DAO《デブアート・オンライン》   作:夜中のタヌキ

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モチベーションが続いたのでもう1話行きました。

今回人によっては、というより女性の方は不快感を顕わにするかもしれません。

男性はまあ、アレだ。頭を小学生にして貰えれば楽しめるかと…



それでは第11話始まります。



デブ、召喚する

印象が強い方がいい。

 

面接然り、婚活然り

 

それが良い印象だろうが悪い印象だろうが相手に残るからである。

 

記憶にさえ残っているのならば悪い印象でも挽回の余地は存在するのだ。

 

その印象はこれ以上下がる余地がないのだから

 

 

 

 

 

「ふむ、つまりこの黒髪の嬢ちゃん、ユイの両親もしくは知り合いを探しにこの教会に来たって訳か」

 

 二重顎を撫でつつ教会内の椅子に座って対面に座るご家族(仮)に確認を取るデブ。隣には子供が関係するとあって保護施設責任者兼保母さんのサーシャが同席している。

 

 ちなみにこの話し合いが成される前に教会の子供たちにキリト達が攻略組だということがバレて一悶着あったのだが保母さんがハリセンを取り出したことで蜘蛛の子を散らすように逃げていった。今はキリトがストレージに入れっぱなしになっていた短剣やハンマーを持って二階で騒いでいる。

 

「すみませんが今現在この教会でもそういうお話は耳にしていません」

 

「俺もだなぁ。まあキリトも嬢ちゃんも心配しなさんな。黒髪の嬢ちゃんの件は鼠に聞くのもいいし新聞に載せる手もある。俺の商会だってそこら辺の奴らより顔が広い筈だから何とかなるだろ。」

 

 実際問題これらの手札を切れば大体のことは調べ上げることができる。鼠はSAOで古株の情報屋であるし、各層で新聞を配れば職人系の奴らからの情報が得られる。何よりデブの肉汁商会は中・上層プレイヤー御用達の飲食店を囲っているため情報網が鼠のソレより広い。寧ろこれで見つからなければユイの関係者が死んだと考えても間違いではないだろう。

 

「それよりもそんな深刻そうな面してるのが問題だ。子供の前では笑ってろ。無駄に深刻そうな顔して子供を不安がれせりゃ本末転倒だろうが。ホレ、これでも飲んで頭の中スッキリさせろ。」

 

 そう言って暖かいハーブティーをキリトとアスナのカップに注ぎ直す。

 

「そうですね。私達が不安がっても仕方ないですよね」

 

 嬢ちゃんは隣に座るユイの頭を撫で、気持ちよさそうに目を細めるユイを見て一同の顔に笑顔が咲いた。

 

「さて、と。それじゃあもう直ぐ昼だし飯でも「おっちゃん、サーシャ先生っ!」…おん?」

 

 デブの話の腰を折って3人の子供達が教会に雪崩れ込んできた。

 

「こら、お客様に失礼じゃないのっ!」

 

「それどころじゃないよっ!ギン兄ィ達が軍の奴らに追われてるんだっ!!」

 

 走りこんできた赤毛の子供は少し目に涙を浮かべながらデブと保母さんに叫んだ。

 

 その言葉を聞いたデブはその脂肪に塗れた重い腰を上げて子供に近づいて額に太い指でデコピンを放った。

 

「痛いっ」

 

「ちょっとトムさんっ!?」

 

 軽く壁まで吹き飛んだ子供を見て立ち上がり周りが非難の声を上げるがデブには聞こえていないようで悠然と子供の目の前にしゃがみ込んだ。

 

「おいニック、男が泣くんじゃねぇよ。」

 

「で、でもっ」

 

 まだ何か言おうとした子供の頬を今度は分厚い掌で挟むデブ。

 

「でも、じゃねぇ。男が泣いていいのは親が死んだ時と食い物を落とした時だけだと教えただろうが。」

 

 そう言い聞かせるように語り子供を落ち着けさせる。そしてデブの言葉を聞いて次第に子供の目には活力が沸いてきたようである。それを確認し、デブは改めて子供に問いかけた。

 

「で、ギンたちは何処に居るんだ?」

 

「東5区の道具屋裏の空き地だよ。コッタは逃げられたけどギン兄ィたちは入り口を軍の連中がブロックして閉じ込められてるんだ。」

 

 話を聞くと小柄な子供達は入り口を塞き止められる前になんとか脱出できたようである。

 

「ほう。東5区の道具屋裏、ねぇ…」

 

 ニヤリとした笑顔を貼り付けてデブは呟く。

 

「おい、トム。もしかして…」

 

「たぶんな。つうかお前さんの想像道理だと思うぞ。ふ は は は」

 

 キリトはそんなデブを見て声が震えておりそれを横で聞いていたユイは黒い頭を横にかしげた。

 

「とにかく私は空き地に向かいます。すみませんがお話はまた後ほどでいいですか?」

 

「いえ、私達にもお手伝いさせてください。少しでも人数が多いほうが良い筈です。だよね、キリト君?」

 

 チラリとトムを見て軽く慄いているキリトに視線を向けると少し反応が遅れたが返事が帰ってきた。

 

「あ、ああ。そうだな。俺達も行こう。…まあ行かなくてもいいだろうけど」

 

「何か言った、キリト君?」

 

「いや、何も」

 

 そんな彼女らの返答に保母さんは深く頭を下げて感謝の意を示した。

 

「ありがとうございます。お気持ちに甘えさせて頂きます。」

 

 そして気合を入れるように眼鏡を押し上げドアに向いつつ走る意を彼らに伝えた。

 

 

 

 

 

 それからサーシャは空き地へと突進するがごとく迷い無く走り始めた。彼女の拠点がこの《はじまりの街》であるため当然近道や裏路地に至るまで自分の庭のように把握しているため目的地に着くのが通常より速かった。

 

 しかし裏路地や近道を使った代償にデブが遅れたのはご愛嬌である。リズベット武具店の入り口で腹が支えるようなデブに狭い近道を通れる訳がないのである。

 

 そんなデブを保母さんは当然のように放置し裏道を走り抜けた。まったくもって容赦がない。

 

「待ってて、今助けるからっ」

 

 呟き足はその勢いを増して回転してくれる。

 

 ちなみに子供達も初めはサーシャに付いて来ると言って聞かなかったのだが彼女がハリセンをストレージから抜き出したところで口を噤み諦めた。よっぽど昨夜のクエストが怖かったようである。

 

 そうこうしている内に彼女とキリト夫妻とユイの眼4人は灰緑と黒鉄色を纏った集団が見えてきた。

 

「おっ、保母さんの登場だぜ」

 

「…子供達を返してください」

 

 硬い声で静かに保母さんは告げた。

 

「まあ慌てるなや保母さん。先に市民の納税の義務を果たすのが先だろ?」

 

 此方を挑発するように軍のメンバーの一人が嘲笑うかのように言うがそれを無視して人壁の向こうにサーシャは叫んだ。

 

「ギン!ケイン!ミナ!そこに居るのっ!?」

 

「「先生っ!」」

 

「先生、助けて……」

 

 ギンやケインは大丈夫そうだが女の子のミナは震えた声で返事を返した。12、3歳の少女が仲間が居るとはいえ完全装備の男どもに囲まれているので仕方がないことだろう。

 

「お金なんていいから、全部渡してしまいなさいっ」

 

「先生…それじゃダメなんだ……」

 

 悔しそうにケインは声を絞り出した。

 

「くははは。そうそう、そこの坊ちゃんの言う通りなんだよ保母さん。あんたらは随分と稼いでいるから通常の納税より高いのは当たり前だろう?」

 

「そうそう。その分が滞納されてるから金だけじゃ足りねぇんだよ保~母さん。だからまあ武器や防具、その他の装備を全て置いていってもらわないとなぁー」

 

 仲間の台詞を聞いていた仲間が下卑た表情を浮かべる。中には「ロリ、ロリ、脱~げっ」と連呼している男も居りサーシャとアスナの面々には青筋が浮かんでいた。

 

「そこを…どきなさいっ!」

 

 ついに我慢の限界にきたサーシャはロリと連呼している男の顔に片手直剣突進技《ソニックリープ》を叩き込んだ。

 

 そのモーションに一切の淀みはなく相当な錬度がうかがい知れるその一撃は

 

「っ!?」

 

 ロリコン兵士に易とも簡単に受け止められていた。

 

「……おばはんは引っ込んでろよ。俺はロリにしか興味がねぇんだ」

 

 そう言いながら左手の盾で受け止めていた片手直剣をパリィして腹部に足を叩き込む軍の兵士。

 

「サーシャさん!?」

 

「げははははっ。進歩がねぇなあ保母さん。俺らがアンタに技ぁ喰らってんの覚えてねぇの?」

 

 再び笑い出す軍の兵士たち。暫しの浮遊感を感じもう直ぐ来るであろう背中への衝撃に身を固める。しかし身を固めても心から溢れる不甲斐なさに前が霞む。

 

(…悔しいっ。子供すら守れないの私はっ!?)

 

 サーシャは吹き飛ばされながら血が出そうなほど唇を噛んだ。

 

「っとぉ。保母さん大丈夫か?」

 

「えっ?」

 

 硬い石畳の地面に叩きつけられるはずだった彼女は何か柔らかいものが背中に当り、疑問と共に背後を振り返った。

 

「どうしたい保母さん?いきなり飛んできて。」

 

「え?あ、いえ。別に何でも……」

 

 いきなり現れた巨漢に抱きとめられ目を白黒させる彼女にデブは笑いながら地面にゆっくりと降ろした。

 

「まあいいか。ガキどもはそこだな」

 

デブは一度ニヤリとした笑みを浮かべ、直ぐに視線を入り口を閉鎖した兵士へと向ける。

 

「ええ。って待ってください」

 

「いいからそこで待ってろ。直ぐ終わるから」

 

 言いつつ軍人の下へと歩いてくるデブを見てキリトは溜息をついた。

 

「遅いよ。」

 

「飯を食う速さなら負けないんだがなぁ」

 

ストレージから鳥の丸焼きを取り出して瞬く間に食べ終えるデブ。

 

「な?」

 

「『な?』じゃありませんよっ」

 

 嬢ちゃんのツッコミもデブ弛んだ脂肪に跳ね返される。不満げな表情を浮かべるアスナをキリトに任せ、デブはゆっくりと周りを見渡し兵士の集団でその肉に埋もれた眼が止まった。

 

「そんで、だ。お前ら何やってんの?」

 

 ゆっくりと石畳を踏みしめるように前進しながら尋ねた。

 

「何って、納税の勧告に決まってんだろおデブさん。見て分からねぇの?もういいからデブはピザでも食ってろよ」

 

「ピザッ!?ピザくれんのっ!?、何処に在るんだっ!?」

 

 声を1オクターブ上昇させて必死に太い首を振りピザを探し出すデブ。

 

「やらねぇよっ!?」

 

「ハァ、くれねぇのか。そりゃ残念だ。……じゃあもういいよな」

 

 立ち止まり右腕を高らかに挙げて太い指を構えたデブは言葉と共に指を打ち鳴らす。

 

 その瞬間、兵士の背後にあった道具店の窓が大きな音を発てて開け放たれた。それに反応した数人の兵士達は装備を手にして背後を振り返るが3人の子供達が見えるだけで空き地には何も変化が無かった。

 

「おい、何もねぇじゃねぇか。デブは引っ込んでろよ」

 

 再び振り返りデブに睨みを聞かせる兵士を無視してデブは元来た道を振り返って歩き出した。

 

「お、おい。トム?」

 

 少し放心していたキリトは慌てて駆け寄って呼び止める。

 

「もう大丈夫だ。あと、嬢ちゃんの目は塞いだほうが「キャアアアアアアアアアアッ!!」……遅かったか」

 

「アスナッ!?」

 

 アスナの悲鳴を聞き背後の剣に手を掛けながら慌てて振り返るキリト。

 

 

 

そこには変態がいた。

 

 

 

 どう見ても変態だった。下半身は異様に股間が膨らんだ白いビキニパンツのみであり、そこにサスペンダーを引っ掛けて上半身の乳首を隠していた。頭には白い三角形の布状の物を被っており、斜に構えて腕を背中で真っ直ぐに組み上半身のみを此方へと向け《サイドトライセップス》を行っている。凄い笑顔でピクピクと大胸筋を震わせているのが実に変態的である。

 

「な、なんだテメェはっ!?」

 

「変態だー!?変態が現れたぞー!?」

 

 流石に軍の兵士達はうろたえ声が震えていた。

 

「…HENTAI。それ以外に名は必要か?」

 

 1度両の親指を使いサスペンダーで乳首を弾くと背中を向け腕を曲げて《ダブルバイセップス・バック》を行う。

 

「身体に怪我はないか?」

 

 変態は問いかけた子供達は辛うじて首を縦に揺らした。

 

「へ、変態…キリト君、変態が目の前に……」

 

「アスナっ、しっかりしろ。」

 

 放心しながらもしっかりとユイの目を両手で塞いでいるアスナは母の成せる技だろうか。

 

「だってキリト君、変態だよ?いきなり変態が現れたんだよっ!?」

 

「大丈夫だから。一応トムの店の窓から出てきたしアイツの仲間だから大丈夫だ。」

 

 そう言いながらもアスナにこれ以上変態を見せない様に頭を抱き寄せるキリト。さすがに此方へ物理的な被害は来ないだろうが視覚的な被害はこれ以上嫁に蒙らせたくないようである。

 

 そんな外野を置き去りにして子供たちの反応に満足した表情を浮かべ再び兵士達へと振り返り、今度は身体を正面に向け頭の後ろで手を組んで《アドミナブル・アンド・サイ》を行うHENTAI。

 

「貴様らの愚劣な行為はしかとこの眼で見させて貰った。…よって貴様らには教育を施す。」

 

 その言葉を残して自らの白いビキニに包まれた股間に両手を突っ込む。すると中から黄色の閃光が煌きリーダー格と思われる兵士の首へと絡みついた。

 

 それは鞭だった。ハンマーなどの打撃系に属するこの武器の特徴は【掴む】ことと【間合い】にあり打撃系特有の高い攻撃力は無い替わりに遠くのものを掴むことができる。ちなみにどこかの軍の副首領もこの武器を愛用しているらしい。

 

「へっ?」

 

 HENTAIは間抜けな声を上げるリーダー格の兵士を自らの方へと一気に引き寄せ顔面に蹴りを放った。

 

「次は貴様らだ」

 

 言い放ち彼の手に握られた黄金に輝く鞭が1人の兵士の足に絡みつきそれを武器に残りの兵士を薙ぎ倒す。

 

「いいいっやああああああああああ」

「に、逃げっ」

「た、たすけあああああ」

 

 阿鼻叫喚とはこの事だろう。変態は薙ぎ倒され地面に伏した兵士の顔面には逐一尻のスタンプを叩きつける。たまに股間を押し付けるのはご愛嬌である。

 

「っふ!」

 

 そんな中で先ほどロリと連呼していた兵士が片手直剣技《スラント》を叩き込んだが、変態は上体を地面スレスレまで逸らしてかわすと両腕を地面につけて飛び上がり足を相手の頭の後ろにに絡ませる。

 

「Go to Heaven」

 

 そして股間を押し付けて最後の兵士を戦意喪失させた。

 

 

 

 

「貴様は惜しい変態だった。次は現実世界で遭えることを期待するぞ同士よ」

 

 その言葉を同士への手向けとしてサスペンダーを指で弾く変態。指でサスペンダーを弾く行為に特に意味はないのあろう。

 

「あ、あの。貴方は?」

 

 恐る恐る変態へと話しかける保母さん。

 

「…HENTAI。それ以外の名はない」

 

 彼は一瞥してそのように返答すると上に飛び上がると鞭を振るい建物を掴むと遠心力を利用して空高く舞い上がり飛んでいった。

 

 

 




デブとの恋愛?――-前にも言ったがコイツの恋愛は肉だけだっ!


そんな訳でHENTAIさんがログインしました。

彼のポージングの由来が知りたければボディービルでググッて下さい。

最後に変態が鞭で立体機動してますが彼は巨人の方ではなく蜘蛛男に近い動きをしています。

ガスなんて物はSAOにはないのです。


そしてデブと変態に毒されるサーシャさんはこの小説の1番の被害者であることが確定しました。
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