IS―インフィニット・ストラトス―灰色の騎士   作:芦屋戒

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「驚いたわよ。世界初の男のIS操縦者って、新聞にアンタ達ニ人の顔が載ってるんだもん」

 

『コイツのせいだコイツの』

 

「お前だってIS持ってただろ。なんで黙ってたんだよ?」

 

『俺は世界でもトップレベルの機密事項だったんだよ。めちゃくちゃ怒られたんだからな?』

 

俺がアトを手に入れたのは中学一年生の頃で、中学二年に上がると同時にドイツへ留学と偽造して訓練に行った。実質二年間程しか学校生活を送っていないが、帰ってきた俺を暖かく迎えてくれたのが一夏と鈴だ。

 

そして一夏の知り合いである赤く長い髪にバーコード……待て俺は今変な電波を受信していた。

 

赤い髪にバンダナをつけた五反田弾の店でお祝いまでしてくれたのだ。

 

「一夏!そろそろ説明して欲しいのだが!」

 

「そうですわ彰さん!まさかこちらの方と、つ、つつ付き合ってらっしゃるの!?」

 

三人で談笑していたら、もう我慢出来ないといったような表情で箒とセシリアがバンッとテーブルを叩いて詰め寄ってきた。

 

いきなり意中の相手に仲の良い女性が現れたら、確かに困惑するだろうな。ちゃんと伝えなきゃ駄目だぞ一夏。

 

「べべ、別に私は……!」

 

『ちょっと違うな』

 

「そうだぞ」

 

『「ただの幼なじみだ」』

 

二人揃って言い放つと、鈴が気に食わないといった顔で俺達を見てくる。

 

「お、幼なじみ……?」

 

「そっか。丁度お前とは入れ違いで転校して来たんだっけな、箒」

 

俺が一夏と知り合ったのは小学六年生の頭。と言っても千冬さんや束さん経由で知っていたし、偶然会った時には遊んだりもしていたから正確に言うならば鈴と同じタイミングで知り合った事になるかな。

 

物心付いた時にはISの研究を手伝いだして束さんと知り合い、一夏と知り合いになるまで海外生活、中学には軍に所属と。なんとも波乱万丈な人生である。

 

「ほら、前に話したろ?コイツが箒、箒がファースト幼なじみで、鈴がセカンド幼なじみだな」

 

なるほど、その理屈で言えば俺も一夏のセカンド幼なじみという所か。

 

「ファ、ファースト……」

 

頬を赤くして、どこか恥ずかしげに笑顔を浮かべる箒。

 

「へぇ~…そうなんだ」

 

鈴は大して興味がないのか、適当に頷くと箒に手を差し出した。

 

「これからよろしくね」

 

「あ、あぁ。こちらこそ…」

 

にこやかに握手を求める鈴と、ぎこちないながらもそれに答える箒。うむ、こいつらは仲良くやっていけそうだ。

 

「んん!私の存在を忘れてもらっては困りますわ!」

 

ないがしろにされていたセシリアが咳払いをして、胸に手を当てるお得意のポーズで語りだす。

 

「私はセシリア・オルコット。イギリスの代表候補生ですわ。御剣さんとは先日、クラス……」

 

「一夏、クラスの代表になったんだって?」

 

「ああ。彰が辞退したからなぁ…」

 

「良かったら、私が練習見てあげよっか?もちろん彰は絶対参加よ!」

 

中国は新しい方式の射撃武器があると聞く。更に戦闘面では古来より続く拳法等の動きも取り入れていると噂だ。

 

近接戦闘により一層の磨きをかけられると考えられると、こちらとしては願ったり叶ったりだな。

 

『いいのか?鈴が見てくれるのは正直助かる』

 

「ってちょっと!!聞いていらっしゃるの!?」

 

ようやく無視されていた事に気付いたセシリアが再びテーブルを強く叩き、こめかみをヒクつかせながら詰め寄ってくる。

 

「あ~…ごめん。私、興味ないから」

 

ほう、代表候補生等の資格に興味がないのは珍しいな。普通の人間ならセシリアのように誇ったり自分自身に陶酔したりするものだが…かくいう俺もその珍しい部類の人間だったな。

 

とりあえず、益々ヒートアップしたセシリアは落ち着いて欲しいものだが。

 

「一夏に教えるのは私の役目だ!!」

 

「じゃあ彰だけでもどう?私が教えた事を一夏に教えればいいし」

 

「彰さんには私がお教えしますの!!あなたは二組でしょう?敵の施しは受けませんわ!」

 

……そろそろ面倒になってきたな。無視して帰ってもいいだろうか。

 

「別にいいじゃない。何度もウチで食事した仲だし」

 

「いいい家で食事!?聞いてないぞ一夏!!」

 

「聞いてませんわ彰さん!」

 

更に詰め寄ってくる二人に、鈴は「どうだ」とばかりに胸を張っている。物は言いようだな…だが、箒に妙な不安を抱かせておくのは親友として見過ごせない。

 

『よく一夏と一緒に鈴の実家の中華料理屋に行ってただけだ』

 

俺の言葉に、箒とセシリアがホッと胸をなで下ろした。鈴が「余計な事を!」というような視線をぶつけてくるが、これも唐変木の一夏と素直になれない箒の為だ、許せ。

 

そんなこんなで、昼食終了のチャイムが流れたのを皮切りに俺達は教室へと戻り始める。

 

「じゃあね二人共。彰はまた後でね!」

 

『ん?おぉ…』

 

去り際にセシリアと火花が散ったのは何でだろう。

 

 

 

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