はいいぃぃ!」

 

 ザンの背中を押しながらイッセーは部室を後にした。その光景を木場が後ろから面白そうに見てついていく。

 

「イッセーくん、やっぱり面倒見がいいね」

 

「任せろ。後輩の一人ぐらい、なんとかしてやらぁ」

 

「…自分のことを何とかしろよな? この間の白龍皇みたいにいろんな奴がお前目当てに来るんだ。強くならないと、先が無いぞ?」

 

「わ、分かってるよ!」

 

 イッセーの顔は真剣であったが、ザンの顔色は優れなかった。

 

「どうしたんだい、ザンくん?」

 

「ああ、あの白龍皇ってやつは一筋縄ではいかなそうだからな。この会談で和平への道が決まれば、大人しくなるんだろうか? 俺にはそういうイメージがわかないんだよな」

 

「どういうことだよ?」

 

 ザンが自らの足で進んでいることから、イッセーは木場とは反対側のザンの脇に出る。

 

「アイツはコカビエルとは違うが、似ているところがある。アイツの目は力を追い求めている目だった。それがどう転ぶことになるか…」

 

「怖いこと言いっこ無しだぜ!? …きっと堕天使の総督が何とかしてくれるさ」

 

「まだ和平がなっていないのに、他陣営のボス頼みかよ。まぁ、今から気にしても仕方ないか。それに会談が破談になったとしても、俺が二陣営皆殺しにすればいいんだしな」

 

「だから、怖いって!?」

 

 先頭を歩いていたリアスが歩みを止める。会場の扉の前に来たのだ。会話が聞こえていたのだろう、リアスがザンを睨みつける。ザンは肩をすくめ、それを見たリアスはため息をついた。諦めたのか、リアスは扉を叩くと部屋に入っていった。オカルト研究部の面々も続く。悪魔、天使、堕天使はすでにそろっていた。サーゼクスにレヴィアタンにグレイフィア。ミカエルとその傍らに控える天使。アザゼルに白龍皇。そのヴァーリはザンにウィンクするが、ザンは肩を竦めるだけであった。

 

「私の妹と、その眷属。そして龍騎士だ。先日のコカビエル襲撃で、彼女たちが活躍してくれた」

 

 サーゼクスが天使、堕天使陣営に紹介と報告をする。ミカエルは礼を述べ、アザゼルは詫びた。態度の違いは非常に大きかったが、ザンはさして気に留めていなかった。気になるのはヴァーリからの引き続いている視線だ。挑発に近い。気づいている者もいたが、会談はそれと関連せずに始まった。

 

 会談が始まるとザンはすることが無い。先ほどからの視線は気になるが、現時点ではどうしようもない。結論としては、無視をするしかなかった。目を閉じ考えこんでいるふりをする。おおよそ興味の無い話である。船をこぎ始めるのにさして時間を必要としなかった。

 

「…んたの知らないところで起きたかもしれないが、あんたに憧れた堕天使がアーシアを殺したんだ!」

 

 イッセーの怒りの声で現実に戻されたザン。リアスもイッセーを落ち着かせようとしている。どうやら堕天使の総督の態度が気に入らないようだ。

 

「俺たち堕天使が害悪になるかもしれない神器所有者を始末しているのは確かだ。将来、外敵となるかもしれない者を事前に察知したら、排除したくなるのは組織として当然だろう?」

 

「フン、随分と狭量なことだな。大体、自分たちが害悪で無いと考えているのが救い難い」

 

 ザンの突然の発言にリアスは肝を冷やし、アザゼルの目は細く鋭くなる。

 

「ほう、俺たちが害悪だというのか?」

 

「別に堕天使のみの話じゃねぇよ。生きている者たちってのは、大体他に迷惑をかけているもんだ。そして、ある程度の固まりができてくると、組織なり国なりが出てくる。それを維持をしようとして他を排除し始める。そこが狭量って言うんだよ。相手を尊重しさえすれば、手を取り生きていくことは可能なんだ。『世界を滅ぼすことが目的の者』以外はね」

 

「ハハハハハ」

 

「耳が痛いですね」

 

 アザゼルは豪快に笑い、ミカエルは苦笑した。各勢力のいがみ合う姿を、ザンは切って捨てたのだ。

 

「くっくっく。面白い意見だったぜ。さて、他の奴らの意見も聞こうか。ヴァーリ、お前は世界をどうしたい?」

 

「ボクは強いやつと闘えればいいかな」

 

 ヴァーリは視線をザンに向ける。ザンはため息をついた。

 

「平和なら幾度と闘うこともあるだろうさ」

 

「何でか、聞いてもいいかな?」

 

 ヴァーリの疑問の言葉に、ザンが一瞬殺気を放つ。ヴァーリの頬に一筋の汗が流れた。

 

「…戦時なら、必ず『殺す』。成長が望める奴だろうが何だろうが、敵なら全てな。老若男女関係無い。根絶やしにする。そして、何も残らないのさ。勝者さえも。被害が大きいか小さいか以外の差は無い。お互い、高め合うって事が出来ないのが戦なんだよ。平和の世界だからこそ、高め合い極みを目指せるのさ。戦では綺麗事は無いんだよ」

 

「…ふぅん」

 

 何かを考え始めたヴァーリは、ザンから視線を外してそっぽを向いた。それを見たアザゼルがイッセーに水を向ける。

 

「じゃあ、赤龍帝。お前はどうなんだ?」

 

「お、俺? 正直わからないです。小難しい事ばかりで、頭が混乱しています。ザンの意見に興味があるけど…」

 

「しょうがない。恐ろしいほどかみ砕いて説明してやろう。俺らが戦争をしたら、お前は表舞台にでなくてはいけなくなる。そうしたら、リアス・グレモリーは抱けないぞ?」

 

「!?」

 

 イッセーが身を乗り出した。ザンは肩を落としていたが。

 

「和平を結べば戦争をする必要が無くなる。そうすれば大事なのは種の存続と反映だ。毎日、リアス・グレモリーと子作りに励むことになるかもしれないぞ? 戦争なら子作りは無し。和平ならセ○○スしまくりだ。どうだ、分かりやすいだろう?」

 

「和平がいいです! 平和っていいよね!? 俺、部長とエッチしたい! しまくりたい!!」

 

 ザンは天を仰いだ。対面にいるサーゼクスは笑みを隠し切れないようだ。イッセーの隣にいるリアスは顔を真っ赤にしている。

 その瞬間、時が止まる。

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