これまで見てくださった方々、ありがとうございます。今回は変な前書きはありません。
ちなみに、天海のキャラデザインの元の元ネタは私がぷそ2で使っていたキャラクターだったりします。
前回のあらすじ。
・ランク戦とかふざけんじゃねえ
・個人戦だけがんばろか、せやね
・友達、ゲットだぜ!
ぴっぴかちゅう。
それでは第二十二話、どうぞ。
天海と正式に友達となった後の月曜日。放課後、由比ヶ浜が少し話したいことがあるのだという。それも、天海や戸塚、雪ノ下にも。前の件ではないらしいのだが、それなら今度はどんな厄介事を持ち込んできたんだろうか。あれか、期末考査も終わったからそれの確認とかか。俺の数学の点数見せたくないんだけど。
奉仕部に向かう途中に戸塚と出会ってから中に入る。と。あれ?ああ、鍵がかかっている。いつもはもう既に雪ノ下がいるのだが……まあいい。
「戸塚、鍵持ってくるから待っててくれ」
「うん、分かったよ」
男の娘が二人もいると耐性がついたのか、戸塚に話しかけられてもどもらなくなった。他の人間なら?話しかけてくる奴なんかいるわけねえだろ。そんな俺に話しかけるのだから、戸塚も変な奴なのは間違いないだろう。雪ノ下?天海?由比ヶ浜?あいつらも俺からすれば変人だ。由比ヶ浜は何故総武に受かったのか謎なレベルのアホだし、雪ノ下は部活時に必ず俺を罵倒するし、天海はあの一件の後も全く変わらず、いや、前よりももっと無表情になった、いや、"作り始めた"というべきだろうか。元々の鉄面皮に加えて、さらに無表情を作るのだから傍目からすればまさしく『人形』である。随分と面倒な奴らが集まるものだ、俺だけ抜けていいですかね。
鍵を借りて再び奉仕部へ。雪ノ下と天海、由比ヶ浜も到着していた。
「ごめんなさい、少し用事があったの」
「同じく」
「どうせ鍵取ってきたばっかだ、遅れたってわけでもねえだろ」
と適当に返して鍵を開ける。帰りは雪ノ下がやってくれるらしいので雪ノ下に鍵を渡した。
手が触れた。 睨まれた。
泣きたくなった。
本編。
「取り敢えず……皆はテストどうだった!?!?」
「いつも通りだよ」
「いつも通りね」
「僕はちょっと上がったかな、えへへ」
「……まあまあ」
「もう!いつも通りじゃ分かんないし!ヒッキー見せて!!」
「おい」
人のカバンを勝手に取るんじゃねえ。まあ、取るだけで漁ろうとしないだけマシか。……どうやら俺も中々毒されてきているようだ。
「自分で出すから待ってろ。…………ほらよ」
差し出した成績表を4人……じゃない、由比ヶ浜と戸塚の二人が覗きこむ。天海はボーッとしているし雪ノ下に至ってはもう既にドヤ顔しそうになっている。こいつも由比ヶ浜のせいでポーカーフェイスが下手くそになっているような気がする。由比ヶ浜……恐ろしい子!
そんな俺の成績だが……国語は今回順位が1つ落ちて4位。古典は3位で変わらずだが、現代文で1つ落としている。まあ、気にするほどじゃない。点数が取れていれば問題では無いので平気。社会分野だが、これは俺が普段から本を読んでいることが結構功を奏している。日本史は、古代の歴史について書かれている小説なんかを読むと、自然に覚えることが出来た。これも今回は高得点。理科は至って普通。中の中、平均点ど真ん中。文系だしさほど興味のない分野を頑張ろうとは思わなかった。英語はまあ、漢文の仲間みたいなもんだと思ったらそこそこ。で。数学。
「……うわ、ヒッキー、あたしより低い」
「…………これは僕もちょっと……」
「うるせえ」
これでも前よりは良くなっている。前は17点だったものが、今回は28点にまで上がった。このまま少しずつ伸ばしていけば良いだけだ。
「フフフ……酷い点数ね」
「おいこんな時だけ見てくんな」
人の揚げ足を取ることにおいてはエキスパートの雪ノ下。戸塚と由比ヶ浜が唸った瞬間に優雅な足取りでこちらまで歩いてきたその顔は、冷静に見せかけてウッキウキであった。俺にその顔を通用しない、何故なら天海がこれの数段先を行く鉄面皮だからだ。つかあいつ、基本何考えてるかまだイマイチ分からないからな。天海の方を見る。目が死んで……もとから死んでるようなもんだが――さらに死んでいた。
「いっちゃん!いっちゃんはどうだったの!?」
「……ん」
うわあ、すっげえ嫌そうな顔を表情を変えずにするとかいう意味のない技術を使いこなしている。なんかオーラが出ている。俺のオーラ力を受けてみろ!なにそれウケる!お前はお呼びじゃないんだよなぁ……。
「おおお……」
と由比ヶ浜が感嘆の声を上げている。ひょっこり、と横から顔を覗かせてみると。
……コイツ、現代文満点じゃねえか…。すげえな。古典もそこそこ(学年12位)良い点数である。流石国際教養科、といったところか。うわ、雪ノ下がかなり悔しそうな顔してるんだが。なんというか、分かりやすいよなコイツも。圧倒的に負けず嫌いなのがよく分かる。そういえば負けず嫌いで思い出したが、前に国近さんと話をしている時に天海に出くわしたのだが。国近さん、何故か天海の事睨んでたんだよな。あれは絶対ゲームで負けたな。あんまり天海はゲームをするイメージがないのだが、国近さんに勝つということは、まあそこそこ上手いようだ。
他の教科を見てみる。理科もまあ平均点は取れているが、社会に比べて随分と点数が落ちている。
社会は、二年生から選択となっている。日本史と地理の選択(世界史必修)の他、倫理は何故か音楽などの芸術分野との選択になっているが。
そんな倫理、またも天海は学年1位。哲学というのは嫌いじゃないので俺も倫理を選択したが、宗教の所で少し詰まって学年10位には届かなかった。20位以内には入れているのでよしとする。英語は俺と同じくらい、いや、俺よりも少し低い程度か。お互いに悪くはない点数なのでそこも別に気にする必要はない。……のだが。
「いっちゃん……」
「えぇ……」
「なんで俺のほうが高いんですかね」
「……」
「……随分と極端ね」
数学:17点。紛うことなき赤点である。だからコイツ数学の話の時目が死んでたのか。それにしても俺より酷いというのはあんまりである。
「数学は、いらない。……いらない」
「おっ、そうだな」
「二人共、それはないよ……」
閑話休題。ちなみに戸塚は大体平均点よりちょい上くらい。由比ヶ浜?数学は俺らより高いがそれだけだな。国語が結構酷い。風が吹けば京葉線が止まる、じゃねえよ。最近は徐行運転してるだろ、いい加減許してやれよ。
「……でね!作ってみたんだ!!」
「……」
渡されたのはあの由比ヶ浜特製のサンドイッチ。どんな暗黒物質が出てくるのか不安だったのだが、出てきたのは意外ときちーんとした見た目のサンドイッチ。
「お前、進歩してるのな」
と思わず言うと、由比ヶ浜がその豊満な胸を強調させながら
「へっへーん!あたしだってこのくらいはね!」
とドヤ顔をかましてきた。サンドイッチでそこまでドヤ顔出来るってすげえよ。あの雪ノ下が地味にダメージ受けてるっぽいからそろそろその強調しているの収めてもらっていいですかね。
そんなこんなで試食会である。中に赤いものが入っているのはトマトっぽいので俺は絶対に選ばない。
「……せっかくだから、僕はこの赤いサンドイッチを選ぶ」
クソゲーの香りをさせながら天海がそのサンドイッチを手に取る。俺と戸塚もそれぞれ別のサンドイッチを取り、三人で同時に口に入れ――――――
…………!!!!
「……ダニー(天海)、グレッグ(戸塚)、生きてるか!?」
「う、うん、なんとか……」
「(吐き気が)下からくるぞ、気をつけろ!」
「水はこっちだよ、比企谷君」
「なんだこの具はぁ!?」
「とにかく(パンを)開けてみようよ……」
大惨事であった。見た感じキレイだったから騙されたがそういえばこれは由比ヶ浜の作った料理であることを完全に失念していた。これは俺達の注意不足、慢心としか言いようが無い。だがしかし。駄菓子菓子。それでも腹が立つものは立つのである。
「三人とも酷い!!」
だとか
「ちゃんとキレイにできてるじゃん!」
と喚いている由比ヶ浜をなだめながら、兎に角一口食ってみろ、と促した。
顔を真っ赤にされた。「しょ、しょうがないなぁ……ヒッキー、それちょうだい?」と言われた。
断固拒否した。なんで間接キスと分かっている事を態々やろうとするのか。小町とは違ってあざとさが見えないため、天然なのだろうが、余計にタチが悪い。俺は間接キスくらいで喚く人間でもないしそもそも興味も既に失われたのだが、だからと言って気にしない、ということもないだろう。責任とれとか言われたらどうすんだよ。
ついでだから雪ノ下も巻き込むことにする。
「おい雪ノ下、お前も食ってみ」
「……残念だけど、私、今は食欲がないの。お昼もあまり食べられなくて」
「……それは」
雪ノ下。それはちょいと苦しい言い訳なんじゃないのか?お前はある人物を一人忘れている。俺と同じ元ぼっち、話しかけないし話しかけられない孤高の存在。いなくてもいても変わらないまさに空気。
そう。
「雪ノ下さん」
今、ここには、
「今日のお弁当……豪華だったね」
同じクラスの人間がいるのである。
「………………由比ヶ浜さん」
「……はい」
「貴方は、まず写真よりレシピを御覧なさい」
「はい…………」
共に涙目になりながらのセリフであるので、どうにも説得力のないお説教である。しかしそれでも、雪ノ下、という存在がその説得力の代わりになっているのだろうか。由比ヶ浜も酷く落ち込んでいるし。
後でレシピでも渡してやろうと思った。主に俺達の胃の安寧の為に、という打算つきではあるが。というか俺は基本打算なしでは動くことはないため、普段とやっていることは変わりないのかもしれない。
ともかく、由比ヶ浜の料理は相変わらずである。
お ま け
「天海、それは?」
「レイガストとスラスター。チップをシールドと入れ替えてスラスターを入れた。グラスホッパーもサブを外してメテオラ、スコーピオンもメインを外してアステロイド」
「…は?」
「ついでにスパイダーも外して弧月と旋空も入れた」
「ぐちゃぐちゃじゃねえか」
天海の編成は
メイン:アステロイド グラスホッパー 旋空 弧月
サブ:スコーピオン メテオラ レイガスト スラスター
見事なまでの攻撃型オールラウンダー…とは言えねえな。たとえアステロイドがあるとしても、これはアタッカーのチップが多い。
「ん」
「…………」
だからそれじゃ分からないんですがそれは。さっき説明出来てたろ、しゃべれよ。
「ちょっとだけ、模擬戦に付き合って欲しい」
「ん?」
付き合って欲しい?いいですとも。そういうことじゃない?知ってるわ。
『天海 樹 対 比企谷 八幡 模擬戦3本先取』
一本目。
『開始』
合図と同時に、天海がこちらへと走ってくる。……これは。
「……」
グラスホッパーを地面に敷いている。枚数が多い分出力こそあまりないものの、十分スピードは上がるレベルだ。どれくらいかと言うと、そう、今鳴っているようにキィィィィィィィーーンと音が鳴r…………いや、おかしいだろ。
「……MARSの戦闘教義、披露する」
「いや、MARSって何だよ」
思わずツッコんだものの、返答は無し。いつの間にかグラスホッパーの出力を上げて跳躍していた。そして……!?
「レイガストの上に乗った……!? ……スラスターか!!」
「MARS戦闘教義指導要綱13番 『一撃必殺』」
スラスターで思い切り速度を上げ、エウレカセブンよろしくライド、そのまま突っ込んで来た。
「っ!!!」
なんとか回避したところを風が吹き抜け、ビュオン という音がした。
(危なかった……あれ喰らってたら、死んでたな……)
内申冷や汗をかきながら慎重に天海を探す。
……壁の中に埋まっていた。な~にやってんだコイツ。アステロイドをそのままぶつけて俺の勝ち。
2本目。
再び開始の合図と共に突っ込んできた。同じ手を食うわけにもいかないのでおとなしく回避行動の準備をする。だがしかし、今度はレイガストを使う気配がない。いつ来るかと警戒していたら、メテオラを投げつけてグラスホッパーを使用し、前に跳躍、そのまま旋回を保存させたままアステロイドを―――当てる前に足を滑らせた。ハウンドでトドメをさして俺の勝ち。
3本目。
「これは旋空弧月じゃない」
十字型に弧月を切らせて、
「ソードウェイブ・フリーケンシー」
普通に躱して俺の勝ち。…………大体天海の自滅じゃねえか。
「なんでお前ふざけまくってたんだよ」
「……僕、まだチャロンには乗れない、か」
「人の話を聞け」
おまけおしまい。
もうよく分からんね。そんなこんなで第二章も始まります。安定と信頼の低クオリティ、私は絶賛徹夜中であり死にかけなので許してくださいなんでもしてください。
元ネタ。
・フフフ……
雪ノ下はこんな笑い方しないと思ったので。「デットエンド……。フフフ……」のお兄さんが元ネタ。
・俺のオーラ力を受けてみろ!
ビルバインダサくね?僕はサーバインが好きでした。ダサいけど。
・せっかくだから、僕はこの以下略
・ダニー!グレッグ!生きてるか!?
・下からくるぞ、気をつけろ!
・なんだこの具はぁ!?」
全部クソゲーのデスクリムゾンが元ネタ。私は持っていましたが全くおもしろくありませんでした(半ギレ)
・おまけのアレコレ
『電脳戦機バーチャロン』よりテムジンの技を幾つか。バーチャロンマーズの方を使っています。ボムジンは基本。スライダーはロマン技。
今回はここまで。ではでは。