思いつきなので何処までいけるか分かりませんがいけるところまで行こうと思います。
それではDAO第三話始まります。
デブに食えないものはない。
それが食べられるものならば俺達デブは宇宙と化した胃袋でその存在を食べよう。
それが存在するものでなくても俺達デブはコスモと化した胃袋でその存在を喰べよう。
俺達に食えないものはない。
翌日、デブは第七十四層迷宮区の安全地帯でカーペットを広げておにぎりらしきものを食べていた。カーペットの上には大量にあるおにぎりを包んでいたであろう葉っぱの包みの他に武器やポーション類、結晶系アイテムが所狭しと並べられ申し訳程度に『肉汁商店』と書かれた立て札が鎮座していた。
もう皆様はお気付きだろうがこのデブのSAOでの職業は商人、もっと正確に言えば行商人である。実は1話でボッタクリ商店を訪れようとしていたのは商売によって売られてきたアイテム類を転売しようとしていたためである。
やっていることは『不思議のダ○ジョン』にある商店でデブ曰く「これなら座っているだけで飯の種が出来る」らしい。まったくもって怠惰なデブである。
ただこんな最前線で店を構えられるのはトムが標準的な攻略組のレベルを上回っているからこそできる商売であり、通常ダンジョンでこんなことをやっていればレッドやオレンジの連中に狩られるのが関の山だ。
一度このデブは今日と同じような食事中にオレンジギルドに襲われたことがある。たまたま近くを通った攻略組の某真っ黒黒助さんは食事を邪魔され盛大にキレたデブが相手に噛み付き振り回していたのを見たという。
このオレンジギルド、今ではデブに教育され立派なパシリとしてデブに貢物を与えるといる。「すんませんっ、マジすんませんっ!自分たち調子ノッてました。」と今でもマズイ飯を持って来る毎に噛み付かれいつか食われる(食物的な意味で)という恐怖がが常に彼らに存在している。
このパシリから脱走しようとした輩もいたそうだがこのデブがそんなことを許すはずもなく、見つけ次第腕を徐々に噛み砕かれ徐々に顔に接近していくという拷問が待っている。しかも逃げるとこの教育が連帯責任で行われるため元オレンジギルド内では互いに監視し合っているという負の協力体制が敷かれている。
デブ内食物連鎖ピラミッド最下層のこの元オレンジの集団が哀れで仕方ない。
そんなわけで今日も今日とてパシらせたおにぎりをがっつくデブであったがボス部屋の方から男女の悲鳴が聞こえてきたためそちらに目を向けた。
「うわああああああああ」
「きゃああああああああ」
見ればキリトと昨日の嬢ちゃんがトムのいる安全地帯に物凄い勢いで駆け込んできた。
「なんだキリトか」
軽くデブが一瞥し溜息を吐くと興味をなくしたのか今度は緑茶らしきものを飲み始めた。食べ物が絡まないとこのデブのやる気はまったく出ないのである。
「なんだはないだろうが、こっちは必死にボス部屋から逃げて来たって言うのに」
「食事中の俺に労いの言葉を欲しがるな。構って欲しければ飯をクレ。ちなみに俺は今、食後のデザートを所望している」
「持ってる訳ないだろうが」
溜息を吐きつつその場に腰を下ろすキリト。それに習いアスナも隣に腰を下ろした。
「こんにちはトムさん、昨日ぶりですね。」
「うん?ああ、昨日の嬢ちゃんか。どうだあれからまだ鶏ガラは囀ってたりするのか?」
「はい・・・。でも、今日は昨日みたいにクラディールちょっとしたトラブルがあったんですがキリト君が助けてくれました。」
嬉しそうな顔をする嬢ちゃん
「当然だろ、昨日一緒にパーティーを組むって約束したんだし」
「キ、キリト君・・・」
「ほ~、へ~、ふ~ん」
「な、なんだよ」
「いんや何にも?」
言いながら黒いのの発言で赤くなっている嬢ちゃんと意居心地悪く頬を掻くキリトを見やる。
「・・・何?この甘い空気?いくら甘い物好きの俺でもこんなのは食えないんですが」
食傷気味に言いながらカーペットに商品を巻き込みながら立ち上がる。
このカーペットは『ベンダーズ・カーペット』といいカーペット上のアイテムの劣化を防ぐと共にアイテムをカーペット固有のストレージ上に収納できるという露天商売には欠かせないアイテムだ。SAO攻略初期の頃にはこのカーペットを使って強化詐欺を行った連中も居るらしいがこのデブは知るよしもない。あの頃のデブはネズミから教えてもらったトレンブルショートケーキにしか興味がなかったのである。
「ちょ、ちょっと待てよ。この空気を何とかしていってくれ。」
「何言ってるの!?べ、べ別に甘くないわよ。」
ソワソワした様子のキリトと軽く動揺している嬢ちゃんが何か言っていたが聞こえない振りをしてボス部屋前に行くことにした。
デブの足は遅い。鳥ガラとのデュエルで真正面からそんな常識を打ち砕いたトムではあるが実際問題早く動けるのは数メートルという短距離だけである。よく学校でデブがマラソンでビリになるようにデブという人種は長距離走が苦手でトムもその例に漏れない。ただコイツの場合ステータスが筋力値極振りというのもあるのだが。
アイテムの保有数はプレーヤーの筋力値に左右され、また筋力値が高いほど重いアイテムも持ち運ぶことが出来る。客商売を行うのに重要なのが店員の愛想という部分もあるにはあるがやはり一番重要なのは品揃えである。決まった店舗を持たず定期的に商品を入荷できない行商人という商売にとって筋力値は商売の生命線なのである。
また最前線でなければ攻略組が緊急で結晶などのアイテムを買うことは少なくプレイヤーたちがコルを店に落としていく率が段違いだ。もっと言うと最前線から離れるとこのデブの食費が賄えない。よってトムは常に最前線に店を開く必要があり先ほどキリトを置いていったのは言うまでもなく飯のためである。
つくづく飯のためにしか動かないデブである。
そうこうしているうちにトムはボス部屋前の安全地帯に辿り着いたが途中で筋張って堅そうな軍人モドキの集団がデブを追い抜いて行った。もう此処には居ないとなると攻略を始めているのだろうか。
彼らは軍と呼ばれ過去には攻略組に属していたが初めてのクォーターポイントにて壊滅的な打撃を受けたためここ暫く攻略には関与してこなかった。だからだろうか、攻略組御用達の肉汁商店の名物店長を見ても嘲笑しか浮かべなかったのは。そんな輩だったので彼らに忠告する義理もないのでそのまま先に行かせたデブ。
ただ少し気になったのでボス部屋の扉を少し開けようと手を伸ばそうとした時、また後ろからキリトと嬢ちゃんが走って来ていた。よく見ると彼らの後方には野武士集団の姿も見え、いつの間に合流したのかとトムは首を傾げた。
「おう野武士、久しぶりだな。少年のケツ追っかけてどうした?ついにホモに転向したか?」
「ホモじゃねぇよっ!っとそれよりトム、さっき軍の奴らが通らなかったか?」
「ああ、歩いてるときに俺を抜かして行ったな。俺もさっきここに辿り着いたしたぶんこの中じゃねぇかな?」
そう言ってに後ろ手にボス部屋の扉を指差すデブ。彼がやると恐ろしく様になっていない。腕を動かしたときに揺れている腹と二重顎がとてもシュールだ。
野武士の質問に答えているとキリトがボス部屋の扉を開けたようで中から野郎どもの悲鳴が聞こえてきた。
「あああああああああああああ」
「いやだあああっ!助けてくれえええええええっ!」
「ええい逃げるなっ!戦え、戦うんだっ!!」
中ではパーティが崩壊した軍の姿が見えた。
驚く俺達の近くに倒れてきた軍の人間に思わずキリトが叫んだ。
「何をしている!早く転移結晶を使え!!」
「だ、駄目なんだ、クリスタルが使えないっ!」
「「な・・・・・」」
俺達は固まった。
結晶無効化空間。その名の通り結晶を一時的に使えなくする部屋の名称である。ダンジョントラップにかかった時に発動するものが多く今までボス部屋にその存在が確認されたことはなかった。攻略組ではいつかこの結晶無効化空間がボス部屋に実装されるだろう事は思いついていたが五十層のクォーターポイントを過ぎてもボス部屋に実装されなかったことから早くても七十五層のボス部屋からだろうというのが共通の見解だった。
トムもまさか七十四層という中途半端な階層で結晶無効化空間がボス部屋に実装されるとは思っても見なかったので珍しくいつもの笑みが凍り付いていた。
そんな中、軍のリーダー格らしき男がボスに切り捨てられHPを0にしたのを見てアスナは反乱狂といった様子でボスに突っ込んでいった。
「ダメ――――――――ッ!!」
「ア、アスナッ!」
「くそっどうにでもなれ!」
その姿を見てキリトと野武士集団もボス部屋へと飛び込んだ。
それを見てデブは溜息を吐く。
「ハァ~、しゃーないか。ったくここで見捨てたら今日の夜飯が不味くなるじゃねぇかよ。」
言いつつデブは中に一歩踏み出しストレージから槍を1ダース取り出した。
嬢ちゃんが心の中で泣いていた。
女の涙ほど飯を不味くするものはない。
なら、どうする?
決まっている。
・・・お嬢ちゃん
―――――――――――お前の悲しみも喰ってやるよっ!
その槍を束ねて掴みデブは腰を屈めた。
今はキリトたちがボスであるグリームアイズを抑えているがアイツらのステータス構成から言ってAGI壁という攻撃を喰らったら瀕死というキチガイ戦法しか取れない。いつかは今後方にいる俺とスイッチしなければならないが如何せん距離がありトムのシステム外スキルである無拍子ではボスに届かずスイッチができない。
徐々にキリトたちがボスのスキルを捌ききれなくなってきた。
なら道は一つだ。トムは足に力を込めつつ叫んだ。
「キリト、スイッチだっ!」
瞬間、極振りの筋力値にモノをいわせてデブは真上に飛び上がった。
槍を持った右半身を後ろに引き絞ると右手から緑のライトエフェクトが輝き始める。
「ぬおおおりゃあああああああああああああっ」
気合一投。トムは限界まで引き絞った腕を振りぬきボスを中心に十二本の槍が襲った。
投槍専用ソードスキル、重範囲攻撃《メテオレイン》
本来範囲攻撃を持たない投擲系スキルにおいての唯一の例外であり、筋力を極大にまで高めた者だけに許されたソードスキルである。
モーションを起こすには飛び上がる必要があり、スキル発動には溜めが必要なため使い勝手はお世辞にも良いとは言えない。ただしそれでもこのスキルには上位スキルに相応しい効果も存在する。
「ギャオオオオオオオオオオン」
「何だあ!?羊野郎が固まったぞっ!?」
これは槍という貫通属性武器の特性により生まれる非破壊オブジェクトの貫通である。本来地面や建物の壁などの非破壊オブジェクトは傷つけることが出来ないのだが投槍上位スキルの一部は槍の刃の部分だけではあるがオブジェクトを貫くことが出来る。今回はこの効果を使いグリームアイズの両足と尾を槍で縫いつけ一時的に移動できなくしたのである。ボスの筋力からすると硬直時間は精々2~3秒程である。
続けて俺はソードスキルの反動を使い背後の壁に足を付けそのままボスの元へと突っ込んだ。
身体を黄色いライトエフェクトが包み俺は体術重攻撃突進技《フルドライブ》を発動し俺は肉弾頭と化してボスの右手に持った大剣を弾き飛ばした。
そのまま俺は大検と一緒に宙を舞い、キリトの二刀の演舞を見ながらストレージから取り出した手羽先を食い始めることにした。
「あ~、うめぇっ!」
結局最後の最後でしまらない主人公(デブ)
でもいいんです、肉を食わなければこの作品の主人公じゃありませんから。