■TIPS ~久しぶりすぎてネタが浮かばなかった~
天海 樹は泳げない。その一因には、皮膚が弱いというものがあり、夏でも長袖を着用していたのはその為。夜は半袖でも平気な模様。
原作は進みません。というか原作は開始前です(ワートリ)。ガイルもあんまり進みません。私が文章の書き方忘れたからです。
すいません、許してください!なんでもしますから!
~前回のあらすじ~
・ひっきー「たーのしー!」 たいし「駄目みたいですね……」
・メガネ○号「スナイパーは云々かんぬん」 しゅじんこう「はえ^~」
めがね「あまみは8000近いで」 しゅじんこう「ファッ!?」
・姉の方のシスコン「動くと当たらないだろ!動くと当たらないだろ!?!?」
ぽーかーふぇーす「落ち着こう?」
アネシス「あっそっすね(快諾)」
多分合ってるんじゃない?
立ち直ったのは、次の日の朝だった。それと同時に、頭を抱え込む。
「どうしてこうなった……」
大体何故今のこの年齢でジャンケンなんだよ。民主主義の国なのだから投票制による多数決で良いだろうに。そんな古い考えのままだから平塚先生は生き遅れのままなのだ。
足取り重くリビングへ。そこでは麗しの妹が相も変わらず偏差値の低そうな雑誌を読んでいた。
「あ、お兄ちゃんおはよう。もう大丈夫なの?」
「大丈夫じゃない」
「だよね」
こういう意地の悪さは一体誰に似たのだろうか?
「あ、朝ごはんできてるよ」
「サンキュ」
朝は小町が、昼は天海が、そして夜には二人のどちらかが俺に飯を作ってくれる。最終的な将来の夢は専業主夫の筈なのだが、今のこの現状はどう考えてもただのヒモだ。いや、少なくとも飯の時間は平和を満喫出来るのだから悪い気分ではないのだが、それにしてもこれはダメだ。
教室に入って席に着くと戸塚が駆け寄ってきた。とつかはきょうもかわいいなあ。
「八幡、おはよ!」
「おう」
続いて由比ヶ浜。いつの間にかこの二人がこの朝の常連になりつつある。少なくともつい数か月前までは誰にも触れられない、良い意味でも悪い意味でも孤独な筈だった。それが今ではどうだ、まるでリア充ではないか。
「ヒッキー、大丈夫?昨日凄くおかしかったよ?」
と、凄く心配された。
「マジ?」
「うん、だって……昨日の委員決めから目が真っ黒だったもん」
「元から黒いだろ俺の目」
そう言うと、由比ヶ浜はうーん、と腕を組んだ。言葉を探しているようだが、男の前でそのポーズは如何なものだろうか。ただでさえ飛びぬけている所が更に強調されていた。どことは言わないが。
暫くしているうちに言葉が見つかったようだ、途端に顔が明るくなりだした。単純って素敵ですね。
「えっとね、いつものヒッキーの目は灰色がかったぐちゃぐちゃの目なんだけど」
「おいちょっと待て」
初っ端からどういうことだ。
「昨日はそのぐちゃぐちゃすらなくて」
「おい」
「ほんともう、ヒッキーの魂が出てっちゃったような目!」
ぐちゃぐちゃの目ってなんだよ。俺の目はそんなに酷いのか。いや、鏡見たときにうわコイツ目つき悪すぎだろどこのチンピラだよ、みたいなことを思ったこともあったけども。
昼。購買で例のアレを買ってからいつもの場所へ。最後の角を曲がった先には天海が弁当を準備する姿があった。
「……うす」
「……ん」
いつも通りの少ない会話。ボーダーにいる時なら兎も角、昼時の二人は基本口数が少ない。それは元々俺も天海も自分から喋りに行く人間ではないのもそうだろう。あとアレだ。飯を食ってるときには静かで、何というかこう、救われてなくちゃあいけないからだ。
「はい」
「おう」
既にこの動きも慣れた。
「……今日は、大丈夫?」
「何が」
「準備期間あんまりないから今日も会議だけど」
……………………………。
「あぼぉー」
「……成程、これがFXで有り金全部溶かした人の顔」
自分、ボイコットいいすか?
「ふっふっふ、何処に行こうというのかね?」
ダメでした。
「今回ばかりは己の運の無さを呪うがいい、比企谷」
「アンタの運の無さも大概だろうに」
「お?誰の何の運が無いって?あ"?恋愛運か?恋愛運のことを言っているのか?」
「待って痛い痛い痛い肩千切れる!」
平塚先生とのやり取りももう慣れたものだが、困った時の肉体言語スタイルはいい加減に改善を目指したほうがいいのではないだろうか。
「はぁ……」
しかも死に体で参加した昨日の会議を覚えてない。終わった後速攻飯食いに隊室に走ったしな。
「私が言うのもどうかと思うが……お前、本当に大丈夫なのか?」
お?これは行けるか……?ここで咄嗟に上手い理由をつけられればもしかしたら……!
「」
何も思いつかなかった。
で、生徒会室。
「俺、昨日のこと何も覚えてないんだが」
「………………予想はしていたけれど」
雪ノ下に盛大な溜息をつかれたが何も言い返せない。言い返そうにも「ジャンケンで負けるのが悪い」の一言で片付いてしまうからな。
「貴方の役割は記録雑務よ。本格的な仕事は文化祭当日だけれどそれまでにも色々と手伝ってもらうわ」
「あ、そっすか」
「比企谷、雪ノ下はな?お前の様子を見てフォローを入れてくれていたんだぞ?
『比企谷君、記録雑務で構いませんか?』
『ああ』
『では、そのように』
『ああ』
……という風にな」
「全然似てねえ……つか昨日の俺どんだけヤバかったんだよ、もう俺辞退してもいいよな?」
「ダメです」
「狂いそう……!」
静かなる怒りを胸に席に座る。
……ん、なんで雪ノ下が俺なんかのフォローを?
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比企谷くんは大丈夫だろうか。いや、絶対大丈夫じゃない。
「さあ、キリキリ考える!時間はないんだからね!」
「「「「はいっ!!!!」」」」
「………………」
僕もそれどころではないのだから、あちらはもっとそれどころではないだろう。
僕の所属する料理部が一番忙しいのがこの時期。というのも、それ以外は基本的にお菓子を作ったり創作料理を考えるだけの緩い部活だけれど文化祭ではそうはならない。ここでどれだけの利益を上げられるかがモチベーションや部費そのものにも関わってきたりする。だから毎年この時期は本気。
……先輩達の世代は逸材揃いだから去年も大成功を収めた。しかも今年入ってきた1年生もとても料理が上手。正直に言って失敗する要素は殆ど見当たらない。
だけど、それとこれはまた話が別。部費に関しては心配無用なもののモチベーション向上、という目的が出てくると難易度は上がる。
「売れればモチベーション上がるじゃん」と思っている人がいるのなら、それはMAXコーヒーよりも甘い。海外のお菓子よりも甘い。
何故なら彼女たち――――男性が少ないからこのような言い方をすると、料理の腕は一流、だけどその代わり?そのせい?で凄く、凄くプライドが高い。つまり、単にモノが売れるだけではいけない。リピーターを増やし、誰からの文句も言わせない……そんなレベルになるまで満足出来ない、らしい。
文化祭の話に戻ろう。結局何を売り出すのか。これについて意見が割れているから進捗があまりない。
僕は食べ物数種に何か飲み物を売り出すのがオーソドックスで安定すると思っている。特にお菓子を売るのであれば喉が乾く人が多くなるだろうから、それと同じタイミングで飲み物を売ればいい。勿論他のクラスの喫茶店等に訪れる客はいるだろうけれど、何か特別な飲み物……料理部が出さないと中々飲めないモノを売ればそこそこ買う人は出てくる筈。
なのだけど。
「あたしのお菓子が一番なの!」
「ここは譲れない。おれが一番このレシピを上手く再現できるんだ!」
「へぇ……私を差し置いて一番とはいい度胸じゃない」
「わ、わたしだって!」
「ボクも負けてないんだから!」
こんな風にそれぞれの主張が激しすぎて一向に纏まらない。腕はお互いに認めているけれど、それとこれとは話が別、ということだろうか。美味しければ何でもいいと思うのだけど、パティシエを目指している面々はそうもいかないようで。和菓子屋志望も何故か参戦してわけがわからないよ。
兎も角なんとか止めないといけない。早く決めないと材料を業者に頼めない。その頼む量も分からないのだからその打ち合わせもしないといけないのに。
……こういうの、苦手だけど。つべこべ言ってる暇、ないか。というわけで早速三年生の一人に話しかける。
「あの」
「何よ、あたしたちは今それどころじゃないんだけど」
「早く決めて下さい」
「分かってるわよっ!とっととあたしが一番だって認めさせればいいんでしょ」
「いえ、あの」
「そうすれば誰からも文句が出ないわ、完璧ね」
…………。
他の人ならきっと。あの人は気が強すぎるから。
「あの」
「何だよ?」
「早く決めてほしいんです」
「分かった分かった。要はおれの作る菓子で負かせばいいんだろ」
「いえ、ちが」
「そっちのが手っ取り早いな、任せろ」
………………。
1年生なら分かってくれる、筈。
「ねえ」
「何ですか?」
「時間、あまりないから。じゃんけんでもなんでもいいから早く決めてほしい」
「う~ん、ごめんなさい先輩!でも、これだけは譲れないんです!」
「譲るとかそういうことじゃ」
「わたしの夢への道は遠いし、先輩たちはとっても強い、けど……だけど、そんな先輩たちにだって負けていられないんです!」
「じゃんけんなのだけど」
「だから、作ってみせます!夢を込めた、皆に喜んでもらえるようなケーキを!」
……………………。
「部長」
「……何?」
「僕、次期副部長やめていいですか」
「ダメよ」
「……部長」
「…………何?」
「あれ、どうにか出来ませんか」
「無理ね。全員プライドが高いもの」
「…………部長」
「………………一緒に逃げない?」
「是非」
一緒に逃げた。
*
「ということがあって」
「お前の部活メンバー濃すぎない?」
「比企谷くんはそれ人に言える?」
「(言え)ないです」
「……なんていうか、お二人とも大変なんッスねぇ」
「他人事だからって舐めてんのか除隊するぞ」
「いや、そんなんじゃないですって!」
『ほらー、大志君、MAPもっとしっかり覚えてー』
「は、はい!」
今僕たちがしているのは所謂マッピング。地形の特徴、使えそうな建造物、罠を張れそうな場所等、それぞれ意見を交換しながらマップを覚えていく。
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉があるけれど、その上で地形を覚えておけば更に楽になるだろう。という比企谷くんの提案があったから。
「俺は楽するための努力はサボらないからな」
格好いいのか悪いのか。
『格好わるいでしょー』
「うるせえ。A級だと給料上がるんだから勝てばいいんだよ、勝てば」
ランク戦上位、並びにA級を狙う僕達の目的。
比企谷くん:お金
大志くん:お金
優希ちゃん:お金
そして僕:お金
救いようがない部隊だった。
現在マッピングをしているのは市街地A。スタンダードなMAPで建物・隠蔽物もある程度ある。高い建造物が少ない分スナイパーは少し不利、かも。
「山崎、とっとと場所見とけ。本番になってちょっとでも迷ったらぶん殴るぞ」
「川崎っす」
少し広い住宅街。その先には十字路があってビル、再び住宅街。正直、初めのうちはこの行為の必要性が分からなかった。レーダーもあるし優希ちゃんのオペレートだってある。その上で何故マッピングをする必要があるのか。本気で分からなかった。アナログ人間なのかと思った程。
だけど、いざこうしてみるとその理由が分かった。そして、これは比企谷くん、というかトラッパーに近い動き方、若しくはトラッパーをする人ならきっと誰でも重視するべきとも感じる。
要はただ表示されているマップを見ながら動くのと、もとより記憶している中でマップを見るのと、どちらが早く動けるか、という話。少し戦い慣れしている人ならこのタイムラグがどれだけ大事かは分かる筈。……多分。
比企谷くんが実際にスパイダーを張ったり大志くんが潜伏場所の確認等をしている間、グラスホッパーを使ってピンボールの練習。序でに比企谷くんが張ったスパイダーを足場にする練習もする。こういうのは実際にやってみるのが一番上達の近道。実際に喰らってみたり、段々痛覚がなくなっていったりしても喰らってみたりやってみようとして返り討ちにあったり…………。
「…………………………」
「あの、天海先輩が蹲ってるんですけど」
「まーたトラウマスイッチが押されてしまったのか」
「兵長かな?」
ひどいよ、お師匠…………。
*
「さて」
「立ち直りました?」
「なんとか」
何故こんなになっても師匠関連のトラウマだけは忘れないのだろう。……忘れる訳ない、あんなの忘れられる訳がなかった。それはともかくとして。
「覚えた?」
「そりゃまああれから20分経ってますからね」
「20分」
「はい」
「…………」
「…………」
「……大志くん」
「何スか?」
「20分かけてここまでしか覚えてないの?」
「アンタが地面で蹲ってたせいでしょうがブッ飛ばしますよ」
ジト目で睨まれた。
「……最近、遠慮がない」
「面子が面子ですからね」
……これは舐められているのだろうか。修正する必要があるかもしれない。
…………あれ、今何時? ……!これは、マズい。
「落ちる」
「え?」
「バイト忘れてた」
「あっ……」
僕もまさか20分も経っているとは思わなかった。間に合うのは間に合うのだけど少し早めに行って準備をしないと色々と面倒。出来るだけ急いで行かなければ。
「ほな、また……」
「あ、お疲れ様ッス」
「よう天海、今日は珍しく遅かったじゃねえか。何かあったのか?」
「……思い出したらまた20分床に蹲ることになるので」
「いや、ホントに何があったんだ……」
一応間に合った。
原作ワートリだから多少ガイル側ガバってもゆるして
マッピングについては完全に自論です。いくらデータが表示される、オペレートがあるとはいえ無知と知っているのではその分別のメンバーにリソースが割けるのでオペレーターも楽出来るしメンバーはメンバーで自分のことに集中(というのは耳から流れる情報を遮断出来る、ということです)出来るのでは?と考えた次第。異論は認める。