二人のぼっちと主人公(笑)と。   作:あなからー

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 改めまして センター爆死したので初投稿です。

■TIPS ~今回は紹介無し~
・比企谷隊の食費は主に比賀が払っている。他三人に比べ特に経済的に困っている事もなく、使いみちもゲーム以外余りないためだとか。

 前回は手抜きしましたごめんなさい。ここからはちゃんと頑張ります。


 前回のあらすじ

「前のステータス表凄く長かったから短くしました」

「はぇ」

「興味ない定期」


 私もきっと「ほーん」で済ませる。


一番長いって聞いたら割と絶望感ある

「新しいスパロボが出るらしいですよー!」

 

「し……しかも!」

 

「懐かしいあの機体も登場するよ~!」

 

 

 

「…………だから?」

 

「「「買おう(買いましょう)」」」

 

 

「……懐かしい機体って?」

 

「機動戦士ガン○ムダブルゼ」

 

「予約してくる」

 

「早すぎィ!」

 

 

 

 ※茶番タイトル「ついに志岐参戦!よりゲーマーが熱くなる!」

 当然ながらほんへには関係ありません。皆もPS4とスパロボV、買おう!閃ハサも出てくるぞ!

 

 

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 開発部門の職員というのは、基本的に多忙である。報告書を見ながらトリガーの改良に取り組んだり、新たなトリガーの開発、基礎防衛システムの維持などと、常にすることが沢山ある。にもかかわらずエンジニアの絶対数は非常に少なく――言ってしまえばブラック企業なのである。

 

 複数並べられたパソコンを見比べながら様々な数字を打ち込んでいる男――――鬼怒田 本吉もそのエンジニアの一人であり、またこのブラックな職場のトップでもあった。そんな彼にある一人の研究員が声を掛けた。

 

「室長!比企谷隊の天海隊員のサイドエフェクトの分析結果が出ました!」

 

「ん?ふむ、分かった。見せてくれ」

 

「……天海隊員のアレは、きっとコレが原因です」

 

「これは…………!」

 

 

 

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 学生生活において2学期というものは非常に長い学期だ。他の学期は凡そ3ヶ月強、若しくは3ヶ月弱であるのに対し、2学期はほぼ5ヶ月もある。またイベントも多く、体育祭や文化祭、生徒会選挙など、様々な要因で生徒たちが盛り上がる。勿論クラスに居場所がない奴らは完全に置き去りにされたり何か目の上のたんこぶであるかのような扱いを受ける。なんとなく皆が嫌がりそうな裏方や競技に、その教室の雰囲気で勝手に入れられ、そこでまた恥をかく。教室の中で既に社会が形成されているのであり、少しでも社会に馴染めないと爪弾きにされる。学校とはそういう所だ。

 

 さて、そんな絶望感溢れる2学期の最初の行事は勿論始業式である。実は俺はこの始業式があまり嫌いではない。というのも…………

 

「えー、非常に大きいことを言うようですが、まず初めに、総武高校の校長である青柳昇と言えば…………日本ではアタシ一人でございます」

 

 校長の話が結構面白い。進学校の校長と聞くと、主に想像されるのは「厳しい」人だったり「話が長い」人だったり。もしくはその両方だったりと、あまり良いイメージは持たれにくいのではないだろうか。しかしこの総武高校の校長は一味違う。あの人はなんと始業式や終業式などで話をする際、落語調で語るのだ。その内容がまた中々ユーモアがあり、聞く人を中々飽きさせない。今も所々で「ブフッ」とか「ンフ」だとか「フヒ……」などといった笑い声が聞こえる。少なくとも俺よりも前に座っている奴らで寝ている人間は見当たらない。

 

「アンタ、何言ってんだい!――――」

 

 声のトーンや強さ等をしっかり使い分けして登場人物を区別させるのがこの先生は上手い。落語家の弟子やってました と言われても「それあるー!」とかなんとか返してしまいそうだ。そう言えばそれで思い出したが、折本の様子がどうも最近おかしいのだ。見かけ上も変わらないし態度も全く変わらない、何時会ってもよく分からんテンションの彼女だが、この前、まるで別人であるかのような雰囲気でぼうっとしていたのを見かけてからというもの、まるで恋でもしたかのような――――

 

 

 

「……それでは、お後がよろしいようで」

 

 あ、終わってた。

 

 

 

     *

 

 さて、進学校のみならず、学期明けには大抵課題テストが存在する。夏休みの課題の内容が問題の中心であるため、どれだけキチンとやったか、またそれを覚えているかがモロに出てくる試験であると言えよう。また、当然部活も始まっているために部活メンバーはそれぞれの部室で活動を始める。

 

「…………」チーン

 

「2 6 ー 2  という感じかしらね」

 

「なんでや!」

 

 俺の所属する奉仕部もまた例に漏れず活動が始まっている。雪ノ下の隣で煙を吐いている由比ヶ浜は今回も無事死亡したようだ。因みに雪ノ下は当たり前のように「あまり難しくはなかったわね」と言っていた。やっぱすげえよユキは。

 

「そう言う貴方はどうなのかしら?依頼のない時は本を読むか勉強をしているかだからある程度真面目に課題を終わらせたとは思うのだけれど」

 

 すげえと言えばこの件だ。何故か千葉村の一件以来、理由は不明なのだが地味に俺の評価が少し上がっていた。何時もの雪ノ下なら、そうだな。

 

「それで、そこにいる雑魚谷君はどうだったのかしら?……いいえ、聞くまでもないわね。所詮貴方のような腐り目が…………」

 

 とか言ってそうなものなのだが「流石にそれは無いわ……」 …………!?

 

「え、俺声に出してたか?」

 

「いいえ?何も言っていなかったけれど?ただ何時ものその悪魔のような目で虚空を睨んでいただけよ」

 

「じゃあ何で」

 

「エスパーですもの」

 

「それマジ?」

 

「嘘に決まっているじゃない」

 

 俺の周りエスパー多すぎません?やっぱクールキャラってポケ○ンで言ったらエスパータイプだわ。二宮さんが……エスパータイプ?いやないですね。あの人は間違いなくあくタイプ…………やめよう。何故か悪寒が止まらない。

 

 

 

 

 ……一寸待て。仮に雪ノ下がエスパータイプだったとしよう。で、恐らくもう一つのタイプはこおり だ。

 

 こおり・エスパー…………あっふー「沈めるわよ」

 

「スマンカッタ」

 

 この後めちゃくちゃ土下座した。

 

 

 

 

 

 

「それで、結局どうだったの?」

 

「数学以外は割と出来たはずだ。課題は先に終わらせる派なんだよ俺は」

 

「成程。由比ヶ浜さん、始めの数学云々は兎も角後者については一応彼から、一応学ぶことが無いわけでもないのよ?」

 

 一応を2回も言うのやめてくれませんかね。やっぱあんまり変わって……るか。さては天海に何か言われたのではないだろうか。そう、例えば。

 

 

『そんなにツンツンしてると将来は平塚先生みたいになる』

 

『………………!!』

 

『少しは控えめにしたほうがいい』

 

『分かったわ』

 

 

 効果抜群ですね間違いない。あの人のダメな所を間近で見せられている彼女達にはそりゃもう効くだろう。顔はいいのに性格がね……。唐沢さんあたりに紹介出来ないだろうか。

 

 

「だって遊びたいんだもん!」

 

「終わってから遊べばいいでしょう」

 

「ちーがーうーのー!!」

 

「えぇ……?」

 

 その困惑も尤もだ、雪ノ下。俺もよく分からん。嫌いな食べ物は先に頑張って食べる。嫌な物事はさっさと終わらせる。同じ理屈だろうに。それさえ過ぎれば十分遊べるし食べられる。楽をするために人は努力をするのだ(一部除く)。俺だってそーする。

 

 

 とまあ、そんな時。コンコンコン とノックの音が聞こえた。

 

「おーい、二人共らいきゃ…………」

 

 

 

「なんでわっかんないかなーゆきのんは!こう、あるんだよ!」

 

「何もかも分からないわ。ちゃんと具体的に説明してくれるかしら」

 

「だーかーらー!!」

 

 

 ダメみたいですね(諦め)。しゃーない、俺が行くか……。

 

 カラカラと戸を開けた。

 

「ふっふっふ、久しぶりだな我が盟友八幡!今一度名乗ってやろう、そう、わr――――」

 

 閉めた。

 

 

 

 あれはきっと夢や幻に違いない、うんそうだ。よし頭スッキリ今度こそ。

 

 戸を開ける。

 

「ぬはははは!そう恥ずかしがらなくともよいではないか!この剣豪将軍ざいもk――」

 

 閉める。

 

 

 

 開ける。

 

「ぬははは、我でもそこまで拒否られると少しだけ落ち込んだりす」

 

 閉める。

 

 

 開ける。

 

「我で遊ぶのやめてくれると我的にはたす」

 

 閉める。

 

 

 開ける……と見せかけて開けない。

 

『ぬh……ってフェイントだと!おのれ八幡!』

 

 

 

 開けない。

 

『あのー、そろそろ開けてくれたら嬉しいなーって」

 

 

 

 開けない。

 

『おーい、八幡、いや八幡さん、聞いてます?』

 

 

 開けない。

 

『ホントすみませんでした』

 

 

 

 ……ちょっとだけ楽しかったのは秘密だ。

 

 今度は普通に開けてやる。その戸の先には涙が出ている太った男――材木座義輝がいた。

 

「ほら入れ。今度は何しにきた」

 

 おなご二人は現在キャットファイト()中なので代わりに俺がお茶を淹れて出した。この前雪ノ下に渡してみたら「0点ね」などと言われたが、どうせ材木座なので構わないだろう。第一この男がロクな事を言う事があっただろうか、いやない。そんな奴はチラチラと女子二人を見て、

 

「八幡よ。アレは一体」

 

「触れたら殺されるぞ。主に雪ノ下に」

 

「アッハイ」

 

 

 

 

 

*

 

「…………で、結局何しに来たんだよ。また変な小説の推敲じゃないだろうな」

 

「……これは実際、八幡にしか聞けない事、いや、聞けなくはないのだが恐らくキチンとした答えが出ないであろうから聞くのだが」

 

「勿体ぶらずにさっさと言えよ」

 

 んで帰れ。

 

「ボーダーって、どうなん?」

 

 

 

「……………………」

 

「……………………」

 

 

「……………………」

 

「……………………」

 

 

「ちょっとタンマ」

 

「あいわかった」

 

 

 

 

 てゅわああああああああああああああああああ!!忘れてたあああああああああああああああああ!!!

 

 そういや俺等の情報サイトに上がってるんだったわ!道理でなんか俺を見る目が微妙に増えた、いや元は0だったんですけどね? 訳だ!

 

 うわ面倒くせえどうなんだコレって間違いなく面倒になるに決まってるよなぁ!?クッソあの服部ジャンなんたらめ!よくも俺達の個人情報を!いつか担当外してやるからな! 

 

 こほん。

 

「結論を話すぞ。悪いことは言わん、やめとけ」

 

「ぬ……理由を聞いても?」

 

「別に居場所はあまり増えない」

 

「ふむ」

 

「友達も勿論増えない」

 

「ぬ……ぐ……」

 

「でも敵意は増える」

 

「ゴフッ」

 

「つか基本誰にも相手にされない」

 

「キャンセル……します…………」

 

「賢明だな」

 

 ホント、B級に上がるまで辛かった。んで上がったら上がったであの二人からアホみたいなスパルタ教育を受けたからな。何回チャーハンを食べさせられた事やら。あ、思い出しただけで気持ち悪くなってきた。嫌だ……もうブルーベリージャムシナモン入りチャーハンは嫌だ…………。

 

「あのー、八幡?目がどんどんと濁っているのだが」

 

「その腐り目は元々よ。気にしたところで手遅れね」

 

「そーそー。ヒッキーは前からこんな目してたし」

 

「成程、そういえばそう……!?アレ、あっ、フ、フヒ」

 

 んあ?どうしたんだ材木座の奴。急にしどろもどろにになりやがっ……て…………。

 

 

 

「それで?B級22位、新設の比企谷隊隊長さん?どういう事か説明してもらえるかしら」

「ヒッキー……初めの時に言ってた用事ってコレのことだよね?どうして隠してたのかな?かな?」

 

 

 あっれー。なんか二人共、雰囲気おかしくないですか?普段なら「ヒッキーなんで教えてくれなかったの!?」って叫ぶでしょアナタ。んで雪ノ下もほら、「そうやって大事な事を隠すなんて、目だけじゃなくて貴方の脳そのものが腐っているのね」とか、ほら、言うじゃないですか?なのに何故笑ってるんですかね、いや目!目が笑ってない!

 

 

「……言い訳は」

 

「面倒だったからです」

 

「「ギルティ」」

 

 デスヨネー。

 

 

 

   

 

    *

 

 

「……ごめんなさい。そこまでの理由があるとは知らなかったわ」

 

「うん……ヒッキー、頑張ってるんだね」

 

「我は、我は感動したぞぉぉぉぉぉ!!八幡、いや盟友よ!何時でも我を頼るがいい!」

 

 

 そのまま理由を話したら凄く雰囲気が重くなった。どうすんだこれ。そりゃまあ、親が死んで生活費の為に、なんて話は重いだろうが。それにしても、まさかここまで真剣に聞いてもらえるなどとは思ってなかったんだが。全くお人好しが多いのか、それとも…………中学の奴らとは、こいつらは違うのか。とにかくこの雰囲気を消す必要がある。こうやって複数に落ち込まれると悪い事をした気分になるし、何より俺なんかの話で真剣になってくれているのは申し訳がない。

 

「あー……まあ、つーわけであんま広めないでくれると助かる。有名人になったら困るからな」

 

 よし、ここはこれで冷たいリアクション待機だ!材木座はアイツは阿呆だから無理だろうが雪ノ下辺りならこの俺の狙いを汲んでくれる筈……!

 

「ああ!オレは絶対に言わない!勇者は、絶対に約束を破らないんだ!」

 

 おいキャラ違うから。お前は鋼のサイボーグじゃねえよ肉だろ!

 

「ヒッキー、今まで良く頑張ったね……大丈夫だよ、あたしはヒッキーを信じる」

 

 お前はここぞとばかりに抱擁力を出すんじゃありません。そいつは威力がありすぎて俺に効くからやめろホント。

 

「…………貴方は貴方に出来ることを頑張って来たのね。その点、私は……」

 

 そうだったこいつ基本俺と同じぼっちでしかも空気読めないんだったよ畜生!しかも自己嫌悪モードに入っちゃったよこの人。本当に何なんだこいつは。初めは喧嘩売りまくっといて2学期から急に認めるとかどこのチョロイン、あ、でも罵倒が少なくなるのは大歓迎だからもっとやれ。千葉村で一体何を言われたんだか。あの頑固を地で行く雪ノ下をここまで変えた言葉ってなんだ、教えてくれウーフェイ。あとあれだ。

 

 

 

 ……誰か助けてくれ。

 

 

 と、そこでノックの後、カラカラカラと音が聞こえた。平塚先生ならこれをなんとか収めてくれる筈だ。こんな居心地の悪い雰囲気でいられるか!俺はボーダーに帰らせてもらう!

 

「……って」

 

「……何、この状況」

 

 入って来たのは、雪ノ下を変えたと思われる犯人だった。

 

 

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 調理部は文化系クラブの中でも割と予算を貰えている。その理由はひとえに文化祭においての売上にある訳で。

 

「これより、今年度の文化祭でのメニュー選抜会議を始める!!」

 

「「「「「「「応!!!!!!」」」」」」」

 

 僕が入る前からこの部活の雰囲気はこんな感じだったらしい。熱血、気合、根性、努力、ひらめき。まるで気力が10上がってHPが最大の30%回復して一度だけ獲得経験値と与ダメージが2倍になって敵の攻撃を一度だけ完全回避しそうなオーラがあちらこちらから漂っている。それだけこの行事に入れ込む必要性がある、とも言える。

 

「と、その前に。私達はこの文化祭が終われば実質引退することになるわ。そこで例年通り、ここで新しい部長、副部長を決めておくわよ!」

 

 部長である天王寺先輩はこの高校で恐らく一番お菓子作りが上手い。何でもいいところの娘であるらしく、小さい頃から美味しい物を食べていたとか。また、杉野先輩などはケーキグランプリなるもので4位を取るほどの腕前。言ってしまえばこの3年生達は全員が凄く菓子作りが上手ってこと。そんな人達に教わってきた僕からすると、この引退は結構残念だと思ってしまう。天王寺先輩は留学するらしいから無理かもしれないが、杉野先輩辺りは遊びにきてくれないだろうか。

 

 さて、この部長や副部長への推薦、いつものクラスでの役割決め等では結局多数決や押しつけ、じゃんけんになりがちなのだけど、この部は全く違う。個人の腕を磨くだけでなく、お互いの腕を知り、共に高め合う というなんともスポーツ漫画のような方針で活動している調理部の面子の皆は、相手の実力と自分の実力を客観的に比較し認めることが出来る漢らしさを持っているのだ。

 

 まあ、8割から9割は女子なのだけど。だけど、つまり学生にありがちな「目立たない根暗な奴に嫌な役を押し付ける」等といった行為は一切存在しないわけでそれはかなり幸運でもある。

 

 しかしそれが必ず僕にとって有利に働くとは限らない。

 

「部長!あたしは天海先輩を推薦します!」

 

「新垣さん、理由を」

 

「表情は動かず不気味ですが、その料理には確かに愛情を感じ、食べる人に喜んで貰いたいという感情が伝わってきます!何より!」

 

「何より?」

 

「その情熱!私には伝わってくる!まさに夢を叶えんとひたむきに頑張る姿!まさに!相応しい!」

 

 ……こういう事はちゃんと存在するから。うん。

 

「……冬希ちゃん、手放しに褒めるのはやめてほしい」

 

「?何故です?向上心、努力、真心、味!四拍子揃っているのに推薦しない理由はありません!」

 

「……恥ずかしい、から」

 

「………………」

 

「………………」

 

「……はぁ。そうですね、それに先輩は表舞台に出るには不向きですし。すみません、推薦の取り消しを」

 

 良かった。分かってもらえたみたい。そう、僕が部長なんて務めたら今までのこの熱血な雰囲気もなくなってしまうだろうし顔の事を言われるのにはもう慣れているくらいだから。結局僕はそういった主役みたいな事は向いていないのだ。皆よく僕を分かってくれている。友人とまではいかないけれど、理解者が少しでもいるというのは嬉しい。高校生にもなるとある程度の分別がついてくる人が多い、という事だろう。思春期における心の成長というのは個人差があるけれど、それでも中学や小学校のように感情だけで判断するような人間は高校には、それもある程度偏差値が高い高校だと中々いなくなる。勿論一定数は存在するし、女子は相変わらず建前で生きる人間が多いから全てがどう、とは言えないけれど。

 

 

 

 

「あと……」

 

「何?」

 

「すいません、ティッシュ借りていいですか?鼻から何か出そうなんです」

 

「奇遇ね、私もよ」

 

「…………?」

 

 

 

     *

 

 

「という訳で、天海君は副部長に決定よ」

 

「「「「「「異議なーし!」」」」」」

 

「異議あり」

 

「「「「「「???」」」」」」

 

「……いや、『なんで?』みたいな目を向けられても困る」

 

 …………訂正、この人達は僕のことを理解していなかった。別に部長が嫌だから副部長になるなんて言っていないじゃないか。なんという横暴だろうか。やり直しを要求する。そう伝えたのだけど。

 

「副部長は表舞台には基本立たないし、それに私達の部は実力主義よ!この中でトップクラスの実力を持っている貴方が何かの役職に就かないと……」

 

「……就かないと?」

 

「貴方がOGに怒られるわよ」

 

「えぇ…………」

 

 そう言われてしまった。

 

 先代の部長は女子版の某テニスプレイヤーの如き熱血漢だった。松岡先輩に怒られるのだけは勘弁してほしい。説教が長いから。となると受けるしかなくなる、という事になるのだろう。

 

「……分かりました。じゃあ、部長を決めておいて下さい。仕事を与えられたからにはやらなくちゃいけませんから」

 

「あら、一体何処に行くの?」

 

「出し物のアイデアを貰ってきます。ネタバレはしませんけれど、彼らの発想力は僕らにはきっとないので。……奉仕部へ」

 

 

 

     *

 

 

「……って」

 

「……何、この状況」

 

 

 …………状況を整理しよう。

 

 奉仕部の戸を開けると、そこは混沌と化していた。4人しか人がいないのにも関わらず、もうどんよりとしたオーラが主に二人を中心に発生している。勿論比企谷くんと雪ノ下さんだ。由比ヶ浜さんは強い瞳――何かを決意したかのような――――で夕日を見上げており、非常に映えている……周りのオーラさえなければ。材木崎くんは涙を流しながら何やら叫びまくっている。可能性は勇気で補うだとか倍返しだとか、一体何のことなのだろう。雪ノ下さんはコップを両手で持ちながら顔を俯かせて何やらブツブツと呟いているし、比企谷くんはただでさえ濁っている瞳が200%増しで濁っていた。あのまま腐敗が進むとFXで有り金を全部溶かした人の顔になってしまいそうで大変危険だ。

 

「いや、案の定ボーダーの件がバレてだな」

 

「成程」

 

 こちらに刺さる視線が増えた気はしていたけれど、やはり皆そういう情報はチェックするものなのか。誰も僕には話しかけてこなかったからそれはそれでいいだろうと判断したけれど……ここはそうも行かないか。だけどそれだけならここまで凄い空間が出来る原因にはならないだろう。恐らくもっと何か別の理由があった筈。

 

「それで?」

 

「入った理由とか目的を話したらなんかこうなった」

 

「何故こうならないと思ったのか、僕には理解に苦しむ」

 

 人のことは言えないだろうけど、彼のだってかなり重いのだ。親を亡くし、援助がある程度あるとはいえ妹の為にそれを貯め、生活費を稼ぐ。ちょっと纏めるだけでもこのインパクト。というか僕と理由が殆ど同じなのだから重くない筈がない。

 

「いや、だって俺だぞ?」

 

「気持ちは分かる」

 

 どうせ僕の味方なんていない。

 

 どうせ僕への優しさはただの憐れみ

 

 どうせ僕を真に理解してくれる人間なんている訳がない

 

 どうせ僕はこんな形でしかいられない

 

 

 昔……というほど昔でもない、まだ『僕』が僕じゃなかった頃の記憶。自分に価値なんて全く見出だせず、妹といる事だけが人生の全てだと思っていた頃。僕はいつでもそんな事を思っていた。

 

『――――俺がお前を育ててやる。俺が受け継いだ理想、信念。お前に全てを教える』

 

 あの人に出会うまでは。

 

 

 

 ……後で何度出会わなければ良かったと思ったか。……とにかく。

 

「気持ちは分かるけれど、君はもう少し素直になるべき」

 

「あ?」

 

 人の好意というものは案外純粋だったりする。そしてマスターや料理長、駿くんや双葉ちゃん達がくれる好意を受け取るというのは、スッと心に温もりが入ってきて、ポカポカするのだ。この感覚を最初にくれたマスターには感謝しかない。

 

「そうだよヒッキー!」

 

 と、ここで決意を夕日に向けて表明した由比ヶ浜さんが復帰。2対1、それも本音モードの由比ヶ浜さんきた。これで勝つる。

 

「待て。落ち着け。だから服を掴むな。離せ、おい!」

 

 

「八幡!お前には俺達がいる!少しづつでいい!俺達は分かり合えるんだ!」

 

「お前はまだそのモードだったのかよ!早く元のキモオタに戻れよ!」

 

「三人に勝てるわけがない」

 

 だけど、可哀想だったので僕は一旦退避。これで皆が落ち着いてくれると良いのだけど……。僕が元凶とはいえ少しリセットを掛ける必要があるから。何時までたっても本題に入れない。

 

「馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前!」

 

「比企谷君、数学を貴方に教えるわ」

 

「何だお前!?(素)」

 

 今までブツブツ言ってた雪ノ下さんがまたも謎オーラを背負って参戦。2人に減った敵が3人に戻ってしまった。ナムサン。

 

「貴方が大学で奨学金を取れれば、きっともう少し生活は楽になる筈よ。持つものが持たざるものに……いいえ、違うわね。私一個人の意志で、貴方に奉仕しましょう」

 

「何言ってんだコイツ!?」

 

 そう言って由比ヶ浜さんと一緒に比企谷くんを捕まえようと動き出す。その動きは素早く、とても千葉村でのポンコツ体力を思い出させない。そのまま暫く部室内で揉み合い(卑猥な意味ではなく)が続いていると。

 

「ちょ、ま、潰れ…………!!」

 

 どんがらがっしゃん。4人でわちゃわちゃしていたせいで比企谷くんが転び、それを起点に材木崎くん、由比ヶ浜さん、雪ノ下さんの順番に倒れていった。……途中で抜けてよかった。……うわ、材木崎くんが比企谷くんの上に乗っかってる。重そう……。さて、何か言われる前に僕は逃げるとしよう。荷物を持ちに調理室に戻らないと。それじゃ比企谷くん、またね。そう言い残して廊下に出て、静かに扉を閉めた。奉仕部は今日も平和です。

 

 

 

 

 …………あれ、そう言えば僕は何をするつもりでここに来たんだっけ?

 

 

 




 新学期そうそうワケ分かんないことになってます。作者の脳内がきっと原因。でもこれからは基本こんなテンションです。シリアスは書けません。

あと、最初の話をかなり書き換えるためここでの話はその改変後をイメージしています。いきなり性格変わって意味分からんという方は多いと思われますが4月まで我慢してください!なんでもしますから!


わかりにくいと思われる所だけ紹介

・天王寺とか杉野って誰やねん
漫画「夢色パティシエール」より引用。ある程度設定は変えている筈なので別人です。ええ別人です。

・材木なんたらのキャラが途中からおかしい
勇者王で検索だ!
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