二人のぼっちと主人公(笑)と。   作:あなからー

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 その時シュワっと風が切れ ぶっ飛ぶ二人の間 すり抜けて ブラックホールに消えた奴が初投稿だ、追えー!

 いつも見ていただき有難うございます。感想とかで特撮モノやロボットモノのお話が出来るのはとても嬉しいのでこれからも沢山取り入れようとおもいました(感想)。
 それはともかくとしまして、番外編の置き所さんを変えました。プロローグから番外編ってなんだよ(困惑)

 
 ~前回の3つの出来事~
・平塚「子供の世話は出来ますか……?(小声)」 八幡・天海「「出来ません……(小声)」」 雪ノ下「やってやろうじゃねえかよ(奮起)」

・留美「…………」 ぼっちトリオ「「「い つ も の」」」

・由比ヶ浜「(カレーが葉っぱに)入っ、ちゃっ……たあ!」 雪ノ下「それローリエやで」 比企谷「(ロリ!?)」 天海「(そもそもローリエというのは以下略)」


 それでは、どうぞ。




激情性ミリオンアーサー

『倍プッシュだ…………!!!』

 

 

「奇妙ッ……!アカギやカイジを見た時ッ……、喋り方が移ってしまうッ……!」

 

「おかしいッ……どれだけ直そうとしても修正できないッ……!これがッ……福本作品ッ……!」

 

「消せば……助かるのにッ……テレビをッ諸悪の根源をッ……!」

 

「……ここなら僕は打3p」

 

「!?普通ッ……!天海、喋り方が変わらないッ……!誰もが口調が変わると言うのにッ……!」

 

「慣れッ……これは慣れッ……!普段から喋る時に間があくことがある故の余裕ッ……!」

 

「私ですら駄目だったのにッ…………!天海先輩ッ、狂気のメンタル……!」

 

「……ほら、アガった。麻雀は、勘も大事。アナログなら、尚更…………?皆、どうしてぐにゃあって曲がってるの?」

 

 

 ※(ほんへと関係)ないです。福本先生ファンの方ごめんなさい。

 

 

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夜になり、子供たちがそれぞれの部屋へと戻った後。俺達高校生連中は焚き火を囲みながらそれぞれインスタントのコーヒーなどを飲んでいた。このなど、というのは勿論、例外がいるということに他ならない。例えば雪ノ下。いいとこのティーバッグを持ってきて紅茶を淹れて飲んでいる。普通のティーバッグではないところにこだわりを感じた。あと俺。俺は自前のMAXコーヒー。3本持ってきたが既に2本消費してしまう痛恨のミスである。くそ、反省して万が一次に旅行に行くことがあれば10本くらい持っていくことにするか。まあ、俺達は紅茶、コーヒーと、割と普通のチョイスだったのだが、またもこいつがやらかしたのである。

 

 天海だ。隠れ問題児のコイツは、今回あろうことか、カルピスの原液ごと持ってきやがった。ドコからともなく水を取り出したので聞いてみると、川で冷やしてた、と言う。目的のための行動が早過ぎるだろ。ともかくコクコクと喉を鳴らしているのが非常に可愛いわけ。戸塚と並んでダブルエンジェルなワケだが、どうしようか。取り敢えずスマホで撮っとくか。

 

「?」

 

「どうしたの、八幡」

 

「気にするな。ちょっと写真を撮るだけだ」

 

「いっちゃんと?えへへ、ほらいっちゃん!」

 

「ん」

 

「行くぞ。はい、チーズ」

 

 やったぜ。

 

 因みにカルピスはちょっとくれって言ったらくれた。

 

 

 少し濃めで美味かった。サンキュー天海。

 

 

*

 

 

 

 誰も口を開かずに静かに飲み物を飲んでいる中、由比ヶ浜がポツリと呟いた。

 

「留美ちゃん……大丈夫なのかな」

 

 その言葉に顔を俯かせる奴らもチラホラと見受けられる。ここにいる高校生の半分以上は上位カーストの連中であるのだが、こういう奴らは場の空気や雰囲気を大切にするため、彼女が疎外されている事にもすぐに気づいたようだ。

 

 大体、気づかない方が阿呆なのだ。あれではまるで大人たちにいじめてますよアピールするようなものである。やる方ももうちょっとコソコソとやったほうがいいと思うのだが、あれにはもしかして公開処刑の意も混じっているのだろうか。

 

「ふむ、何か悩み事かね?」

 

 煙草をくゆらせながら先生が問う。

 

「いやちょっと、孤立しちゃってる生徒がいたので……」

 

「そーそー!超可哀想なんだけど!」

 

 違う、問題はそこじゃない。こいつらはこの問題の本質が分かっていない。孤立することや一人で居ること、これらは別に問題ない。友達付き合いが苦手な俺や天海みたいな奴、一人が好きな奴もいるからだ。本当の問題は、悪意により孤立させられること。今回で言えば悪意の根はあの女子グループから出ているだろう。

 

「なんとか、他の子と一緒になれたらいいんだけど……」

 

「でもそれって、根本的な解決にはなりませんよね?」

 

 つい霧が憑依してしまった。許すまじパイナッポー頭。笑い方ムカつくんだよなあいつ。何がクッフッフだ普通に笑え。

 

 口を挟んだこちらへの視線が痛い。が、口から出た言葉は戻せないので根拠を言うしかない。めんどくせ……。面倒くさがりと言えば天海。夏バテかは分からないが最近「ダルい」と言う回数が増えた。宮守女子かな?

 

「あれは孤立してるんじゃねえよ。疎外されてんだ。孤立させられている、とも言う。原因を取り除かねぇとなんの意味もない」

 

「え~っと……ヒッキー、孤立と疎外って何が違うの?」

 

「えぇ……」

 

 ……前々から気になってはいたが由比ヶ浜の国語力がやはりヤバイ。絵文字ばっかり使ってるからだぞ、もっと文章を練ってメールを送ってこい。そうしないともれなく無視だ。キラキラしたメールなんて必要ないのだ。

 

「……孤立の意味は、一つ、または一人だけ他から離れて、つながりや助けのないこと。疎外は、嫌ってのけものにすること」

 

 小さな声ではあるが、天海がまるで教科書のような用語説明をしてくれた。が、イマイチ分かりきっていないようなので、

 

「まあ、疎外には明確な悪意があるって感じで覚えとけ。孤立は場合によるが疎外はほぼ悪意が確定してる」

 

 テキトーな言葉で彼女に理解を促す事にする。個人的に感じるのは孤立は自分から歩み寄ればなんとかなるかもしれないが疎外はどうしようもない、みたいな違いだろうか。そもそもこういうのは本来雪ノ下の仕事である筈だが、肝心の彼女は何をしているのだろうかと振り向くと、目を閉じて何か考え込んでいるようであった。下手に刺激すると怒られるのは俺なので放っておく事にする。

 

「な、成程……許せないし!」

 

「……それで、君達はどうしたいんだ?」

 

 再度の問いに対して答える者はいない。皆俯いている。俺は答える気がないだけだけど。大体、部外者が首を突っ込んで碌なことになった覚えなんかないんだ。ああいうのは当事者もしくはその周囲の人間がなんとかしなければ無意味。俺が自身の世界にズケズケと入り込んで来る奴を否定するように、誰にでも踏み込んでほしくない領域がある。俺は勿論、雪ノ下や由比ヶ浜、葉山にも絶対にそんな領域があるはずだ。

 

 こういう時の最善策は放置だ。一介のボランティアである俺達が入り込んでいい事ではない。雪ノ下は先程の姿勢を保ったままだし、天海は顔を俯かせて喋る気配すら見せない。普段、透明な瞳をしており遠くから見ると白目にしか見えない、そんなタレ目も今は、少し長くなってきた髪に遮られて見えなくなっている。顎クイって今でも流行ってるんだろうか?もし誰もいなかったならやってみたい。挑戦して無言のまま時が流れて虚しくなるまである。いやマジである。

 

「……やっぱり、俺は出来るだけ可能な範囲でなんとかしてあげたいと思います」

 

 葉山がハッキリとそう言い切り、

 

「やっぱ助けてあげたいし」

 

「あのままだとまじっべーよ!」

 

 戸部や三浦もそれに続く。

 

 

 

「……可能な範囲で、ね」

 

 その時、今まで沈黙を貫いていた彼女が――――雪ノ下が、不意に口を開いた。

 

「貴方には無理よ。そうだったでしょう?」

 

「……っ」

 

 葉山はそれに対し何も言わず、ただ顔を歪めている。……こいつらは過去に何か関わりがあったのか?少しの沈黙があった後、また先生が口を開いた。

 

「雪ノ下、君は?」

 

 どうしたい?先生は言外にそう問うている。

 

「……これは奉仕部の合宿も兼ねていると仰っていましたが」

 

 なにそれ初耳。俺ボランティアとしか聞いてないんだけど。情報もっと正確に回してくれよな。電話無視したの俺だけど。つまり俺が悪いということになってしまう。ここはスルーして矛先をこちらに向かせないのが吉だろう。

 

「彼女の案件についても私達の活動内容に含まれますか?」

 

「質問を質問で返すな」

 

「先生、ジョ○ョの読みすぎです」

 

「……言ってみたかったんだよ。林間学校でのサポートボランティアを活動としたわけだ、その原理から言えば活動の範疇に入れてもいいだろう」

 

 この会話で一番俺が驚いたのは雪ノ下がジ○ジョのネタを知っている事だった。え、マジ?って思った。ネットとか見ないタイプだと思ってたんだが、ひょっとしてジャンプ購読者なのだろうか。

 

「……成程。それでは、もし彼女が助けを求めるならばあらゆる手段を使って問題の解決にあたりましょう」

 

「そうか。それで、彼女から助けは求められているのかね?」

 

「それは――――」

 

「ねえ、ゆきのん」

 

 雪ノ下の言葉を由比ヶ浜が遮った。そのふざけた渾名とは裏腹に彼女の顔は真剣そのものだった。

 

「あの子、さ。もしかしたら言いたくても言えないんじゃないかな。留美ちゃん、言ってたじゃん。『同じようなことしてた』って。自分もやってしまったことがあるから、だから、きっと自分だけ助けてもらうのが許せないんじゃないかな。……みんな、多分そう。どれだけ仲良くなりたくても、話しかけたくても、話しかけられない事だってあるんだよ……。私もね、すごい恥ずかしい話なんだけどさ。誰も話しかけない人に話しかけるってすごい勇気がいるんだ」

 

 場は再び沈黙に包まれる。

 

「何か反対意見はあるかね?」

 

 反応は、なかった。…………ように思えた。

 

「……………………」

 

 ただ一人、俯いたまま、膝の上で手を動かそうとしていた天海を除いて。彼は一体何を考えているのだろう。顔が見えない俺には分からない。

 

「どうやらないようだな。それでは君達はどうするか、これからの方針を話し合いたまえ。私は少し寝る……ふぁ」

 

 そう言って先生はどこかへ行ってしまった。おい、あんた仮にも教師だろ働け。

 

 

 

 

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 留美ちゃんの事を思い返す度に自分の過去がどんどん出てくる。必死に震える自分を抑えているけど、思わずそれを解いてしまえば、僕は、またここから逃げてしまうかもしれない。あの時は悠長に「あの子は強くなれるか、それとも弱者になるか」なんて思ってたけど、その時の自分を呪いたいくらいだ。

 

 大体、僕にもそんな時があったじゃないか。ワケも分からずに無視されて、状況も分からないまま殴られて。留美ちゃんを孤立させているグループの子達の目が、あの時の彼・彼女達の目と被っているように見えてとても怖かった。下を見て馬鹿にしている目。惨めな人間を見て喜んでいる目。自分が正義だとでも言うような自信に満ち溢れた目。どれもこれもが悪意を纏って彼女を襲っている。子供は純粋であるが故に残酷。誰かのそんな言葉を思い出した。

 

「つかさー、あの子結構可愛いし、他の可愛い子とつるめば良くない?試しに話しかけてみんじゃん?あとは仲良くなって……余裕じゃん」

 

 違う。違うよ三浦さん。女子のコミュニティは恐ろしくて、あるグループで何か起こればその状況は他のグループにも伝播する。そしてグループで晒し者にされた人間を避けるようになる。グループ同士で争いたくないから。そんな事は、今までグループの頂点にいる貴方は分かっているんじゃないのか。なのに、どうして。

 

「あっそれだわー!優美子マジ冴えてるわー!」

 

 違う。戸部くんだって分かってる筈なのに。貴方もカースト上位の存在なのに。グループ同士の衝突が何を生むのか、分からない筈がないのに。

 

 言いたい。それは違うと言いたい。だけど、このまま口を開いてしまえば、彼らの顔を見てしまえば止まらなくなりそうだったから、僕は抑えなければならない。

 だけど由比ヶ浜さんが、

 

「それは優美子だから出来るんだよ」

 

 と言ってくれた事で少し救われた。さっきの言動に納得がいったから。そうか。二人共ずっと上にいたから、下の人間の生き方が分からなかったのか。だから、あんな事を言えるのか。

 

「足がかりを作るって意味では優美子の言ってることは正しいけど、今の状況からすると、結衣の言った通り話しかけづらいのかもしれないね」

 

 そう。孤立させられているのを一度見てしまえば、その人に話しかけるハードルは一気に上がる。由比ヶ浜さんはそれを知っていた。

 

「……はい」

 

 その時、一人の女の子の声が聞こえた。この声は、海老名さん、だっただろうか。気持ちを抑えるのに精一杯で、今の僕に周りを見る余裕なんてない。

 

「姫菜、言ってみて」

 

「大丈夫、趣味に生きればいいんだよ!趣味に打ち込んでると、イベント行くようになったりして、そしたら自然に交友広がるでしょ?その中できっと本当の自分の居場所が見つかって、学校だけが全てじゃないって気づくかもしれない。そうなれば、色んなことがどんどん楽しくなっていくよ」

 

 ……居場所というのは人間の交友においてとても大切なもので、自分を支える部分としても機能する。何か一つ居場所があれば心を落ち着かせることが出来たりする、とても大切なものだ。

 

「私は!!BLで友達が出来ましたっ!!ホモが嫌いな女子なんていません!だから、雪ノ下さんも…………」

 

 だから、この後の言葉にはただ唖然とするほか無かった。途中までの提案は完全に同意するけれど、最後だけは受け入れられない。世の中にはホモが嫌いじゃ女子だっているかもしれないから。

 

「優美子。姫菜と一緒にお茶取ってきて」

 

「OK~!さて姫菜、出荷よ」

 

「そんな!?まだ、布教の途中なのあーー!?」

 

 そんな海老名さんは哀れ、三浦さんの手によりドナドナされてしまった。自分で布教って言っちゃ駄目だと思う。ああいう時は他愛のない話の中にこっそりと成分を忍ばせる、ステルスマーケティングに励んだほうがいい。分からないけど、きっと。

 

 

 

 

「やっぱり、皆で仲良くする方法を探さないといけないのかな」

 

 

 ……この言葉で、この人達に対する怒りと恐怖が混じって、心がぐちゃぐちゃになる。まだ、そんな事が言えるのか。雪ノ下さんに、否定されて。三浦さんの言葉も、由比ヶ浜さんに窘められて。それでもなお、貴方の口がそんな言葉を吐けるのか。

 

 ……そういえばあるマンガで、敵役の少年が言っていた。「『人生はプラスマイナスゼロだって言う奴は』『決まってプラスの奴なんだ』」と。

 天は二物を与えずなんて言うけれど、世の中には一物すら与えられなかった人や二物以上与えられた人なんてたくさんいる。人生はもとより不公平の連続で構成されていて、その不公平の中で「皆仲の良い世界」なんて作れるわけがない。何故なら、不公平の負の部分。つまり、一物を与えられなかった人がそんなものを信じているわけがないから。彼らはきっと世界の不条理さを知っているから。だから、僕はあの少年の言葉をアレンジさせてもらおう。

 

 こんな時、「皆仲良くしよう」って言う奴は――――――――

 

 

 

――――――決まって、プラスの奴。強者なんだ。

 

 

 …………もう駄目だ。抑えきれない。

 

 

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「そんな事は不可能――――」

 

「そう、不可能」

 

「――え?」

 

 今回、雪ノ下の言葉が悉く遮られている気がする。かわいそうだ、今度マッカンを奢ってやろう。

 

 

 そうじゃない。今の声は天海だった。

 

 今まで沈黙を守っていた天海が、ようやく言葉を発した。だが、こんな強い口調の天海を俺は今まで見たことがない。俺が知っている天海はいつも無表情で、声は平坦で、「ん」とか言う独自言語が存在する、声の小さい奴だ。それが今ではしっかり通るような声で口調は一気に強くなっている。何よりも、

 

 

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「葉山くん。君の考えは素晴らしいほど綺麗なものだけど……絶対に、そんなのは無理」

 

「ちょっとアンタ、人が折角皆で仲良くする方法探してんのに何勝手に水を差してんのよ!」

 

「それだよ」

 

 誰もが天海以外を見ていない。今まで顔を俯かせていた小町や戸塚でさえ、豹変した天海の姿に驚いて視線を外していない。

 

「え?」

 

「貴方達は強い。強いからこそ、助けて『あげ』ようとしたり、なんとかして『あげ』たいと思っている。そこには勇気があり、貴方達なりの正義があり、優しさがある。だけど……」

 

 そう言って一旦間を取った後、今までに俺が見たこともないような目で葉山達を睨みつけると、怒りの形相を隠そうともせずに言い放った。

 

「貴方達には肝心な……一番大事な、『被害者からの視点』がない。いや、理解しようともしていないッ!!」

 

 少しの沈黙。雪ノ下は目を瞑り、由比ヶ浜は再び顔を俯かせる。俺は今一体どんな顔をしているのだろうか。

 

 天海の言っていることは正しい。葉山や三浦、戸部はあくまで「皆」の一人としてしか問題を見ていない。そしてその目線が無ければ留美が望むことも絶対に分からないだろう。

 

 だが、それよりも、今の俺には天海の変わり方に驚くしかなかった。話し方は変わらないものの文字通り目の色は緋色に変わり、感情はむき出しになっている。その表情からも分かる通り、こいつは本当に怒っているのだろう。でもその表情に一瞬だけ――――苦しげな顔が浮かんだのが忘れられなかった。

 

「葉山くんも三浦さんも戸部くんも、自分の目線でしか物事を見ていない!強者の視点を外すことをせず、親身になったつもりでしかいない!……良いことを教える。そういうのを世間一般では……偽善と言う」

 

 僕は弱者だから強者の視点なんて分からないけど。そう付け加えた。中々に歯に衣着せぬ言い方だな。言い方さえ変えれば男版雪ノ下だ。それに対し、元から沸点は高くなかったのだろう三浦がキレた。

 

「……っ、あんたさっきからあーしらに偉そうに語っちゃって何よ!あーしらの事偽善だの言うけどさ、じゃああんたは何か方法があるっつーの!?ないのにそんなにあーしら馬鹿にしてんのならタダじゃおかないから!」

 

 

 その言葉を聞いた時――――天海が笑った。だが何時もは惚れそうになる笑顔も、今ではこいつの雰囲気も相まって不気味でしかない。

 

「方法ならある、一番手っ取り早い方法。そしてそれは至極簡単」

 

 そう言って立ち上がると、皆の注目が集まる中でゆっくりと歩き、数歩動かした後静止、手を広げながらこちらを振り向くと、

 

「『逃げ』ればいい」

 

 不気味な笑みを浮かべながら何でもないことかのように言い放った。そんな天海に対して、三浦が再び突っかかっていく。

 

「はぁ!?逃げるって何言ってんだし!!そんなの、負けを認めたようなもんじゃん!第一逃げたらいつまでたっても皆と仲良くなんて……」

 

「する必要なんかない」

 

 それに対して、天海はピシャリと否定する。

 

「大体、僕は逃げることを負けだなんて一度も思ったことはない!僕はこれまで何回も、そう、何回も何回も逃げてきた。人から逃げて、環境から逃げて、自分から逃げて。逃避の連続。だけどちっとも悔しくなんてなかった。貴方達も、自分が傷つかずに済むのなら何回だって逃げられる。違う?僕はそうだけど」

 

 三浦は天海の異様な雰囲気に当てられ、思わず後ずさりしていた。それだけ、こいつの変わり方は異常なのだ。

 

「見てる方は楽でいい。加害者にも被害者にもならない、リスクの低い一番安全なポジションなんだから。むしろ、誰か人気の高い子がいじめに加担していたなら、それは周囲の人間が参加する免罪符になる!『こいつがやってるなら』そう言って」

 

 誰もが傷つくことを嫌い、避けようとする。巻き込まれるのを恐れ、被害者になることから逃れようと傍観に徹したり、誰も手を差し伸べない。差し伸べてしまえば自分も巻き添えを喰らって傷ついてしまうかも、被害者になってしまうかもしれない。周囲の敵意、憐憫、ああならなくてよかったという安堵。そんな視線を一手に引き受けて被害者は過ごしていかなければならない。そんな視線を浴びせてきたような人間を仲良くなんて出来るのだろうか?答えは、恐らく否だろう。

 

 天海は三浦から視線を外し、葉山に向けて言葉を放った。

 

「大体、いままでいじめられていた子といじめていた子が急に仲良くなんて出来るわけがない。いじめていた子はなんでもないように振る舞うかもしれないけれど、いじめられた子は絶対に忘れない。忘れられない。少なくとも、僕は一度も忘れたことはない。そんな中でみんな仲良くなんて……出来るわけがないんだっ!」

 

 葉山は苦虫を噛み潰したような顔をして目を逸らした。それを見ていた天海だが、急にハッとしたような顔を見せるとバツの悪そうな顔をして、

 

「……最後に一つ。この中で、一番留美ちゃんを分かってあげられるのは――――由比ヶ浜さんだよ」

 

 多分。僕はお風呂に入って寝る。

 

 そう言って天海は歩いていってしまった。三浦はそんな後ろ姿を睨みつけ、葉山は苦い顔のまま、由比ヶ浜は何もせず、俯くだけ。何かぶつくさ言っていたが俺には聞こえなかった。この状況、今の天海には何を言っても無駄だろうと思ったので言葉にすることは出来なかったが、これだけは心の中で言わせてもらう。

 

 お前最後にこっちに面倒事丸投げしやがったな?

 

 

 

 

「留美ちゃん、ちょっと冷めてるとこはありそうですよねー。だから簡単に周囲には溶け込めないかも……」

 

 天海が消えてからの長い沈黙に耐えかねてか、小町が唐突に喋りだした。その後こちらをちらっと見たが、それは俺もそうだと言いたいのか?違うから、俺は敢えて距離を置いてるだけだから!

 

「ハッ、冷めてるとかそんなんじゃなくて、ただ上から目線なだけじゃないの?ワケ分かんないキレ方した天海とかみたいなのと一緒でさ、あんなんだからハブられるんでしょ?人のこと見下してるからそうなるんじゃん?」

 

 三浦のヘイトはどうやら天海の方に行ってるな。まぁ葉山にあんだけ言ってたらそうなるか。見てれば分かるが、三浦は葉山に対して恋心を抱いてるから、その相手がボロクソに言われてたら誰だってキレる。俺だって……そんな相手いた事なかったわ。

 

 意外にも、これに対して反応をしたのは雪ノ下だった。

 

「それは貴方達の被害妄想よ。自分が劣っていると思っているせいで勝手に見下されてると感じているのではないのかしら?大体、天海君は上から目線ではないわ。あれだけ自嘲していたのに理解も出来ていなかったのかしら」

 

 ただ……流石に言い過ぎだと思うが。マジ容赦ねえっす。

 

 

     *

 

 

 さて、月が高くあがり気温も下がっている、夜中にふさわしい状況の中。

 

「ZZZ……むにゃ……はち、まん…………」

 

 

 ………………寝られない……。目の前には戸塚の顔があり、可愛い寝顔でしかも俺の名前を呼んでいるのである。どんな夢見てんだろうな。ろくな目にはあってなさそうだが……戸塚と遊んでる夢だったら嬉しいぞ。

 そしてふと逆を見ると、いつの間にか天海が布団から消えていた。……どうせ俺もこのままじゃ眠れんし、外の空気でも吸いますかね。

 

 

 

 

 扉を開けて空を見ると、満天の星空が広がっていた。都会では見られないくらい光の弱い星でも、真っ暗なここではよく見える。こんな景色は田舎や山とかじゃないと味わえないのではないだろうか。明かりは既に消えており、月明かりだけが頼りだった。暗い部屋で寝ていたので夜目もある程度は効く。絶好の散歩日和だ。きっとあいつもこれを見るために出たのだろう。

 

 歩くこと数十秒。何か声が聞こえるような気がしたのでそちらの方角へと歩いてみると、空を見上げて鼻歌を歌っている雪ノ下の姿があった。服装は変わっていないため彼女も寝られなかったクチなのだろうか。ともかく、今のコイツに近づく理由もないしとっとと退散を\パキッ/ あ、小枝踏んじまった。詰んだ。因みに俺は小枝よりはポッキーの方が好きだ。

 

「…………誰?」

 

「俺だよ、俺」

 

「……………………誰?」

 

「オレオレ詐欺じゃないからちゃんと反応してくんない?一応見知った顔だろ」

 

「ごめんなさいヒギ谷君」

 

「何で俺悲鳴あげてんの?」

 

「それより、こんな夜遅くにどうしたの?ちゃんと永眠は取らなければいけないわよ」

 

「あと60年後くらいに取るわ」

 

「ごめんなさい、既に永眠していたわね」

 

「そんなに俺の目はゾンビっぽく見えるのか?道理で肝試しの時に同級生が俺見て逃げ出すわけだわ」

 

 最近素敵な返答が出来るようになってきたと思うようになってきた。これが受け流しの技術、罵倒の対象を全て他の奴へと流す高等技術だ。残念なのは、その他の奴がここにはいないことだな。

 

 受け流したのはいいものの逆に昔を思い出してダメージ受けたりとかしてないぞ。ほんとだぞ。

 

「お前こそどうしたんだよ。星でも見に来たのか?」

 

「……いえ、あの後、ちょっと三浦さんが突っかかってきたの」

 

「あっ……」

 

 多分これ、やらかしたな。俺が普段受ける罵倒と同じ、もしくはそれ以上押されるとどうなるか。

 

「その……泣かせてしまって」

 

 せやろな。なんで俺訛ってんの?

 

「気まずくなったってワケ、か。……で、どんな内容だったんだ?」

 

 少し逡巡する素振りを見せたが、一つ息をついてから話し始めた。仕方ないわね、みたいな仕草がいかにも雪ノ下らしくて煽り属性が高いと思う。つか泣いたら配慮してくれんの?俺次から罵倒されたら泣こうかな。……引かれる未来しか見えなかったわ。

 

「今は由比ヶ浜さんや海老名さんが慰めてくれているわ……。彼女たちが眠るまでは起きているつもりよ。それで、内容なのだけれど」

 

「無いようってか?」

 

「埋められたいの?」

 

「スマンカッタ」

 

「……天海君の事よ」

 

「天海の?」

 

 確かにあいつは三浦から相当なヘイトを集めているが、何故その件で雪ノ下が干渉をするんだ?

 

「ええ。だんまりな根暗かと思えば急にキレだして葉山君に突っかかっていったのが相当気に食わなかったみたいね」

 

「それとお前とどんな関係があるんだよ」

 

「葉山君や三浦さんの案がどれほど愚かしいことかについて、30分ほど懇切丁寧にお話してきたわ」

 

「うわぁ……」

 

 30分も口撃を受け続けた三浦には合掌。他の奴らも良く口出さなかったな。出せなかったのか?……つか、

 

「お前、相当葉山の事邪険に扱ってるけど、なんかあったのか」

 

「小学校が一緒だったのと、後は親同士が知り合いで、彼の父がうちの顧問弁護士をやっているって事くらいよ」

 

 ……なるほどな。道理で初めからあいつの雪ノ下への態度が初対面っぽくなかったわけだ。他にも色々事情はありそうだが……別に知る必要もないだろう。

 

「成程」

 

「踏み込んでこないのね」

 

「安易に他人のプライベートに踏み込んではならないって学習してるからな」

 

「そう。少なくともミジンコよりは賢い、と言うわけね」

 

 比較対象が酷くないか?ミジンコだって学習すると言えどももう少し俺の株は上がっても良いのではないだろうか。

 

「…………鶴見さんの事、なんとかしなくてはね」

 

「やけにやる気だな」

 

「……似ていると思ったのよ、由比ヶ浜さんに」

 

「そうか……?」

 

 全く違うタイプじゃないのか、性格的に。そんな事を言おうとしたが、いつもは的外れな事ばかり言っているアホの子だが、今回は留美の事情が分かっているかのような言動をしていた。つまり、どういうことだってばよ。

 

「もしかしたら、由比ヶ浜さんにもあんな経験があったんじゃないか、そう思ったのよ。だから彼女は何時にもなく真剣になっている。それと…………葉山君も、きっと気にしている」

 

 俺は自慢じゃないがあまり人間関係には関わりを持たない。一方的に嫌われる事はあっても自分から関係を構築しようと思ったことなど中学生になった頃にはなかった。ボーダーに入ってからもあくまでビジネスパートナーとしての関係以外は殆ど築いていない筈だ。

 そんな俺だが、一時期人間観察を趣味に持っていたこともあり、観察力には一定の自信がある。その鍛えられた観察眼が告げる。『雪ノ下と葉山とは、ただのクラスメイトではない何か別の関わりがある』事を。とは言ってもその関わりが何か、まではわからなかったが。つか見れば初対面じゃないことくらい分かるわ。観察眼(笑)。

 

「……比企谷君。天海君は前に、私のことを『強い人間』と言っていたけれど…………」

 

 急に雪ノ下が話しだした。強い人間?んなこと言ってたっけか。天海の一挙一動なんて覚えてる訳もないし、ましてや言ってることなんか覚えられるやつがすげえわ。だが雪ノ下はそれから先を何時までたっても話さない。

 

「? 急にどうした」

 

「…………いえ、なんでもないわ。そろそろ戻ってみることにするわ」

 

「……変な奴だな。おやすみ」

 

「貴方には言われたくないわね。それじゃお休みなさい」

 

 そう言って歩いていってしまった。ホント、こいつらの事はよく分からんね。

 

 

 

     *

 

 

 

 雪ノ下が戻っていってから少し。相変わらず眠気は来ないので適当に星を見ながら歩いていると、少し開けた場所に出た。先程雪ノ下がいた所よりももう少し広い、木々が星空を遮ることなく生えている絶妙なスポット。

 

 そこに、天海はいた。葉が少ない木の幹を背もたれにして座り、上を見上げている。

 

「お前も天体観測か?」

 

 ピクッと反応した後こちらに顔を向けてきた。目の色は薄くなっており、殆ど緋みを残していない。

 

「比企谷、くん」

 

「よう」

 

 今度はちゃんと反応してもらえた。こういう反応を待っていたんだ、雪ノ下よ、天海はここらへんがお前とは違うんだここらへんが。冷たくあしらえばいいってもんじゃないんだぞ。俺だってちょっとは傷つくんだからな。

 

「天体観測……と言うほどじゃないけど。空が、綺麗だったから」

 

「そうだな」

 

 天海の隣に腰を掛けて、同じように空を見上げる。大きな月の周りに大きな星や小さな星が混ざりあって光っている様子は、やはり都会では見られない幻想的なものだ。

 

「後処理押し付けてごめん。……あんなになっちゃって、反省してる。明日は、三浦さんや葉山くんに謝ろうと思う。言ったことは間違ってるなんて思ってない。だからそれについては謝るつもりはない。……だけど、強く言い過ぎたから。八つ当たりも同然」

 

「好きにしろよ。お前の自由だ」

 

「分かってる。……ねぇ、比企谷くん」

 

「んだよ」

 

「僕の目の事。比企谷くんには話す。君は僕の、大切な友達だから」

 

 大切な、友達。この言葉が酷く胸に残る。そう。俺とコイツは友達だ。天海は俺の二人目の、そして俺は天海の一人目の友達。ファーストお友達なのだ。だが、それだけでじゃあ聞きますよと簡単に思える訳ではない。様子から察するにライトな内容ではないだろうしな。

 

「……そ、そうか」

 

 しかしこいつにとっては今、話せる相手は俺しかいないのだ(と思うことにする)。こうして話そうとしてくれているのは信用の証、ならば俺はそれを受け取らなくてはならないのではないか。何故ならこいつは、俺のセカンドお友達だからな。やだ、俺の性格……イケメン…………?ただ友達が少ないだけだった。

 

「……さっきの僕を見れば分かるかもしれないけれど。僕はいじめられてた」

 

「奇遇だな、天海。俺もだ」

 

「……その台詞は朝も聞いた」

 

 言いました。流れるように便乗した記憶がある。

 

「……あの時も言ったけど、僕は逃げた。先生にも言ったし親にも伝えた。命令には従わず次の日に何を言われても無視した。小学校を卒業出来れば終わると思ったから」

 

 でも、そんな事はなかった。と天海は続ける。

 

「雪ノ下さんも言ってたけど。終わることなんてなかった。むしろ相手は増えた」

 

 皆がやっているから。巻き込まれたくないから。加害者の心理であり、また傍観者の心理でもある。長いものには巻かれろという諺があるくらい、日本人は便乗する。さっき俺も便乗したが、これはまた違う。長くないしな。流行には直ぐに乗っかる、皆の意見に"合わせる"、皆もやってるし自分もやって大丈夫――――そんな考え方を持っている人間は多い。俺の時もそうだったように、天海の時もきっと、そうだったのだろう。

 

「……一度だけ、ナツが人質にされた時があった。僕が中学1年生で、ナツはまだ小学3年生。上級生もいたけれど、その人達はそんな小さなナツを捕まえてね、言ったんだ。『これで逃げられないだろう』って。……比企谷くんなら、こんな時どうする?」

 

「全員潰す」

 

「exactly(その通りでございます)」

 

 滅茶苦茶発音が綺麗だった。

 

「もし今のが問題なら、正解。……初めて人を殴った。昔から棒術やってた事は言ったけど、道場の人以外に使うのも、初めてだった」

 

 落ち着いてきたのだろう。(幸か不幸か)表情もすっかり元に戻り、目は先程も言ったように透明に近づいてきている。

 

「僕の右の中指、その時に折れちゃって。少し、他の指に比べて歪んでる」

 

 ん、と右手を見せてくる。小さい手の平にはマメが出来ていて、またその中指は少し曲がっていた。

 

「拳も武器も使って、とにかく何があってもナツを取り戻そうって必死で。年上でも年下でも、辺り構わず殴った。結果から言えばナツは無事。僕も右手以外は大した傷は残らなかった」

 

 その時から、いじめられなくなった。天海は目を閉じて、まだ続ける。今の俺に出来るのは全てを聞くことだけで、口を挟む状況じゃない。俺は静かに空を見続けながら耳を傾けた。

 

「弱肉強食という言葉があるけれど、窮鼠猫を噛むなんて言葉もある。あの時の僕は窮鼠、だったと思う。怯えられるようにはなったけど、そのお蔭で逃げることもあんまりなくなったから。……でも、それでも僕はまだ怖い。また同じことがあったら…………僕は、きっと、逃げてしまう」

 

 言葉を紡ぐにつれて天海の声は小さくなっていった。顔を俯かせているこいつはいつもの飄々とした態度とはまるで大違いだったから。

 

「別にいいんじゃねーの」

 

 と、思わず口から言葉が出てしまった。……雪ノ下といい、天海といい、俺のこと愚痴相手だと思ってるんじゃねーの?……だが、これだけは伝えなければならない。

 

「お前が嫌だと思うんなら逃げてもいい。お前の人生だからな。逃げる事は悪いことじゃないんだろ?他の奴等が逃げたら負けだとか逃げちゃダメだとか立ち向かう勇気をとか言ってるだけなんだから、そいつらに勝手に立ち向かわせたらいいんだよ」

 

 まだ仄かに緋みが残っている目を見開いてこちらを見てくる天海。だがすぐに顔を背けると

 

「……だけど、世間はそれを許さない。少しでもはみ出した者は排他されてしまう」

 

 

 

「バッカお前、そんときゃはみ出し者同士でつるめばいいだろ?例えばちょうどお前が話してる俺とか超はみ出し者だろ。小さい頃から根暗でいつの間にか目が腐っててそれのせいでまた疎外されるとか完璧じゃね?」

 

 自虐ネタを挟むのも忘れない。最早お家芸と化しているが自分でこっそりダメージを受けるのも忘れない。フレアド○イブみたいな反動とかそんなんじゃなく、こうすることで誰かに期待をすることなく自分を戒められるのだ。そっから自分の歴史を思い出してナーバスになるなんてことはないからな。

 

「だから、そんなはみ出し者の俺が、お前を肯定してやる」

 

「"してやる"……中々上から目線。だけど…………嬉しい」

 

 困ったように天海が笑う。その笑みは夕方とは違い、不気味さは消えていた。そして俺の手に自分の手を添えてこちらを見てって近い近い近い近い!

 

「嬉しいから――――僕も比企谷くんを肯定する。君のその目も、性格も、生き方も」

 

 ……自分が言い出しっぺで何だが、これ言われたらこっ恥ずかしいな。やめろよ、勘違いしちゃうだろ。

 

「……そうか。まぁ、その、なんだ。好きにすればいいんじゃねえの」

 

 これは新しく黒歴史を作ってしまったかもしれんな…………。何?肯定してやるって何だよ。俺普段誰からも肯定されてないのにこんな時に偉そうに語って恥ずかしくないの?恥ずかしいわ。

 

「有難う。君と話が出来てよかった。……僕は先に戻る、おやすみ」

 

 心中で悶絶している中、天海は立ち上がってこちらを見た。目は、透明に戻っていた。落ち着いたみたいだな。

 

「おう」

 

 歩いて行く天海を見送った後、また空を見る。何回見ても、まるで飾り立てたような綺麗な夜空だった。

 

 

 

 

 

「…………はちまぁん……くぅ……」

 

「ひき……がや……すぅ…………くん」

 

 

 

 …………余計に寝られなくなった。




(文体が)あーもうめちゃくちゃだよ。ごめんなさい。半ばヤケクソで書き上げたので分からない部分などがあれば聞いて下さい。答えられるところは答えます。


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元ネタ

・冒頭のアレ
ファンに喧嘩を売るスタイル。

・パイナッポー頭・クッフッフ
『家庭教師ヒットマンREBORN!』より霧の守護者、六道骸。ちょっとググれば出てくる腐向けのSS。こわい。

・宮守女子
『咲-Saki-』より宮守女子代表、小瀬川白望。天海は彼女よりはマシです。

・質問を質問で返すな
『ジョジョの奇妙な冒険』のどっかに出てきます。コミックス全巻をこち亀全巻と一緒に買うと運勢がアップします。

・『人生はプラスマイナスゼロだって言う奴は』『決まってプラスの奴なんだ』
『めだかボックス』より球磨川禊。緒方恵美さんは偶にガンギマった(狛枝とか狛枝とか)キャラクターを演じる印象があります。……偶に?

・exactly
ジョ○ョとかその影響を受けた這いニ○ルとか。問いに対してその答えはおかしいだろそれよぉ と言う質問に対しては「exactly(そうだね、僕もそうした)」というニュアンスで納得していただければ(滅茶苦茶)

・フレアド○イブ
『ポケットモンスター』より。ポケモンGOのブーム消えるの早すぎ。

・最後のカッコつけた文章
『宇宙のステルヴィア』ED「綺麗な夜空」よりちょっとだけ引用。angelaすき

こんな感じで。ではでは。

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