二人のぼっちと主人公(笑)と。   作:あなからー

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スズランを育て始めたので初投稿です

これまでのお話を見ていただいた方、ありがとうございます。最近、昔のデュエル・マスターズのカードを見つけてからというもの再びドハマり(パックは未購入)してしまいました。超次元ってなんすか(2002~2010くらいまではやってた)

前回のあらすじ

・槍バカ「ボーダー入んない?」カルピスバカ「は?」

・ネイバー絶対殺すマン「なんでや!」天海「妹のため(にお金を稼ぎたいから)」

・ヤクルトバカ、カルピスバカ『ぐぬぬ』

うん、だいたいこんな感じ。


異次元テニスバトル(大嘘)

 さて、妹が帰ってきてから初めての平日。日課となった弁当作り、その量は前の週よりも少し多くなっていた。と言っても、白米の量で、という点のみではあるが。

 

「…………できた」

 

 今回のメインディッシュは豚しゃぶのマリネである。バイト先から頂いたいいレモンを使っているため、スッキリとした味わいに出来たと思う。マスターには感謝。

そこに少しだけポン酢を掛けてやると、酸っぱすぎない、子供でも食べやすい味となる。

 因みに、つけ汁についてだが、マリネのつけ汁で今回使ったレモン汁は絞ってから直ぐに他の材料と混ぜ合わせた。こういう時でもスピードは大切にしたほうがいいのではないかと個人的には思ってる。塩を少なめにして、その代わりにポン酢。あとは本当はワインなのだが、妹への料理ということで(あと高い)、料理酒になった。風味はワインよりも劣るが、味的には合格だと思う。

 

 あとはブロッコリーとおかかの和え物やほうれん草とウインナーのソテー、卵焼き(我が家の卵焼きは甘くない)にミニトマトと、野菜が多めのお弁当になった。トマト以外はきちんと野菜に火を入れているが、劣化が怖いために保冷剤は多めに準備しておく。

 

 ご飯には高菜のふりかけをかけた。僕はのりたま派なのだが、ナツはどうやら高菜派のようだ。デザートは勿論ヤクルトである。昨日のバイト終わりに買ってきておいたものだ。我が家の食費とは別に、乳酸菌飲料費もこっそりと存在する。それを確保するために、我が家は常に倹約を心がけている。僕達にとっては飯よりも大事なのだ。

 

 

 次に朝ごはんを作る。余ったマリネは夕飯用に置いておくため、残ったソテーがまず一品目に入る。

二品目は味噌汁だ。鍋に水を入れ、鰹節を投入してから弱火で熱しておく。煮干しもそうだが、味噌汁の出汁に使ったものはそのまま具材としても使えて便利だ。僕が作るときはだいたい鰹出汁なのだが、よほど気分でない時以外は鰹節を入れたままにしている。これは賛否両論があるだろうが、勘弁してほしい。誰に言ってるんだろう。

 

 目玉焼きは熱いのが食べたいので妹が起きてくるまで待つ。玉子だけは常温に近づけるために冷蔵庫から出した。

 

 こんな感じで、つつがなく朝食も出来上がっていく。もういい時間だしナツを起こすとしよう。基本的に、ナツは寝起きが悪い。というか中々起きてこない。そんな時に一番効果的な方法がある。きっと直ぐに来るよ。

 

「ナツ、起きないとヤクルト飲むよ」

 

ドン、ガチャ、バタン!ウィィィィィィーン……………

 

「殺すよ?」

 

「嘘」

 

 ほら。

 

 そもそも僕はカルピス派。別にヤクルトがマズイわけではなく、カルピスがあるのにわざわざ飲む理由がないだけで。

 

 さてと、味噌汁の出汁もいいだろうし、目玉焼きを先に作るか。……と、その前に。

 

「おはよう、二匹とも」

 

『やあ、ご主人』

 

『ハラ減ったんだけど』

 

「ん」

 

こうして、いつもの日常に妹が加わりながら朝は過ぎていった。

 

 

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 別に待たなくてもやってきてしまう月曜日。学生にとっても社畜にとっても絶望の朝である。勿論俺、比企谷八幡も例外なく、月曜日を恨んでいる人間の一人だ。

 

「はぁ………………」

 

 学校行きたくねえなあ。俺みたいにコミュニケーションを取るのが苦手な(というよりとりたくない)人間にとっての監獄である。ただ、総武高校以外でいい大学が目指せそうな学校も少ないわけで。

 

 もう少しゆっくりしてからでも.....いや、戸塚から朝練に誘われたんだった。ちょっと断った時の事を想像してみるとしよう。

 

『比企谷君、僕と練習してくれないの…?(涙目)』

 

 よし。

 

「行こう」

 

 俺、比企谷八幡は切り替えの速さに自信がある人間の一人だ。

 

 

 

    *

 

 

 

「あっ、おはよう比企谷君!来てくれてありがとう!」

 

 かわいい。何故戸塚はこうも笑顔を振りまけるのだろうか。もしこれが俺だったとしたら全員に目を背けられること間違い無しだ。

 

「大体この時間くらいには起きてるから大丈夫だ」

 

 

 そもそも、俺はあの落ち着いた筋肉、もといレイジさんの弟子でもあるのだ。自己鍛錬が好きなあの人が弟子をとった時、その弟子にもある程度同じようなことをさせるのは師匠として当然だろう。そのため、弟子になった次の日から俺はアホみたいな距離のランニングが日課になった。今では慣れてきたが、昔はマジで死ぬかと思った。いきなり「軽く5km」とかおかしいだろそれよぉ。

 

「なら良かったよ!じゃあ早速始めよう!」

 

 ニコッと笑って準備運動を始める戸塚。眼福である。ジャージ姿ではあるが、普段着ているものではなく柄や色が違うものを着ている。新しい戸塚を見られるというだけで、朝のあの気怠さが一気に吹っ飛んでいく気持ちになった。

 

さて、俺も準備しますかね。

 

 

 

 

    *

 

 

 

 レイジさんのメニューと同じでやろうとしたら戸塚がボロボロになってしまったため、途中で切り上げて学校へ。そら(あの筋肉と同じメニューを初日にしたら)そう(俺がなったように戸塚も死にそうに)なるわな。八幡反省中…

 

 

アソコデアアスリャヨカッタニャ

 

反省会終わり。

 

「………ッキ……………」

 

ちなみに後悔はしていないため、ガンガン疲れさせて

 

『はぁ、はぁ…比企谷君、もう、僕………』

 

「……ヒッ……って………………」

 

『比企谷君、こんなの無理だよぉ……僕、もうダメ…』

 

 ぐ腐腐。

 

 

いかんいかん、なんか由比ヶ浜のグループでよく鼻血を出してる人の口癖が…

 

 つうかこんなの想像してる俺ってどうよ。天使とはいえ戸塚は男だぞ?そもそも天使に対してこんな想像を膨らませること自体が失礼に当たるのだ。すまない戸塚。どうかゆるしてく

 

 

 

 

「ヒッキーーーー!!!!」

 

「ウェイ!?(0w0)」

 

「えっ、何その声キモイ…………」

 

 もの凄く残念なものを見るような目をされてしまった。何、お前雪ノ下の弟子にでもなったの?ちょっと似てたから泣きたくなっちまったじゃねえか。

 

「つかなんで耳元で叫んだんだよ。そんなん俺じゃなくてもビビるだろ」

 

「だってさっきから呼んでたのに、全然聞いてなかったじゃん!」

 

「え、マジ?」

 

「うん」

 

「……あー、悪い。ちょっと考え事しててな」

 

 まあ、その内容が戸塚に対しての妄想だなんて絶対に言わないけどな。言ったら多分全員からゴミ扱いされること間違い無しだ。あ、一人例外がいたか。

その例外、なんかさっきからこっち見てくんだけどどうにかしてくんねえかな。しかもものすごいいい笑いを浮かべてて気味悪いんだけど。

 

「あ、そうだったんだ」

 

「ああ、だからあっち行け。注目されて俺に迷惑がかかる」

 

「ヒッキーってブレないよね…」

 

ぶつくさ言いながら俺の席を離れていく由比ヶ浜。お前に一つだけ聞きたい。

 

 

 

 

一体何しに来たんだよ。いや聞いてないのは悪かったけどさ。

 

 

 

    *

 

 

 

 さて、放課後である。実は昼休憩に一悶着あったのだが、天海がさっさと仲裁してくれた。マジで助かった。まあ、仲裁といえるかどうかは分からないものではあったが。

 

まあ、色々あったのである。

 

 そもそもの始まりは、俺と戸塚、雪ノ下に由比ヶ浜が昼にテニスコートで練習していた時に、同じクラスの葉山(話したことはない)となんか金髪に縦ロールの人(話したことはない)、そしてその取り巻きっぽい奴らがやってきて

 

「あ、テニスしてんじゃん、テニス!」

 

と騒ぎ始めたことがキッカケであった。

 

 その後、断ろうとした戸塚に縦ロールの奴が強く言うもんで、横から口を出そうとした時である。騒ぎの遠くから、静かな、しかししっかりと聞こえる少し高い声がした。

 

「……比企谷君、何してるの?」

 

 

 そして、そこには銀色の髪の小さな少年の姿があったのである。

 

 

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 お昼ごはんをいつもの場所(比企谷君曰く、『ベストプレイス』らしい)で食べた後、少し昼寝でもするかと寝転んだのだが、どうにもテニス場のところが喧しい。心地よい風の中で静かに寝ていたかったので、別の場所に移動をしようと思ったのだが、何故かそこには比企谷君の姿があった。彼のことがどうにも気になったため、騒ぎの方に足を向けた。

 

 

「……比企谷君、何してるの?」

 

 そう問うと、周りが一瞬だけ静まってこちらを見た。視線の中に1つ、明確な悪意があるのを感じて気分が少し悪くなる。

 

 そして、その悪意の根源はこちらを睨みつけながら

 

「アンタ誰?」

 

直球。ならばこちらも直ぐに答えようとすると、比企谷君からはもの凄く面倒くさそうなオーラが出ていたので取り敢えず、

 

「2年J組、天海」

 

とだけ返して彼の方へと向かう。因みにその取り巻きの会話は

 

「なんだあのちっちゃいの」

 

「女みたいだよな」

 

「天海ってどっかで聞いたことがあるんだけどな…?」

 

 などなど、様々であった。前者2つは今までにも何回も言われたことがあるためにもう慣れた。最後の言葉は分からないが、あのことだったら少々面倒くさい。

 

 

 

 

 

 

八幡説明中……

 

 

 

 

 

 ……いや、

 

「別にいいと思うんだけど」

 

そう言うと、比企谷君は驚いた顔を、由比ヶ浜さんは信じられないような顔をこちらに向けてきた。……これは多分、誤解してるかもしれない。

 

「勿論、」

 

と言葉を一つ一つ繋げていく。

 

「無償な訳はない。わざわざ顧問に許可をとった意味がなくなるから。きちんと条件をつけて、その上でやらせるならこちらにもメリットが有る」

 

「めりっと?」

 

 と由比ヶ浜さんが復唱する。あれ、分かってない?説明しようとすると、比企谷君から先を進めろというアイコンタクトと仕草があったため頷いて続けることにした。

 

「僕が今考えた条件は2つある。

 

 

 まず1つ目。戸塚くん及び奉仕部の面々に迷惑がかかる行為は行わないこと。これはまず確定事項、というか当たり前のこと。彼らは承諾書をもらっている訳だから、練習という明確な目的があるけれど、貴方達は遊びに来たわけで、意識の違いからすれば彼らのほうが重要なことは分かるはず」

 

 一旦言葉を切って周りを見渡す。戸塚くんは頷き、由比ヶ浜さんは当たり前だよなあ? とでも言いたげな顔をしている。

 葉山くん? という金髪な人もそれはわきまえているようで頷き、縦ロールさん(比企谷君から教えてもらった)もそれを見て渋々ながら首を縦に振った。

 

そして次。これがメインとなる。

 

「2つ目。テニスコート及び用具は、戸塚君たちが使ったものを含め貴方達の責任者が全て片付けること。……これも僕からすれば当然。現時点でのテニスコートの使用権は戸塚君たちにあるから、彼らからすれば貴方達が『借りる』側。借りているのだから、片付けを責任を持って行うのも当たり前。更に言えば、元々使用許可が下りていない貴方達にテニスコートを『貸している』彼らからすれば、戸塚君達のものを片付けてもらう権利は十分にあるはず」

 

 

 こんなもんだと思う。無駄な争いを避けるのなら条件をつけて帰ってもらうのが一番だろう。それに、それによる縦ロールさんの恨みはクラスの違う僕に行くわけだ。比企谷君や由比ヶ浜さんが恨みを買う必要はなくなる。

 由比ヶ浜さんも合点がいったようで、ウンウンと頷いてくれる。戸塚君も少し申し訳無さそうな顔をしながら頷いてくれた。ただ一人、比企谷君だけは複雑な顔をしてこちらを見ていたけれど、何も言ってこなかった。

 

 さて、問題はここからである。あの二人、つまりはさっき僕が言った責任者である――がこれをとっとと断ってどこかに行くか、渋々受けてテニスと片付けを楽しんでもらうか。まあ、どちらを選んでも僕には関係ないのだけれど。

 

さて、葉山君は中々悩んだものの、

 

「じゃあ、その条件を飲もう」

 

と言った。彼は阿呆を引き連れている割に賢い人間でもある。一番荒事にならないのはこうすることだと分かっているのかもしれない。そして、縦ロールさんも

 

「……分かった」

 

 よし、これで―――

 

「けど」

 

 

「二つ目は無理。だってあーしらはアンタらのボールを触ったワケじゃないし、そもそもこのコートだって戸塚達が借りたんでしょ?あーしらが片付けなかったらコイツらが片付けなきゃ怒られるのはコイツらだ」

 

 ふむ。この縦ロールさん、どうやら僕の一番苦手なタイプの人間みたい。理論や仁を無視してでも自分の利益のみを追い求める。そのキャラクターは高校の間はきっと通用するだろうけど、その後はきっとダメ。でも、別に僕はそれを指摘する意味もなければ義理もない。放置に限る。で、この発言に対してはきっと、

 

「ん。じゃあ葉山君が全部やってね」

 

この手に限る(この手しか知らない)。事あるごとに隼人、隼人と縦ロールさんは言っていた。なら彼女の弱点は恐らく彼。彼を落とせば縦ロールさんは従うだろう。そして、彼に矛先を向ければ…………

 

「はぁ!?なんでそこで隼人が出てくるワケ?」

 

「当たり前。彼も責任者の一人だから。一人が責任を逃れようとするなら、その負担は必然的にもう一人に降り掛かってくる」

 

「葉山君ならきっと――――」

 

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 そこからは、天海の独壇場だった。結局、葉山は縦ロールを連れてテニスコートを出ていき、天海も「静かになったから寝る」と言って俺のベストプレイスの方面へと歩いていった。練習をする流れでもなくなってしまったため、その後は柔軟をしておしまいになってしまった。戸塚の身体は柔らかかったな……肌もツルツルだったし。許されるならずっと触っていたかった。

 

「はぁ、戸塚…………」

 

 明日まで我慢だ、今日は防衛任務が入っているからこれ以上は会えない。さらばっ……………………

 

 

 

 

 

 

自転車を漕いでボーダー本部へと向かう。すると、

 

「あれ、比企谷?」

 

と、いつか聞き慣れた声がする。面倒なので無視しよう、そうしよう。アイツと関わったらいつも俺は碌な目に合わなかった。とっととペダルを漕いでっと。

 

「うわ、比企谷、無視とか酷くない?ウケないよそういうのは」

 

「俺もウケねーよ」

 

 ああ、思わず中学校からの癖が出てしまった。

 

「……久しぶりだな、折本」

 

「おお、あたしにも気が遣えるようになったんだ!ウケる!」

 

「なんでウケるんだよ、俺はちっともウケねーよ」

 

 

 

 ニコニコと笑いながら、折本かおりが目の前に立っていた。

 




 この世界の八幡は折本に告白していません。というか、家族が死んだのにその後すぐ恋愛事とか普通考えられるわけがないんだよなぁ。比企谷の目が腐った原因は、死んだ家族への罵詈雑言や自身への嫌がらせなどが原因です。もの凄く言ったら悪いのだけどこういうような原因を作らないといつまでたっても目は腐らないと思うの。そんで、折本というのは他人の死をネタにするような人間ではないと個人的には思っています。そしてそんな折本は恐らく誰にでも、それこそ比企谷にも気軽に話している未来が私には見えましてですね、なんだかんだで仲は悪くはならないと思うのです。バレンタインデーの時とかは普通に(折本は)話をしていますし。というわけで、折本は比企谷と仲が悪くなってない。いいね?

地味に料理の描写が多くなりましたが、最近料理の勉強を始めたためその影響を受けた部分が(特にマリネ)あります。おすすめメニューのレシピ教えて下さい。

文章が雑なのは私が現在進行形で多忙を極めているからです、すみません許してくださいなんでもして下さい!

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補足欄(というか元ネタ?)
・そらそうなるわな
そらそうよ

・アソコデアアスリャヨカッタニャ
昔のロケット団すき、コジロウは漢 くよくよタイムは5秒です

・ウェイ!?(0w0)
オンドゥルルラギッタンディスカー!!



こんな感じで。ではでは。

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