二人のぼっちと主人公(笑)と。   作:あなからー

11 / 47
燃える闘志と悲しみは 冷たく固いメカの中 誰も知らない俺達の これがこれが秘密の 秘密の初投稿です




そうさ君は天使だった

 材木座君の事件? が終わった週の休日、僕は県外に出ていた。と言うのも、三門市の近くには大きい家電量販店がなかったからだ。洗濯機やパソコンを見つけようにも、近くのお店は性能に比べて値段が割高だから、電車で隣の都県に出ることにした。

 

そして、手っ取り早くTOKIOもといTOKYO。

 

「……………………」

 

 表情には出ないけれど、僕も結構驚いている。やっぱり三門市は"都会の田舎"なのだ。それに比べると、やはりこの人混みは慣れないし、辺り一面にある建物が新鮮に感じる。

 と、いけない。まずは店を探さないと。これだけビルだらけだと油断するとすぐに迷子になってしまう。でも…………。

 

「……新宿西口、駅の前」

 

 目的地はすぐ近くにあった。

 

 

 

 

 

 今回僕が探しに来たのは掃除機とノートパソコン、あとは食器洗浄機。明後日にも妹が帰ってくる上、バイトもある僕にとっては食器洗浄機はとても便利な代物。掃除機は第一次侵攻の前からずっと使っていたからそろそろ寿命。ノートパソコンはちょっとした趣味もあるけれど、大きくは作業用。家計をつけたり計画を立てるのに使っていたパソコンが古くなってきたからどうせなら新調。

 

「ノートPCは……地下。掃除機は……」

 

 迷わないよう、目的のものがある場所を口ずさみながら店内へ。こんなにも心が昂ぶるのは久しぶりだ。相変わらず表情には出ないけど。

 

 

 

     *

 

 

 買い物が終わったのは入ってから六時間後。無駄な時間を喰いすぎたけれど欲しかったものは全部手に入れられたからあとは届くのを待つだけ。掃除機は安定と信頼のザイソンのサイクロンがあった。食器洗浄機も直ぐに見つかった。迷ったけれど、結局他のより少し高い乾燥装置があるものにした。前々からお金は貯めていたし、今月もなんとかなると思う。

一番時間がかかったのはノートパソコン。会社や値段、性能など、色々と種類があって悩んだ。店員さんにも手伝ってもらった。親切に色々教えてくれたけど、僕の無表情で苦労をかけたかもしれない。ごめんなさい。

 最後に決まったのはアスーシ社のノート。CPUはCorei7の第二世代、メモリも増設可能でHDDも800GBくらいはある。OSも最近のものとミドルスペックにしては上々のものだけれど、製品自体が型落ちなので10万円以内でおさまった。ヤマナカ電機の値段とくらべて無かったら少し危なかったかもしれない。

 

 さて、そろそろ帰ろうと思い立った時、近くに小さな列が出来ているのが見えた。何だろう。

 

「う~ん、アンタもダメだな。はい次~」

 

 何かの制服?…………ああ、ボーダーか。県外にまで来てるなんて大変だ。

 四年前のことを思い出す。僕を壊してボクを僕にしたあの出来事を。家族を奪ったのは許せないけれど、妹の怪我はもっと許せない。僕はいくら壊れたっていい。代わりを作ればいいのだがら。だけど今僕に出来るのは妹の為に働くことだけだから。さて、帰ろう。

 

「ん?おーい、そこのお前!ちょっと測ってけよ!」

 

 呼び止められるなんて不幸な人。並んでいる人の不評も買いかねない。

 

「お前だよ!無視するなよー!背の小さいの!」

 

 僕だろうか。いや、もしかしたら近くに似た人がいる可能性もあるから振り向くだけにしておこう。

 

「ん」

 

「そうそう、お前お前!」

 

 僕だった。

 

「はい」

 

「今、ボーダーのスカウトしてんだけどさ。なんとなく面白そうなんだよなお前。だからちょっと測られてくれない?」

 

「どうぞ」

 

「なんかお前、奈良坂みたいな奴だな……いや、アイツの方がまだ喋るか。さてと…………!!」

 

「?」

 

 どうしたのだろう。故障かな?もしそうなら早く離してほしい、ってあ。特急行っちゃった。これはまた暫く待たないといけない。

 

「ちょっと待っててくれ。『もしもし?米屋だけど、なんかいいヤツ見つけたぜ。とにかく来てくれ』  ……なあ、名前聞いていいか?あと年齢」

 

どうしたんだろう。嫌な予感がする。

 

「……天海 樹。年齢は今年で17」

 

「あれ、じゃあ同い年じゃん!俺は米屋 陽介だ、よろしくな!あ、今までの敬語はいらないぜ?よろしく!」

 

 踏み込んで来るな、この人。でも嫌な感じはしない。多分、初対面だから踏み込みすぎないようにしてるのが分かる。悪意も全く感じないし、きっといい人なのだろう。

 

「よろしく」

 

 こういう時はきちんと返しておく。まだ油断は出来ないけど、少なくとも今は友好的だから。もし悪意が確認できた瞬間―――僕は逃げる。今なら逃げられるから。

 

「ほんっと喋んねーのな。おっ来た来た、こっちだー!」

 

 米屋君が手を上げた先には、目つきの悪い人がいた。「こいつか?」と米屋君に聞いているあたり、同じボーダー、それも良い関係を築けているみたいだ。

 

「天海、俺はまどろっこしい事言えねーから単純に言うけどさ」

 

米屋君は続ける。

 

「―――お前、ボーダー入んない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 え?

 

-----------------------------------------------------------------------------

 

 昼休みというのは、勉強に疲れた学生たちの癒やしであり、くつろぎだ。

 

 材木座の依頼が終わった次の日の昼休み。俺は天海の待つベストプレイスへと足を運んでいた。なんでも、この週末に妹が帰ってくるらしいからもうすぐ依頼期間は終わるらしい。

 その弁当だが、毎日のように進歩していっている。正直もう文句のないレベルだ、というか超うまい。元々料理の経験があったのか、味の薄さは三日目で直った。曰く、

 

「僕の料理は基本この味だから、これ以上濃くしたことが殆ど無かった」

 

 らしい。それですぐ合わせられるあたり凄いな。専業主夫を目指している俺は小町に料理をだいたい任せてるから、いつまでたっても上手になる気配がない。当たり前だった。

 そんなこんなでマッカンを買って無事到着。

 

「ん」

 

「サンキュ。正直もう俺が教えるところはないんだが」

 

「依頼期間までは取り敢えず作ってくる」

 

「お、おう。まあ俺としてはわざわざ購買に行く必要が無いからな、むしろ感謝してるまである」

 

「そう」

 

 以上、会話終了。やっぱり俺はコイツといても苦じゃない。お互いに干渉しあわない素晴らしい関係だ。雪ノ下や由比ヶ浜にもぜひ見習って欲しいもんだ。

お弁当を食べ終わって、二人して座ってぼうっとする。静かだ。誰にも邪魔されず、こうして穏やかに過ごせる空間があるってのはいいな。と思っていると、こちらへ走ってくる人影がある。

 

「はぁ、はぁ……ってうわっ!ヒッキー!?いっちゃんまでいるの!?」

 

 それは、両手にジュースを持って運んでいた由比ヶ浜だった。走る度にその大きい物が揺れてこちらにとっては非常にがんp…目に悪い。

つかいっちゃんて何だ。もしかして天海のことか?

 

「だからヒッキーって呼ぶな。っていうかお前天海にも渾名つけたのかよ」

 

「えっ、だっていっちゃんも奉仕部なんでしょ?」

 

「違うわ。こいつは依頼人で、昨日もその関係で奉仕部に来てただけだ」

 

「あ、そうなんだ……ごめんね、急に渾名つけちゃったりして」

 

「ん」

 

肯定か否定かイマイチ分からない返答。由比ヶ浜も少し気まずいのか、黙ってしまった。今ならヒッキーって渾名もなくなるんじゃね?

 

「じゃあ俺にも謝れよ。急につけたじゃねえか」

 

「えっ、ひ、ヒッキーはいいの!いちいちうっさいなあ!」

 

理不尽。女子二名からの扱いが酷すぎる。

 

「つかお前どうしたんだよ。二本もジュース持ってるけど」

 

それを聞いてようやく思い出したのか、由比ヶ浜が話しだした。

 

「いやさー!いつもあたしとゆきのんでお弁当食べてるんだけどね?ジャンケンで負けたほうがジュース買ってこようっていう賭けをして負けちゃったんだ」

 

「あいつが賭け?そんなタイプじゃないと思ってたんだが」

 

これは本音。あいつなら「くだらない」と言って取り合わなさそうなもんだが。

 

「あー……実は一回は断られちゃったんだよね。でもね、そのあと『勝てるか自信がないの?』ってちょっとだけ言ってみたらすぐに話に乗ってくれたよ!それで結局ゆきのんが勝ったんだけどね、その時ゆきのんがちっちゃな声で『よしっ』って言ってたのがもの凄く可愛かったの!!」

 

 熱弁する由比ヶ浜。百合百合してる。

 というかお前雪ノ下の性質めちゃくちゃ分かってんじゃねえか。少しコイツに対する評価を改めようかと思った。あと雪ノ下、お前負けず嫌いすぎだろ。なにそれ、『よしっ』って。どんだけ負けたくなかったんだよ……

 

そんなこんなで二人(天海は沈黙)で話していると、

 

「あれ、由比ヶ浜さんと……比企谷君?」

 

と声がした。振り向くと、そこには

 

 

 

ジャージ姿の天使がいた。

 

「あ!さいちゃんよっす!」

 

「あはは、よっす」

 

 かわいい。超かわいい。テニスのラケットを持っているということは、さっきまで練習していたんだろう。大体いつもこの場所にいるからたまに練習しているところを見かける。こんなかわいい女子テニス部の子がいるなんて、男子テニス部よ爆発しろ。

 

「さいちゃんは昼休みなのに練習?」

 

「うん、前に顧問の先生から許可がもらえたからね。それからはほぼ毎日やってるよ」

 

「へ~……凄いね!あたしはそんな毎日は送れそうにないなあ」

 

「やってみなくちゃ。そういえば、比企谷君はテニスが上手いよね」

 

「ん?俺か?すまんがどちら様で」

 

「えっ知らないの!?ありえない、ヒッキーと同じクラスだよ!?」

 

「知ろうとしてないんでな」

 

「アハハハ、いいよ由比ヶ浜さん。僕の名前は戸塚彩加だよ、よろしくね」

 

「お、おう(かわいい)」

 

 まあ上手いと言っても、俺はただ壁打ちに興じていただけなんだが。組んでくれる物好きなんていないし、それで気を遣わせるのも悪いしな。厚木先生に言っておけばなんとかなった。

 

「えっそうなの?なんか意外」

 

「いつも一人で壁打ちしてるんだけど、その時のフォームが凄く綺麗なんだ。しかも結構筋肉もあって、スピードも出てるんだよ」

 

「始めの方は意外じゃない…………」

 

「うるせえ」

 

 というかよく見てるな、女子生徒なのに……女子?テニスは男子だけだったハズだ。一人称が僕っていうのは女子の中でもいるらしいから除外しても、それでも女子が男子の、特に俺なんかのことを知ってるはずがない。

 まさか……。

 

「なあ、戸塚。悪いがお前って、もしかして男子か?」

 

「うん、そうだよ。よく女の子と間違われちゃうんだ。僕、男なんだけどな…どうしてだろう」

 

 かわいいからでしょうよ。女子より、なんならそこの由比ヶ浜よりかわいいから。マジで。声も中性的だしな。

 そういえば戸塚に埋もれがちだがなんだかんだ天海も中性的な顔立ちしてるんだよな。イメージ?うーん、性格の例えとして一番的を得てるとすれば……緋弾のア○アの○キか?ってこれ隠す意味ねえじゃねえか。ボーダーの中で言えば奈良坂が一番近いな。

 奈良坂+レ○÷2=天海 みたいな。わっかんねえだろうなあ。俺も分からん。

 

「そう言えば。由比ヶ浜。お前、ジュースは大丈夫なのか?」

 

「へ?……………あぁ!!!」

 




もうちょっとキリよく終わらそうぜ。

--------------------------------------------------------------------------------
補足欄?

・TOKIO
ジャニーズの中で多分いちばん好き。次点で関ジャニ。基本アイドルに興味はない。

・新宿西口、駅の前
昔CMよく流れてた。
「まあるい みどりの やまのてせん まんなか とおるは ちゅうおうせん」

・空を仰ぎ星よ満ちて(ry
Angelaは好きなアーティストの一人です。一番好きなのは「綺麗な夜空」。
初期からのファンだったりする。

・アスーシ ヤマナカ電機
ASUSゲフンゲフン と安さがモットーのあのお店
実は私が一番好きなメーカーがASUSだったりします

・緋弾のア○ア
レキかわいいよレキ 次点では文ちゃんが好きです

-----------------------------------------------------------------------------
平均4000字程度で進めようかと思っております。少なくとも3000字からは少なくはなりません。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。