今まで見てくださっている方々、有難うございます。一応原作やアニメに目を通してはいますが、優しい世界でなおかつそれぞれの作品のキャラクターとして焦点を当てるってもの凄く難しいのだと改めて実感しました。スパロボのシナリオライターはやはりプロなのだな、と。
前回のふた(りの)ぼ(っちは今日も)た(たかう)、3つの出来事!
・プリキュアは人生
・小町、お義姉ちゃん候補の多さにビビる
・天海「……」 猫ども「「「「「「にゃー」」」」」」雪ノ下「くっ」
最後に悪意はありません。
それでは第二十一話、どうぞ。
ぼっち?いや、ぼっち(笑)
「…………」
B級になってから初めての防衛任務が終わった。僕は個人だから、所謂混成部隊に参加している。部隊に助っ人扱いで入れてもらうのは、きっと無理。……だけど、結局どっちでもある程度のコミュニケーションは取らなければいけないのは正直つらい。だが、いくら部隊を作った所で。
「B級ランク戦、面倒」
あれは絶対なのかな?絶対参加しなければならないのなら、僕は部隊に入らない。A級隊員になれば固定給が貰えるとのことだけど、そこまで頑張るよりもシフトを入れて沢山防衛任務をしたほうが楽だと思う。うん。きっとそう。
『Every day is sing!悲しみはぶらーい♪喜びのふれん!ココにある本当の意味が――――』
「ん」
電話だ。
「もしもし」
『もしもし?あ、俺だ』
「比企谷くん?」
どうしたんだろうか。彼は滅多に人に電話をかけないだろうに。そんな比企谷君が僕に電話するということは、何かありそう。……面倒くさい。
『今、ちょっと時間あるか?サイゼリヤで話がある』
「……さっき防衛任務終わったから、別に問題ない」
『すまん』
わけがわからない。事情も話されていないけれど、きっとまたどうせロクでもないことなのだろう。真面目な事件なんて今まで一度もなかったし、今回も――――――
*
「………………」
「………………」
そう思っていた時期が僕にもあった。これは中々重大な事件だ。
「いやー、やっぱりお前ら面白いな!」
「何も面白く無いっすよ」
……本当に面白くない。なんで僕が部隊に入ることになっているのだろう。しかも比企谷くんも一緒だという。僕達、未来で何か事件でも起こしてしまうのかもしれない。
今、僕の目の前に座ってる人は迅先輩。実力派エリートらしい。すごい。初めて会った時、もの凄くびっくりされたあと、「なるほどな」とか言われた。その目はどこか僕を哀れんでいるようで。……少し、少しだけ、モヤっとなった。 ……この感覚は?答えは出ない。
そんな彼はサイドエフェクトなるものを持っているらしい。なんでも、未来が見えるんだって。正確には、未来の分岐点を、まあつまり「起こる可能性がある」未来を見ることが出来る、とか。そんな面倒な能力を持って生まれたら目立ってしょうがないと思う。僕なら隠す。絶対に隠す。
『未来視』。これを持たされて、今まで生きてきて大変なんだろうな。でも、自分に起こる最悪の未来も回避、できるんだっけ。びっくり。
そんな実力派エリートに言われた言葉。
『お前らよかったなー、将来一緒の部隊になるぜ』
冗談ではない。……別に比企谷君と同じ部隊になるのが嫌なわけ、じゃないと思う。彼と一緒、と考えても、特に拒否反応は起こらなかった。だけど、部隊に入るってことはランク戦に出なければいけないのであって。あ、でも。
「迅先輩。1つだけ、質問があります」
「お?なんだ天海?」
「先輩は、S級隊員って言うんでしたよね」
「そうだな」
「その権限で、ランク戦不参加とか、出来ませんか」
「……うーん」
目を閉じて腕を組む先輩。言葉を、探しているのかな。出来る、出来ないの他に、何があるんだろう。
「結論だけ言うと」
「…………」
比企谷くんも、興味津々。もの凄く真剣な目をしてる。でもその目は、腐ってる。……色々と、台無し。
「出来ないことはない、かもしれない」
「マジっすか?じゃお願いします」
「だけど、お前らにはランク戦に出てもらいたいんだよ」
そう言う先輩の目は、結構真剣。でも、普段はいないからいつもどんな顔をしてるかは謎。今僕たちに出来るのは取り敢えず、
「どうしてでしょうか?」
と理由を聞くことだけだった。
*
話された内容は、結構曖昧なもの。高い確率で、良くないことが起こるから。それまでに集団戦の練習とか、戦術とか。学んでおいて欲しいらしい。つい先月、入隊試験が行われたらしいけど。オペレーターとかはその時にお願いするのだろうか。
……なんで僕が考えてるんだろう。
「じゃあ俺は行くわ」
「えっ、あの」
「若者諸君、じゃあな~!」
……自由。だけど、あの人も大変そうだ。変な能力を持たされて、無駄に期待されて。前言撤回、彼は飄々としつつも自由を楽しむことはできないのかもしれない。僕のような
「行っちゃったね」
「ああ…………」
「比企谷くん」
「ん?」
前々から、気になっていたことがある。僕は、2年生の春からはずっと比企谷君と一緒に御飯を食べて、寝て、極たまに話していた。そんな僕達の関係は、一旦何なんだろう。僕は彼を友達?もしかしたらそれ以上かもしれないけれど。そう思い始めている。それは酷く曖昧なもので、その時の自分の感情はどんなものかとか、本当に僕は彼を友達だと思っているのか?とか。イマイチよく覚えていない。だけど、マスターには《大切な友人》だと思われていたみたいだし、僕も頷いてしまった。その時の僕の考えなんて覚えていない。覚えてないけど、きっと僕にとって比企谷君は少し特別なのかもしれない。世の中には「眼と眼が合う瞬間好きだと気付いた」なんてこともあるらしいけど。僕が彼に接し始めたのも、その目がキッカケだったと思う。好きだと気づいたわけではないけれど。
「比企谷君に、お願いがある」
「何だ?パフェでもカルピスでもおごってやるぞ」
だから、僕はこう言おう。
「僕と、友達になってください」
「僕は、比企谷君を友達だって思ってる」
「だけど僕には、友達の作り方なんて分からない」
「こっちが友達だと思ってても、相手が思ってなかったら友達じゃないと思う」
「僕はエスパーじゃないから、人の心なんて分からない」
「だから、お願い、する。お願いします、って」
…………? おかしい。怖いと感じる。とても怖い。腹が立つとか、嬉しいとか、楽しいとか、悲しいとか。一旦全部捨てた感情が少しずつ戻ってきた感覚はあった。彼らといると、少し楽しいと思い始めた頃に気付いたこと。だけど、こんなに強く恐怖を感じるのなんてとっても久しぶりだ。きっと今の僕の顔は酷いものだろう。無表情だとか、不気味だとか。人形、アンドロイドなんて言われたこともあるけれど。そんな事は気にしたこともなかった。他人からの評価は所詮他人からの評価。だから自分で自分を弁えていれば困らない、だなんて思っていた。それは今、自分によって壊されている。他人からどう思われているかを気にしたのはきっとずっと昔の出来事だったと思う。そんな昔のことさえ思い出してしまう。
友達を作るというのは、こんなにも大変なことなのか。心に決めた。僕、もう友達は作らない。たった一人増やすだけで、こんなに大変だなんて。一人より二人、だなんていうけれど。僕にそんな芸当は出来そうにない。
この沈黙が怖い。でも比企谷くんの口が動くのが怖い。断られるのが怖い。離れるのが怖い。人間って、なんて大変なんだろう。ミィ、クルト。僕はまた、猫になりたいと思ってしまいそうだ。
その苦しさはずっと続いていて。隣にいるはずの比企谷君がとても遠く感じて。目を開けていられなくなって。ぎゅっと、拳を握りしめた。顔も、さっきからずうっと下を向いている。
だからだろうか。
「……まあ、いいぞ」
という言葉が聞こえた瞬間、すうっと、ストン、と、何かが抜け落ちた気がした。それと同時に流れてきた、謎の感覚。少し苦しくて、少し腹が立ってきて、少し楽しくて、少し悲しくて、結構面倒くさくて。
そしてとっても、嬉しくて。つい。つい。
目を見開いて、バッと勢い良く頭を上げて。
ゴツッ!!
――――――椅子の背もたれに、思い切り頭をぶつけた。
*
「……いたい」
「おい、大丈夫かよ」
「……うん」
なんてことだろう。友達が一人増えた。初めて、ちゃんと友達が作れた。あと、とっても痛い。比企谷君ならきっと、「背中いたー!?」で終わってただろうけど。
比企谷君……175cm
僕……148cm
最近何故か縮んでしまったこの身長は、椅子の背もたれ、それも角に頭をぶつけるにはちょうど良く。こうかはばつぐんだった。
「…………」
ちょっと涙が出てきた。涙が出てきたのは、2ヶ月、もうちょっとだったかな、それくらい前。由比ヶ浜さんのクッキーをこっそり食べてみた時以来だった。今度料理に関わるときは、雪ノ下さんと一緒に、彼女につきっきりでいよう。
痛みは消えない。だけど、溢れ出る高揚感はもっと止まらない。今日は本当に、ワケの分からないことばかりが起こる。このままじゃ、きっと僕は『僕という人格』でいられなくなってしまう。『僕』とは、もう10年以上の付き合いだから。これからも、このままでいたい。
でも、今日は。今日くらいなら、いい筈。というか、止まれない。
キュッと。比企谷君を横から抱きしめる。……見た目はヒョロっとしていると思っていたけど、いざ触れるととても固いことが分かる。比企谷くんが師匠と言っている人に鍛えられたのだろう。その身体はとても男らしく。とても安心できる抱き心地だった。
―――ああ。
これが、『友情』というものか。
友情。素晴らしいと思う。友との情け。これはこうしてみれば同情みたいな感じだろうけれど。友との愛情。こうしてみると一気に変わってくる。
友達。友情。とっても気分がいい。思わず抱く力を強めてしまう。腕も入れてしまうと、僕の腕は長くないので入りきらなかったから、彼の身体だけ抱いているけれど。
はじめてのともだち。うん……いいな。
その時、
「はぁ……」
という溜息と共に、ポンっと頭に手が置かれた。
これは聞いたことがある。千葉にいる兄の中でも選ばれた者だけが極められる「お兄ちゃんスキル」の中でも最も威力の高い技。ちなみに僕は選ばれなかった。残念。それにしてもこれは……気持ちがいい。安心感を感じることができる手。後は、そのとてつもなく悪い性格さえなければ、きっと千葉でもトップの兄だっただろう。残念過ぎる。
「……ふう。ありがとう」
「ん」
比企谷くんから離れる。ちなみに抱きついたことに関しては、気にしなくていいらしい。本当になんで、いつも卑屈なのだろう。
「友達になってくれて、ありがとう」
「ん」
…!比企谷君も僕のことを友達だと思っていてくれたようだ。これが噂の両想いというやつだろうか。少し、違う?
部隊、面倒。ランク戦も、面倒。だけど、困るなら困らない為に個人ならちょっと頑張ろうと思う。優先順位はお金からだけど。
落ち着いたら、あの高揚感も消えた。それと同じくして、流れてきた感情たちも一気に離れていった。ちょっとだけ、残ったこれは大切にしよう。
ねえ、ナツ。ミィ。クルト。
僕、一人ぼっちじゃ、なくなったよ。
というわけで今回が最終回となります。じゃすみんてぃーの次回作にご期待ください!比企谷達の戦いはこれからだ!俺たちはまだ登り始めたばかりなんだ、未来へという長い坂道をよ……。これまで見てくださり、ありがとうございました。また、いつの日か。
うそだよ。打ち切りエンドのセリフ上で何個か言ってみたけど。
タイトルは変わらないし、章が変わるというだけです。まだまだ続くんじゃよ。多分。
ちなみに友達の作り方ですが、頼み方だけはずっと出す予定でした。
さて、実は第一章の裏タイトルは「二人のぼっちのであいかた」
というものではありません。裏タイトルとか特に考えていませんでした。次のお話たちもその時の気分で書いているため、ミスや矛盾がこれからも続出すると思われます。もし見つけたら罵って下さい。
そんな私をこれからもどうかよろしくお願いいたします。
P.S:天海の最後のアレは友情によるスキンシップ以外の何物でもありません。方法が分からなくて混乱及び暴走しているだけ。
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もとねた。
・Every day is Sing!~
彩音「その先にある、誰かの笑顔の為に」
・背中いたー!?
超有名ですよね。某ギャグ漫画より。聖徳太子がリアルであんなのだったら幻滅。
今回はこんな感じ。ではでは。