二人のぼっちと主人公(笑)と。   作:あなからー

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言えないだけだろ!いい加減にしろ!



番外編なので初投稿です。


あけおめとは言うけどはぴにゅいゃとは言わないよね

「えー……」

 

「「「「明けましておめでとう(ございます(ー))」」」」

 

 

 

 終わりがあれば始まりがあるように、また新たな年がやってくる。これはそんな元旦での、変わり者四人の一幕である。

 

 

 

 

    *

 

 

 さて、元旦に皆が食べるものは何だろうか。お餅やすき焼き、寿司焼肉、その他様々なものを食べていると思われる昼食。彼らはと言えば――――

 

 

「……これと、これを」

 

「はーい」

 

「これも手作りなのか……」

 

「天海先輩が作れないものってなんですかね」

 

「……流石に市販のものもある。伊達巻やコハダは無理」

 

 

 正統派、おせちであった。樹が皿に盛り付けた錦玉子や栗きんとん、昆布巻等を大志や優希が運び、八幡はテーブルのセッティングをしている。また、樹はその間に餅を焼いている様子。

 

 と、ここで樹は他の三人に気になったことを聞いた。

 

「三人は、お雑煮の味噌は何がいい?」

 

 関東や関西等の地方での違いに加えてそれぞれの人の好みも出てくる、非常にややこしい質問に対しての三人の答えは、

 

「私は赤ですねー」

「合わせ味噌」

「白、ですかね?」

 

 てんでバラバラであった。

 

「……うーんこの」

 

 と、樹が思わず呟いてしまうのも致し方ない事だと言えるだろう。かと言って、じゃあ別れたなら面倒だし自分の好きなように、とするほど樹は空気が読めない訳ではない。

 

「三人の理由を聞きたい」

 

 それぞれの意見を促し、その中で納得のいったものを選ぼうと思ったのである。

 

 だが。

 

「つーか」

 

 と、何時もと変わらぬ姿をした八幡が一息入れてから放った、

 

「「「そもそも雑煮ってすましにするもんじゃないのかよ(ないんですか)?」」」

 

 何故か他の二人とタイミングバッチリの発言は流石に予想ができなかったようで、

 

「……えっ」

 

 という声を出す他になかった。

 

 

 

 まるでその発想が思い浮かばなかったかのような樹の反応に「え、普通そうだろ」「ですねー」「はい」「お前は黙れ」「ナンデ!?」 と首を捻る三人。特に普段の味付けが他と変わっているでもない樹と、ここまで違う理由は?

 

 初めにそれを思い出したのは大志であった。

 

「……あっ、そういえば!」

 

「知っているのか雷電!?」

 

「うむ……ってそうじゃなくて。天海先輩前に(どっかのお話参照)言ってたじゃないすか、生まれとちっちゃな頃の育ちは関西だって!」

 

「……そういやなんかそんなことも言ってたな。どうでも良いことばっかり覚えやがって」

 

「えっオレ今の責められる部分なんスか!?」

 

 

 

「天海せんぱーい。バカ二人は放っておいてー、話の続きをしましょー」

 

 傍の諍いを完全に放置しながら優希。

 

「誰が馬鹿だ」

 

 

「天海先輩の地方のお雑煮はどうだったんですかー?」

 

「聞けよ」

 

 質問に対し、樹は顎に指先を当てて少し考える素振りを見せてから口を開いた。

 

「(同じ動作でも雪ノ下とこうも違うものなのか……もう女の子でいいんじゃないですかね?そういうことにしたいんですけど)」

 

「……確か、白味噌で丸餅を煮ていた気がする」

 

 これに関して最も関心があるような声を挙げたのは大志だった。腕を組んで、

 

「やっぱり全然違うんスね。まず餅の形の時点で違うのか……」

 

 と素直に口に出している。実際、関東と関西ではそもそも売っている餅の形自体が異なっている事が多く、彼はその中でも角のある餅しか見たことがなかったのだ。そのため、

 

「(じゃあここらへんはみんな角餅なんだな)」

 

 そう思っていた。しかしその考えは

 

「あー、うちも角餅ですよー」

 

 という優希の言葉で消えることになる。

 

「えぇっ!?」

 

 驚く大志に対し(激ウマギャグ)「大志君は素直な反応をしてくれるねー」と微笑みながらも優希は言葉を続ける。

 

「私、生まれが市原のほうなんですけど。売ってたの丸い餅だったんですよー。ついでに言うと赤味噌でしたー」

 

「……あれ?でもさっき比賀先輩、すましって…………」

 

「それは私の好みだねー」

 

「えぇ……」

 

 つまりは、好みによりけり、ということだろう。

 

 

 

 

     *

 

 

 

「じゃあ先輩、初勝負しましょ初勝負ー!」

 

「……分かった」

 

 テレビの前に陣取り、ゲームを始める優希と樹を尻目に、八幡は何時もの如くボーっとしていた。特にすることもなく暇だった彼は、ふと気になっていたことを大志に聞くことにした。

 

「そういやお前、川崎の方に行かなくて良かったのかよ、とっとと行きゃいいだろ、むしろ行け、いや逝け」

 

 手をひらひらさせる横暴な先輩に思わず溜息が出そうになるが、もしここでそれをしてしまえば余計に何か言われることは必然。慣れもあったためにぐっと堪えて質問に対する答えを口に出した。

 

「昨日散々親戚とは騒ぎましたし、今日も朝から母さん達は喋りまくってたんで……静かなここが良かったんスよ」

 

「静か……か」

 

 

 

 横からは「……ゴウランガ」「グワァァァァァァァッ!?」という声が聴こえる。

 

 二人は聞かないことにした。

 

 

「先輩こそ、今日は比企谷さんや前のお二方と何処かには行かなかったんスね」

 

「黙れ」

 

「ヒデェや」

 

「……と普段は言っているところだが、別に隠すような事でもないからな。あいつらは三人で初詣に行ったよ。俺も誘われたけど、あんな人混みでいられるかっつの。それなら静かなここのほうがマシだろ。そんで小町にお守り頼んでからこっちへ来た。以上」

 

「…………静かッスか」

 

 

 隣から「……とう」「WASSHOI!!!」「……はいくをよめ」「アイエェェェェェ!?」 という声が聴こえる。

 

 

 聞いてないったら聞いてない。

 

 

 

「お前と微妙に理由が同じなのは気に入らないがまぁいいだろう」

 

「いいんスか……それより」

 

「……ああ」

 

 

 

「いゃー」「イィィィィィヤァァァァ!!」「WASSHOI」「イイヤァ!」「ぐわー」「トゥリャァァァアァ!!」「あまくみるなよ」「グゥゥゥワァァァ」「かいしゃくしてやろう」「サヨナラァァァァァァ!!」

 

 

「あの馬鹿二人どうします?」

 

「とんでもないブーメランだよな」

 

「ぶっ刺さってますねこれは、間違いない」

 

 

 

 

     *

 

「比企谷先輩、ズバリ今年の抱負はー?」

 

「あ?何だいきなり」

 

 

 時も変わっておやつの時間。急な優希の質問に対し、怪訝な表情をする。

 

「毎年ゼッタイに考えてないと思ったのでー」

 

 酷い言い様である。

 

「んなわけあるか。これでも毎年『こんくらいを目指す』的なもんは作ってんだ」

 

「ほうほう。ならよしです、早速私たちに教えてくださいよー。全員で言えばなんか正月っぽいことはできてるでしょ?」

 

「最近、比賀先輩に遠慮がなくなってるッスね」

 

「否定しない」

 

 ここで樹は考える姿勢をとった。『今年の抱負』。今まではいつも家族である夏菜やミィ、クルトについてのことしか考えていなかったのである。が……

 

「(折角だし、『僕の抱負』を考えてもいいかもしれない)」

 

 その家族での出来事などが少しずつ、樹を変えていた。

 

「(今年こそ『小町さんとなんかそういう感じになる』ぞ……!)」

 

 一方大志は思春期の男子らしく、そういった事について考えていた。が、仮にこれをその兄である八幡の前で言ったとしたらキリステゴーメンからハイクもなしに爆発四散させられるのは確実である。そこで彼が考えたのは――

 

「じゃあオレは『総武高校に合格してしっかりと勉強する!』で!」

 

 もう一つの大きな目標――――前者に比べると当たり障りのないものを口に出すことにした。最も、目標になるだけあって相当レベルの高い進学校ではあるため、普通なら「おお」となるだろう。

 

 しかし。

 

「僕で受かる。大志くんなら余裕」←総武校生

 

「もうちょっと個性的なのにしろ」←総武校生

 

 この隊の学力は全員が高い為にそれほど大層なものとはとられなかったようだ。

 

 

 また、優希の目標も「仲良く出来る人といっぱい仲良くする」というもの――本人にとっては大きな目標でも一般人にとってはなんのこともないようなものを取り上げた。

 

 

 

 が、それは一般人の話である。

 

「難しいぞ……本当に大丈夫か?」

 

「難易度高い、勇気を出して、優希ちゃん(激ウマギャグ)」

 

 

 こと、ある2人にとってはかなりの難易度で。

 

「大丈夫、比賀先輩ならきっと出来ます!」

 

 この少年にとっては大事な、だけど簡単な事であった。そんな彼に勇気をもらった(げきうm)彼女はいつもの気の抜けた笑顔で

 

「三人共ありがとーございます。今年もよろしくお願いしますねー」

 

 と笑った。

 

 

「『自分を強く持つ』」

 

 目の濁った少年の目標はとても簡潔な、しかし難しいものであった。

 

「あの人からは自意識がどうたらとか理性がどうたらとか言われたが、最近ちょっと危うくなってるからな。ここは今までの自分を取り戻すためにだな……」

 

「いや、先輩はいい方向に変わっていけてるとおも「黙れ愚かなる川崎弟」えぇ……」

 

「今の自分を受け入れるかとか元に戻るかとか、まぁ色々あるが……要するに『誰かに流されることなく自分の意思を決める』ってとこか」

 

 以上、そう締めくくって――少し言ってて恥ずかしかったのかそっぽを向く素直ではない隊長を見て、大志は思わずニヤリとしてしまう。決して声には出さない。殺されるからだ。

 

「私のもそうですけど、難しいですよー」

 

 そう言う優希の顔はいつもより少し、ほんの少しだけ真剣であった。恐らく自分でその恐ろしさを知っているからだろう。ただ、そんなことは八幡も知っているのである。

 

「んなこた知ってるよ。だから抱負なんだろ。どっかの誰かと違って平凡な抱負なんか、それこそ高校合格みたいなことするやついねえだろ、なあ川崎弟」

 

「当然ですね」

 

「何当たり前みたいな顔してんだお前だろうが」

 

 

 

 

 

「僕の今年の抱負は『友達を作る』」

 

 

「無理だろ」

 

「たけしの挑戦状のほうがまだ簡単ですよ」

 

「……なんていうか、その。がんばってください」

 

 

 

 

「……おかしい」




勢いだけで30分で書きました。ミノガシテ。

あけおめことよろ!
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