「いてて……」
『お前なぁ……』
俺の胸に飛び込むように激突した一夏と俺を見に、激突の衝撃で出来てしまった直径数メートルのクレーターの端に何故か黄色い声と共に駆け寄ってくるクラスメイト達。
そして突き刺さる千冬さんの「何してんだテメェ」という虎も尻尾巻いて逃げそうな鋭い視線。こりゃ今日の訓練は地獄のメニューになりそうだ…
『大丈夫か、一夏?』
「あ、あぁ…悪いな彰」
軽く体を見渡してみたが、傷という傷はなく少々汚れた程度だった。
それというのも、ISには”絶対防御”という操縦者自身を守ってくれる機能があるからなのだが、その機能故にシールドエネルギーを大量に使う。
つまり、戦闘中だと敗因の理由にもなるのだ。
「彰さん!大丈夫ですか!?」
「一夏!!」
箒とセシリアの二人が駆け降りてくる。
結構距離があるな…どうせ後で「埋めておけ」とか言われるんだろうな…
箒が一夏を起こして俺からどかしてくれると、
「彰さん、立てますか?」
セシリアが手を差し伸べてくれた。俺はその手を使って立ち上がる。
「……そろそろ時間か……今日はここまでだ。織斑と御剣はその穴を埋めてから来い」
やっぱり言われたよちくしょう。土ってどこにあんだろ…
この後の事を思い浮かべ、気が滅入りそうになりながら俺は千冬さんに土の場所を聞きに行くのだった。
「「「「織斑君!クラス代表決定おめでとー!!」」」」
パァン!とクラッカーが鳴り、食堂のテーブルに我がクラスメイトが全員集合していた。
その真ん中には一夏、隣に俺とセシリアが座っている。
俺達三人に箒を加えての四人で夕飯を食べていたらいつの間にかこんな状態になっていた。
「な、なんでオレがクラス代表なんだよ?」
そんなの決まっている。
『俺が辞退したからだ』
「えっ?なんでだよ?」
ダルい、めんどい、疲れる。という三つの理由を隠して、俺は適当な理由で面倒事から逃れる選択をとる。
『俺は人をまとめるなんて向いてないからな。だからお前に任せた』
俺は誰かに命令したりするのは好きではない。他人に委ねるよりも、俺自身がやってしまった方が早いからだ。
利用と指示が違うように、それが効率的且つ目的のある事ならば喜んでやらせてもらうがな。
『……ふぁ………ん?』
欠伸をしていたら、突如シャッター音と共にフラッシュが焚かれて思わずその方向を睨んだ。
その先には黄色のリボンをした上級生が、カメラを持って満面の笑みを浮かべていた。どうやら欠伸の瞬間を撮ったらしい。
「新聞部でーす!写真お願いしまーす!」
お願いしますもなにも、すでに撮ったじゃないか…
「はい!一夏さん、彰さん!」
「お、おぉ……」
『俺もかよ……』
元気一杯なセシリアに飲み込まれて、俺達は立ち上がって写真撮影する事になった。
俺写真映り悪いんだよなぁ…そういう仕事もした事あるけど、千冬さん曰く「モデルになったつもりか貴様は」とか言われるくらいだし。
後日送られてくる雑誌も俺だけデカデカと貼ってあるからよくわかるが、目付き悪すぎる。なんだアレは…って俺だよちくしょう。
「じゃあ御剣君を真ん中にして、三人で握手でも!織斑君とセシリアが握手して、御剣君はその上に!」
注文が多いな…二人が言われた通りにする為、俺も二人の手の上に置く。
カメラに目線を投げて、俺は早く終われと心の中で念じるのだった。
「もちろん、撮った写真は貰えますわよね?」
「はい!ではいきますよ~!3、2、1!」
パシャッとシャッター音が鳴る直前に、クラスのみんなが我先にと入ってきて結局集合写真に変わってしまう。
「な、何故皆さん入ってきますの!?」
「セシリアだけ独り占めはないでしょ~」
「そうそう!」
良くも悪くも、アットホームなクラスで良いことだ。
だがドサクサに紛れて人の体をまさぐった奴は許さねぇぞ、断じて。