DAO《デブアート・オンライン》   作:夜中のタヌキ

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知らぬ間に評価がオレンジになっていました。

デブが主人公というあまり見ない二次小説なだけにこの評価に嬉しさもひとしおです。

投票してくださった方々ありがとうございます。

それでは第9話始まります。


デブ、返信する

静かな夜、いつも通りの日常

 

子供はもっと遊びたいと駄々を捏ね、大人は子供を諌め、デブは肉を食う

 

平和な夜、退屈な日常

 

しかしここは剣の世界、剣で切り裂き道を紡ぐ鋼の世界

 

剣は再び物語を切り結ぶため布石で己を研ぐ

 

 

 

 

 

 

 

イメージカラーが黒色のジゴロを地面に埋めた宴会から数日後

 

デブは教会の窓から時折夜空を見上げ何か考えるような素振りをしつつ太い指を忙しなく走らせていた。

 

口には細長い吸盤の付いた足のような物が加えられておりそれが徐々に口の中へと進んでいる。

 

「おっちゃん、コレ俺も食べていい?」

「おっちゃん遊んでくれよ~」

「おじさん、上の層のお話して~」

 

そんなデブのことなどお構いなしに周りに群がる子供たち。デブの頭や肩、背中に乗っかっているのも居るがいつものことなのでトム特に気にすることはなく作業を続ける。

 

(ふ~ん、前までMHCPがイマイチ安定しきれてなかったんだがここ最近妙に安定しているな。まあ言っても初期の頃に比べりゃバグ抱え込んで不安定の一言に尽きるんだが―――――っと、これでとりあえずこの件はOKだな。後は……うん?)

 

そんなことを考えているデブは視界に緑色のアイコンが点滅していることに気が付いた。

 

(ありゃ、メールが着てらぁ。未読が……4件か)

 

見ると一番最初のメッセージは団長のおっさんだった。几帳面にも契約履行完了の通告だったので直ぐに次のメッセージに目を向ける。

 

 

From:シンカー

TEXT:ちょっと軍のことで折り入って相談があるんだ。近いうちに話が出来ないだろうか?

 

 

シンカーとは軍ことアインクラッド解放軍のギルドマスターを勤めている男である。現実世界ではMMOトゥディの管理者を務めてきた経験からプレイヤーの安全を第一にとそのギルドを作っていた。一応規模としてはSAO内の最大ギルドとして君臨しているが個々のレベル自体は25層のボス戦以降攻略組としては関わっていないため中堅といったところである。

 

トンガリ野朗とは軍内で強硬派の派閥を取り仕切ったエセ関西弁の男で名をキバオウという。何かとシンカーとは対立しては軍を弱体化させているクソ野郎で前に第64層のボス攻略を強行したのは軍でのイニシアチブを取るためだろうとネズミから聞いていた。

 

デブとも反りが合わず半年ほど前に軍との取引で暴言を吐いてきたので頭のトンガリを齧りとって丸坊主にしたことがあった。

 

(相談、ねぇ。大方トンガリ野朗共のことだろうなぁ。履歴は……昨日か。まあ返信しときゃその内返事が返ってくるだろ)

 

そう思い了承のメールを送ると次のメールに目を向けるデブ。

 

 

From:クライン

TEXT:今アルゲードで風林火山の面子で飲んでるんだがお前も来ねえか?

 

 

「そのままおホモ達と仲良くな」と返信して次を読み出す。

 

 

From:シリカ

TEXT:先日はケイン君の居場所を教えてくれてありがとうございました。今はケイン君と二人でキャンプをしてます。一夜のあやm……一緒に就寝するのが楽しみです。

 

 

(危機感がないっつうか欲が隠しきれてねぇっつうか。……ケイン、頑張れ)

 

圏外で年端もいかない少年少女の二人っきりというのは幾ら高レベルのケインが居ようが些か危険なのでお目付け役としてウチのHENTAIを派遣することにした。これでケインならギルドを通じてハイディングしたHENTAIを策敵出来るだろうから安心して眠れるだろう。別の意味で心配だが。

 

(次はっと)

 

 

From:ニシダ

TEXT:東都高速線㈱のニシダです。先日の釣りコンペの件では大会運営の取り仕切りをしてくださり大変助かりました。今月も引き続き日程は今のところ未定ですが釣りコンペを行いたいと考えておりますので今回は参加者として楽しんでくれればと思います。また後日詳しい日程が決まり次第お伝えしますので参加の有無だけ返信していただけると助かります。

 

 

(律儀だなぁあの人も。こっちは魚をたらふく食えたからよかったのに)

 

前回の釣り大会は第61層セルムブルクで行われた。この層は殆どが湖に覆われた絶好の釣りスポットで連日高レベルの釣り師が見かけられている。といっても釣り師の連中は釣りスキルの向上にしか目が向いていないため大会開催は主街区で行われた。ちなみにこのメッセージの送り主であるニシダさんはこの釣りコンペの主催者件SAO釣り連盟の会長さんである。

 

当然大会参加者だけではデブの胃袋を賄いきれないので肉汁商会総出で釣りに出ていたのは言うまでもなく、大会中盤頃には魚を釣りつくしたと言わんばかりに魚が針にかからなくなっていた。それにキレたデブはこの層を根城にしている血盟騎士団のおっさんを呼び出し、大会終了まで騎士団員を大会参加者の護衛にして圏外で彼らは釣りを楽しんだ。

 

その時に食べた魚の味を思い出しながらメールフォルダを閉じようとするとデブはもう1件メッセージが届いていることに気付いたので開いてみる。

 

(あん?シンカーに送ったメッセージが返ってきやがった。迷宮区でレべリングでもしてんのか?いつもパーティーで昼間にレベル上やるようなアイツが夜中にレベル上げたぁ珍しいこともあるもんだ。)

 

そんなことを考えていると不意にデブの頬が引っ張られた。

 

「ね~、遊んでよ~」

 

「こ~らっ!トムさんはお仕事中なんだから騒がしくしないの。それにもう直ぐ寝る時間よ。歯を磨いてベットに入る用意をしなさい。」

 

そんな様子を見かねて保母さんが注意を諭す。

 

「え~、まだ俺眠くないよ~」

「私まだおじさんとお話してたい」

 

そしてそんな保母さんの言葉に口々に不平を垂れる子供達。まあ遊び盛りの子供なのだから当然と言えば当然である。

 

「私まだトムのおじちゃんに登ってない~」

「俺だって登ってないよ~」

 

デブはそんな様子を笑いながら傍観していた。

 

そこには平和な日常があった。

 

 

 

 

「おばちゃん、そんなに怒ると皺増えるよ?」

 

 

 

 

ピキッ

 

誰が言ったのかは知らないが最後の一言にそれまでの微笑ましい空気に亀裂が走る。平和の崩壊である。デブも思わず口から蛸足もどきを落としかけ慌てて空中でキャッチしていた。

 

「ふ、ふふ、ふふふふふふふふふ」

 

保母さんの後ろに黒い靄がたち込め、その様子を見た子供達が振るえ始める。

 

「お、おい」

 

心なしかデブの声も震えていた。

 

「ふふっ――――――――――――― お 仕 置 き よ ♪ 」

 

手にはいつの間にか取り出し青色に発光するハリセンを構え、ニッコリとした笑顔を貼り付けた鬼神が教会にポップした。

 

「「「「逃げろ―――!」」」」

 

「逃がすかっ!!」

 

かくして子供達の遊びたいという希望通り クエスト『保母さん(鬼神)とリアル鬼ごっこ』 が開始された。

 

 

 

その夜、教会ではハリセンの音が鳴り止むことはなかった。

 

 

 




女性に年齢を聞くとはなんと怖いもの知らずな…

小説ではテンプレの展開ではありますが一度やってみたかったのですハイ。

そして今回はあのキャラの登場するストーリーの導入部分に当たります。

彼らがどのような道筋を辿るかは今のところ未定ですがデブがデブらしく進めるように書いていこうと思います。
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