IS―インフィニット・ストラトス―灰色の騎士   作:芦屋戒

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第三話 クラス対抗戦
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雲一つない晴天を白の騎士が横切った。一夏のIS、白式だ。

 

相対するは中国の代表候補生の鈴。腰に手を当てて余裕といった表情で手に持つ巨大な薙刀を弄ぶ。

 

今日はクラス対抗戦の日、初戦は俺達一組と鈴のいる二組の対戦だ。対抗戦は各クラスの代表同士がぶつかり合う為、俺は観客席で見物…したかったのだが。

 

『なーんで俺が警備に回らないといけないんですかね』

 

―警備と言っても、セキュリティの見学程度だ。お偉方からの命令でな―

 

お偉方、というのは主にドイツの大統領や軍の司令官等のドイツで知り合った人達だ。俺自身の存在は極秘にされていたが、当時の俺は大統領のボディガードや千冬さん直属の兵士として扱われていた。

 

故に、自分で言うのもアレだがドイツのトップクラスに痛く気に入られているのである。何かと俺を引っ張り出しては俺を配置させろとのたまっているのだそうだ。

 

『どうせ俺のデータが欲しいだけですよ、奴らは』

 

―そういった手合いならとうに断っている。今回の件に関しては純粋な気遣いだ―

 

『誰ですそんな事言った奴は』

 

―ドイツ軍の馬鹿共だ―

 

あいつら今度会ったら地獄の訓練にしてやろう。と心の中で誓っていると千冬さんが短く笑う。

 

―あの馬鹿共に恥じないよう、しっかりやるんだな―

 

『…はい』

 

俺はアトのハイパーセンサーだけを部分展開し、セキュリティデータを確認しつつ横目で鈴のISパラメータをウィンドウに算出する。

 

―IS名、甲龍と認識。使用武器、双天我月、龍咆―

 

鈴のIS、甲龍は重厚な鎧を纏った武将。言葉にするならこれがピッタリだろう。

 

薙刀のような双天我月に、棘の付いた装甲の球体型衝撃砲が両肩に浮いており、ロボット版三国志といった出で立ちだ。

 

「一夏!アンタには悪いけどこの勝負、絶対勝たせてもらうからね!」

 

「何かよくわかんねえけど……俺だって負けるつもりはない!」

 

双方が武器を構える中で、鈴だけは俺を視覚で捉えてビシッと指を差してくる。

 

「彰!あの約束、守ってもらうからね!」

 

……面倒なことになったな。

 

――――――――――

 

時間をさかのぼって説明しよう。

 

鈴とセシリア二人との夕食の後、寝床である職員寮に向かっていた時、鈴が追いかけてきてこう言った。

 

「彰、約束覚えてる?」

 

前触れもなく約束、と言われても正直俺に思い当たる節はない。故に素直に謝り、その約束とはなんだったか逆に聞いてみたんだが…

 

「中一の頃言ったじゃない!思い出しなさいよ!!」

 

と怒られてしまい、教えてはもらえなかった。

 

俺が覚えていないという事は、大して重要な言い方などしていなかっただろう。まるで日常会話のような流れで言われたものと推測する。

 

『そんな事言われてもな……じゃあ、クラス対抗戦で俺達が勝ったら教えてくれよ』

 

もしかしたら思い出せるかもしれない、という時間稼ぎの意味も込めてそう言った。そのまま思い出せなくても一夏が勝てば教えてもらえるしな。

 

「……いいわよ。ただし、私が勝ったら何でも一つ、言う事聞いてもらうからね!!」

 

――――――――――

 

というワケで、妙な理不尽さを感じながら頭の中を掘り返しつつ、今日を迎えたことになる。

 

しかし、あの言い方はとても重要そうな約束だったな……俺が唯一思い出したのは、料理が上手くなったら酢豚を食わしてくれるというのだけだ。

 

そんな簡単な約束ではなさそうだが、俺の記憶が正しければ他にした約束はない。ISの教本を読み漁っていた時は生返事しかしなかったが、頭では確かに覚えていて果たした筈だ…

 

―ではこれより、各クラスの代表による、クラス対抗戦を始めます―

 

『出来れば一夏には勝って欲しいな』

 

一番手っ取り早いのはそれだが、経験値で考えれば天と地の差だ。それを覆すなにかを持っていないと、勝つのは難しいだろう。

 

だが、俺はお前が人一倍負けず嫌いで、努力家だってことも知っている。

 

『見せてみろよ、白の力を』

 

―試合、開始!―

 

 

 

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