前回を見て下さった皆様、有難うございます。お気に入り登録してくださった方、感想を下さった方、評価をくださった方。色んな方に感謝しながらこの作品を書かせて頂いております。これからも謎のノリと古いネタ、乳酸菌要素を多分に含みながら頑張りたいと思うので、皆様温かい目で見守って頂けると幸いです。
前回のあらすじ
・二宮超能力者説
・ぐんぐんグルトはそこそこ美味い
・やっぱり(天海は)天使じゃないか!
ん、多分合ってる。
それでは第十六話、どうぞ。
2年 比企谷 八幡
気になる職業:専業主夫
希望する場所:自宅
『
労働とはリスクをはらい、リターンを得る行為である。
より少ないリスクで最大限のリターンを得ることこそが、労働の最大の目撃であると言える。
小さい女の子が「将来の夢はお嫁さん」と言い出すのは可愛さのせいではなく、むしろ生物的な本能にのっとっているといえるだろう。
よって、私が選択肢に入れている「働かずに家庭に入る」という選択肢は妥当であり、かつまったくもって正当なものである。
従って、今回の職場見学においては
専業主夫にとって職場である、自宅を希望する。』
「…………おい、比企谷」
「…はい」
ここは応接室。生徒と教師による進路相談や、保護者との対話、来客の応対に使用する場の、隅の隅。
今、ここには俺と目の前にいる平塚先生以外はおらず、他の先生に会話を聞かれる心配もない。
そして、今。俺が何をしているのかというと。
「…………お前は働いているだろうが!」
「ばっk、……失礼。お願いですから拳をおろして下さい、すみませんでした。……えー、俺がボーダーであることは他の教師や生徒には言っておらず、同じボーダーの職員もしくは平塚先生しか知らないことなんすよ。そんなのを不特定多数が見ることができる紙に書けるわけがないじゃないすか」
「……はぁ」
「そんな溜息ついたら、幸せが逃げていきますよ」
「つかなくても逃げていくんだよ」
「悲しいなぁ……」
……絶賛お説教中である。いや、まぁね?悪いとは思ってるんだが。これだけは残念ながら譲れないのである。俺だって、好き好んでボーダーに入ったわけではない。それは目の前の先生だって重々承知である。この数ヶ月、伊達に俺の教師をやっているわけではない。あれ、自分で言っててちょっと悲しくなった。 …まあとにかく、奉仕部の件といい、何かと人任せにする部分はあるものの、なんだかんだで生徒を思いやることの出来るいい人である………と思う。なんか、俺と平塚先生って教師と生徒っていうか、先輩後輩みたいな関係に見えてもおかしくないと思う。ノリ的に。割と趣味というか言葉回しのセンスというか、よくわからないんだが。そういうところの波長が合う感じがする。
だから。
「ブロウクン……マァグナァァァァァム!!!」
「ぞんだぁっ!?」
こういう攻撃の受け方も出来るんではないだろうか。あ、でもくっそ痛え。本気で殴りやがったな。
「誰の婚期が逃げていくって!?ふざけるな!!」
「そんなこと言ってねえよ!人の話くらい聞け!」
思わず素の口調になってしまったが、今回俺は悪くないと思う。勝手に平塚先生が暴走しただけであるのだから、そう、『僕は悪くない』。おっと、こういうネタは他の人に任せるべきだと思う。……え、誰に だって? 調べてみよう。そうすれば出てくる。
「フーッ、フーッ、……ふう。教師には敬語を使わんか馬鹿者。とにかく比企谷、お前の意見は却下だ却下。全く、これ以上私の仕事を増やすんじゃない」
「すみませんでした」
「君のその螺子曲がった性格を少しでも直すために奉仕部に入れたというのもあるのだがなあ」
「残念ながら」
「少しは努力をせんか」
「ウィッス、すんません」
俺何もしてないんだけどね。城戸さんとか怖い人の前では兎に角おとなしくしているのが吉だと分かる俺は、今回もそのようにした。正直ストレスは溜まるが、身の安全には変えられない。というか、暴走を停止する素振りは人の目の前で見せるものじゃないと思う。教師の威厳とかそういうのが無くなるからな。
「素直に謝られると逆に気持ち悪いな……まあいい、話を変えるぞ。今年の2年の職場体験だが……やはりというかなんというか、一番希望が多いのはボーダー本部だ」
知ってた。去年の2年生もそうだったとかなんとかって前クラスで言ってたしな。俺のは盗み聞きだけど。いや違う、勝手に聞こえてきたんだ。大きな声で話す奴が悪い。そう、『僕は悪く…』 このネタ二度目ですな。自重自重。あと先生、気持ち悪いってのは酷いと思います。俺ってどんな風に思われてるかすっげえ気になった。
「ああ、やっぱり……ってか、そんなこと俺に話していいんですか?」
「私は比企谷の口の固さは信用しているからな」
「えっ」
「ん?」
俺なんかそんなに信用得るような事しましたっけ。特にそんなことを先生の前でやった覚えはないんですが。 そんな風に聞いてみたのだが。
「なあに、私は比企谷、お前の担任だぞ?1年近くお前達の面倒を見てきたんだ、どんな奴かくらいは分かるさ」
おおう。何このヒーロー。いやヒロインか。兎に角ものすごく格好いい。ほんと、なんでこんなにいい先生なのにいつまでたっても結婚できないんだろうね。誰か早く貰ってあげて!ん、俺?戸塚と天海がいれば幸せだし。ホントなんだろうね、あの可愛い生物たち。もう二人に囲まれて生活したい。日頃溜まり続けるストレスもあの二人と一緒にいればどんどん抜け落ちている気がする。そんなわけで結構です。ええ。
「どうも」
「友達少なそうだしな」
「おい待てコラ」
そっちか?そっちが本音なのか?確かに間違ってないけども。認めちゃったよ。もしこっちの方を信用の理由にしてるんだったら評価下げてやる。八幡的にポイント低い。
「ふっ、冗談だよ。……ともかくだ、流石にこれは他の先生に見せられる代物ではない、というわけで再提出だ。どうせ興味がないなら適当な所を選んでしまえばいい」
「本当に冗談なんだな? というか、適当ですねアンタ。教師としてどうよ」
「じゃあ詳しく書いて…」
「平塚先生有難うございますこの御恩は今度きっとMAXコーヒーで返しますハイ」
「MAXコーヒーなのか……ああ、職場体験だが、3人一組で組んで貰うことになっている」
「はぁ。……あれ?うちのクラスって確か38人だったような」
つまり、戸塚と組んで、余れば二人で回れるんじゃね?あ、でも戸塚は他の奴と組むだろうな。どうすっかなあ。まあ誰でもいいや、余った奴に行きたい所決めてもらえばいいだろう。
「ああ、だから二人余った奴は自動的に他のクラスの余りと組んでもらう事になる。話は以上だ、部活に行きたまえ」
「…分かりました」
そう言って応接室を後にする。他のクラスの誰が余るかなんて知らないが、どうせ誰でも話すことなんてないだろうし何よりコミュニケーションを見知らぬ人間となんて無理に取る必要性がない。
考え事をしながら部室のドアを開ける。そこには、いつものように雪ノ下と、由比ヶ浜は……いなかった。
「由比ヶ浜は今日は休みか」
「いいえ、さっき貴方を探して出て行ったところよ」
「マジか」
「貴方も連絡くらいはちゃんとしなさい、仮にも部員なのだから。由比ヶ浜さんは寂しいと死んでしまうのよ?部員の性格くらい把握して、フォローを入れるようなことさえ出来ない無能なのかしら」
「お前それ、俺のことを貶めてるつもりだろうけど由比ヶ浜に対して言ってることも相当だからな?アイツってうさぎなの?」
「あら、自分が悪いという自覚くらいはあるようね。その点に関しては認めてあげるわ、感謝なさい。あと由比ヶ浜さんはどちらかと言うと子犬よ」
「……あー、分かる」
そういえば最近、雪ノ下がボケ担当になってきている気がする。こちとら由比ヶ浜だけでお腹がいっぱいだ、これ以上負担を増やすな。つかお前、元々こっち側だろうが。何ボケ側に寝返ってるんだよ。まあ、目に見えて暴言が減ってきたからいいんだけども。大体由比ヶ浜のお陰だ。サンキューガハマ。フォーエバーガハマ。お前の事は3日くらい忘れない。
「死んでないし!!!」
「なんだ、いたのか。というか人の思考を自然に読んでんじゃねえ」
「顔に……えーっと? そう、顔に書いてあったんだよ!」
その言葉を使うのにちょっと悩むのかよ。もう少し国語頑張れよ。うるさい!ヒッキーだって数学の時間いっつも寝てんじゃん! おいなんで分かるんだよ。 えっ!?えーっと…別にいいじゃん!二人共五月蝿いのだけれど。少しは静かに出来ないのかしら? アッスミマセン。 ご、ごめんねゆきのん。 んん、ま、まあ?おとなしくなってくれたのなら別に
などと、三人でワイワイと漫才をしていたのだが。それはやってきたノック音に中断された。
「どうぞ」
部長モードに入る雪ノ下。俺達も漫才をやめ、いつもの体勢に戻る。そして、そこにいたのは。
「失礼します」
少し薄めの金髪に染めた髪、オサレフレームな眼鏡をかけており、大体の女子がこいつに心惹かれているであろう…総武が誇っているかもしれない、イケメンの中のイケメンであり、スクールカーストの頂点に位置する男、葉山隼人だった。
で。
「こんな時間に悪い。中々部活を抜けさせてくれなくてな。大会前だし、仕方ないとは」
「それで、用件は一体何なのかしら?」
「最後まで言わせてやれよ」
刺々しい雪ノ下の態度はいつもとはちが……くないですね、言葉遣いとかまるで俺に言ってるみたい。ということは俺嫌われてるの?まあいつものことか。無視されないだけマシだと思っておこう。……待てよ?俺と同じ口調、つまり葉山も雪ノ下には嫌われているわけだ。ざまあみろ。イケメンには分かるまい、嫌われる気持ちというものが。男子とも女子とも分け隔てなく仲良くなれるその才能におぼれている貴様には分かるまい、俺の身体を通して出る(ぼっち)力が!いっけぇぇぇぇ!ハイパーぼっち斬りだあああああ!! え、違う?じゃあ、 ここからいなくなれー!! これあれじゃん、精神崩壊しちゃうやつじゃん。危ない危ない。シロッコさんに心も一緒に連れて行かれるところだった。劇場版では精神崩壊しなくてよかったね、ファさん大勝利。
………あ、あっちでなんかもう話終わってた。奉仕部でも依然変わらずぼっちですよええ。ふぅ、涙は堪えるものだって最近学んだからな。決して俺は泣きはしない。泣きそうにはなるけど。ただ、こうして窓に移る夕焼けを見ながらだな……
「……何してるの、ヒッキー?」
「消えたくなってきた」
「!!?!?!?」
あ、違う。
*
さて、全く聞いていなかった依頼だがその内容は。
「チェーンメール?」
「ええ」
「なんつーか、……古風だな」
「確かに今時の子がするものではないのかもしれないわね」
「なんか、時代遅れって感じ」
「おいやめろよ、俺めっちゃ遠回しに言ってただろ」
犯人をこれでもかと馬鹿にしていくスタイル。雪ノ下も由比ヶ浜も全く自重しない。ずっと俺達のターン。俺のターン、ドロー!モンスターカード! ドロー!モンスターカード!ドロー!モンスターカード! ドロー!モンs
「もうやめてヒッキー! 犯人のライフはゼロだよ!」
「HA☆NA☆SE!」
俺も大概だった。因みに内容は、『戸部は稲毛のカラーギャングの仲間でゲーセンで西高狩りをしていた』、『大和は三股かけてるクズ野郎』、『大岡は練習試合で相手校のエースを潰すためにラフプレーをした』などというもの。心底どうでもいい。いいのだが、一応依頼なのでもう少し深く聞いてみたところ、雪ノ下の考えではその3人が犯人である可能性が高いとのこと。正直同意見である。つーかそいつらじゃなきゃここではまず分からん。
「まず、お前らは原因が職場体験の班決めだと思っているわけだ」
「あ、ああ」
「それには同意する。というか、俺はそれ以外に理由が見当たらない。ここまではいいな?」
「うん。さっきゆきのんも言ってたし」
「で、だ。班は3人一組だ。えーと、戸田と山岡と浦和だったか?その三人ともが」
「戸部と大岡と大和だ」
「冗談だよ。とにかく、3人ともが葉山、お前と班になりたいと思っているだろう。当然だな、誰だって人気者や友達と組みたがるんだから。俺以外は」
「貴方は友達がいないだけでしょう」
「お前だってそうだろ」
「失礼ね。私にだって組む人くらい…………いるわ」
「なんで声が小さくなったんですかねえ」
横槍入れるなよ。悲しくなってくるだろうが。確かにクラス内に友だちなんていないけど。戸塚……はどうなんだろうな、俺には分からない。関わったのはテニス騒動の時だけだしな。
「だがそうすると、どうしても一人余ってしまう。自分は余りたくない。仲間はずれは嫌だからな。じゃあどうするか」
「………ちょ、ちょっと待ってくれ!あいつらはそんなことをするような奴らじゃ!」
「三人の誰かを貶めて、その一人を外す………と、言うわけね」
「正解だ。まあ、これはあくまで俺の予想だ。ああいう手の人間ってのは誰だって人気者と一緒にいたいに決まってるからっつー感じ……言ってしまえば偏見だな。まあ間違ってるとは思っちゃいないが」
よかったな葉山、逆ハーレムだ。嬉しくはないだろうが。ちなみに俺のはハーレム(戸塚、天海)だ!ふははははは!
……うん、二人ともごめんな。後で二人になんかあげよう。戸塚はともかくとして、天海にはカルピス。あいついつもカルピス飲んでんな。
「動機もあるがこれはあくまで予想だ。一応明日またあいつらを観察してみるが、それで怪しそうなら恐らくビンゴだ」
「俺はあいつらじゃないと信じてる」
「ん、それは自由だ。止める理由もねえよ」
苦い顔のまま、葉山は帰っていった。…根本的な解決を望んでいないようだし、一応妥協案でも作っておくか。
「つーわけでだ。雪ノ下、不本意だが同じクラスだからな。今回は俺がやることにするが、構わないか?」
「ええ。どうせ私が様子を見るのは難しいでしょうし、貴方からそんな言葉が出るなんて珍しいもの。口を開けば暗い言葉がダダ漏れる貴方が、よ?これでも驚いているのだから」
「おい」
「あたしも!ヒッキー、あたしも手伝うよ!」
う~ん……申し出自体はまあ別に構わないのだが。
「由比ヶ浜だからなあ…………」
「ああ、そうね、由比ヶ浜さんだものね…………」
「ちょっ!?何二人共!なんでそんなに考えこむし!ていうかあたしだからってどういう事!?」
「お前、ふとした拍子にばらしそうなんだもん」
「由比ヶ浜さん、貴方は少し注意力が足りないわ」
「酷い!?」
だって由比ヶ浜だし。アホの子だしな。三人の仲を探ってることなんて、バレたら面倒だ。ま、
「俺はスクールカースト底辺だが、お前は違うだろ由比ヶ浜。お前はカーストの中でも最上位にいるんだ。下手になんかあってお前が傷つく必要なんざねえよ」
俺は今更何を言われても関係はないが、この中で由比ヶ浜だけは違う。雪ノ下は来た奴を速攻で黙らせることくらいは出来るだろうしな。なら、最適解は俺が行動することだ。
「でも、でも!あたしだって、ゆきのんやヒッキーの役に………」
「……はぁ」
くだらない。とてつもなくくだらない。
「ヒッキー!あたしは真面目に――」
「わーってるよ。だからお前はアホなんだ」
「は!?いきなりどういう……」
「お前が役に立ちたがってるのくらいは俺にだって分かる。だけどな、人には向き不向きってのがあるんだよ。お前に人の仲を探るのが出来るか?人間関係を探ることが出来るか?」
「……それは」
出来ない。多分、いや絶対に由比ヶ浜はこういう仕事には向いていないだろう。コイツは…………少し、優しすぎる。
「お前にしか出来ないことだってあるんだ。たかがこんくらいで落ち込んでんじゃねえよ」
「ほえ?」
「…………俺、帰るわ」
柄にもないことを言ってしまった。また俺の黒歴史ノートが埋まってしまうのか。俺のツンデレなんて本当に誰得だろうね。きっと誰も得しないと思う。何カッコつけちゃってんの俺。気持ち悪。……ふぅ、落ち着いた。
「じゃ」
「え?、わっ、ちょっ」
「……………ええ、また明日」
さっさと帰って小町に癒やしてもらおう。そうだ、そうしよう。はぁ、明日学校行くの辛い、というか由比ヶ浜と話したくない。
「………ふふ」
「どしたの、ゆきのん」
「いえ、彼も素直じゃないと思っただけよ」
「?」
何故か雪ノ下の好感度が少し上がったのだが、それは彼女だけの話。
次の日。紛うことなき快晴である。今の空は俺の気分のように真っ青だ。超だるい。
「……まあ、行くしかねえか」
雪ノ下に大口叩いた手前、面倒で休んだとバレたら恐らく今以上にゴミ扱いされるだろう。いくら俺でも自分からそうなりにいく度胸はない。別に身体に異常があるわけでもないのだから休む理由など………
「面倒くさい」
これ以外にないと思う。
*
では、俺の108の特技の一つ、人間観察を披露しよう。元来、人間のコミュニケーションは言語が3割程度、残りの7割は目の動きやちょっとした仕草から情報を集めている…。
つまり逆説的に考えて、会話をしないぼっちでも7割方コミュニケーションができているということである。俺と天海など、最近では何も言わずとも大体の意思が通じるレベルだ。つまりぼっちは最強。違うか…? 違うな。 違うのかよ。
「比企谷君、おはよ!」
「戸塚、毎朝俺の味噌汁を作ってくれ」
「え?」
「すまん、なんでもない」
なんか最近、戸塚や天海を見るのが俺の癒しになりつつある。見ているだけで癒される。戸塚が犬なら天海は猫だ。因みに人見知りの猫な。どうでもいいか。
「どうした?」
「え、えーっとね?…比企谷君は、職場体験のグループってもう決めた?」
「あ?いや、決めてないぞ。お前はどうなんだ?」
「え?あ、僕は、その。一応」
ふむ。
「そか。ま、俺は適当に余った奴と組むとするわ。俺、男友達なんてこのクラスには…………」
「比企谷君っ!僕は?僕は男だよ?」
「あ、ああ」
あれ?俺と戸塚って友達だったっけ?あんまりそんな記憶がないのだが。テニスの一件以来、妙に懐かれている気がする。別にこれといって特別になにかした、ということは無い筈なのだが。しかし、あっちが俺のことを友達だと思っていてくれるのなら、なんというか、その、…嬉しい。
さて、友達っつーとだ……
「隼人、最近調子いいよな!マジっべーわ!」
「たまたまさ」
ふむ。どうやら男同士の友達はファーストネームで呼び合うらしい。俺、男友達の殆どが苗字なんだけど。少し試してみるとしよう。
「……彩加」
「あ…」
「あ、悪ぃ……今のはだな」
これは失敗か…?やっぱり慣れないことはするもんじゃ……
「嬉しい!初めて名前で呼んでくれたね!」
なんだと!?
「なん……だと!?」
あ、やべ、声に出た。
「僕も、ヒッキーって呼んでいい?」
「それはヤダ」
ヒッキーとかいうふざけた渾名で呼ばれるのは由比ヶ浜だけでもう十分だ。まるで俺が引きこもりみたいじゃねえかってこれ前も言った記憶があるな。
「じゃあ、八幡?」
あ、すいません。ワンモアリピートフォアミー。
「もう3回呼んで」
「八幡…八幡? 八幡!!」
うふふふふふふふふふふふ。親父、お袋。俺今、天使と一緒にいるんだぜ。しかも生きているのに、だ。こんなに嬉しいこともないだろう? 俺、幸せだぜ。
「ねえ、八幡……もう、聞いてるの!?」
「おおお?おう、悪い。何の話してたっけか?」
あ、ムスーっとしてる。超かわいい。怒っても天使とかなにそれどんな天使?目の前の天使に決まってるんだよなあ。
「ヒキタニ君」
「あ゛?」
何俺の時間邪魔してくれちゃってんの?今俺スゲー忙しいんですけど。戸塚と話すのにこの時間ずっと使わなくちゃいけねえんだよ分かれよ。分かったな?よし、じゃあとっとと身体を回れ右してだn
「何か分かったか?」
分かってなかったよコイツ。何、口で言わなくちゃ分からねえの?俺の目見て、めっちゃ迷惑がってるじゃん。え、いつもと同じ腐った目だって?うるせえ。大体こいつらは言葉でのコミュニケーションに頼りすぎなのだ。さっきも言ったが俺と天海はもはや相棒、二人はぼっちマックスハートだ。何も言わずともしたいことが分かる。寝転ぶ時も二人が日陰に入りきるような、だがしかし近すぎない絶妙な位置取りをだな………あれ、違う。
葉山に少し静かにしてくれと言い、件の三人を見る。だが、葉山と居る時はとても仲が良さそうにしていたのだが、いざ彼がいなくなってみてみると、あからさまに会話がなくなっている。携帯をいじったり、髪の毛をいじったりと、話すそぶりさえ見せやしない。……ああ、成程。そういうことか。
「葉山」
「どうしたんだ?」
「放課後、一人で奉仕部に来い」
「謎は、全て解けた」
「!?」
「多分」
「えぇ……」
*
色々あって結論。葉山は、今の仲を継続させることを選んだ。と言ってもそれは簡単で、グループから彼自身が抜けること。そうすれば、誰も葉山を選べない。見た感じ、三人とも”表面上は”仲良さそうにしていたし、これで満足ならいいのだろう。それで、その葉山本人なのだが、あろうことか俺と一緒に、などと言ってきやがった。俺の答えはNO。というのも、彼はどうやらボーダーに行きたいらしい。他人にボーダーであることがバレたくない俺にとってはあそこに行くのは自殺行為、なんとしても阻止する必要がある。しかも、葉山が行くなら私も、俺も……という輩は大多数存在するだろう。そこで、兼ねて興味のあったマックスコーヒー千葉工場に行きたいと、断らせてもらった。残念そうにしていたが、あいつみたいな奴は直ぐに別のペアを見つける。人気者というのはそうできているのだ。
「じゃ、俺は余りを探すとするか」
「八幡、僕は?」
「ん、どした戸塚。お前もうペア決まったんじゃ」
「だーかーらー!」
「最初から八幡と一緒に行くって決めてたんだよ!」
……まじ、なにこの子。超かわいい。俺と一緒に行くつもりだったってそれデートって考えてもいいんだよな?
……なんか最近、天海とか戸塚のせいでどんどん思考がそっちに行ってるような気がする。恐るべし。
で、まあ俺は案の定戸塚と余りペアとなり、別クラスの余りを待っていたのだが……
「……天海」
「こんにちは」
「あっ、いっちゃん!おはよ!」
「おはよう、戸塚君」
………………でも、あれ、これ、大勝利じゃん。もしかして俺、ツイてる?
みかこしかわいい。あやねるの次に好きな声優です。一番?やだなー、井上和彦さんに決まってるじゃないですか。
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元ネタらしい
・ブロウクンマグナム→ぞんだー
三輪と確か同じ声優だった気がする。足りない可能性は勇気で補うアニメです。私の試験の点数も勇気で補って下さい。
・『僕は悪くない』
某過負荷の少年、通称闇堕ちシンジ君。俺ガイルとのクロスオーバー作品もありますのでご覧になってはどうでしょうか(ダイレクトマーケティング)。もし作者さんがおられましたら作品の宣伝をですねっとなんでもありません。
・ハイパーぼっち斬り
オーラロードが開かれるアニメ。主題歌の歌手は前から大ファンです。
・ここから以下略
アムロより強いニュータイプ能力を持つ少年が主人公 なお
・スパロボMXのエンディング
約束の地はかなり好きです。アルバムを持ってる程度には。
・ドロー!モンスターカード!
実在しないらしいですね「狂戦士の魂」って。私はデュエマ派だったので殆ど知りませんが、初代遊戯王は面白かったです。
・二人はぼっちマックスハート
コメントを見てネタの1つにしてみました。ぶっちゃけありえない!
こんな感じで。ではでは。